「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-55

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匿名ユーザー

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【上田明也の探偵倶楽部31~拝戸純の災難~】

こんにちわ。
拝戸純です。
花も恥じらう17歳とは誰であろうこの私の私のことなんです。
私は普段から母と家で二人暮らしです。
女性だけで暮らすのもこの町だと物騒なように見えるのですが意外とそうでもありません。
私は一応都市伝説の力を使えるので並の犯罪者であれば簡単に倒せてしまうのです。
歌って踊れて戦える上に家事も完璧と、まさにパーフェクトヒロイン。
……本題に戻りましょうか、そもそも私の私の都市伝説との出会いは少し昔のお話になります。

そう、思えばそれは中学生の時でした。

私は私は生まれつき他人に存在を気付かれづらい体質でして、
その時の私は私は自分をモブキャラAとしか見てくれない世の中の人々に怒りと憎しみと絶望を抱く厨二病真っ盛りでした。
特に意味も無く私は学校で隣の席の人間を憎いと思いました。
隣の席で趣味も合うと、どう考えてもとても仲良くなれそうな相手でした。
でも彼女は私のことを只の隣の席のクラスメイトAとしか見ません。
普通の友人A、私は万人にとっての少女Aでした。
私の私の隣に座る彼女もそうなのかと思うとむかっ腹が立ってしょうがない。
憎い、憎い、憎い、でもそんな感情を抱いたところで私は何も出来ません。
私の存在はほとんど気付かれないんですから。




そんな事を考えた次の日のことでした。
私の隣に居た彼女は交通事故で死にました。
胸がスカっとしました。
クラスのみんなは泣いていたので私も泣いていました。
友人代表として私がお別れの挨拶を述べることになりました。

皆の視線が私に集まって、すごく気持ちよかったです。

もっと人が死なないかなあ?
そうしたら私を皆が見てくれる。
私は私は目立つ為の才能なんて何一つ持っていないけれど他人を犠牲にすれば偶然こんな機会も巡ってくる。
それはきっとすごく素敵なことです。

そんなことを考えていると、ある日服の袖から釘が出るようになったのです。
この釘は都市伝説を知らない人には見えません。
そして撃ち込まれた人はどんどん不幸になって、死んでしまいます。
私は私はいつの間にやら【丑の刻参り】と契約していました。





ピンポーン
ベルが鳴ります。
今宵はお月様がとっても綺麗。
きっとこんな夜だから悪い人が訪ねてきたに違いないわ。

「はぁい!」

私がドアを開けると警察官みたいな服を着た人が立っていました。

「お嬢ちゃん、ここらへんで強盗事件が起きたんだけど犯人の顔を見て……」
「貴方は貴方は一体何を隠しているのかな?」
「へ?」

警察官の人に丑の刻参りの釘をありったけ腹に投げつけます。
ポカンとした顔で警察官の人は吹き飛んでしまいました。
直接死ぬことは無いので多分大丈夫でしょう。
私は物を隠すのが得意です。
だから他人が物を隠していることも他人が何を隠しているのかも解ります。

多分、さっきの人は警官じゃないです。

警官に見せかけて無害な市民を傷つける悪い奴です。
そうだ、お兄ちゃんに言いつけてやろう。

私の私のお兄ちゃんは探偵で、私利私欲の為に町の人々を守ったりしてます。
基本的に自分勝手で独善的で俺様タイプの人ですが言葉遣いだけは丁寧だったりします。
お兄ちゃんが言うにはこういうのをインギンブレイと言うそうです。





「他の人に失礼な態度とって良いの?」
「失礼じゃない、礼を用いる必要がないんだ。」

お兄ちゃんの中ではお兄ちゃんが一番偉いのだそうです。
自分の観測する世界において存在を証明できるのは視点人物である自分だけである。
なんてことを口先では言っていますがそんなの他人の権利を考えるのが面倒だから理屈をこねてるだけなのです。
私には解ります。
お兄ちゃんは口先だけの人間です。
でもお兄ちゃんの口先は無限の価値を生み出すことも知っています。
そしてそしてお兄ちゃんの口先は私には通じません。
でもでも普通の人々はおにいちゃんがちょっと嘘を吐くだけでそれを信じ込みます。
お兄ちゃんと会話している内に意志が自分の物かお兄ちゃんの物か解らなくなるそうです。

だからお兄ちゃんはいつも本気で話せません。
かわいそうなお兄ちゃん。
でもでも私だけはお兄ちゃんの孤独を解ってあげられるからね?
そう、私は私は彼にとってたった一人の大切な人。
かけがえのない人。
おにいちゃんが居るだけで私の私の孤独は癒える。

そう、昔悩んだ孤独はとても下らない問題だったんです。





でも困ったことにお兄ちゃんはまだウジウジ悩んでいる。
半端に……じゃないや、完全に普通の人間の思考が解るから悩んじゃうんだよね。
まったく、ゴミみたいな一般人に悩まされるなんて本当にお兄ちゃんの異常は繊細。
自分の異常を制御出来ない私が言うのもアレだけどもっと自分に素直になれば良いのに。
変に悪ぶったり変に善人になったり本当に本当に気持ち悪い。
もっと自分が化け物だという自覚を持って貰わないと本当に不幸になっちゃうよ。

普通の人々は私たちのことなんて解ってくれないんだから。
貴方と私で私でわかり合い続けましょう。
永遠に永遠にクルクルクルクル巡り続ける輪みたいに。
私と私と貴方だけで永遠に完成し続けましょう。
不完全な一般人が何人消え去っても構わない。
完成した、進化した、人を超越した人たる私たちが居れば世界は問題無く回る。

もし世界が百人の異常の村だったならば。
そこはきっと戦争や憎しみを抱えつつもそこそこ皆幸福に過ごせるに違いない。
でも今の世界は百人の凡人の村だから。
馬鹿が馬鹿みたいに苦しみ続ける。
ああ嫌だ、見ていられない。
さっさとサンジェルマンの願う世界になって欲しいな。

時計を見るともう十一時。
寝ようかしら。
【上田明也の探偵倶楽部31~拝戸純の災難~fin】

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