「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 厨二病コンビ-02

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「トイレの花子さん?」
「そう、出るらしいぜ。うちにも。」
「へぇ」
「あんま信じてないな?」
「っていうかどうでもいい。」
「相変わらずつまんねぇやつだな…。」

じゃ、と言って友人と別れる。
信じてないわけではない。むしろ、存在を知っている。
ただ、できればこれ以上かかわりたくない。
そう思いながらも鞄にいつものペットボトルが入っていることを確認する。

「クククッ。聞こえたぞ、同志よ」

左腕に包帯を巻いている男が近づいて来る。
友人と認めたくないところである。相方ってところか

「言っとくが、やらないからな。」
「ククッ。悪を倒すことは選ばれし能力者のさだめだ…。」

…これだから厨二病は困る。え、僕は厨病二なんかじゃないはず…。

「能力者じゃなくて契約者だ。それに選ばれたんじゃなくて自分の意思。」
「ふっ…細かいことは気にするな…。」
「そもそもまだ悪かどうか分かんないんだが。」
「なら、確かめに行くだけでも。」
「断る、めんどくさい仕事は嫌いでね。」
「こわいの?」
「こ、怖くないよ!別に言ってもいいよ!!」
「くくっ…では後で。」

簡単な挑発に乗ってしまう自分が嫌になる。
どんなにかっこつけても結局、自分はへたれなのだ。

しかし困った。
花子さんと闘うことになったらどうすればいいのだろうか。
いつもの戦い方が通用するか…。

そもそも花子さんがいるのが悪いんだ。
なんでいるんだよ。
ここ中学だぞ。普通そういうのは小学校って決まってるだろ。
っていうかなんで僕が倒さなきゃいけないんだよ。
誰か倒してくれよ。もうたおされてるんじゃないの。
そうか、有名だからいけないのか。
有名だから倒しても倒しても生まれてくるのか…。
噂してるの誰だ。そいつのせいだ。噂がなきゃ都市伝説は生まれない…。
いやもういっそ都市伝説って言葉を作ったやつが悪いんだ。
そうだ。そうにきまっている。
花子さんよりも先にそいつを倒し…


クールを気取っている少年は、内心でこれでもかというくらいに卑屈だった。


もちろん彼がこんなにも花子さんを恐れるのは理由がある。

日がくれた放課後。女子トイレに男子二人がたたずむ姿はなんか変なんじゃないか…。

「え?」
「だから、やっぱりやめよう…。」
「どうした少年!?こわいのか!?大丈夫だ!俺がついてる!!」
「ま、まさか。ただ…そう、あんたみたいな足手まといなと一緒なのが気に食わないだけだ。
 そ、そうだ、それだけだ!筋肉バカ!!」

ごまかせただろうか?

「はっはっは、筋肉バカか。まぁ、いい。呼ぶぞ!!」
「お、おう。」

大丈夫、ちゃんと準備してきた。大丈夫…大丈夫…。

「はーなこさーん!!」


包帯を外した相方の素っ頓狂な大声につられるように
ごぉ…と盛大な水音を立てて女子トイレからその子は出てきた。

「何よ、うるさいわね!!」

イメージと違った。
そこには確かにおかっぱではあるが、気の強そうな女の子が立っていた。
もっと幼い子かと思っていたが、自分と同じ年くらいだった。
よく考えたら中学のトイレに出てくるのだから当たり前かもしれない。

「なんなの!?わざわざ呼んどいて用件も言わないの!?」
「はっはっは!おじょーちゃん!!おまえを倒しに来たぞ!!」

あぁ、もうなんで宣戦布告するんだよ、平和的な話し合いで解決できたかもしれないのに…。
こうなったらやるしかない。

「先手必勝、いけ」

精一杯冷静を装った声で相方に支持をだす。
同時に普段の厨二病とはかけ離れた性格のあいつが動く。

「女に手を挙げるのはあんまり好きじゃないんだがな。うおりゃーー!!」

盛大に花子さんに殴りかかる。

スカッ

…そしてすり抜ける。


そりゃそうだよね、当たり前だよね。ちょっとでも期待した俺がバカだったよ。
花子さんは幽霊だもんね、殴れるわけないよね。
でも困ったな、傷口がないと僕の能力は使えないよ。
よく考えれば傷口あっても幽霊だったら海水かけられないじゃん。
もう勝ち目ないよ、土下座すれば許してくれるかな。

「いきなり何すんの!!」

うわぁ。怒ってるよ、やばいよ死にたくないよ…。

花子さんを怒らせてしまった僕たちは、花子さんの操る水流に翻弄されていた。

一生懸命逃げるも、狭い室内。
逃げ道は限られていた。
しかも僕は相方と違ってそんなに素早く動けない。

仕方ない、あれをやるときか。
あわててペットボトルを取り出す。

「そんなのでこの私に対抗する気?聖水?悪霊じゃないんだからきかないわよ。」
「はっはっは!悪霊みたいなもんだろう。悪さをする霊なんだからよ!」
「何よ!悪さなんかしてないわよ!私はあんたたち…」

って何、火に油注いでるの!これ以上怒らせてどうすんの、今ピンチなんだから。

「で?なに?その水を私にかけるつもりかしら?」
「違います!こ、これは、ちょっとのど乾いただけで…でも捨てちゃいますね。」

どぼどぼどぼ…。
ペットボトルのふたをあけて中身をトイレの床にぶちまける。
これは僕の能力の発動条件。
いわば唯一の武器を捨てた…わけではない。

「へらへらしちゃって!いらいらするわね!」

花子さんが再び水流攻撃を仕掛けようとする。
いまだ。

パチン。

指を鳴らすと床から大量のフジツボが生えてきて花子さんと僕たちの間に壁を作った。
直後、襲ってきた花子さんの水流攻撃をフジツボの壁が防いだ。。

フジツボの能力は無生物でも応用が利いた。
昼のうちに床に傷をつけておいてよかった。

間に合った…。

「危なかった…だからやめようって…あれ?」

ふと隣を見るとすでに相方は気絶していた。
間に合わなかったらしい。まさかしんでないよね…。

「何よ、この壁。」

目の前には花子さん。
…そうか、幽霊はフジツボの壁もすり抜けられるんだね。
僕にはもう何も残ってないよ。

勝ち目ないよ。僕は花子さんに殺されちゃうんだね。
どうせならもっと強い都市伝説と闘ってしにたかっ…


「殺さないわよ。人殺しなんてしたくもない。私はただ静かにのんびり過ごしたいだけなのに…。
 あんたみたいなのが邪魔するから!でてって!!」


おびえている僕にそう怒鳴ると、花子さんは僕たちを水流でトイレの外に追い出した。
そして内側から鍵でもかけたのか、トイレのドアは開かなくなった。

「くくっ、それで?どうなった?」
「あぁ、問題なくやったさ。あんたが気絶している間にな。」
「そうか…さすがは選ばれし者だ」
「実力だ。俺を見くびるなよ。」

翌日。昨日の失態を取り返すべく、いつも以上にクールな俺に
学校に行くと、相方が話しかけてきた。
とりあえず、気絶したまま放置して帰ったことには怒っていないようだ。

花子さんのことは倒したことにしておいた。
そうすればそのうちみんなが忘れていくだろうから。
花子さんも静かに暮らせるに違いない。


僕だけは、覚えておこう。
都市伝説は忘れられれば消えてしまうから。



忘れられない。

ドアを閉める直前に花子さんに涙が浮かんでいるのが見えたから。



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