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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 舞い降りた大王-02

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hayata0328

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 夏休みが終わり、学校もまた児童で賑わう、そんな日の出来事。
 通学途中、少年は1人で歩いていた。いや、もう1人……。

正義「らんららーん♪ 今日から学校だー。」
大王「普通、学校とは忌み嫌われる存在じゃないのか?」

 この少年、[黄昏(たそがれ) 正義(マサヨシ)]の横には、彼が契約した都市伝説、【恐怖の大王】がいた。
 本来なら今頃、世界を支配して名の通り、恐怖の大王になっていたのだが……。

正義「え、なんで? 友達といっぱい話ができるじゃん。」
大王「お前はもっと、社会に対する反抗心を持て!」

 正義が相手では流石の大王も歯が立たないようだ。

正義「ところで、なんで大王が ついてきてるの? 学校、行きたくないんでしょ?」
大王「いや、別に、お前の学校はどういう所なのかと思ってな。」
正義「ふーん。」
大王「(まったく。もしお前が死んだら、俺も死ぬんだぞ。)
   (家でゆったりしていたら死んだ、なんて大王の死に方じゃないだろ。)
   (そんな事を考えてたら、離れるのが怖くなるだろうが。)」

 契約者が死ぬと都市伝説も死ぬ。その制約によって正義少年が気がかりなのだ。
 そんな事を考えている内に、向こうから人が見えてきた。

正義「あ![ 勇弥(ユウヤ)]くんだー!」

 どうやら正義の友達だそうだ。正義は向こうの少年のところへ走っていく。
 無論、大王もその後を追いかける。

勇弥「よ、[正義(セイギ)]。どうだ?都市伝説は見つかったか?」

 どうやらこの少年も都市伝説を知っているようだ。
 大王はふと、正義少年と出会った時に、この少年の名前が出ていた事を思い出した。
 正義少年は都市伝説の事を、この勇弥という友人から聞いていたのだ。

 コイツさえいなければ、大王は心底憎んだ。

正義「それがねー。」

 そう正義が言ったところで、大王が止めた。

大王「あまり都市伝説の事は、話さない方がいいと思うぞ。無用な混乱を招くだけだ。」

 正義はつまらなそうな顔をしたが、おとなしく言う事を聞く事にしたようだ。

正義「べつに いなかったよ、都市伝説なんて。」
勇弥「本当か? いるはずなんだけどなぁ。」
大王「(だいたい、コイツは何処でそんな情報を仕入れてきたんだ?)」

 夏休みの事を雑談している内に、正義達は学校に着いた。
 正義が教室に入ると、急に少女が話しかけてきた。

奈海「[正義(セイギ)]くぅん!」

 ふと大王が正義の顔を見ると、とても嫌そうな顔をしていた。コイツもこんな顔するんだな。
 大王は少々驚いた。
 そんな事も知らず―――あるいは知っててか―――少女は正義に抱きつく。

正義「やめてよ[奈海(ナミ)]ちゃん、暑苦しい。」

 正義は奈海という子を引き離した。すると奈海はムッとなって正義に言う。

少女「だってしばらく正義くんと会えなかったんだもん。電話しても出てくれなかったしぃ。」

 当たり前である。おそらくこの少女は、学校町に行っている間に電話しようとしたのだろう。
 そんなに会いたかったのか、この少女は。
 急に話題が変わり、勇弥はこんな事を言い出した。

勇弥「ところで。なぁ、知ってるか?【フォトンベルト】の話。」
奈海「なにそれ?」

 【フォトンベルト】とは『2012年に地球はフォトンベルトに突入する』というもの。
 フォトンベルトに突入すると強力な電磁波により太陽や地球の活動に大きな影響が出て
 『人類の遺伝子構造が変化し人類が進化する』とも、『電子機器が使用できなくなる』とも言われている。
 『20世紀末から異常気象や火山活動・地震が頻発しているのは、地球がフォトンベルトに入り始めたから』
 ……という話もある。

 という話を勇弥は簡潔に話した。

正義「へぇー、本当なの?」
奈海「まーた人類滅亡系の話? そんなの当たる訳ないじゃない。」
勇弥「ま、けっこう『ウソだ』っていう話も多いんだけどね。」
正義「ウソなの?」
奈海「当たり前じゃん! わたし気付いちゃったもの。人類滅亡系の話は、ぜんぶウソだって。
   【恐怖の大王】も【2000年問題】も、けっきょく何もなかったし。」

大王「(おいおい、【恐怖の大王】はここにいるぞー。)
   (少年と契約していなければ今頃、俺はこの世界を……。)

 ん?【2000年問題】……、『2000年』?!

勇弥「【2000年問題】は、みんなが がんばったから、何もなかったんだけどね。」
奈海「だいたい2012年なんて8年も未来じゃない。そんなのいつか忘れられるわよ。」

 2012年-8年=2004年 だから、やはり1999年ではないのか!
 大王は遅刻していたのだ。

大王「(そんな、5年も遅れて来るとは……。【恐怖の大王】の名が泣くな……。)」
正義「(あれ?大王が外に行っちゃった。)」

 大王はしばらく外で、たそがれる事にした。
 正義は少し気になったが、急に奈海が話題を変える。

奈海「そういえば知ってる? この近くで【口裂け女】が出るんだって。」
勇弥「【口裂け女】? ベタな都市伝説だな。」

 知らない人はいないだろうが、あえて説明させていただく。
 【口裂け女】とは、大きなマスクをした女の事で、夕暮れに現れて通行人に自分の美しさを問い、
 肯定した場合、『マスクを取り、耳元まで大きく裂けた口を晒し「こんな顔でも?」と問う』という話。
 『鎌を持っていて……』というおまけもあるが。

奈海「正義くん、出会わないように気をつけてね。
   もし出会っちゃったら、きっと正義くん…… 食 べ ら れ ちゃうぞぉー。」

 正義を怖がらせたいのか、声色を変えてそういった。
 いや、食べないだろ! そのクラスの児童は皆そう思っただろう。

正義「べつに、こわくなんか ないもん! もし見つけたら、ボクが たおしちゃうから!」

 少し涙目の正義の口から強がりのような言葉が出たところでチャイムが鳴り、全員が席に着く。
 そのまま特に変わった事は無く、下校時間となった。

 勇弥とも分かれ、正義と2人きりになったところで、大王が問いかける。

大王「少年、あの少女はいったいなんなんだ?(窓から見ていたが)妙に話しかけてきたみたいだが。」
正義「奈海ちゃんは、保育所の時からずっといっしょなんだ。」

 つまり、俗に言う幼馴染みというやつか。世の大人が聞いたら都市伝説扱いだ。

正義「でもね、ボク保育所のときに奈海ちゃんにお世話してもらっていた らしいんだよ。
   ボクは、おぼえていないんだけどね。
   そのせいなのかな? ボクの事、子ども扱いするんだ。
   だからボク、奈海ちゃん あんまり好きじゃないんだ。」

 聞けば聞くほどうらやましい、そう思われる方もおられるだろうが、大王は別のところに目をつけた。

大王「(嫌いな人間がいる。その程度の邪心だけで、人は悪に染まる事ができる。)
   (少年が本当にあの少女の事が嫌いなら、そこに付け込んで手下にできる!)」

正義「だからボク、奈海ちゃんを見返してやるんだ。
   大きくなったら警察官になって悪い人をいっぱい つかまえて
   『ボクは子ども じゃないんだぞ!』って言ってやるんだ!」

 正義には付け込むスキは無かった。
 正義は怒りや憎しみのエネルギーをバネにして、自分を伸ばすタイプの人間だった。
 ダメだコイツ。早く何とかしないと!大王は作戦を練った。

 ふと前見ると、大人の女性が1人で立っていた。そしてその女性が問いかける。

???「私、きれい?」

 どこかで聞いた言葉。
 このテンプレート、顔に付けられたマスク、まさか!
 大王は少年を守るために、逃げる準備をするが。

正義「……きれいだと思うよ。」
大王「(何?! まさかコイツ、本気で戦う気なのか?)」

 女性がマスクを取る。想像通り口が耳元まで大きく裂けていた。やはり【口裂け女】である。

口裂け女「こ ん な 顔 でもぉ?」
正義「ぎゃあぁあー!!【口裂け女】だぁあぁー!!」

 涙目になりながら悲鳴を上げる正義。
 って、分からなかったのか!? 大王は見直そうとした事を後悔した。
 【口裂け女】は例によって鎌を構え、正義を襲おうとしている。

大王「少年、逃げるぞ!」

 大王は正義を抱えて飛ぶ。
 飛ぶ、と言っても数十cm浮いているだけである。それでも走るよりも幾分か速い。

口裂け女「待ぁてぇぇー!」

 だが【口裂け女】も速い。『100mを3~6秒で走るほど速い』という話もある。
 誰だ、そんな設定を作ったやつ。大王は恨んだ。
 大王も都市伝説だが、あくまで【恐怖の大王】。身体能力は常人よりも上なだけだ。

大王「くっ!こうなったら……。」

 大王が念じると、大王の少し上ぐらいに紫がかった黒い雲が現れた。
 【口裂け女】がその下を通ろうとした時、大王が叫ぶ。

大王「くらえッ!」ドゴォォォ……ン

 その瞬間、雲から雷が落ちる。雷は【口裂け女】の前に落ち、何とかひるませる事に成功した。
 その内に大王は路地裏に隠れた。

大王「ふぅ……。少年、異常な怖がり様だったが?」
正義「ごめん、大王。幼稚園ぐらいの時に【口裂け女】の話を聞いて怖くて泣いちゃった事があったの。
   それ以来どうしても【口裂け女】は……」
大王「なら何故あの時、質問に答えたんだ?答えなければ、追いかけられずに済んだんだぞ。」
正義「それは戦うためだよ。自分のニガテを克服したかったし、それに悪い都市伝説は倒さないとね。」

 そうか。本当に戦う気だったんだな。しかし、いざ戦おうとなると怖くなったのか。
 子どもの割にはまぁまぁ立派だ。ほめておいていやいやいやおかしいおかしい。

大王「お前、まだそんな事言っていたのか! だから俺は都市伝説と戦う気なんて」
正義「それが契約だから。ボクだって皆のために戦いたい。」

正義「だからお願い大王、ボクに力を貸して。」

 目の前の悪は放っておけない『正義の心』。
 それは裏を返せば、どんなに強い相手にでも立ち向かう『勇気』に変わるのかも知れない。
 たとえ、本当は力があったとしても、戦う勇気が無ければ無力と同じ。
 これは善であろうと悪であろうと、戦闘において重要な要素の1つ。

 ここで否定するのは正義少年の成長に関わる。大王は決心する。

大王「(今回ばかりはその『正義』、買わせてもらおう!)いいだろう。貸してやる。」
正義「やった。」

 正義は小声で喜ぶ。しかし、どうやってあいつを倒すのか。そもそも倒せるのかも分からない。

正義「ところで大王、さっき雷 落としてなかった?」
大王「あぁ、まだ俺の能力を言っていなかったな。俺の能力は『任意の物体を降らせる』だ。
   つまり、降らせたいものを降らせる事ができる。さっきは『電気』を降らせた、という訳だ。」
正義「そうなんだ。」

 人々が「何が降ってくるのか」考えた事により与えられた力。
 色々なものを降らせることができるが、限界は分からない。
 その能力で何ができるのか、正義は考える。

正義「ねぇ大王、前に『お菓子を降らせる事ができる』って言わなかった?」
大王「(誘惑の時のやつか)やろうと思えばできると思う。だが何をする気だ?」
正義「じゃあ『べっこう飴』を降らせてよ」
大王「はぁ?そんなもの後で」
正義「『べっこう飴』は、【口裂け女】の弱点だよ。」
大王「なるほど。好物に目を奪われている隙に雷を落とす、という事か。」
正義「待って。あれは当たりにくいんじゃない? もし外れたら次があるか分からないよ。」

 何故分かったのだろうか。【口裂け女】に当てていなかったからだろうか。
 確かに、雷は何故か命中率が低い。おまけに少々体力を使うようだ。
 正義少年はまだ小さいその頭で考え―――そして閃く。

正義「そうだ!大王、―――できる?」
大王「ッ! 可能だが、よく考えたな。」

大王「しかし、1度も見たことも無いものを作れるかどうかはあやしい。『べっこう飴』の現物があれば……。」
正義「あるよ。」

 ポケットから『べっこう飴』を取り出す。同時に、貰った時の事を思い出す。

(奈海「【口裂け女】は『べっこう飴』に弱いんだって。だからこれ。出会ったら、ちゃんと投げつけるんだよ。」)

正義「しゃくだけど、あいつのアメが役に立った。」

口裂け女「見ぃつけたぁー。」

 入ってきたところから【口裂け女】が覗いている。しかし、狭い上に足場も悪い。飛べるこちらが有利。
 正義は―――怖がっていないらしい。なんとか耐えている。
 正義は大王に掴まり、大王は飛ぶ。速く。なるべく広く、何も無くて、人のいないところへ。
 路地裏を抜けると、そこには河川敷が。広く、砂利になっていて、幸い人もいない。チャンス!

口裂け女「待ぁてぇぇー!」

 【口裂け女】を河川敷に誘い込んだ。計画開始だ。

正義「よし、大王、『1つ目』いって!」
大王「了解。」

 【口裂け女】の上、既に用意されていた雲から何かが大量に降ってくる。そう、『べっこう飴』の雨だ。
 それを見た【口裂け女】は止まる。―――本能か、呪いか―――。『べっこう飴』に眼を奪われる。

口裂け女「アメぇ、アメぇぇぇ。」

 想像通り、【口裂け女】がアメを拾おうとしている。

正義「今だ。[大王]、『次』!」
大王「分かっている!」

 先ほど『べっこう飴』を降らせていた雲からまた何かが大雨のように降ってくる。
 今度は液体のようだ。ただ、妙なニオイがする。
 唯一分かったのは、『べっこう飴』が台無しになった事。
 【口裂け女】はその身にかけられた呪いから開放された事である。

口裂け女「貴様ら……殺す!」

正義「大王!『最後』の!」
大王「了解!」パチン

 大王が指を鳴らすと、雲から今度は火の粉が降る。
 火の粉がチラチラと揺らめく。やがて、ずぶ濡れになった【口裂け女】の服に―――引火。

口裂け女「ギィヤァアァー!!」ボオォォ……ゥ

 【口裂け女】が炎上した。これが[少年]の作戦である。

 まず『べっこう飴』を降らせて気を引き、次の攻撃を絶対に当てる。
 次に『ガソリン』を降らせる。これが最初でも良かったが相手の脚の速さから、確実に当てるためにこの様になった。
 最後に『火の粉』を降らせてガソリンに引火させる。結果、【口裂け女】は火だるまになった、という訳だ。
 これが小学1年生の発想か? コイツ、策士の才能があるかもしれない。大王は正義の才能に感動していた。

正義「おーい! もう2度と悪い事しないって言ったら助けてあげるよー!」
大王「(この甘ささえなければ完璧なのに)」

口裂け女「ふざけるなぁッ!喰い殺してやるゥゥゥ……!!」ボオォォ……ゥ

 だんだんと【口裂け女】の悲鳴は小さくなっていき、やがて聞こえなくなった。その後、すぅっと炎が消えた。

大王「(本当に人を食べるのか。)」
正義「どうか生まれ変わったら、いい都市伝説として生まれ変わりますように。」

 正義は手を合わせて拝んだ。そんな事はしなくてもいい。大王は非情だ。

正義「そうだ。ガソリンで水、汚れないかな?」
大王「あぁ、問題ない。俺が作ったものは時間が経てば消えてなくなる。
   それより、あんな作戦よく考えたな。見直したぞ。」
正義「えへへ。」
大王「その『力』を大切にな。そうだ、明日から俺が鍛えてやる。そうしたらお前も戦えるようになるしな。」
正義「本当!?やったぁー!」

大王「(こうやってゆっくり準備をしておけば、後で手下にした時に役に立つからな。)」
正義「ボク、悪い人を捕まえるためにいっぱいがんばるよ!」

 うーん、道を間違えているようだが、まだ良いだろう。
 今の内に鍛えておいて、隙を見つけて誘惑する。その日が来るまでゆっくり待つとしよう。
 大王はそんな事を考えつつ、正義少年の家に帰るのであった。



 ―――世界征服への道は遠い。



 第2話「正義と勇気」―完―



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