差し伸べられた手
その手を差し伸べてくる少年、彼方は、吉静に対して悪意などこれっぽっちも持っていない
その手を差し伸べてくる少年、彼方は、吉静に対して悪意などこれっぽっちも持っていない
ただ
彼方の言う「先生」が、悪意の塊である事を
彼方は気付かぬままであり
…当然、吉静は知る由もない
彼方の言う「先生」が、悪意の塊である事を
彼方は気付かぬままであり
…当然、吉静は知る由もない
そっと
差し伸べられた手に、吉静が手を伸ばす
差し伸べられた手に、吉静が手を伸ばす
兄だ、と
兄妹だ、と言われた
自分には、家族がいないと思っていた
家族とは、自分が育った施設の人達の事で
今、一緒に暮らしている人達の事で
兄妹だ、と言われた
自分には、家族がいないと思っていた
家族とは、自分が育った施設の人達の事で
今、一緒に暮らしている人達の事で
「血の繋がった家族」なんて、いないと思っていた
でも
…それが、存在していて
そして、目の前に現れてくれた
でも
…それが、存在していて
そして、目の前に現れてくれた
そして
手を、差し伸べてくれている
手を、差し伸べてくれている
「えっと…」
その手を、掴もうとして
…しかし、直前で、止まる
…しかし、直前で、止まる
「吉静?」
「…えっと、ね」
「…えっと、ね」
困ったように、彼方を見上げて
吉静は、ゆっくりと告げる
吉静は、ゆっくりと告げる
「あのね……お兄ちゃんなら、ついていきたいの」
「うん」
「でも、ね」
「うん」
「でも、ね」
でも
「血の繋がった家族」は大切かもしれないけれど
でも
「血の繋がった家族」は大切かもしれないけれど
でも
「でも…アキナリおにーちゃん達とも…一緒に、いたいの」
だって
自分を助けてくれた人だから
自分を、受け入れてくれた人だから
自分を助けてくれた人だから
自分を、受け入れてくれた人だから
あの人達も
大切な、大切な、家族だから
大切な、大切な、家族だから
「だから……その」
だから
「…どちらとも、一緒にいたいの」
どちらかだけ、選ぶなんて
そんな事はできない
そんな事はできない
「……そっか」
少し、困ったように笑って
ぽふぽふ、と彼方は優しく、頭を撫でてきてくれた
その手の心地よさに、思わず吉静は、撫でられた子猫のように目を閉じる
ぽふぽふ、と彼方は優しく、頭を撫でてきてくれた
その手の心地よさに、思わず吉静は、撫でられた子猫のように目を閉じる
「それじゃあ、そのアキナリさんとも、話し合わないとね」
「おはなしあうの??」
「そうだよ。吉静が、アキナリさんとも一緒にいたいなら、僕と吉静だけで決めるわけにはいかないよ。アキナリさんの意見も聞かなくちゃ」
「おはなしあうの??」
「そうだよ。吉静が、アキナリさんとも一緒にいたいなら、僕と吉静だけで決めるわけにはいかないよ。アキナリさんの意見も聞かなくちゃ」
それもそうだ、と納得する吉静
吉静は、みんなで一緒にいたいと思う
でも、上田も同じ考えとは限らない
吉静は、みんなで一緒にいたいと思う
でも、上田も同じ考えとは限らない
ならば、みんなで話し合うのが大切なのだ
「アキナリさん、いつ帰ってくるかな?」
「えっと…」
「えっと…」
いつって言っていたっけ
吉静が、一生懸命思い出そうとしていると……
吉静が、一生懸命思い出そうとしていると……
「ただいま、吉静ちゃん」
…かつん、と
響いた、足音
響いた、足音
「あ、おにーちゃん、おかえりなさい」
笛吹探偵事務所の主たる、笛吹 丁………本名 上田 明也が、帰還した
くるり
彼方は上田に振り返り、人の良い笑みを浮かべる
彼方は上田に振り返り、人の良い笑みを浮かべる
「お帰りなさい…あなたが、上田 明也さんですね?」
「…あぁ、そうだが」
「…あぁ、そうだが」
吉静の前だからか、否定しない上田
吉静はてちてち、上田にかけよる
吉静はてちてち、上田にかけよる
「あのね、あのね、お兄ちゃん。この人ね、わたしのおにーちゃんなんだって」
「はじめまして…穀雨 彼方です。妹の吉静を、迎えにきました」
「はじめまして…穀雨 彼方です。妹の吉静を、迎えにきました」
上田に微笑みかける彼方
…上田は、吉静を庇うように、前に出る
…上田は、吉静を庇うように、前に出る
「…お兄ちゃん??」
そんな上田を、吉静は不思議そうに見あげた
上田の本能が警告する
こいつに、吉静を渡してはいけないと
こいつに、吉静を渡してはいけないと
この少年自身は、吉静をどうこうしようとは考えないかもしれない
しかし……この少年に、吉静を渡したら
取り返しのつかないことになってしまうのではないか
そんな予感が、して
取り返しのつかないことになってしまうのではないか
そんな予感が、して
彼方を相手に、どんな対応を取るべきか
上田は油断なく彼方を見据えながら、思考をめぐらせるのだった
上田は油断なく彼方を見据えながら、思考をめぐらせるのだった
to be … ?