アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 穀雨彼方-05

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 --がくん、と
 彼方が、膝をついたのは
 事務所を出ようとした、その瞬間だった

「…………え」

 彼方の口から……自身の状況を把握できていないような声が、漏れる
 どしゃり、そのまま、彼方の体は……事務所の床に、転がった

「…おい?」

 ---嫌な予感
 げほげほと、彼方が咳き込み……苦しみだしている

「あ、れ……?ど……して………?」

 つぅ、と
 彼方の口元から流れる、赤い線
 げほげほと咳き込むと……床が、赤黒く染まった

 彼方が、吐血しているのだ
 激しく咳き込むたび、大量の血を吐き続けている

「--っおい!?しっかりしろ!?」

 異常事態に、思わず彼方に駆け寄る上田
 敵襲してきた相手とは言え、吉静の唯一かもしれない肉親だ
 目の前で死なれては…目覚めが悪い

 上田は思い出す
 先ほどの戦闘での、彼方の中学生とは思えない…人間の限界、ギリギリの動きを
 いくら鍛えたと言っても…中学生程度の年齢で、あそこまでの動きができるものか
 考えられる可能性は、いくつかあるが

 …その中でも、最悪の可能性を、口にだす

「おいっ!お前、何か薬を投与された事はないか!?」
「…くす、り……?」

 上田の、言葉に
 さぁ……と、ただでさえ血の気を失っていた彼方の表情が…さらに、青白くなっていく

「……ん、な……?どうし、て………先生………っ!?」

 信じられない、と言った表情の彼方
 ……今まで、信じてきたものを、全て打ち砕かれたかのような
 そんな、表情

 ーーーやはりか
 恐らく、彼方は「先生」から何らかの薬物を投与されていたのだろう
 あの人間の限界ギリギリの身体能力は、そのせいだ
 …その、薬物投与の反動が出ているのかもしれない
 いや、もしかしたら、それ以外にも薬物を投与されていて……何らかの条件下で、今のような症状が引き起こされるようになっていたのかもしれない

 どうする?
 上田は選択を迫られる
 ここで、彼方を見殺しにする事は、容易い
 だが……--------


 その、迷いを抱いてしまったのは
 上田にとって、不運だったのか、否か


「---お兄ちゃん!?」
「吉静ちゃん!?駄目だろう、出てきたら!」

 赤い部屋から
 吉静が、姿を現してしまった

 彼方の様子を見て、慌てて駆け寄ってくる

「だ、だって……お兄ちゃん達が来なくて、心配で…………っ………お兄ちゃん?お兄ちゃん!!」
「…よし、ず…」

 吉静を見あげ……しかし、体の崩壊が続いているのだろう
 彼方は咳き込みながら……意識を失ってしまった
 このままでは、彼方は本当に…………死ぬ

「…多分、何かの病気を持っていたんだろう……」

 …せめて、それを口に出す
 保険のような言葉
 それを口に出した自分に、嫌悪感を抱いてしまう

 吉静に嫌われたくない
 その一心ゆえの言葉
 ……自分は、どこまで卑怯なのだ

 必死に、彼方に声をかけ続けている吉静
 ……その、吉静が
 上田を、見あげてきた
 大きな瞳に、一杯、一杯、涙を浮かべて

「…っお願い…………おにいちゃんを、助けて………っ!!」

 泣き叫び、上田に懇願する吉静


 やっと、見付かった肉親
 いないものと、諦め切っていたそれが…やっと、現れてくれた存在
 それが、目の前で命を落とそうとしている
 その状況は……吉静の心を、どれだけ傷つけてしまうだろうか

 もし
 もし、このまま、彼方が死んだら………?


 吉静の懇願を前に
 上田の選択肢の幅は、恐ろしい程に狭められたのだった





to be … ?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー