やって来た他の黒服たちに、死体の処理などを任せ2人はその街を立ち去っていた。
能力によって読み取った情報を本部に伝えた所、此方に来て詳しく話せと言われたからだ。
能力によって読み取った情報を本部に伝えた所、此方に来て詳しく話せと言われたからだ。
「や~。ビックリしましたねぇ」
「そうだな。《七人みさき》何て大物が居たなんてな」
「いえ。それもですけど、ビルの方ですよぉ」
「そっちか……」
「そうだな。《七人みさき》何て大物が居たなんてな」
「いえ。それもですけど、ビルの方ですよぉ」
「そっちか……」
話し合う《残留思念》の黒服ことS-No.560と、担当契約者である《女の勘》の女性。
初めは大量の死体に注意を奪われていたのだが、暫らくしてそれ以外にも気を向けるようになった。
ふと、少し離れた建物に目をやると眼前のソレと同じ位とんでもない物が在った。
ビルのフロア1つが、そっくりそのまま消し飛んでいたのだ、まるでだるま落としの様に。
初めは大量の死体に注意を奪われていたのだが、暫らくしてそれ以外にも気を向けるようになった。
ふと、少し離れた建物に目をやると眼前のソレと同じ位とんでもない物が在った。
ビルのフロア1つが、そっくりそのまま消し飛んでいたのだ、まるでだるま落としの様に。
「あれも、《七人みさき》の仕業なんですよね。大丈夫ですかねぇ」
「何がだっととと」
「何がだっととと」
不意にSが声を上げる、これは彼らの現在の状態が原因に有る。
移動のために、女性の運転するバイクに2人乗りをしており、先程はカーブで少しばかりバランスが崩れたのだ。
妙齢の女性である《女の勘》の契約者に、後ろから抱きついている黒服の姿は、一部の人間には羨望の対象になるかもしれない。
移動のために、女性の運転するバイクに2人乗りをしており、先程はカーブで少しばかりバランスが崩れたのだ。
妙齢の女性である《女の勘》の契約者に、後ろから抱きついている黒服の姿は、一部の人間には羨望の対象になるかもしれない。
「えと、ですね。今の現状って、他にも厄介な事があるでしょう。その上に、《七人みさき》じゃないですかぁ」
「大丈夫だろう。他の件は兎に角、《七人みさき》に関しては対策を思い付いたからな」
「大丈夫だろう。他の件は兎に角、《七人みさき》に関しては対策を思い付いたからな」
Sのその言葉に女性は驚いた。大勢の人間を一度に相手取り、ビルの階一つを消し飛ばした《七人みさき》。
詳しくは分らないが、その戦力がかなり高い事は簡単に想像することが出来た。
それをどうやって、倒すつもりなのだろうか?
そんな女性の疑問に気付いたSが、補足するように声をだす。
詳しくは分らないが、その戦力がかなり高い事は簡単に想像することが出来た。
それをどうやって、倒すつもりなのだろうか?
そんな女性の疑問に気付いたSが、補足するように声をだす。
「あぁ。対策っつても、本当に効果が有るか分らんけどな。
ヒントを出すとしたら《七人みさき》に取り込まれるのは《七人みさき》に"殺された人間"だけって事だな」
「それってどう言う……」
ヒントを出すとしたら《七人みさき》に取り込まれるのは《七人みさき》に"殺された人間"だけって事だな」
「それってどう言う……」
ダーン、ダーン、ダーン、ダン、ダン…………………
突然、ボールの弾む音が、女性の言葉を遮るように聞こえて来た。
それも、全く音が小さくなる気配が無い。バイクはそれなりのスピードで走っているのにだ。
音のする方に、Sが眼をやるとそこには、
それも、全く音が小さくなる気配が無い。バイクはそれなりのスピードで走っているのにだ。
音のする方に、Sが眼をやるとそこには、
「《ドリブルババア》かよ。厄介なのに会っちまったか?」
「っちょ、私達2人とも戦闘は専門じゃ無いですよ!? しかもバイクに乗ってる最中ですしぃ」
「っちょ、私達2人とも戦闘は専門じゃ無いですよ!? しかもバイクに乗ってる最中ですしぃ」
バスケットボールをドリブルしながら自分達と同じ速さで走っている老婆がいた。
老婆はバイクの真横にピッタリと張り付きながら、2人に向かってニタリと笑う。
《ジェットババア》や《100キロババア》等の亜種として知られるのが、この都市伝説だ。
だが、その2つと《ドリブルババア》には、大きな違いが有る。それは、ボールをぶつけて来ると言う事だ。
ボールを受け取ればハンドルから手が離れ、無視すれば体に当てられバランスを崩す。どう対処しても質の悪い都市伝説である。
《ジェットババア》や《100キロババア》等の亜種として知られるのが、この都市伝説だ。
だが、その2つと《ドリブルババア》には、大きな違いが有る。それは、ボールをぶつけて来ると言う事だ。
ボールを受け取ればハンドルから手が離れ、無視すれば体に当てられバランスを崩す。どう対処しても質の悪い都市伝説である。
「大丈夫だ。1人ならキツイかも知れんが、幸い今は2人いる。お前はそのまま運転を続けてろ。俺が処理する」
「そ、そうですか。分りましたぁ」
「そ、そうですか。分りましたぁ」
女性は運転に集中するために、《ドリブルババア》から目を離して前方を見直す。
一方Sは、女性の体から片手を離しスーツの内側から何かを取り出した。それは、片手に収まるサイズらしく見る事は出来ない。
一方Sは、女性の体から片手を離しスーツの内側から何かを取り出した。それは、片手に収まるサイズらしく見る事は出来ない。
「さて、こいつで如何にか出来るか?」
確認するようSは、手の中のソレをいじる。そして、睨みつけるように老婆を見やった。
「ハーイ! 若いの、元気してるかい!!」
「…………」
「…………」
老婆とは思えないテンションで、《ドリブルババア》が喋りかけて来た。
まぁ、バスケットボールをドリブルしながらバイクと併走する様な、ハッスル婆ちゃんだ可笑しくは無いかも知れない。
まぁ、バスケットボールをドリブルしながらバイクと併走する様な、ハッスル婆ちゃんだ可笑しくは無いかも知れない。
「どうしたんだい?! 黙っちゃって、返事ぐらいしなよ!!」
「……いや。テンションの高い、婆さんだと思ってな」
「……いや。テンションの高い、婆さんだと思ってな」
行き成りのハイテンションに驚き、黙ってしまったSが、《ドリブルババア》の2度目の言葉に、呆れたように答える。
運転をしている女性も、同じように呆れて居るのが感じられた。
運転をしている女性も、同じように呆れて居るのが感じられた。
「さて。見逃してくれ、と言いたい所だが、どうせ無駄なんだろう?」
「そーの通りさ。んじゃ、喰らいなぁ!!」
「そーの通りさ。んじゃ、喰らいなぁ!!」
そう言うと同時に、老婆はボールを投げつけようと腕を振りかぶった。
「断るに決まってんだろう。思念開放」
握っていた手を開き、Sはそう告げた。
開けられた手からは、金属製の何かが数個バラバラと零れ落ちる。
それは……使用済みの銃弾だった。
開けられた手からは、金属製の何かが数個バラバラと零れ落ちる。
それは……使用済みの銃弾だった。
「そんな物で、何をする気だい?」
突然のSの行動にタイミングを逃され、ボールを投げる姿勢のまま止まっていた老婆が怪訝な表情を浮かべる。
銃弾は《ドリブルババア》に当たる事も無く、後方へと流れて行く。意味のある行動とは思えなかった。
今度こそ、ボールをぶつけ様とした。が、それは叶わなかった。
銃弾は《ドリブルババア》に当たる事も無く、後方へと流れて行く。意味のある行動とは思えなかった。
今度こそ、ボールをぶつけ様とした。が、それは叶わなかった。
何故ならば、遥か後方へと流れ去って行った筈の弾丸が、《ドリブルババア》を背後から撃ち抜いたのだから。
背後からの不意打ちにより、バランスを崩した《ドリブルババア》はボールを取りこぼしてしまった。
背後からの不意打ちにより、バランスを崩した《ドリブルババア》はボールを取りこぼしてしまった。
「何、だい?! どういう事だい、これは」
驚愕と困惑の混じった声を出す、《ドリブルババア》。
無理も無いだろう。何の変哲も無い、捨てる様にばら撒かれた銃弾が自分に向かって襲い掛かる等普通では考えられない。
だが、その普通では無い事を起こすのが都市伝説の力……なのだ。
無理も無いだろう。何の変哲も無い、捨てる様にばら撒かれた銃弾が自分に向かって襲い掛かる等普通では考えられない。
だが、その普通では無い事を起こすのが都市伝説の力……なのだ。
ここで、《残留思念》と言う都市伝説に付いての、簡単な話をしよう。
この能力は、言うなれば思念(記録)を読み取る力の事だ。そこには、生物・無生物の関係は無い。
さらに無生物の場合は、込められた思念を開放する事によって、それを実現させる事が出来るのである。
そして、今回Sが使ったのは、かつて都市伝説を攻撃するために使用された銃弾であり。
そこには、都市伝説を攻撃すると言う思念がこびり付いていたのだ。
故に、その思念を開放された銃弾は《ドリブルババア》を狙い攻撃したと言う事だ。
この能力は、言うなれば思念(記録)を読み取る力の事だ。そこには、生物・無生物の関係は無い。
さらに無生物の場合は、込められた思念を開放する事によって、それを実現させる事が出来るのである。
そして、今回Sが使ったのは、かつて都市伝説を攻撃するために使用された銃弾であり。
そこには、都市伝説を攻撃すると言う思念がこびり付いていたのだ。
故に、その思念を開放された銃弾は《ドリブルババア》を狙い攻撃したと言う事だ。
「よし! 今のうちだ、全速力で引き離せ!」
倒すまでには行かなかったが、銃弾に怯み老婆が動きを止めた事を確認したSは、女性にしがみ付き直しそう言った。
それに返事をする事無く、女性はバイクのスピードを限界まで上げる。
これで、バイクと《ドリブルババア》の距離は大きく離されていった。
それに返事をする事無く、女性はバイクのスピードを限界まで上げる。
これで、バイクと《ドリブルババア》の距離は大きく離されていった。
「はぁ、失敗かい。ま、良いさ次の獲物を狙うとするかね。おぉ、痛い」
遠ざかって行くバイクを見送りながら、《ドリブルババア》は諦める様にそう言い。
銃撃による痛みに顔を顰めながら姿を消していった。
銃撃による痛みに顔を顰めながら姿を消していった。
《ドリブルババア》を撃退する事は出来たが、別の都市伝説に襲われる可能性が無いとも言い切れない。
2人の乗ったバイクは、急ぐように目的地である組織へと走っている。
2人の乗ったバイクは、急ぐように目的地である組織へと走っている。
続く