「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Project-ACE-02

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

Project-ACE_case01:Experiment /実験風景/



 そこは直径40m、高さ100mの、円柱状の空間。
 その大穴のような空間の最上部、その一角には窓が取り付けられている。
 窓の向こうの部屋には、さまざまな計器やモニターと向き合い、作業をする大勢の黒服たち。
 大量に設置されたモニターにはさまざまな数値と共に、大穴の中の様子が映し出されている。

*



 すっと、音も立てずにドアが開き、一人の黒服と一人の白衣の男が部屋に入った。
 その黒服は巨大なモニターの前へ歩み寄り、近くにいた黒服に目をやる。

「進捗状況を報告しろ。」
「実験室を無酸素にしてから30時間、加えて摂氏マイナス60度にしてから10時間が経過しました。現在まで異常はありません。」
「code:06の状態は。」
「体表温度、マイナス58.6度。脈拍、68分に一回。呼吸は無し。脈拍と連動するように、強い生体電気が発生しています。」
「code:01、これをどう分析する。」

 code:01と呼ばれた白衣の男は、正面の巨大なモニターをじっと見る。
 そこには、異形の姿をしたcode:06が、膝を抱えるようにしてうずくまる姿が映し出されていた。

「そうですね…体内の水分が不凍液になっているのは実験No.59で確認済みです。
 実験No.84のケースと同じように、生体電気で体内の水を分解、酸素を生成しているのでしょう。」
「既にこの環境にも適応している、と。」
「そういうことです。」

 満足そうに頷くcode:01。
 A-No.206は数瞬、考えるそぶりを見せたのち、モニターの前に座る黒服に指示を出す。

「実験室を摂氏マイナス100度まで低下。」
「了解しました。室温、低下します。」

 黒服がカタカタとキーボードを鳴らす。
 その手が止まると同時に、モニターに表示された数値が急激に変化する。

「…室温、摂氏マイナス99.8度。code:06、体表温度低下中。」
「予定通り8時間後に実験終了。その後の検査も予定通り行う。」
「了解しました。」

 淡々と指示を出す黒服に従い、淡々と作業をする黒服たち。
 その様子をただ見ていたcode:01が口を開く。

「相変わらず容赦のないことで。」
「あの環境にも耐えるのならば、更なる極限状態の中で、更なる”進化”を促すまでだ。」
「くっくっく…。ま、死んだら死んだでレアなサンプルが入るんで、私はどちらでもいいんですがねぇ。」

 低く、愉快そうに笑いながら話すcode:01。
 狂気を孕んだ微笑みを浮かべつつ、No.206に向き直る。

「行き過ぎた”進化”が行き着く先は、”破滅”。…それまでは存分に協力させていただきますよ。」

 そう告げると白衣を翻し、部屋の外へと歩いていった。
 去り行く背中をじっと見つめ、ゆっくりと口を開く。

「……”Project-ACC”が成れば、”破滅”など問題ではない。実験体は黙って従っていろ…。」

 憎憎しげに放たれた呟きは白衣の背中に届くことはなく、静かに部屋へと埋もれていった。



Project-ACE case02:Experiment /実験風景/  END.



*



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー