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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-79

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【上田明也の探偵倶楽部39~神の領域~】

「よっしゃあ!国中佑介の正体がわかったぜ!」
「ていうかマスター、これってあれじゃないですか?
 最初から周りの人間に頼っていれば簡単に発覚した事じゃあ……。」
「良いんだよ、俺の個人的な調べごとに他人を巻き込みたくない。」
「あっそーですか。」

国中佑介
普段は会社員として働いているがその正体は「組織」のF-№0が製作した人間型ホムンクルス。
最近付き合っていた女性との結婚が決まり、そこそこ幸福な模様。
契約都市伝説は『振り袖火事』
ホムンクルスとしては実験作にあたるらしく、炎を操る都市伝説との相性が良くなるように設計されているそうだ。
契約特化型の試作品だが基礎スペックも従来品に負けていない、そうだ。
上田明也の情報収集能力ではどれも確証が取れないが、概ね事実である。

「さあ、それが解ったところでどう料理するか。
 ぶっ殺す、良くないね、その恋人というのが俺の元カノだ。
 そんな真似は無粋極まりない。
 放っておく、悪くない、あいつの妹を殺したのは俺だが、
 それでも彼にはほどほどに幸せに生きて欲しい。
 あいつが俺に仇を討ちに来るように誘いをかける、良いね、最高だ。
 でも結果は最初のそれと同じように最低になることが簡単に予測できる。」
「放っておけば良いじゃないですか。」
「まあね、向こうが仕掛けてくるまでのんびり待つか。
 ああ疲れた、少し寝るぜ。」

吸っていた電子煙草(ストロベリー)の電源を消して、上田明也は昼寝を始めた。




場面は変わって組織内部の図書館の一室
サンジェルマンは先日の小火で燃えたアルバムの復元作業を続けていた。
その隣では橙が妖怪系都市伝説の資料を読んでいる。

「ふひゅー、深刻な主人公の出番不足ですね。」
「何を言っているんだサンジェルマン。」
「気にしてはいけません。ところで聞いてくださいよ、橙さん。」
「なんだ?イクトミに警告喰らったことか?
 お前が何をしようとお前の運命は変わらないよ。
 警告を聞こうと聞くまいとお前が行くところはもう既にきまっている。」
「そうですか。
 貴方に相談すると相談内容を話すまでも無くって楽ですよ。」
「そうかそうか、それは重畳。ちなみにお前死ぬぞ。」
「え゛…………。」
「死ぬ死ぬ、ラプラスの悪魔によると塵も残さず分解される予定になっている。
 お前を殺す都市伝説の名前は……。
 ああ、こいつか。」

橙は丁度読んでいた本をサンジェルマンに投げつけた。

「それだよ、そいつがお前を殺す。」
「……こいつですか。」

サンジェルマンは深くため息を吐いた。





「いやね、正直言ってイクトミにあそこまで言われるとは思ってなかったのですよ。」
「なんだ、お前らしくもない繊細なこと言い出すな?」
「いえいえ私は何時でもデリケートです。
 彼ってば一応神様じゃないですか、彼に警告されるということは私の研究は本当にやばいんだろうなあと思ったんですよ。
 そのうえ研究してもしなくても結果が一緒なんでしょう?
 じゃあ今は黙っているに越したことはないのかなあ……。」
「まったく、お前も小物化が進んだなあ……。
 初期の頃なんて黒幕臭全開だったぞ?
 上田明也達のピンチに都合良く現れてホイホイ力を貸して、
 その裏にまるで何か陰謀でもあるかのような雰囲気醸し出してたのに。
 ―――――――――がっかりだよ!」
「がっかりてなんですか!?
 勝手にがっかりされても困りますってば。
 私は私の望みを叶える為に努力していただけですよ。」
「あとあれだ、じつは元人間って設定にもがっかりだ。
 なんかちょと身近じゃないかこれじゃあ。」
「いや、良いじゃないですか。古代人ですよ!?
 都市伝説の力で栄えた古代文明の生き残りとか十分キャラ立ってますってば!」
「ああ、そういえば都市伝説も『オーパーツ』だもんな。」
「いやー、あれが私の所に引き寄せられた時はびっくりでしたよ。
 なんせ私が人間だった頃には普通に使われていたものばかりですから。
 そのうえそこから派生して物品系都市伝説集まってくるし。」
「ただ高級な武器を湯水の如く乱射するとかなんか戦闘スタイル被ってるんじゃないか?
 ゲーム化した時動きが少なくてつまらないぞ。」
「ゲーム化って何!?」
「あ、もうこんな時間か。私は彼方と少し買い物してくるから大人しく留守番していろよ。」
「え、そんな!?」




橙はそそくさと部屋を出て行ってしまった。
その様子を見てサンジェルマンは少し微笑む。
彼は何時の間にか、偶然とはいえ彼女を救えて良かった、などと人間くさいことを考えていた。

「それにしても、神の領域か……。」

人間が立ち入っては行けない領域。
と、言うよりはこの世に存在する全てが立ち入ってはいけない領域。
それこそ聖杯ではないか。
どうやら自分の試みは順調に動いているらしい。

「くく、ふふ……。
 あはは、あははははははは!
 最高だ、最高じゃないですか!」

サンジェルマンは自らの心が沸き立つのを感じていた。
死ねるというならそれも良し。
試みがうまくいくなら尚良し。
どのみち彼の目的は果たせるのだ。





「良いでしょう。 
 彼女が私の所に来るか、私が彼女の所に行くか。
 結局どちらでも良いのです。
 私の計画は間違いなく進んでいる。
 待っていてください、もうすぐ会えますよ……。」

そう言って胸のペンダントを開く。
中には女性の写真が入っていた。
サンジェルマンが一瞬だけ、普段からは想像もつかないような穏和な表情を浮かべる。

prrrrrrr!
その時、急に電話が鳴る。

「ようサンジェルマン、COAの話なんだけど今大丈夫かい?」

―――――――――来た!

「ええ、幸い研究のペースも落ちてきたところなので、
 サポートが必要でしたらいくらでも大丈夫ですよ。」
「それは良かった、じゃあそろそろ行くわ、ラストダンジョン。」
「ええ、お願いします。あそこには私だと入れませんからね。」
「じゃあこれから頼むものを用意してくれ。
 まず…………。」

人の理を越えて彼等は何処へ行き、何処へ着き、何処で終わるのだろう。
今この瞬間から、上田明也とサンジェルマンの神の領域への挑戦が始まる。
【上田明也の探偵倶楽部39~神の領域~fin】

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