「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪意が嘲う-01

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 酒には、不思議な力がある
 適度に飲めば薬であり、しかし、度を過ぎれば毒となるそれ
 心を開放的にし、普段口にできぬ悩みすらも、見ず知らずの人間に相談してしまうような事態にすら、物事を進めてしまう

 彼、五十嵐にとって、酒の力に流された事は、不幸でしかなかった
 しかし、少なくともこの日、彼は幸運であったと、そう感じたのだ


「…それはそれは。大変な体験だったようで」
「……はい…まったく…」

 ぐでんぐでんに酔っ払っている五十嵐
 辺湖市新町の隣町である学校町
 そこのとあるバーで、彼は飲んでいた
 そして、見事に出来上がっていた
 もう、飲まなきゃやってられない気分だったのである
 何が悲しくて、初めてがマッスルな校長でなければならないのだ
 いっそ、死にたい

 彼にとって人生の汚点とも言えるそれを、見事に酔ってしまっていた彼は、たまたま隣の席に座った中年男性に、ぼろぼろと話してしまっていた
 恐らく、翌朝覚えていれば、後悔するであろう行為
 しかし、この瞬間、己の中に溜め込むのではなく吐き出す事で、彼の心は多少なりとも、軽くなっていた
 …そして
 そんな、話されてもどう対応したら良いのかわからない、いっそ引くようなその話を
 灰色のコートを着たその中年男性は、静かに聞いていてくれていて
 話し終わった五十嵐を見つめ……問い掛けてくる

「…それで。君は、どうしたんだ?」
「え?」
「そんな、パワーハラスメントを受けたんだ。訴えようとか、そう言う方向に考えは及ばないのか?」

 言われて、五十嵐は視線を沈ませる
 …訴える?
 それこそ、彼にはそんな勇気はなかった
 人生の汚点とも言える、禍々しい行為
 それを、裁判所に訴えるなど、恐ろしくて、恐ろしくて
 とてもじゃないが、できない
 それを、正直に話すと…ふむ、と中年男性は、ゆっくりと続けてくる

「…復讐したいと、そう思わないか?」
「復讐…?」
「君に、そんな行為を行ってきた、その男を。社会的なりなんなり、抹殺したいと……そうは、思わないか?」

 酷く、物騒な事を話される
 それは、と五十嵐は視線を彷徨わせて……悩む
 それが、できるならば……と、一瞬
 ほんの一瞬、考えてしまって


 その瞬間
 ぱりんっ、と
 五十嵐の中で…何か、卵が割れたような
 そんな、錯覚を感じた


『復讐シチマエヨォ、憎インダロォ?』
「--------っ!?」

 己の中に、響いた声を
 五十嵐は、確かに聞いた

「…どうした?」
「い、いえ、何も」

 中年男性に不審がられないよう、慌てて返事をする
 何だ?
 飲みすぎて、幻聴が聞こえるようになったか?

『殺シテェダロォ?テメェヲ汚シタソノ野郎、メッタメタノギッタギタニシテヤリテェダロォ?』

 声が、楽しげに誘惑してくる
 酷く、酷く、誘惑的なその声
 破壊的なことを行えと、それは楽しげに誘ってくる

 何が起きているのか
 酔った思考が、混乱する

 その混乱に、拍車をかけるように…中年男性は、笑って、五十嵐に提案をしてくる

「…都市伝説と、契約して見ないか?」
「都市……伝説……?」

 そう言えば、あのおぞましい行為を行っていたとき
 校長が、そんな単語を発していたような気がした

「そうすれば、君は新たな扉を開く事ができるだろう……君に、おぞましい行為を行ったその人物を。ありとあらゆる意味で抹殺できるだけの力。それが、手に入るかもしれない」
「…力、が」
『ソウダゼェ!!ホラホラホラホラホラホラホラァ!契約シチマエヨォ!!!』

 中年男性の言葉を後押しするように、内なる声が誘う
 都市伝説と、契約
 そうすれば…力が、手に入る?
 あの校長に……復讐、できる?

 悩む五十嵐の前に…中年男性は、す、と
 一枚の紙を、見せてくる

「それは…」
「都市伝説との、契約書だ。君に相応しい都市伝説の名を、既に記入している……後は、君がサインをすれば。君はこの都市伝説と契約できる」
『ホラホラホラホラァ!!目ノ前ニ力ガアルゾォ!受け取トッチマエ!!力ヲ手ニ入レチマエヨォオオオオ!!!!』

 二つの声が誘う
 契約しろ、と誘惑してくる
 あまりにも魅力的な、その誘い

 ……酔って混乱した思考
 いや、この瞬間、もしかしたら、酔いが覚めて、冷静になっていたかも、しれないが


 この夜、彼は悪魔の囁きに乗ってしまった




 ……帰り道
 雪が舞い散る道を、彼は一人、歩いていた
 何だか、気分が随分と軽い
 一体、自分は何故、あんなにも思い悩んでいたのか
 それが、何だか馬鹿らしくなってきた
 一人帰る、彼の前に

「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!」

 響き渡る、笑い声


 やせいの あにきが てんからまいおりてきた !!!


 全裸のマッスル兄貴が、天から降りてきた 
 それは、某最強マッスル禿から生まれた野生の兄貴
 男を「ッアー!?」の道へと誘う存在

 その、マッスルな姿に
 おぞましい存在を思い出し、五十嵐は眉を顰める

「OK,そこのお兄さん、Meと熱い夜を…………ん?都市伝説の気配…」

 ……あぁ、そうだ
 丁度いい

 五十嵐は、ニタリと笑う
 たっぷりの、たっぷりの邪悪が篭った笑顔

 彼の携帯が、着信を告げる
 五十嵐は、迷う事なく、その電話に出た

『23時15分。私はどこ?くすくすくす』

 向こう側から聞こえて来たのは、愛らしい幼女の声
 その声に、五十嵐は愛情を込めて、答える

「君は、全裸の変態の背後にいるよ」
「む……!?」

 咄嗟に、背後に振り返る兄貴
 ……振り返った体制での、その、背後に
 彼女は、姿を現した


 どすっ、と
 兄貴の体に、ナイフが突き刺さる


「が……っ!?この……-----!?」
『23時16分。私はどこ?くすくすくす』
「その変態の、足元だよ」

 振り返ったとき、それはもう、そこにいない
 代わりに、全裸兄貴の足元に…現れて
 すぱりっ、その足が切り裂かれる

「------っ」

 がくり、膝をつく兄貴
 五十嵐は、その姿を……汚い物を見下ろすように、笑った

『23時18分。私はどこ?くすくすくす』
「変態の真上だよ……止めを刺してくれ」
『はぁい。くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす………!!』

 響き渡る、幼女の笑い声
 それを最後に……全裸兄貴の意識は途絶え、その命は学校町から消えた



『えらい?私、えらい??くすくすくす』
「あぁ、偉いよ……質問女」
『褒められた、褒められた!くすくすくすくすくす』

 傍らを歩きながら、しかし携帯電話で話してくるその幼女
 都市伝説 質問女と手を繋ぎ…五十嵐は、至福の表情だった

 あぁ、自分は素晴らしい力を手に入れた
 素晴らしいパートナーを手に入れた
 この力があれば……!

「…あぁ、そうだ……今度、あの人に礼を言わないと……」

 携帯の番号は手に入れている
 後で、礼をしなければ
 この、素晴らしい力を与えてくれた彼に……恩返しをしなければ


 家への帰り道、質問女とて繋いで帰っていきながら
 五十嵐は、悪意を滲ませた笑みを、浮かべ続けていたのだった


to be … ?



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