三面鏡の少女 60
「……もういい」
真摯に謝罪を繰り返すディランに、繰はぼそりと呟いた
「というかね、そもそも何であんたが一方的に謝ってんのよ!?」
「え? だ、だって……」
「そもそもがまず事故! 助けようとしてくれたのはあんた! お陰でかすり傷の一つも無い状況なの、わかる!?」
照れ隠し混じりの繰の怒号に、ディランは僅かに身を竦める
「そもそも、その後のゴタゴタは……私が……その……は、はいてなかったのが原因なんだからあんたに責任は無いの! むしろ謝るのはこっち!」
間近にあったディランの顔をぐいと押し退け、真っ赤になった自分の顔を隠すようにそっぽを向く繰
「突然でびっくりしたけど、別に見られても死ぬわけじゃないんだし」
「駄目だよ、女の子はもっと自分の身体を大事にしなきゃ」
「別に、私の身体なんてそんな大したものじゃないわよ。だからあんたも、さっきの事は気にするんじゃないわよ?」
ふと気が付くと、それまで手に握り隠していたはずの下着が見当たらない
倒れた折にどこかへ放り投げてしまったようだ
「もうすぐ休憩も終わるし、さっさと片付けて気持ちを切り替えるわよ。いいわね?」
ディランはまだ何か言いたそうにしていたが
「あれ、何してるの? 休憩は?」
「ちょ、待って、静かにしてないと」
控え室の扉の向こうから、ぼそぼそと聞こえてきた声
繰は慌てて部屋の隅に放り投げられていた下着を拾い足を通すと、ディランの目も気にせずスカートごと引き上げて穿き、扉に駆け寄って思い切り開け放つ
扉の向こう側にいた5人のメイド達が、ドアに押されて転がったり這うように離れたり、蜘蛛の子を散らすように扉の前から離れていく
「宮定さーん、お疲れー」
「私達これから休憩だから」
悪びれた様子も無く、屈んだり這ったりした姿勢のまま笑顔を向けてくる
「……どの辺から聞いてた?」
真っ赤になってぷるぷる震え、目尻にじんわりと涙粒を浮かべ、それでも怒りに顔を引き攣らせた繰
「その状態をキープ、辺りから?」
「あと聞いてたというかむしろ見てたというか」
「ここの扉の隙間から、丁度見えるところでやってたからつい」
顔を見合わせて、えへへと笑うメイド達
「大丈夫、誰にも言わないから」
「むしろ応援するから」
「ライバル多いけど頑張ってー」
「そ……」
「そ?」
「そんなんじゃないわー!? あんた達が見てたのは事故! 何でもそんな色恋沙汰に結び付けてんじゃないわよ!?」
半泣きで暴れ出した繰を止めるために、ディランが右往左往したり接客中だった佳奈美が慌てて戻ってきたりと小さな騒ぎになってしまったとさ
真摯に謝罪を繰り返すディランに、繰はぼそりと呟いた
「というかね、そもそも何であんたが一方的に謝ってんのよ!?」
「え? だ、だって……」
「そもそもがまず事故! 助けようとしてくれたのはあんた! お陰でかすり傷の一つも無い状況なの、わかる!?」
照れ隠し混じりの繰の怒号に、ディランは僅かに身を竦める
「そもそも、その後のゴタゴタは……私が……その……は、はいてなかったのが原因なんだからあんたに責任は無いの! むしろ謝るのはこっち!」
間近にあったディランの顔をぐいと押し退け、真っ赤になった自分の顔を隠すようにそっぽを向く繰
「突然でびっくりしたけど、別に見られても死ぬわけじゃないんだし」
「駄目だよ、女の子はもっと自分の身体を大事にしなきゃ」
「別に、私の身体なんてそんな大したものじゃないわよ。だからあんたも、さっきの事は気にするんじゃないわよ?」
ふと気が付くと、それまで手に握り隠していたはずの下着が見当たらない
倒れた折にどこかへ放り投げてしまったようだ
「もうすぐ休憩も終わるし、さっさと片付けて気持ちを切り替えるわよ。いいわね?」
ディランはまだ何か言いたそうにしていたが
「あれ、何してるの? 休憩は?」
「ちょ、待って、静かにしてないと」
控え室の扉の向こうから、ぼそぼそと聞こえてきた声
繰は慌てて部屋の隅に放り投げられていた下着を拾い足を通すと、ディランの目も気にせずスカートごと引き上げて穿き、扉に駆け寄って思い切り開け放つ
扉の向こう側にいた5人のメイド達が、ドアに押されて転がったり這うように離れたり、蜘蛛の子を散らすように扉の前から離れていく
「宮定さーん、お疲れー」
「私達これから休憩だから」
悪びれた様子も無く、屈んだり這ったりした姿勢のまま笑顔を向けてくる
「……どの辺から聞いてた?」
真っ赤になってぷるぷる震え、目尻にじんわりと涙粒を浮かべ、それでも怒りに顔を引き攣らせた繰
「その状態をキープ、辺りから?」
「あと聞いてたというかむしろ見てたというか」
「ここの扉の隙間から、丁度見えるところでやってたからつい」
顔を見合わせて、えへへと笑うメイド達
「大丈夫、誰にも言わないから」
「むしろ応援するから」
「ライバル多いけど頑張ってー」
「そ……」
「そ?」
「そんなんじゃないわー!? あんた達が見てたのは事故! 何でもそんな色恋沙汰に結び付けてんじゃないわよ!?」
半泣きで暴れ出した繰を止めるために、ディランが右往左往したり接客中だった佳奈美が慌てて戻ってきたりと小さな騒ぎになってしまったとさ