翼の高校の頃の同級生が、悪魔の囁きにとり憑かれていないかどうか
その、最後の一人の検査を終えて、黒服は街中を歩いていた
ひとまず、検査した全員は、悪魔の囁きにとり憑かれてはいなかった
結局、翼の高校の頃の同級生で悪魔の囁きにとり憑かれたのは、誠と藤崎 沙織だけだ
その、最後の一人の検査を終えて、黒服は街中を歩いていた
ひとまず、検査した全員は、悪魔の囁きにとり憑かれてはいなかった
結局、翼の高校の頃の同級生で悪魔の囁きにとり憑かれたのは、誠と藤崎 沙織だけだ
「…一応、あの子のアルバイト先も調べた方が良いかもしれませんね…」
相手の悪意が、翼に絡みついているような錯覚
何者かが、翼を精神的に追い込もうとしているかのような
そんな、悪意を感じる
もし、誰かが翼を精神的に追い詰める為に、翼の周囲の人間に悪魔の囁きを意図的にとり憑かせているのだとしたら、翼のバイト先の人間も危ないだろう
今すぐにでも、調べに……
何者かが、翼を精神的に追い込もうとしているかのような
そんな、悪意を感じる
もし、誰かが翼を精神的に追い詰める為に、翼の周囲の人間に悪魔の囁きを意図的にとり憑かせているのだとしたら、翼のバイト先の人間も危ないだろう
今すぐにでも、調べに……
…そう、考えていた、黒服の前に
できる事ならば、顔を合わせたくなかった人物の姿が、目に入ってきた
いや、できる事ならば、顔を合わせたくはないのだが…念のため、顔を合わせなければならない相手、でもある
あちらも、黒服に気づいた
かつかつとハイヒールをならし、近づいてくる
……こっそりと、悪魔の囁きの検査に使う装置を、作動させておいた
できる事ならば、顔を合わせたくなかった人物の姿が、目に入ってきた
いや、できる事ならば、顔を合わせたくはないのだが…念のため、顔を合わせなければならない相手、でもある
あちらも、黒服に気づいた
かつかつとハイヒールをならし、近づいてくる
……こっそりと、悪魔の囁きの検査に使う装置を、作動させておいた
「また、会ったねぇ?初詣以来だね」
「…そうですね」
「…そうですね」
タバコを咥えたその相手に、なるたけ、嫌悪を示さないよう、努力する
それでも、嫌悪感が表に出てしまっていたのだろうか
女性が、小さく苦笑した
それでも、嫌悪感が表に出てしまっていたのだろうか
女性が、小さく苦笑した
「そこまで、嫌う事ぁないんじゃないかい?」
「…申し訳ありません」
「…申し訳ありません」
小さく、頭を下げる
出来る限り、嫌悪と言う感情は、相手に悟られるべきではないと言うのに
特に、相手は一応仮にも、翼の実の母親なのだ
どれだけ、母親としての責務を放棄してきた者だとしても…翼の、たった一人の、血の繋がった母親なのだから
出来る限り、嫌悪と言う感情は、相手に悟られるべきではないと言うのに
特に、相手は一応仮にも、翼の実の母親なのだ
どれだけ、母親としての責務を放棄してきた者だとしても…翼の、たった一人の、血の繋がった母親なのだから
「まだ、翼が見つからないんだよ…あんた、翼があたしに会わないように、何かやってるんじゃないのかい?」
「…私は、何も。翼自身が、あなたを避けているのでは?」
「…私は、何も。翼自身が、あなたを避けているのでは?」
どうしても、彼女に対しては言葉に棘が混じってしまうのを自覚する
だが、それは相手もわかりきっているのだろう
彼女…朝比奈 マドカは、肩をすくめてきた
だが、それは相手もわかりきっているのだろう
彼女…朝比奈 マドカは、肩をすくめてきた
「かもねぇ。翼がアルバイトしてる店によく行くんだけど、一回も顔を合わせたことないよ。逃げられてるんだろうねぇ、あたしは」
「……本当に、嫌われていらっしゃるのですね」
「まったくだよ」
「……本当に、嫌われていらっしゃるのですね」
「まったくだよ」
そう
彼女自身、己の息子に嫌われている自覚はあるのだ
それでも、今、彼女は翼に会おうとしている
彼女自身、己の息子に嫌われている自覚はあるのだ
それでも、今、彼女は翼に会おうとしている
「あの子に、何かご用がおありなのですか?」
「うん?………それを、あんたに言わなきゃいけない理由があるってのかい?」
「うん?………それを、あんたに言わなきゃいけない理由があるってのかい?」
黒服の言葉に、彼女はやや挑発するように、そう言って来た
…表に現すべきではない、と思いつつ
口にするべきではない、と思いつつ、どうしても、嫌味のような言葉が、口をつく
…表に現すべきではない、と思いつつ
口にするべきではない、と思いつつ、どうしても、嫌味のような言葉が、口をつく
「いえ…ずっと、あの子の事を放置して、母親としての責務を放棄し続けていたあなたが、今更、あの子に何の用があるのかと思いまして」
「……あたしゃ、翼の母親さ。会う為に理由なんていらないだろう?」
「……あたしゃ、翼の母親さ。会う為に理由なんていらないだろう?」
…その、彼女の言葉に
明確な、嘘を感じた
明確な、嘘を感じた
何か、理由がある
詳細はわからないが……翼に会う事に、何かはっきりとした理由が存在している
彼女は、嘘があまり得意ではない
隠し事が、得意ではない
だから、それがはっきりと、伝わってきて
かすかに、黒服は警戒を強めた
詳細はわからないが……翼に会う事に、何かはっきりとした理由が存在している
彼女は、嘘があまり得意ではない
隠し事が、得意ではない
だから、それがはっきりと、伝わってきて
かすかに、黒服は警戒を強めた
そうであってほしくない、と願いながら
彼女から…都市伝説の気配を、探って
彼女から…都市伝説の気配を、探って
「………っ」
…都市伝説の、気配を
彼女から、はっきりと、感じ取った
都市伝説契約者
何と契約しているかまでは、わからないが…
……その、契約している都市伝説が、悪魔の囁きである可能性は、否定しきれない
彼女から、はっきりと、感じ取った
都市伝説契約者
何と契約しているかまでは、わからないが…
……その、契約している都市伝説が、悪魔の囁きである可能性は、否定しきれない
「…どうかしたのかい?」
黒服の様子に、彼女が眉をひそめる
いえ、と小さく首を振り…黒服は、真正面から彼女を睨み付けた
いえ、と小さく首を振り…黒服は、真正面から彼女を睨み付けた
「…今、あの子は少々、難しい事情を抱えています。できる事ならば、あの子を刺激するような事は、なさらないでいただきたいのですが」
「刺激なんて、しやしないよ。あの子は、あたしが腹痛めて産んだ子供さ。あの子を傷つけるような事なんて…」
「……してこなかった、とおっしゃるおつもりで?」
「刺激なんて、しやしないよ。あの子は、あたしが腹痛めて産んだ子供さ。あの子を傷つけるような事なんて…」
「……してこなかった、とおっしゃるおつもりで?」
黒服の、その言葉に
彼女の表情が、歪んだ
視線が、右往左往する
彼女の表情が、歪んだ
視線が、右往左往する
「…そりゃ、その………親はなくても子は育つ、と言うか…………自由主義で育てたけど、さ」
「あの子が一番、親の愛情を必要としていた、その時に……あなた達は、何をなさっていたのです?」
「あの子が一番、親の愛情を必要としていた、その時に……あなた達は、何をなさっていたのです?」
責めるような黒服の言葉に、彼女は後ずさった
…タバコを地面に落とし、踏みにじり、吐き出すように答えてくる
…タバコを地面に落とし、踏みにじり、吐き出すように答えてくる
「そりゃ…あたしは、いい母親じゃあ、なかったさ。でも、息子に会う権利くらいは、あるだろう?」
「あの子は、あなたたち両親と会う事事態を拒絶し続けてきています…出来る限り、あの子の心の整理がつくまでは、待っていただきたいのですが」
「……心の整理、ねぇ」
「あの子は、あなたたち両親と会う事事態を拒絶し続けてきています…出来る限り、あの子の心の整理がつくまでは、待っていただきたいのですが」
「……心の整理、ねぇ」
っは、と
彼女の表情が、暗く沈む
彼女の表情が、暗く沈む
「…それを、待ってなんて、いられないのさ」
くるり
彼女は、黒服に背を向ける
彼女は、黒服に背を向ける
「あんたがどう言おうが、あたしは翼に会わなきゃいけないのさ……あんたがいない場所で、翼を見つけてみせるよ」
「…っお待ちください」
「…っお待ちください」
はっきりと感じる、都市伝説契約者の気配
それに、ただ、不安しか感じない
それに、ただ、不安しか感じない
「あの子に会って…本当に、あなたは何をなさるおつもりなのです?あの子に、何の用があるのですか?」
「…あんたに言う必要なんて、ないさ。それとも、あんたには聞く権利があるってのかい?」
「……あの子、は」
「…あんたに言う必要なんて、ないさ。それとも、あんたには聞く権利があるってのかい?」
「……あの子、は」
翼は
自分の、都市伝説である自分の契約者であり
…そして
自分の、都市伝説である自分の契約者であり
…そして
「…あの子は…私の、家族ですから」
黒服の、その言葉に
ぴくり、彼女の背中が、小さく震えた
ぴくり、彼女の背中が、小さく震えた
「……そうかい。じゃあ、なおさら言えないねぇ?」
一瞬、振り返ってそう言って来た、その表情は
酷く意地悪なようで、同時に、何か意地でもはっているような、そんな表情で
彼女はそのまま…さっさと、逃げるように黒服の前から立ち去ってしまった
酷く意地悪なようで、同時に、何か意地でもはっているような、そんな表情で
彼女はそのまま…さっさと、逃げるように黒服の前から立ち去ってしまった
…小さく、ため息をつく
スーツのポケットから、悪魔の囁きの気配を探る装置を、取り出した
スーツのポケットから、悪魔の囁きの気配を探る装置を、取り出した
「…反応は、ありませんか……とり憑かれてもいないし、悪魔の囁きの契約者でもないようですね」
とりあえず、そこにはほっとする
…だが、しかし
彼女が、いつからかそうだったかはわからないが、何らかの都市伝説契約者となっている事は、事実だ
…だが、しかし
彼女が、いつからかそうだったかはわからないが、何らかの都市伝説契約者となっている事は、事実だ
…そして
何らかの、明確な理由をもって、翼と会おうとしている
その、理由に
悪意が含まれて居ないとは、言い切れず
何らかの、明確な理由をもって、翼と会おうとしている
その、理由に
悪意が含まれて居ないとは、言い切れず
「…目的がわかるまでは、警戒した方がいいでしょうね」
だが
この事実を翼に伝えるつもりには、黒服はなれなかった
この事実を翼に伝えるつもりには、黒服はなれなかった
両親の事は、翼にとって幼少期の、悲しい思い出でしかなくて
憎しみの対象でしかなく……しかし、だからと言って、憎みきることもできずにいる存在
その存在の事は、あまり翼の前では口に出したくなかった
憎しみの対象でしかなく……しかし、だからと言って、憎みきることもできずにいる存在
その存在の事は、あまり翼の前では口に出したくなかった
…どうか
これ以上、翼の心を傷つけるような事態が起こって欲しくない
黒服はそう、祈る事しかできなかった
これ以上、翼の心を傷つけるような事態が起こって欲しくない
黒服はそう、祈る事しかできなかった
to be … ?