本能が告げてくる
この彼方という少年は、本当に吉静の事を心配して、純粋に妹を迎えにきただけだ、と
この彼方という少年は、本当に吉静の事を心配して、純粋に妹を迎えにきただけだ、と
本能が告げてくる
この彼方と言う少年に、吉静を渡しては危険だ、と
この彼方と言う少年に、吉静を渡しては危険だ、と
己の本能に従い、上田は彼方を警戒する
そんな上田を、吉静は不思議そうに
…そして、少し不安そうに見詰めていた
そんな上田を、吉静は不思議そうに
…そして、少し不安そうに見詰めていた
「お兄ちゃん…?」
じっと、上田を見合げてくる吉静の、不安そうな声に
上田は、なるたけ吉静を安心させるよう、優しく笑いかけながら言う
上田は、なるたけ吉静を安心させるよう、優しく笑いかけながら言う
「…あぁ、吉静ちゃん。ちょっと、お兄ちゃんは、この吉静のお兄ちゃんと話し合わなければならないからな………ちょっと、茜さんのところで、待っていてくれるか?」
「??うん、わかったの」
「??うん、わかったの」
てちち、とパソコンに近づく吉静
電源をいれ、赤い部屋が発動し…吉静の姿が、消える
電源をいれ、赤い部屋が発動し…吉静の姿が、消える
「… 「赤い部屋」、ですか」
「驚かないんだな」
「僕も、都市伝説契約者ですから」
「驚かないんだな」
「僕も、都市伝説契約者ですから」
…やはりか
まぁ、そうでもないと、鞘に収まっているとは言え、堂々と剣を持ち歩くはずが無い
…いや、都市伝説契約者だからと言って、堂々と剣を持ち歩いていい理由にはならないのだが
……とまれ
事務所に入る前に、若干の嫌な予感を覚えた為、茜さんには前もって連絡をいれ、吉静を食べ物で釣って引き止めておくよう頼んでいる
吉静も、茜には懐いているし、大丈夫だろう
まぁ、そうでもないと、鞘に収まっているとは言え、堂々と剣を持ち歩くはずが無い
…いや、都市伝説契約者だからと言って、堂々と剣を持ち歩いていい理由にはならないのだが
……とまれ
事務所に入る前に、若干の嫌な予感を覚えた為、茜さんには前もって連絡をいれ、吉静を食べ物で釣って引き止めておくよう頼んでいる
吉静も、茜には懐いているし、大丈夫だろう
だから
自分に出来る事は、一つ
自分に出来る事は、一つ
「彼方君と言ったな?少し、質問してもいいだろうか」
「構いませんよ」
「構いませんよ」
にこにこと、彼方は笑っている
…こうやって見ると、吉静に似ている
彼が吉静の兄だと言うのは、きっと、嘘ではない
……本当に、吉静の兄なのだろう
…こうやって見ると、吉静に似ている
彼が吉静の兄だと言うのは、きっと、嘘ではない
……本当に、吉静の兄なのだろう
「君は、中学生くらいに見えるが……ご両親は?」
「……… いません……僕はよく覚えていないのですが、僕が幼い頃に亡くなった、と聞いています。多分、吉静が生まれてすぐの事だったんだと、思います」
「ふむ…」
「……… いません……僕はよく覚えていないのですが、僕が幼い頃に亡くなった、と聞いています。多分、吉静が生まれてすぐの事だったんだと、思います」
「ふむ…」
なるほど、親は居ない、か
だからこそ、吉静もあんな施設にいたのだろうが
だからこそ、吉静もあんな施設にいたのだろうが
ならば
この、少年は
この、少年は
「…それなら、彼方君は、今、一人で暮らしているのかい?」
「はい。でも、先生に面倒見ていただいてますから」
「はい。でも、先生に面倒見ていただいてますから」
先生
…それが、引っかかる
…それが、引っかかる
「それは…学校の、先生?」
「いえ、先生は先生です」
「いえ、先生は先生です」
にこにこと、笑い続けている彼方
…上田は、警戒を強める
…上田は、警戒を強める
「…もし、君が吉静ちゃんを引き取ったら…先生は、吉静ちゃんの面倒も見るの、かな?」
「もちろんですよ」
「もちろんですよ」
だって、と
彼方は、続ける
彼方は、続ける
「吉静の事を、僕に教えてくれて、迎えに行った方がいいって言ってくれたのは、先生ですから」
「……そうか」
「……そうか」
一歩
彼方との、距離を詰める
彼方との、距離を詰める
「…それならば、申し訳ないが……吉静ちゃんを、そちらに引き渡す訳には、いかない」
「どうしてですか?」
「……それは」
「どうしてですか?」
「……それは」
それは、理論的に説明するには、少々難しい
本能が危険だと告げている
ただ、それだけのシンプルな理由
しかし、その理由で納得してくれる馬鹿は、そうそういまい
本能が危険だと告げている
ただ、それだけのシンプルな理由
しかし、その理由で納得してくれる馬鹿は、そうそういまい
だから
代わりに、上田はこう告げる
代わりに、上田はこう告げる
「君の先生とやら…それが、信用できない」
上田が、どうしてそんな事を言ったのか、理解できないのだろう
彼方は首を傾げてくる
…彼方が、何か言うよりも先に
上田は、続ける
彼方は首を傾げてくる
…彼方が、何か言うよりも先に
上田は、続ける
「それにな」
「…それに?」
「世界中の幼女は、俺のものだ」
「…それに?」
「世界中の幼女は、俺のものだ」
………
…………
……………
…………
……………
事務所内を、重苦しい沈黙が包み込んだ
それはもう、大変と重苦しい
それはもう、大変と重苦しい
「…えーと…」
少し、困惑した表情を浮かべて
彼方は、こう尋ねてきた
彼方は、こう尋ねてきた
「… アキナリさんって、ロリコンですか?」
「ロリコンだ」
「ロリコンだ」
きっぱりと、言い切る
そう、自分はロリコンなのだ
ペドフェリアよりのロリコンなのだ
そんな自分に、誇りすらもっている!!
そう、自分はロリコンなのだ
ペドフェリアよりのロリコンなのだ
そんな自分に、誇りすらもっている!!
「ロリコンはまだいいかもしれないけど…独り占め、はよくないと思います」
「なるほど、ロリコンはいいのか。話がわかる少年だ」
「…たくさんの女の子を囲うと言う事には、強い責任感が必要だと思います」
「なるほど、ロリコンはいいのか。話がわかる少年だ」
「…たくさんの女の子を囲うと言う事には、強い責任感が必要だと思います」
ふむ、それは同感である
たくさんの女性を愛すると言う事には、責任が発生する
それをまっとうする事ができなければ、ナイスボートされても抗議する事なんざできないのだ
いや、ナイスボート状態になったら、そもそも抗議なんてできないのはさておき
たくさんの女性を愛すると言う事には、責任が発生する
それをまっとうする事ができなければ、ナイスボートされても抗議する事なんざできないのだ
いや、ナイスボート状態になったら、そもそも抗議なんてできないのはさておき
「全ての女性を養えるだけの経済力、それに、全ての女性を、平等に愛し、幸せにできなければならない」
彼方が
真っ直ぐに、上田を見つめてくる
真っ直ぐに、上田を見つめてくる
「……アキナリさんには、それができるんですか?」
「できるさ」
「できるさ」
堂々と、上田は言い切った
できるのか?ではない
やってみせるのだ
できるのか?ではない
やってみせるのだ
「… そうですか」
でも、と
彼方は、軽く首を左右にふった
彼方は、軽く首を左右にふった
「…だと、しても……僕は、あなたに吉静を任せることに、不安を感じます」
「ほう?何故だい?」
「全ての幼女は自分のもの……吉静は、そんなあなたのエゴに巻き込まれた、ただ、それだけに思えるんです」
「ほう?何故だい?」
「全ての幼女は自分のもの……吉静は、そんなあなたのエゴに巻き込まれた、ただ、それだけに思えるんです」
そっと
彼方の手が…剣の柄に、触れた
彼方の手が…剣の柄に、触れた
「あなたのエゴは、吉静を不幸にする」
「…不幸になんてしないさ。俺の命にかけてでも、幸せにしてみせる」
「…不幸になんてしないさ。俺の命にかけてでも、幸せにしてみせる」
彼女を、二度と不幸の中に落としてなるものか
自分はその為に、彼女をあそこから助け出したのだから
自分はその為に、彼女をあそこから助け出したのだから
「だが、少年……君は、たとえ暴力に訴えてでも、吉静ちゃんを俺に渡したくないようだな?」
「…… 先生が、言っていたんです。もし、吉静を保護している人が、都市伝説契約者で…そして、信用ならない相手ならば、力付くで吉静を連れ戻すべきだ、って」
「…… 先生が、言っていたんです。もし、吉静を保護している人が、都市伝説契約者で…そして、信用ならない相手ならば、力付くで吉静を連れ戻すべきだ、って」
…また、「先生」か
なるほど、この彼方と言う少年は、思考パターンの大半を、その「先生」によって支配されている
ならば……それさえ断ち切れば、こちらの味方に引きずり込む事も可能、か
なるほど、この彼方と言う少年は、思考パターンの大半を、その「先生」によって支配されている
ならば……それさえ断ち切れば、こちらの味方に引きずり込む事も可能、か
………こっそりと、上田は苦笑する
自分も、甘くなったものだ
殺してしまえば、面倒事もなく早くすむと言うのに
自分も、甘くなったものだ
殺してしまえば、面倒事もなく早くすむと言うのに
だが
唯一、見付かった………あちらから飛び込んできてくれた吉静の肉親の命を、奪いたくない
そんな考えが、確かに上田の中に芽生える
吉静から、笑顔を奪いたくない
そんな考えに、囚われる
唯一、見付かった………あちらから飛び込んできてくれた吉静の肉親の命を、奪いたくない
そんな考えが、確かに上田の中に芽生える
吉静から、笑顔を奪いたくない
そんな考えに、囚われる
(… この甘さが、命取りにならないようにしないとな)
こちらも、いつでも攻撃できるよう、構える
「来るなら、いつでも来たまえ」
彼方に対し、構える
さぁ、いつでも攻撃してきてみるがいい
吉静を引き取ると言う覚悟、見せてもらおうか
さぁ、いつでも攻撃してきてみるがいい
吉静を引き取ると言う覚悟、見せてもらおうか
「…それでは、お言葉に甘えます」
き、と彼方が上田を睨みつける
…一瞬、眩暈のようなものを感じた
彼方の気迫が、上田に突き刺さる
…一瞬、眩暈のようなものを感じた
彼方の気迫が、上田に突き刺さる
「先生の教え子として………穀雨 彼方、いきますっ!!」
だんっ!と
床を蹴り、接近してくる彼方
抜刀しながらの一撃を、上田はギリギリのところで避けた
床を蹴り、接近してくる彼方
抜刀しながらの一撃を、上田はギリギリのところで避けた
-----早い!!
人間の限界、ギリギリのスピードだ
良い鍛え方をしている!!
人間の限界、ギリギリのスピードだ
良い鍛え方をしている!!
「だが……どうやら、君の戦い方は、接近戦中心とみた」
ならば
彼方から距離をとる
コートの下から、武器を取り出し…
彼方から距離をとる
コートの下から、武器を取り出し…
「………え?」
--------ない??
コートの下の、武器が
全て……消えていた
全て……消えていた
「物騒な物は、使わせませんよ」
「君の剣も、十分に物騒だと思うんだがなっ!!」
「君の剣も、十分に物騒だと思うんだがなっ!!」
っひゅん!と
再び振るわれる剣
…洋風の、ロングソード
これが、彼方の使う都市伝説か?
再び振るわれる剣
…洋風の、ロングソード
これが、彼方の使う都市伝説か?
……いや、違う
これは、ただのロングソード
これは、都市伝説ではない!!
これは、ただのロングソード
これは、都市伝説ではない!!
何だ?
彼方の契約都市伝説は、何なのだ?
上田は、攻撃をかわしながら必死に推理する
彼方の契約都市伝説は、何なのだ?
上田は、攻撃をかわしながら必死に推理する
振るわれる剣が、事務所の物をバラバラに切り裂いていく
鋭い切れ味は、パソコンすら真っ二つに引き裂いた
…赤い部屋への逃亡手段すら、封じられてしまったか
鋭い切れ味は、パソコンすら真っ二つに引き裂いた
…赤い部屋への逃亡手段すら、封じられてしまったか
このまま、彼方のペースで戦われるのは、まずい
何とか、こちらのペースに引き込まなければ
上田は、彼方に声をかけようとした
会話によって、自分のペースに持ち込もうとした
何とか、こちらのペースに引き込まなければ
上田は、彼方に声をかけようとした
会話によって、自分のペースに持ち込もうとした
だと、言うのに
「---------------っ!?」
声が、出ない??
「何をしようとしたかは知りませんが。あなたのペースに持ち込ませんよ」
武器を消した
声を消した
声を消した
……一体、何の都市伝説なのだ!?
「卑怯といわれようが、何だろうが………僕は、あなたに勝ちます」
っとん、と距離をとる彼方
…一瞬、空間が歪んで
…一瞬、空間が歪んで
(---んなぁ!?)
にょろろろろんっ、と
事務所の中に…突然、巨大な烏賊が、姿を現した
それは、一瞬で上田を捕え、締め上げてくる
事務所の中に…突然、巨大な烏賊が、姿を現した
それは、一瞬で上田を捕え、締め上げてくる
まるで、以前遭遇した、X-No.0が呼び出した烏賊を思わせる、それ
ギリギリと、骨を砕くかのように締め上げてくる
ギリギリと、骨を砕くかのように締め上げてくる
--ざっざっざっざっざっ、と
足音が聞えてくる
嫌な予感と共に、足音がする方向を見ると……そこには、信じられない光景が広がっていた
足音が聞えてくる
嫌な予感と共に、足音がする方向を見ると……そこには、信じられない光景が広がっていた
全裸兄貴の集団
アメリカで遭遇したそれと、全く同じ集団が…上田に向かってきているのだ
この集団も、巨大烏賊も………彼方が呼び出したと言うのか!?
アメリカで遭遇したそれと、全く同じ集団が…上田に向かってきているのだ
この集団も、巨大烏賊も………彼方が呼び出したと言うのか!?
「妹を、吉静を保護する為ならば、手段は選びません」
彼方の声が、どこか遠くから響く
「……先生なら、きっと。吉静の事も、僕のように強くしてくれるだろうから。僕は、吉静を幸せにしてみせる」
to be … ?