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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴・XNo-07

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「…この場所は…」
「「組織」本部の…上層部メンバーだけが入り込める場所だな。今は、もっと改築されてるかもしれねぇが」

 人気のない廊下を駆ける三人
 ザンの言う通り、ここは「組織」本部の一部………「東京の地下には巨大要塞がある」の都市伝説の内部だ
 その中でも、「組織」上層部メンバーだけが入り込める場所

 D-No.0の血痕が残されていたのは、このエリア内
 早く、その現場に行かなければ、間に合わない

 …だと、言うのに

「……!人の気配…!」
「……っ」

 前方通路の気配に、三人は咄嗟に隠れた
 ばたばたという足音と、誰か、声が聞えてくる

「デューイ、主様がどこにいるか知らないか!?」
「わ、わかんない…さっきから、ディーデリヒやダミアと一緒に探してたんだけど、見付からなくて……」

 青年の声と、少年の声
 …その声に、ザンは聞き覚えがあった

 どちらも、D-No.0直属の部下の声だ
 …彼の部下が、彼を探している?

「まずいな。今の段階で、もうあいつは親衛隊共の目の届かない場所にいる可能性があるぞ…」
「……急がないと、本当に間に合わないな」

 すぐにでも駆け出すべきなのだが…ここで、他の誰かに遭遇するのは、不味い
 自分達は、時間を遡ってきた存在だ
 必要以上に、誰かと接触するわけにはいかない
 しかし、一刻を争う、この状況
 ここで止まっている訳にはいかないのだ

「…仕方ねぇ」

 ぼそり、呟くザン
 その体が、歪む

「ザン?」
「…お前らに見せてなかった能力、今、見せてやるよ」

 がし、と
 ザンが、エーテルとマクスウェルを、掴んだ

 直後
 三人の体は、波打つ海の上に転移する

「-----っ!?」
「外…?」
「いや、違う。俺の作った異空間だ」

 言われて見れば、海の上ではあるが…辺りは、暗い
 暗い、暗い、暗い、何の灯りもない空間
 しかし、不思議と足元の海はよく見えるし、互いの姿もはっきり見える
 エーテルとマクスウェルを掴んだまま、ザンは駆け出した

「ここを通って、一気に移動する……離れるなよ。逸れたら、回収面倒なんだよ、この空間」
「海の上をイメージした異空間……お前の契約都市伝説に、こんな場所を作り出せる力、あったのか?」

 疑問の声をあげるエーテル
 …それは、もっともな疑問だ
 ザンが契約している……飲み込まれた都市伝説に、こんな異空間を作り出し、そこを介して空間転移を行えるような能力はあったろうか?
 エーテルの疑問に、ザンは笑う

「お前らが知ってる分の都市伝説にゃ、ないさ」
「……!?お前、まさか」
「…エーテルと、同じ……多重契約……?」

 ザンが、多重契約者だった、などと
 そんな事、「組織」は知らない
 少なくとも、エーテル達は知らなかった

「…彷徨う事を義務付けられちまってる身なもんでね。あちこち彷徨える能力、って事さ。ここでは、俺が「船」そのものだ」
「彷徨う……船…………ッ彷徨えるオランダ人か!?」
「……ご名答。いや、船関連なんで、間違えてやっちまって。そのせいで、飲み込まれたっつー間抜けな話なんだがな」

 …彷徨えるオランダ人
 嵐にあった船乗りが、神を罵った
 その罰故、その者は死を許されず、永遠に海上を彷徨う事を義務付けられた
 永久に生き続け、永久にさまよい続ける罪人だ

「契約の代価で、一つ所に留まり続ける事ができない。代わりに、不死身の体とこの転移能力って事さ」
「……留まり続けられない………もしかして、あなたが「組織」を抜けたのは……」

 …マクスウェルの言葉に、ザンは笑うだけで、答えない
 今、語るべきことではないだろう
 だが、エーテルも、マクスウェルが辿り着いた答えに気付く

 …ザンは、元々は「組織」を裏切った訳ではなかった
 ただ、「組織」に留まれなかっただけだ
 彷徨えるオランダ人と契約し、飲み込まれた対価
 故に、彼は「組織」に留まり続けられなかった
 だから、姿を消したのだ

 ……それを、その理由を
 D-No.0は知っていたのだろう
 だから、「裏切った訳ではない」とザンを庇い続けたのだ

「っお前、何故、その契約都市伝説の事をあいつ以外には話さなかったんだ!?話していれば、あんな誤解は…」
「…ぶっちゃけ、あいつ以外、あんまし「組織」の連中、信用してなかったんだよ、あの頃から……サンジェルマンみたく胡散臭い野郎もいたし、ハンニバルみてぇな、明らかに危ない野郎もいたし」

 海面を、ザンは走り続ける
 少しずつ、目的地が近くなってきているのだろうか
 走るスピードは、上がり続けている

「……そろそろ、あの場所に着くぜ」

 話を無理矢理切り上げるように、そう言ったザン
 その言葉に、エーテルとマクスウェルは表情を引き締める

 …そうだ、今は…彼を救う事に、集中すべきだ

 暗闇の中、海面を走り続けて
 そこに辿り着こうとした


 その、瞬間


「--------っ!?」
「っと!?」
「…揺れ、た…?」

 空間が
 波打つように………揺れた
 まるで、地震でもおこったかのように


 そして
 ザン達の、真横を
 誰かが、駆け抜けていったかのように……海面が、揺れた


「…今の…?」

 マクスウェルが、不安そうな声を出した

 今の、揺れ
 その正体を、ザンも、エーテルも………最悪の予感と共に、予想した

「…っとにかく、出るぞ!」

 異空間を出て、現実世界に帰還する

 その瞬間、まず、感じたのは
 濃密な……血の、臭い

「………ぁ」

 そして
 目の前に、広がる………大量の、血痕

「あ、ぁ………」
「…っ間に合わなかったのか…!?」

 その、光景は
 まさしく、あの日、あの時

 D-No.0の暗殺現場、そのものだった


 そこには、もう誰もいなかった
 倒れているはずの、D-No.0も
 彼を傷つけたはずの存在も


 誰も、いなくて
 ただ…大量の血痕だけが、残されていたのだった




to be … ?




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