その7 嘘つき捜査線
1月、正月休みが開けて最初の週、部長から緊急招集があった。
部長「今回集まってもらったのは他でもない、最近校内で問題になっている窃盗事件についてだ。」
けーちゃん「そういえばそんなことありましたね。なんでも肌身放さず持っていた財布だろうと、鍵をかけた机の中だろうと、どんなに警戒してても盗まれるみたいですね。」
ヒラ「凄腕のスリや泥棒にしては学校なんかで動いてる辺り、もっとねらうところがあるだろうにな。」
副部長「とすると、都市伝説でも絡んでそうね。」
部長「私もその線が強いと見ている。特に生徒か、学校関係者によるものだろう」
副部長「でも何でまた今になって招集したんですか?まあ窃盗犯は捕まえるべきだとは思いますが。」
部長「別に学校が被害を受けようとどうでも良いのだが、私の体操着が盗まれてね。」
副部長「ああ…」
部長「ふふふ、うら若き女子の体操着を狙う変態め、私の新型デジタル一眼『デジ子』の活躍するときが早速来た様だ。ただ警察に突き出すだけですむと思うなよ。魂の一つや二つは覚悟してもらおう。」
ヒラ「魂は二つないと思いますが…」
部長「まずは聞き込みだ。窃盗にあった人に、状況を出来るだけ詳しく聞いてくれ。」
2日後
副部長「何人かに聞き込みをしてみたところ、案外簡単な共通点がありました」
けーちゃん「財布を盗まれた生徒は、最近出来た南区の雑貨屋で超イケメンが店長をしていると聞いたので行ってみたら、爺さんだったのでがっかりして、その時に
財布がない事に気づいたそうです。」
コナ「テスト問題を盗まれた先生は、喧嘩している生徒がいると連絡を受けて駆けつけたら、見間違いだったので職員室に戻ったところ、鍵をかけた机の中のテスト問題が消えていたそうです。」
ヒラ「そして部長、あなたは体育の後、知らない生徒に携帯アドレスを交換しようと言われ、断ったら『自分の名前は真古土雄介だ。』といって去り、気付いたら鞄の中の体操着が無くなっていた。」
スケベ「このなかで共通すんのは、3人とも嘘をつかれてるってことっす。」
ヒラ「しかも、嘘をついたのはどれも同じ人物でした。」
副部長「というわけで『嘘つきの名前は、臼緒雄介である』」
副部長の能力で、その場に臼緒が現れる。
臼緒「わわっ!?なんだ?」
驚いている臼緒に、カメラを構えた部長が詰め寄る。
部長「さあ、私の体操着を盗んでくれた変態の臼緒君よ。覚悟は出来ているかい?」
ヒラ「(まだ確定した訳じゃ無いんだけどなぁ。)」
臼緒「やだなぁ先輩。僕の名前は臼緒じゃなくて白緒ですよ。よく間違える人がいるんですよね。」
部長「本当か?しかし副部長は臼緒の名前で呼び出したぞ」
臼緒「そりゃそうですよ嘘ですから」
部長「なに?あ!カメラ!」
臼緒の手には部長のカメラが握られていた。
臼緒「さっきいきなりワープした所から見て、都市伝説契約者いるよね?僕もなんだ。『嘘つきは泥棒のはじまり』ってのと契約してる。」
臼緒はその場から走り出す。
副部長「あ!逃げた!」
臼緒「悪いけど逃げるよ。言い触らしたかったらすれば?どうせ信じてもらえないよ。」
スケベ「くっそ速ぇ!あいつ陸上部だからな。」
そよ「私にお任せください。」
ヒラ「うお!いたのかそよちゃん。」
そよは、片目をつむり、両手で輪を作る。
"そよの視界で"廊下を走って逃げる臼緒が輪の中に入る。
"そよの視界で"廊下を走って逃げる臼緒が輪の中に入る。
そよ「『ペンローズの三角形』。」
廊下の突き当たりで曲がろうとした臼緒が、"そよの手"に進行を妨げられる。
臼緒「なんだこの手?クソッ、ここから出せ!」
臼緒はそよの手の中でもがいている。
そよ「"視界の映像の中で主観的に起こりそうなことを実現する"のが私の能力ですわ。あなたはどこまで逃げてもこの手の中からは逃れられない。」
副部長「ごめん。何度も説明受けてるけど、その能力よくわかんない。」
そよ「まあ…作者もよく分かってないので仕方ないですわ。今回は"遠近感の無視"とでも言いましょうか。」
部長「とにかく、捕まえられたなら何だって良いさ。」
臼緒から引ったくったカメラをスケベから受け取り、部長は冷酷に微笑む。
部長「さあ、ここからはお仕置きの時間だ。」
臼緒の意識はそこで暗転した。
次の日、パソコン室に人だかりが出来ていた。
生徒A「この動画、臼緒…だよな。」
生徒B「多分…なんか閉じこめられてるように見えるけど。」
臼緒『出してくれ!ここから出してくれー!!』
兄貴『出してくれ?OKわかった!たっぷり出してあげようじゃないか。』
臼緒『ちがっ、そういう意味じゃっアッー!!』
パソコン室には気絶した臼緒、臼緒の盗品、そしてパソコンの中で騒ぐ臼緒の魂(兄貴AVと合成済み)
副部長「パソコンの中でも意識がある。動画モードで撮るとあんなことになるんですね…」
部長「私も最近知った。せいぜい2、3日羞恥プレイを楽しむことだな。」
コナ「ていうかあんなAV何でもってるんですか…」
けーちゃん「ガクガクブルブル」
この一件で、部員達は「部長にだけは逆らわないでおこう」と再認識するのだった。
fin