「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-50a

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だれでも歓迎! 編集
 こつ、こつ、こつ、こつ、こつ……
 マンションの廊下に響く足音
 一人の男性が、目的地に向かっている足音だ

 見る者に威圧感を与えるような、巨体
 その巨体だけではなく、顔に走る大袈裟な手術後のような縫い目もまた、他人に威圧感を与える要素の一つだろう
 顔に走るような縫い目が、黒いスーツに隠された体中いたるところに同じようなものがあるなどと、誰が想像するだろうか

 こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ……
 マンションの、とある部屋の前まで、やってきて
 男は、チャイムを鳴らした

『……どちらさまでしょうか?』
「「組織」。G-No.1」

 短く答える男…G-No.1
 やや、間を置いて、扉が開けられた
 出迎えたのは、長身の女性だ

「連絡をくださっていた、「組織」の穏健派の方ですね?」
「あぁ……本来ならば、穏健派代表となると私の上司が向かうべきなのかもしれないが……そちらの被害にあったのは、私の直接の部下ですので」

 G-No.1の言葉に、女性は軽く頭痛を覚えたような表情を浮かべてくる
 …どうやら、苦労しているようだ
 同僚やら何やらに苦労している、今回被害にあった部下の顔を、G-Np.1は思い出した

「…その、被害を与えた当人は、こちらに。えぇと…」
「G-No.1という名前が呼び辛いならば、人間の名前としてジェラルド・グライリッヒという名前を私は持っている。そちらで呼んでくれればいい」
「わかりました。ミスター・グライリッヒ…どうぞ、こちらへ」

 女性の案内で、室内へと入っていくG-Np.1
 そこに待っていたのは………剣で床に縫いとめられた、老人の姿
 逃げ出そうとしているようだが、うまく逃げ出す事ができないようだ

 その、どう見ても老人虐待一歩手前どころか老人虐待でしかない様子を見ても、G-No.1は眉一つ動かさない
 感情が希薄…と言うか、感情が希薄であろうとしているせいもあるだろうが、老人の正体を知っているからだろう
 G-No.1は静かに告げる

「…あなたが、D-No.962にいかがわしい薬を摂取させ、さらにいかがわしい行為を働いた方ですか」
「男がエロくて何が悪い!!」
「……長老、少しは反省してください」

 女性が、深々とため息をついている
 床に縫いとめられた状態の老人を見下ろしながら…G-No.1は、淡々と続けてくる

「「組織」としては、貴方方「占い愛好会」と敵対するつもりはない。それに、こちらから攻撃を仕掛けた事もなかったように思えますが」
「はい、ありませんね」

 老人の代わりに答えてきたのは、女性
 G-No.1が言いたい事が、何となく、わかるのだろう

「だと、言うのに。何故、D-No.962に、あのような事を?彼は、あなたに攻撃的姿勢をとっていないはずですが」

 …最も、本人は、自分が老人の機嫌を損ねる事を言ってしまったのかもしれない、と言っていたが
 何故だろうか、高確立で、彼は悪くないように思えるのは

「ちょいと、揉んでやろうと思っただけじゃい」

 反省した様子もなく、ぷい、とそっぽを向いて答えた老人
 女性が、ますますため息をついたのが聞こえてきた
 女性の苦労を感じ取り、G-No.1も小さくため息をついて、続ける

「…彼は、「組織」穏健派において重要な存在。危害を加えられては、困る」

 ……彼と言う存在が
 少しずつ、他の「組織」の黒服に影響を与えている
 「組織」所属の契約者達に、影響を与えている
 その事実を、穏健派として、見逃す事はできない
 それは、過激派や強硬派としても同じ事のようで……悪魔の囁きにとり憑かれた強硬派の黒服が、とある契約者の復讐心を利用して、彼を抹殺しようとした件もある

 だからこそ、穏健派としては警戒心を強めざるを得ない
 D-No.962という存在を、失うわけにはいかないのだ
 「組織」を、近年のような傲慢で、独裁的な存在ではなく…都市伝説と人間の、掛け橋になれるような
 管理してやる、と言う考え方を改める、その必要性がある
 都市伝説組織は、今や「組織」だけではない
 過激派や強硬派の考え方では、遅かれ速かれ、「組織」は倒壊する

 いっそ、全て壊して、0から作り直したほうが良いのでは?…と言うほどに、歪んでしまった「組織」
 それでも、まだ、今なら…修正が、効くだろうと言う希望
 それに、穏健派はすがるしかないのだから

 かつて、D-No.0が抱いたような考え方に、「組織」を修正していく
 それが、自分達穏健派の考えだ
 その過程で重要な存在であるD-No.962に何かあっては、困る
 あの猛毒のような優しさが、どうしても必要なのだ

「危害を加えたつもりはないがの?」
「…女性の体になった事で、体力の低下を招いている。ただでさえ、彼は仕事を背負いすぎる性格です。過労で倒れる確立があがります」
「お前さんたちが、仕事を調整してやればいいだろうに」
「………調整してすむのであれば、苦労はしません」

 仕事は、他の黒服と同じくらいか、若干、少なめに与えているというのに
 仕事をサボるものや、どうしても仕事を溜め込んでしまう者の分まで、彼は背負ってしまうから
 …そして、己の契約者二人の身を案じて、どうしても無茶をしてしまう
 それを止める事が、自分達にはできないから…少しでも、彼が過労を溜め込まないよう、気を使うことくらいしかできない

 だと、言うのに
 あの女性の姿にさせられては……体力の低下は、深刻な問題だ
 幸い、時間経過で元に戻るから良いものを…

「せめて、彼を今すぐにでも、元に戻す方法を教えていただきたいのですが」

 …………
 ぷい、と拗ねたようにそっぽを向いている老人

 …静かに、静かに
 G-No.1は老人を見下ろし続ける

「…少々、この方と込み入った話をしたいのですが」
「はい、構いません」
「っちょ!?ま、待った、見捨てんでおくれ!?」

 老人の悲鳴を無視して、女性はすたすたと部屋から出て、老人とG-No.1を部屋に残していってしまった

 …女性は、すでに知っていた
 「組織」所属の黒服…と言っても、正確には「組織」の黒服ではないようだが…G-No.1
 彼の説教は、始まれば最短で6時間
 それあくまでも最短で、であり…最長の時間がどれだけ気が遠くなるかを、知っていて
 たまには反省してください、と言う思いを抱えながら、女性は老人の悲鳴を背後に、部屋を後にしていってしまったのだった



終われ






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