パッと見は、常と変わらない様子の組織本部だが、幾人かは慌ただしい雰囲気を見せていた。
それに、疑問を浮かべると同時に、嫌な予感を感じながら想軌と紗江良は歩いている。
それに、疑問を浮かべると同時に、嫌な予感を感じながら想軌と紗江良は歩いている。
「一体、如何したんでしょうか? ジ……Jさんはぁ」
「緊急事態だって、いきなり呼び出されたからな。もっとも、俺達と関係の有ることなら、限られてると思うが」
「……言われてみるとそうですねぇ」
「緊急事態だって、いきなり呼び出されたからな。もっとも、俺達と関係の有ることなら、限られてると思うが」
「……言われてみるとそうですねぇ」
そんな感じの2人が、曲がり角に差し掛かったその時。
ドカッ、
「ヒャワッ!」
「っと」
「っと」
彼らの進行方向から同じように曲がって来たらしい、女性の黒服とぶつかってしまい。
さらに、ムニュリなんて感触が想軌の手にあった。
さらに、ムニュリなんて感触が想軌の手にあった。
「――ッ、キャーーーー!!」
「いや、今のは不可抗り……ッてぇ」
「いや、今のは不可抗り……ッてぇ」
バチン!!!!!!
そんな勢いの良い音をあげて女黒服の平手打ちが、想起の頬に炸裂した。
もっとも、彼女に然程力が無かったからか、真っ赤な紅葉が付いた以外に、想起の被害は無いらしい。
ただ、女黒服もとい黒服Cの叫びを聞いて、彼らを見ていた周囲の、特に男の一部からは、怨念の様なモノが想起に対して発せられていたりもするが。
それを、仕方が無いなぁ、と思いながら、紗江良はCを宥めている。想起自身も、自分の非を感じているのか、文句を言うつもりは無いようだ。
そんな勢いの良い音をあげて女黒服の平手打ちが、想起の頬に炸裂した。
もっとも、彼女に然程力が無かったからか、真っ赤な紅葉が付いた以外に、想起の被害は無いらしい。
ただ、女黒服もとい黒服Cの叫びを聞いて、彼らを見ていた周囲の、特に男の一部からは、怨念の様なモノが想起に対して発せられていたりもするが。
それを、仕方が無いなぁ、と思いながら、紗江良はCを宥めている。想起自身も、自分の非を感じているのか、文句を言うつもりは無いようだ。
「あ~、なんだ。久しぶりだな、C。さっきは悪かった」
「いいえ。此方の方こそ、不注意でした」
「いいえ。此方の方こそ、不注意でした」
彼女が落ち着いたのを感じ、謝る想軌と同じように謝るC。
その様子に、彼女と初対面である紗江良が想起に質問する。
その様子に、彼女と初対面である紗江良が想起に質問する。
「知り合いですかぁ?」
「ん、あぁ。Cナンバーの黒服で……天地の現担当だ。で、こっちは俺が担当してる菅野紗江良」
「よろしくお願……、菅野紗江良って、もしかしてあの!? Sさんが担当だったんですか!?」
「ん、あぁ。Cナンバーの黒服で……天地の現担当だ。で、こっちは俺が担当してる菅野紗江良」
「よろしくお願……、菅野紗江良って、もしかしてあの!? Sさんが担当だったんですか!?」
紗江良の名前を聞いて驚くC、「組織」に所属している女性と言う訳で、彼女の噂はバッチリ聞いていたっぽい。
「流石だな、有名人」
「あははー。別に目立とうなんて気は、無いんですけどねぇ」
「あははー。別に目立とうなんて気は、無いんですけどねぇ」
茶化す様な想起の言葉に、紗江良が照れ笑いを浮かべて答える。
それに気付いたCが、申し訳なさそうに紗江良に言う。
それに気付いたCが、申し訳なさそうに紗江良に言う。
「えっと、すみませんでした。はしゃいじゃって」
「気にしなくって良いですよ。あ、――所で天地さんは、お元気ですかぁ?」
「あいつなら、大抵の事は、大丈夫な気もするが、………どうした?」
「気にしなくって良いですよ。あ、――所で天地さんは、お元気ですかぁ?」
「あいつなら、大抵の事は、大丈夫な気もするが、………どうした?」
Cからの返答が無い事を不思議に思い、彼女の顔を見ると困った様な心配する様な表情を浮かべていた。
その様子に、紗江良と顔を見合わせ首をかしげる。
暫らくすると、意を決したようにCが言った。
その様子に、紗江良と顔を見合わせ首をかしげる。
暫らくすると、意を決したようにCが言った。
「――それが、天地さんと連絡が取れないんです。仕事の合間に、少し様子を聞いておこうと電話してみたんですけど」
「それは……心配ですね。大丈夫なんでしょうかぁ」
「流石のあいつも、自分の担当からの連絡を無視するとは思えないからな」
「それは……心配ですね。大丈夫なんでしょうかぁ」
「流石のあいつも、自分の担当からの連絡を無視するとは思えないからな」
聞いた2人も、不安げな表情を浮かべる。
ついでに言えば、紗江良の《女の勘》もこの事に関して、不吉を臭わせている。
重くなった空気を感じ、話題を変えようとするCだが、良い話題が浮かばないらし。仕方なく、この場を離れようと2人に切り出した。
ついでに言えば、紗江良の《女の勘》もこの事に関して、不吉を臭わせている。
重くなった空気を感じ、話題を変えようとするCだが、良い話題が浮かばないらし。仕方なく、この場を離れようと2人に切り出した。
「あっと、急いでいたんでした。それじゃ、私はこれで」
「おう、頑張れよ~。こっちの方で、天地の事で何か分ったら、連絡しとくわ」
「はい、此方の方こそ」
「おう、頑張れよ~。こっちの方で、天地の事で何か分ったら、連絡しとくわ」
「はい、此方の方こそ」
足早に去っていく彼女を見送り、自分達も上司に呼び出されて居た事を思い出し、想軌と紗江良も歩きだす。
気に成りはするが、今は気持を切り替える事にした。
気に成りはするが、今は気持を切り替える事にした。
コンコン。
「失礼します」
「どうぞ~、入って良いよ」
「どうぞ~、入って良いよ」
部屋の中に入ると、デスクに座ったジルが、レポートを片手でヒラヒラとさせながら待っていた。
その表情が険しい事から、想軌は自分の感じた嫌な予感が正しかった様だと思い。紗江良の方も《女の勘》が告げる不吉から、想軌と同じ様に若しくはそれ以上に嫌な予感を感じていた。
その表情が険しい事から、想軌は自分の感じた嫌な予感が正しかった様だと思い。紗江良の方も《女の勘》が告げる不吉から、想軌と同じ様に若しくはそれ以上に嫌な予感を感じていた。
「来て貰った理由だけど、予想は付く?」
2人が自分のデスクの前に来るのを待ってからジルが切り出した。
「まぁ、2・3件ほど。1つ目は《七人みさき》について、2つ目はH-No.1が行動を起こした事、そして3つ目が何の関係も無い新しい任務。
3つ目はまず無いとして、1つ目なら態々、此処に来るまで内容を伏せる必要も無い筈ですし。2つ目が一番濃厚ですね」
3つ目はまず無いとして、1つ目なら態々、此処に来るまで内容を伏せる必要も無い筈ですし。2つ目が一番濃厚ですね」
その答えに満足した様な笑みを小さく浮かべ、ジルはレポートをデスクの上に置く。自分の部下が的確な考察をした事が嬉しいらしい。
「せーかい、その通りだよ。H-No.1、ハンニバルの奴が動いたらしい」
「本当、ですかぁ」
「本当、ですかぁ」
しかし、すぐさま一転して険しい表情を浮かべ、不安そうな紗江良にコクンと頷き、レポートを2人の方に向ける。
「そこにも書いて有るけど、祐樹・ベリシャが襲われたみたい。それも、ハンニバル本人直々にね。
もっとも、F-No.0やら、ヘンリエッタって小さなお嬢さんが助太刀して何とか成ったみたいだけど」
「そんで、今は「組織」管轄の病院に居るって訳ですか。それにしても、No.0を相手に大丈夫とは。非戦闘系じゃ無いでしょ、エーテルさんは」
「ん~。そこは、まぁやり様じゃ無いかな? 私も、離れた所から拡声器でも使えば何とかなるし」
もっとも、F-No.0やら、ヘンリエッタって小さなお嬢さんが助太刀して何とか成ったみたいだけど」
「そんで、今は「組織」管轄の病院に居るって訳ですか。それにしても、No.0を相手に大丈夫とは。非戦闘系じゃ無いでしょ、エーテルさんは」
「ん~。そこは、まぁやり様じゃ無いかな? 私も、離れた所から拡声器でも使えば何とかなるし」
噂程度にだが、エーテルの能力を聞いた事の有る想軌は、そんな彼を含めた数人から逃れたハンニバルの実力に眉を顰める。
実際にハンニバルが危険視したのは、エーテルの方よりもヘンリエッタなのだが、彼女がH-No.0だと知らない彼は、そこに辿り着く事は無かった。知っている可能性のあるジルも、言う様な気は無いらしい。
それは、ハンニバルがその状況で、逃げを選択する判断力と逃げだす事の出来る能力を持っている事を想軌が理解していると分かっているからだ。
ハンニバルと戦闘を行う可能性が、限りなく低い想軌ならそれで十分だろう。自分よりも、格段に上の相手だと言う事は既に知っている筈であるし。
実際にハンニバルが危険視したのは、エーテルの方よりもヘンリエッタなのだが、彼女がH-No.0だと知らない彼は、そこに辿り着く事は無かった。知っている可能性のあるジルも、言う様な気は無いらしい。
それは、ハンニバルがその状況で、逃げを選択する判断力と逃げだす事の出来る能力を持っている事を想軌が理解していると分かっているからだ。
ハンニバルと戦闘を行う可能性が、限りなく低い想軌ならそれで十分だろう。自分よりも、格段に上の相手だと言う事は既に知っている筈であるし。
「……もしかしてぇ」
祐樹が襲われたことを聞いた辺りから、黙り込んでいた紗江良が不意に声をだした。
「何か気付いたのか?」
「えぇ。Cさんの話を聞いてから、引っ掛かっていたんですけど。天地さんの消息不明も関係が有るんじゃ無いでしょうか。
祐樹さんと天地さんが似ているって事は、無関係じゃ無い可能性も高いでしょうしぃ」
「天地と言うと、《モンスの天使》の契約者の事だよね? 消息不明って如何言う事」
「えぇ。Cさんの話を聞いてから、引っ掛かっていたんですけど。天地さんの消息不明も関係が有るんじゃ無いでしょうか。
祐樹さんと天地さんが似ているって事は、無関係じゃ無い可能性も高いでしょうしぃ」
「天地と言うと、《モンスの天使》の契約者の事だよね? 消息不明って如何言う事」
Cからの情報と今聞いた情報を、《女の勘》が結び付けたらしい。2人が似ていると言う情報を既に得て居た事も、これには関係しているだろう。
そんな紗江良の思い付きに、彼女と同じ様に聞いていた想軌は成る程と、納得するが。天地と連絡が付かない事を知らないジルは首をかしげる。
なので、先程の黒服Cから聞いた話を説明し、ジルも確かに、考えられると思った。
そんな紗江良の思い付きに、彼女と同じ様に聞いていた想軌は成る程と、納得するが。天地と連絡が付かない事を知らないジルは首をかしげる。
なので、先程の黒服Cから聞いた話を説明し、ジルも確かに、考えられると思った。
「それで、俺達は如何するんです? 表舞台に立つには、繋がりが薄いと思いますけど」
「確かに薄いけど、無い訳じゃないでしょ。薄いなら、濃くすれば良いだけだよ。
まず2人は、「組織」管轄の病院に行って貰えるかい。どうやら、他にも関係者が居るみたいだしね」
「貴女は、来ないんですか?」
「終わって無い仕事があるしね~」
「確かに薄いけど、無い訳じゃないでしょ。薄いなら、濃くすれば良いだけだよ。
まず2人は、「組織」管轄の病院に行って貰えるかい。どうやら、他にも関係者が居るみたいだしね」
「貴女は、来ないんですか?」
「終わって無い仕事があるしね~」
2人と言う言葉が気に成った想軌が聞くと、本当に残念そうな顔で、「もう、期日が近いんだよ」とジルが答える。
ちゃらんぽらんな様でいて彼女が、自分の仕事は自分でチャンとやらないと済まない性格だと知っている想軌と紗江良には、その言葉で十分だった。
ちゃらんぽらんな様でいて彼女が、自分の仕事は自分でチャンとやらないと済まない性格だと知っている想軌と紗江良には、その言葉で十分だった。
「分りました。では、早速ですが、向かう事にします」
「うん。頑張って」
「では、失礼しますねぇ」
「うん。頑張って」
「では、失礼しますねぇ」
そう言って、2人はジルの仕事部屋を出る。
本部から、外に出て暫らくの事だ。紗江良が飛び跳ねる様に、ピクリと顔を上げ声を出した。
「想軌さん!」
「っ、如何した?! ついでに今は、一応仕事中だSで頼む」
「あぁ、すみません。じゃ無くて、病院が危ないかもしれません。《女の勘》が今は、行かない方が良いって言ってるんですぅ!」
「っ、如何した?! ついでに今は、一応仕事中だSで頼む」
「あぁ、すみません。じゃ無くて、病院が危ないかもしれません。《女の勘》が今は、行かない方が良いって言ってるんですぅ!」
……それは、病院内で《一寸婆》の大群が現れて、少し遅れてからの、反応だった。
続く