「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-44

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ドクター44


「ふふーん、今日は良い買い物できちゃったなー♪」
大きな買い物カゴに一杯の食材を詰めて、上機嫌に歩くのは『口裂け女』のミツキ
病院でこそ衛生上の都合でマスクをしてはいるが、実は町を出歩く時にはマスクをしていない
そもそも『口裂け女』が頻繁に出現するこの町では、口の傷跡を隠していた方が目立つのだ
表向きは「事故で傷を負い跡が残ってしまった自分のような人を治療できるよう医療の道を志した」という事になっている
その建前も最近では現実のものとなりつつあり、ドクターの助手として様々な治療や研究に携わっている
「傷が嫌なら治してみせる、都市伝説である限り治らないのであれば人間にしてみせる……か」
ドクターに出会い口説かれた時の言葉を思い出し、くすぐったそうにはにかむミツキ
「これからも頑張ってもらうために、美味しいご飯をたくさん食べて栄養つけて貰わないと!」
そんな彼女の背後に、ふわりと何かが降り立った
赤い傘、赤い服
そして何より返り血で汚れた大きな白いマスク
「ねえ……私、綺麗?」
ミツキが振り返るより早く振り下ろされた赤錆びた鎌が、その背中を大きく抉り服を引き裂いて鮮血を撒き散らした
「かはっ……!?」
荷物を抱えていて反応が遅れた
しかしそれ以上に、圧倒的に強い存在であるという事が、同族であるが故にすぐに理解できた
「問い掛けて答えを聞く前に攻撃するのは反則ですね……まあそういう問答無用な派生もあるそうですけど」
両手にそれぞれ新品同様の磨き抜かれた鎌を持ち、襲ってきた『口裂け女』と対峙する
誰も傷付けた事の無い無垢な鎌と
口裂け女としてではなく、看護婦として使っている白いマスク
その下から発せられる、くぐもった、だが凛とした声
「答えてあげます……あなたは綺麗ですよ、私の愛する人の信念に誓って」
その言葉に『口裂け女』は嬉しそうに嬉しそうに表情を歪め
次の瞬間、ぱきんと二本の鎌があっけなく打ち砕かれる
そもそも、個としてそれほど強いわけでもなく契約者がいるわけでもないミツキが、太刀打ちできる相手ではないのだ
鎌を砕かれた衝撃で指も折れ、まともに武器を持つ事すら出来ない
「私は強くなるの。もっともっともっともっともっともっともっともっともっと……だから、そのために」
がしり、とミツキの首を掴む『口裂け女』
「ぐ……ぅ……ドク、ター」
「死んで頂戴」
春を前に一層冷え込む夕暮れの冷たい空気が、夕焼けとは違う明るい色に染まり
「ごめん、な、さ」
轟音と共に焦熱を撒き散らし、爆ぜる
仕事用にと用意してもらった大きなマスクが、あっという間に焼き焦がされ
塵となって消えていった


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