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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴・DNo-03

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だれでも歓迎! 編集
「大丈夫。君がしたいように生きればいい。誰かの考えに従い続ける必要なんて、ないんだよ。君の人生は、君だけのもの。君が選んでいけばいいんだ」

 あなたの、あの言葉があったから
 僕は、今でも在り続けている






 ばさり
 暗闇の中を、美女が飛ぶ
 当然、普通の人間ではない……都市伝説だ

「今夜はいいえも……ご飯いないかな~?」

 ばさり、ばさり
 その美女、サキュバスは、のんびり空を飛びながら、獲物…と言うか、夜食を探す
 淫魔である彼女、当然、一番のご飯は人間の精である
 それ以外でも食事はとれるが、効率が悪いのだ
 だから、殺さない程度に素敵な淫夢を見せつつ、美味しくご飯を頂く
 微妙に人間に迷惑かけてはいるが、まぁ、加減間違えて殺さなければ大丈夫だよね!
 そんな、お気軽気分でばさり、ばさり
 空を飛んでいると

「……あ、あれ、いいかも」

 目をつけたのは、とある廃墟
 そこの窓から見えた人影を見て、サキュバスは本日の夜食を決定した
 こう言う場所にもぐりこんでいるのだ
 恐らく、真っ当な者ではあるまい
 気配を押し殺し、家に近づき…廃墟故の、壊れた窓から、中に入り込む

 ……すぅ、と
 その人影は、静かに寝息を立てていた
 短い黒い髪に、褐色の肌、なかなかの整った顔立ちの青年だ

「それじゃあ……いただきま~す」

 ちゃんと、食前のご挨拶をして
 サキュバスは、青年の夢の中へともぐりこんでいった



 さて
 サキュバスは、夢の中で相手の理想の姿へと変身してみせる
 そうする事で、より効率よく淫夢を見せて、精を奪い取るのだが

(…ん~………あれ……?)

 その青年の、夢の中に入ってはみたのだが
 姿が、変わらない
 ……この青年の、女性の理想像、と言うものが、つかめないのだ
 おかしいなぁ、と首を捻りつつ…とりあえず、人間の姿をとって、夢の中のその青年に近づく

 青年は、辺りをきょろきょろと見回していた
 そして、サキュバスの姿に気付く
 にっこり、サキュバスは青年の警戒を解くように笑いかけて見せた

「こんにちは、お兄さん」
「え、あ……こ、こんばんは」

 おたおたと、青年がサキュバスの言葉に答えてくる
 随分と、気弱そうな雰囲気だ
 これは、押せ押せでいってしまって大丈夫かな?

「ぁ………あ、えっと、その……」

 じり、と
 後ずさる青年に、笑いかける
 にじりにじり、少しずつ、距離を詰める

「あ、ま、待って……き、君、サキュバス、だよね?」
「あれ?……わかるの?」

 ありゃ?
 正体を知られている?
 不思議に思ったサキュバスだが……「ま、いっか」と気楽に考えた
 正体がバレているのなら、むしろ、話は早い

「わかってるなら、いいや。それじゃあ、いただきまーす」

 瞬時に、サキュバスは元の姿に戻った
 勢いよく、青年の体を押し倒す

「わ、わわ……っ、ま、待って、お願いだから、待って!」
「待てって言われて待つ人はそんなにいないよ~?大丈夫、気持ちよくさせてあげるから」
「そ、そう言う問題じゃ、なくて………え、えぇと、その……………っ、」

 わたわたと、圧し掛かってきたサキュバスを押しのけようとしていた青年
 何か、言おうとして、うまく言葉にできずに


 言葉で示すよりも
 行動で示した方が、早いと感じたのだろうか


 ばさり
 青年の背中から……サキュバスの背中から生えているのと同じような翼が、生えた


「あれ?」

 青年の短い髪が、伸び始める
 黒い瞳が、赤く光りだした
 黒髪の間から、山羊を思わせる角が生え始める

 姿を変貌させた青年
 その姿は…どこか、サキュバスに似ていた

「あれ?………もしかして、お仲間?」
「う、うん……」

 こくり、サキュバスの言葉に、どこか気弱に頷いた青年
 そう、サキュバスと似たような、その姿
 ……インキュバス
 サキュバスと同じ、淫魔だ
 サキュバスと違い、主に女性を襲う淫魔
 青年は、どうやらそのインキュバスだったらしい

「そ、その……ど、同族を襲っても、ほとんど、エネルギーにならない、よね……?」

 困ったように、押し倒された体勢から、サキュバスを見あげるインキュバス
 サキュバスは、インキュバスをじっと見つめて…

 …がくーん、と
 静かに、項垂れた

「…せっかく、美味しそうな夜食を見つけたと思ったのに…」
「あぅ……ご、御免ね…」

 あぅあぅと、申し訳無さそうにサキュバスに謝って来るインキュバス
 …別に、謝る必要性はないと思うのだが
 うっかり、同族と知らずに襲ってしまった、サキュバスが悪いのだから

 とは言え、サキュバスにもあまり非はない
 インキュバスという、夜が本領発揮の淫魔の癖に、ぐっすり眠っていたこのインキュバスも、悪いと言えば悪いのだ
 サキュバスが、同族だとわからなかったのも、無理はない

 がくくーん、と、項垂れ続けているサキュバス
 インキュバスは、それを慰めようとして…


 ……刹那
 周囲の光景が、突然変わったことに警戒し、動きを止める


「…あれ?」

 周囲の光景が変わったことに、サキュバスも気付いた
 先ほどまでは、どこかのホテルの一室…と言う感じに、サキュバスが「していた」はずだった
 相手の夢に入り込み、淫夢を見せるサキュバス
 夢を操る事ができるのだから

 だが
 今の、周囲の様子は……まるで、電車の車両の中のようだ
 ガタン、ゴトン、と電車が走っている音も聞えてくる

「え、えっと……こ、これ、君がしたんじゃ、ないんだよね?」
「違うよー、あなたじゃないの?」
「っち、違うよ、違うよ。僕は、この夢の支配権は持っていないし…」

 背筋を走る、悪寒
 サキュバスは周囲の光景を元に戻そうとした

 ……だが、できない
 夢の支配権を、誰かに取られてしまったようだ
 それは、つまり…他の都市伝説が、この夢の支配権を手に入れたということ

 そして
 電車の中という光景
 ここから導き出される、この夢の支配権を手にした、都市伝説の正体は…


「次は活けづくり~活けづくりです」


 聞えてきた、どこか陽気で、しかし、酷く不気味なアナウンス
 その声と共に、サキュバスとインキュバスの周囲に、ボロを纏った小人が現れた
 その小人たちは、皆、手に物騒な刃物を持っていて

「…猿夢っ!」

 人の夢に入り込み、人を殺す都市伝説、猿夢
 契約者付きか、それとも都市伝説単体かは知らないが……この夢の支配権を奪取してきたのは、間違いなく、この猿夢のようだ

 小人達は、狂気をにじませた瞳でサキュバスたちを見つめ、一斉に襲い掛かってくる
 しかし、サキュバスは恐怖など抱かない
 先ほどは失敗してしまったが、その気になれば、夢の支配権を奪う事ができる
 そうすれば、猿夢を無力化させるくらいは………

「----っ危ない!!」
「え?」

 が
 夢の支配権を、奪うよりも、前に
 インキュバスが……どん、とサキュバスの体を、迫ってくる小人達から護るように突き飛ばして

「わきゃっ!?」

 べちゃっ!
 突き飛ばされてしまったサキュバス
 思い切り、顔を床にぶつけてしまった



「いったた…もう、何するの………って、あれ…?」

 周囲の光景が、再び変わる
 電車の中では、なく…廃屋の、中に

 夢の中、ではない
 現実世界に戻ってきている
 先ほど、インキュバスはサキュバスを突き飛ばして…その体を、夢の世界から、現実世界へとはじき出したらしい


 現実世界に、出れば
 猿夢からは、逃げられる
 猿夢は、このインキュバスの夢に入り込み、支配権をえてきたのだから
 その夢の侵入者であったサキュバスは、夢から脱出さえすれば、問題なく逃げられるのだ

 しかし
 夢を見ている当人である、インキュバスは………


「……ぅ、あ……っ」
「………!」

 ぶつり
 眠っているインキュバスの、露出した肌の面に…突然、切り傷が出来て、血が流れ始める
 夢の世界での負傷が、現実世界に影響を及ぼしているのだ
 猿夢の攻撃を、まともにくらっているのだろう
 ぶつっ、ぷつっ、ぷつっ、と
 次々に、肌に傷が生まれ、血が流れ始める
 一つ一つの傷はさほど深くなく、致命傷には至っていないようだが…
 …このまま傷つき続ければ、都市伝説と言えど、命の保証はできない

 どうする?
 サキュバスは考える
 このインキュバスは、そもそも赤の他人だ
 見捨てる事は容易い
 だが…

「…流石に、目覚めが悪いよねぇ」

 赤の他人、とは言え
 同じ淫魔同士、見捨てるのも何か悪い気がする

「いっちょ、やりますか」

 すぅ、と深呼吸して
 サキュバスは、再び、目の前のインキュバスの夢へと入り込む


 サキュバスは、気付かなかった
 夢へと再び入りこむ、その少し前から
 インキュバスの体に刻まれ続ける傷が……突如、その刻みを止めた事に



 再び、夢の中に入った時
 まず、感じたのは、濃密な……………甘い、香りだった
 血の臭いすら塗りつぶすほどの、甘い、甘い、香り
 長く嗅いでいると、くらりと思考を押しつぶされそうなほどの甘い香りが、夢の中に立ち込めていた

 サキュバスは、即座にその甘い香りの正体に気付く
 …淫魔が使う、誘惑の香りだ
 それも、この甘さはどちらかというと、サキュバスが使うそれ
 男を誘惑し、性的欲求を呼び起こさせるもの
 だが、この香りは…

(………強すぎる)

 甘すぎる香り
 香りが強めれば強いほど、それは強い誘惑の力を持つ
 だが、強すぎる誘惑の力は………対象の精神を、破壊しかねない
 今、この場に満ちている香りは……間違いなく、並の人間ならば一瞬で廃人にしかない程の強さを誇っていた

 とにかく、インキュバスの姿を探す
 彼は、すぐに見付かった

「あ……も、戻ってきちゃったの……?」

 サキュバスの姿に、困ったような、おどおどとした声をあげる彼
 いや
 今は、「彼」ではない
 …「彼女」になっている

 インキュバスとサキュバスは、同一の存在とも語られる
 恐らく、あのインキュバスは、その説を取り込んでいる存在なのだろう
 襲ってきた猿夢の小人は、どうやら男性体のようだった
 相手から逃れる為に、サキュバスの姿で誘惑でもしようと思ったのか
 長い髪などはそのままに、美しい女性の姿になっていた
 体に刻まれてしまった切り傷は痛々しいが、むしろ、それすらも性的な欲求を呼び起こさせる材料にしかなりえない

 その、インキュバス…いや、今はサキュバス姿なのだが、ややこしいのでこのまま表記する…の周囲で
 小人達が、体を痙攣させて倒れている
 サキュバスの予測通り、インキュバスが放っている誘惑の香りが、強すぎたのだろう
 精神を破壊されてしまっているのだ

 --すぅ、と周囲の光景が歪んでいく
 小人だけではなく、猿夢本体すらも、誘惑の香りで精神を破壊されたのだろう
 ……即ち、「死んだ」のだ 
 夢の支配者であった猿夢が死んだ事で、夢が終わる

 次の瞬間、サキュバスは再び、現実世界に戻っていた
 ぱちり
 インキュバスも…現実世界では、男性体のままで、目を覚ます

「気弱そうに見えるのに、やる事結構えぐいね」
「あ、ぅ……こ、ここまで、するつもりは、なかったんだけど……」

 起き上がったインキュバスにサキュバスが告げると、インキュバスはどこか、悲しそうな表情を浮かべた
 体中の傷が痛むのだろう、少し顔を顰めながら、続ける

「…ぼ、僕は……サキュバスの姿を取った時、あの香りを制御できないから…」
「……制御できない?」
「うん」
「あの姿だと、常に垂れ流し?」
「……う、うん」

 他者の精神(男性限定)を易々と破壊する香りを常に垂れ流し
 ……何と言うはた迷惑
 何と言う、男性相手限定リーサルウェポン
 と、言うか、自分の誘惑の香りを制御できない淫魔など、聞いた事もない
 ……ある意味で、落ち零れだ
 あれでは、相手の精を奪い取るどころか、その前に相手を廃人にして殺してしまう
 それでは、淫魔としての役目など果たせない
 どうやら、インキュバスの姿では、そう言う事がないようだが…
 ……だと、しても、淫魔として、非常に大きすぎる問題を抱えている
 同族として、ほんのちょっぴり、同情しないでもない

「えっと…君は、怪我、してない…?」
「え?…してないよ。襲われる前に、あなたに夢からはじき出されたんだし」
「そっか…………良かった」

 己の怪我など、気にした様子もなく
 サキュバスが無傷である事実に、ほっとしているインキュバス


 ……淫魔らしくない
 目の前の同族を相手に、サキュバスはそんな印象を抱いたのだった





to be … ?



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