「…この場所は…」
「「組織」本部の…上層部メンバーだけが入り込める場所だな。今は、もっと改築されてるかもしれねぇが」
「「組織」本部の…上層部メンバーだけが入り込める場所だな。今は、もっと改築されてるかもしれねぇが」
人気のない廊下を駆ける三人
ザンの言う通り、ここは「組織」本部の一部………「東京の地下には巨大要塞がある」の都市伝説の内部だ
その中でも、「組織」上層部メンバーだけが入り込める場所
ザンの言う通り、ここは「組織」本部の一部………「東京の地下には巨大要塞がある」の都市伝説の内部だ
その中でも、「組織」上層部メンバーだけが入り込める場所
D-No.0の血痕が残されていたのは、このエリア内
早く、その現場に行かなければ、間に合わない
早く、その現場に行かなければ、間に合わない
…だと、言うのに
「……!人の気配…!」
「……っ」
「……っ」
前方通路の気配に、三人は咄嗟に隠れた
ばたばたという足音と、誰か、声が聞えてくる
ばたばたという足音と、誰か、声が聞えてくる
「デューイ、主様がどこにいるか知らないか!?」
「わ、わかんない…さっきから、ディーデリヒやダミアと一緒に探してたんだけど、見付からなくて……」
「わ、わかんない…さっきから、ディーデリヒやダミアと一緒に探してたんだけど、見付からなくて……」
青年の声と、少年の声
…その声に、ザンは聞き覚えがあった
…その声に、ザンは聞き覚えがあった
どちらも、D-No.0直属の部下の声だ
…彼の部下が、彼を探している?
…彼の部下が、彼を探している?
「まずいな。今の段階で、もうあいつは親衛隊共の目の届かない場所にいる可能性があるぞ…」
「……急がないと、本当に間に合わないな」
「……急がないと、本当に間に合わないな」
すぐにでも駆け出すべきなのだが…ここで、他の誰かに遭遇するのは、不味い
自分達は、時間を遡ってきた存在だ
必要以上に、誰かと接触するわけにはいかない
しかし、一刻を争う、この状況
ここで止まっている訳にはいかないのだ
自分達は、時間を遡ってきた存在だ
必要以上に、誰かと接触するわけにはいかない
しかし、一刻を争う、この状況
ここで止まっている訳にはいかないのだ
「…仕方ねぇ」
ぼそり、呟くザン
その体が、歪む
その体が、歪む
「ザン?」
「…お前らに見せてなかった能力、今、見せてやるよ」
「…お前らに見せてなかった能力、今、見せてやるよ」
がし、と
ザンが、エーテルとマクスウェルを、掴んだ
ザンが、エーテルとマクスウェルを、掴んだ
直後
三人の体は、波打つ海の上に転移する
三人の体は、波打つ海の上に転移する
「-----っ!?」
「外…?」
「いや、違う。俺の作った異空間だ」
「外…?」
「いや、違う。俺の作った異空間だ」
言われて見れば、海の上ではあるが…辺りは、暗い
暗い、暗い、暗い、何の灯りもない空間
しかし、不思議と足元の海はよく見えるし、互いの姿もはっきり見える
エーテルとマクスウェルを掴んだまま、ザンは駆け出した
暗い、暗い、暗い、何の灯りもない空間
しかし、不思議と足元の海はよく見えるし、互いの姿もはっきり見える
エーテルとマクスウェルを掴んだまま、ザンは駆け出した
「ここを通って、一気に移動する……離れるなよ。逸れたら、回収面倒なんだよ、この空間」
「海の上をイメージした異空間……お前の契約都市伝説に、こんな場所を作り出せる力、あったのか?」
「海の上をイメージした異空間……お前の契約都市伝説に、こんな場所を作り出せる力、あったのか?」
疑問の声をあげるエーテル
…それは、もっともな疑問だ
ザンが契約している……飲み込まれた都市伝説に、こんな異空間を作り出し、そこを介して空間転移を行えるような能力はあったろうか?
エーテルの疑問に、ザンは笑う
…それは、もっともな疑問だ
ザンが契約している……飲み込まれた都市伝説に、こんな異空間を作り出し、そこを介して空間転移を行えるような能力はあったろうか?
エーテルの疑問に、ザンは笑う
「お前らが知ってる分の都市伝説にゃ、ないさ」
「……!?お前、まさか」
「…エーテルと、同じ……多重契約……?」
「……!?お前、まさか」
「…エーテルと、同じ……多重契約……?」
ザンが、多重契約者だった、などと
そんな事、「組織」は知らない
少なくとも、エーテル達は知らなかった
そんな事、「組織」は知らない
少なくとも、エーテル達は知らなかった
「…彷徨う事を義務付けられちまってる身なもんでね。あちこち彷徨える能力、って事さ。ここでは、俺が「船」そのものだ」
「彷徨う……船…………ッ彷徨えるオランダ人か!?」
「……ご名答。いや、船関連なんで、間違えてやっちまって。そのせいで、飲み込まれたっつー間抜けな話なんだがな」
「彷徨う……船…………ッ彷徨えるオランダ人か!?」
「……ご名答。いや、船関連なんで、間違えてやっちまって。そのせいで、飲み込まれたっつー間抜けな話なんだがな」
…彷徨えるオランダ人
嵐にあった船乗りが、神を罵った
その罰故、その者は死を許されず、永遠に海上を彷徨う事を義務付けられた
永久に生き続け、永久にさまよい続ける罪人だ
嵐にあった船乗りが、神を罵った
その罰故、その者は死を許されず、永遠に海上を彷徨う事を義務付けられた
永久に生き続け、永久にさまよい続ける罪人だ
「契約の代価で、一つ所に留まり続ける事ができない。代わりに、不死身の体とこの転移能力って事さ」
「……留まり続けられない………もしかして、あなたが「組織」を抜けたのは……」
「……留まり続けられない………もしかして、あなたが「組織」を抜けたのは……」
…マクスウェルの言葉に、ザンは笑うだけで、答えない
今、語るべきことではないだろう
だが、エーテルも、マクスウェルが辿り着いた答えに気付く
今、語るべきことではないだろう
だが、エーテルも、マクスウェルが辿り着いた答えに気付く
…ザンは、元々は「組織」を裏切った訳ではなかった
ただ、「組織」に留まれなかっただけだ
彷徨えるオランダ人と契約し、飲み込まれた対価
故に、彼は「組織」に留まり続けられなかった
だから、姿を消したのだ
ただ、「組織」に留まれなかっただけだ
彷徨えるオランダ人と契約し、飲み込まれた対価
故に、彼は「組織」に留まり続けられなかった
だから、姿を消したのだ
……それを、その理由を
D-No.0は知っていたのだろう
だから、「裏切った訳ではない」とザンを庇い続けたのだ
D-No.0は知っていたのだろう
だから、「裏切った訳ではない」とザンを庇い続けたのだ
「っお前、何故、その契約都市伝説の事をあいつ以外には話さなかったんだ!?話していれば、あんな誤解は…」
「…ぶっちゃけ、あいつ以外、あんまし「組織」の連中、信用してなかったんだよ、あの頃から……サンジェルマンみたく胡散臭い野郎もいたし、ハンニバルみてぇな、明らかに危ない野郎もいたし」
「…ぶっちゃけ、あいつ以外、あんまし「組織」の連中、信用してなかったんだよ、あの頃から……サンジェルマンみたく胡散臭い野郎もいたし、ハンニバルみてぇな、明らかに危ない野郎もいたし」
海面を、ザンは走り続ける
少しずつ、目的地が近くなってきているのだろうか
走るスピードは、上がり続けている
少しずつ、目的地が近くなってきているのだろうか
走るスピードは、上がり続けている
「……そろそろ、あの場所に着くぜ」
話を無理矢理切り上げるように、そう言ったザン
その言葉に、エーテルとマクスウェルは表情を引き締める
その言葉に、エーテルとマクスウェルは表情を引き締める
…そうだ、今は…彼を救う事に、集中すべきだ
暗闇の中、海面を走り続けて
そこに辿り着こうとした
そこに辿り着こうとした
その、瞬間
「--------っ!?」
「っと!?」
「…揺れ、た…?」
「っと!?」
「…揺れ、た…?」
空間が
波打つように………揺れた
まるで、地震でもおこったかのように
波打つように………揺れた
まるで、地震でもおこったかのように
そして
ザン達の、真横を
誰かが、駆け抜けていったかのように……海面が、揺れた
ザン達の、真横を
誰かが、駆け抜けていったかのように……海面が、揺れた
「…今の…?」
マクスウェルが、不安そうな声を出した
今の、揺れ
その正体を、ザンも、エーテルも………最悪の予感と共に、予想した
その正体を、ザンも、エーテルも………最悪の予感と共に、予想した
「…っとにかく、出るぞ!」
異空間を出て、現実世界に帰還する
その瞬間、まず、感じたのは
濃密な……血の、臭い
濃密な……血の、臭い
「………ぁ」
そして
目の前に、広がる………大量の、血痕
目の前に、広がる………大量の、血痕
「あ、ぁ………」
「…っ間に合わなかったのか…!?」
「…っ間に合わなかったのか…!?」
その、光景は
まさしく、あの日、あの時
まさしく、あの日、あの時
D-No.0の暗殺現場、そのものだった
そこには、もう誰もいなかった
倒れているはずの、D-No.0も
彼を傷つけたはずの存在も
倒れているはずの、D-No.0も
彼を傷つけたはずの存在も
誰も、いなくて
ただ…大量の血痕だけが、残されていたのだった
ただ…大量の血痕だけが、残されていたのだった
to be … ?