神、とは何なのか
何の権利があって、人間を試し、そして罰するのか
何の権利があって、人間を試し、そして罰するのか
ずっと、それが疑問だった
地球上の人間の大多数が信じ、「教会」が信ずる神
それに、果たしてどれほどの価値があるのか、と
地球上の人間の大多数が信じ、「教会」が信ずる神
それに、果たしてどれほどの価値があるのか、と
傲慢で、嫉妬深く、自分の言う事を聞かない者を罰する
自分を信じなければ罰する
自分以外を信じれば罰する
自分以外の神は全て悪魔
…そんな、心狭き神に、どんな価値があるのか、と
自分を信じなければ罰する
自分以外を信じれば罰する
自分以外の神は全て悪魔
…そんな、心狭き神に、どんな価値があるのか、と
「教会」に所属すれば、それがわかると思っていた
「教会」の中枢に深くもぐりこめば、その価値がわかると思っていた
「教会」の中枢に深くもぐりこめば、その価値がわかると思っていた
だが、現実には
より、その価値を疑う結果しか、見つからなかった
より、その価値を疑う結果しか、見つからなかった
だから、「教会」を離れた
そして、彼らが信ずる神に価値などない、という結論に達した
そして、彼らが信ずる神に価値などない、という結論に達した
…ならば、自分が神となろう
人間を意地悪く試し続ける神など、神にふさわしくない
自分が神を超え、新たな神となってやろう
人間を意地悪く試し続ける神など、神にふさわしくない
自分が神を超え、新たな神となってやろう
それだけのものを積み上げてきた
必要な知識は全てそろえた
目的の為に無数の犠牲の上に立ち、神の座へと近づいた
必要な知識は全てそろえた
目的の為に無数の犠牲の上に立ち、神の座へと近づいた
……だが、まだだ
まだ、足りない
より確実に、神を超えるだけの所業を成し遂げる為
私は、まだ、研究を続けなければならないのだ
まだ、足りない
より確実に、神を超えるだけの所業を成し遂げる為
私は、まだ、研究を続けなければならないのだ
「年貢の納め時だな、ハンニバル」
しゅるり
髪を伸ばし、ハンニバルを睨みつける宏也
不死の仕掛けはわれたのだ
もはや、ハンニバルの絶対的な優位性は、消えた
髪を伸ばし、ハンニバルを睨みつける宏也
不死の仕掛けはわれたのだ
もはや、ハンニバルの絶対的な優位性は、消えた
「……ここで、死ね」
血にまみれた竜の爪を振りかざす朝比奈
狙うは、ハンニバルの持つ鞘
ハンニバルに不死をもたらしている、その力の根源
狙うは、ハンニバルの持つ鞘
ハンニバルに不死をもたらしている、その力の根源
「くっ!!」
朝比奈のその攻撃を、ハンニバルは刀身で受け止める
竜の力をこめた重い一撃に、ハンニバルの腕の骨がミシミシと悲鳴をあげた
竜の力をこめた重い一撃に、ハンニバルの腕の骨がミシミシと悲鳴をあげた
しかし
「ーーーっ舐めるなぁ!!!」
渾身の力をこめて、剣を振るうハンニバル
……今まで、その刃をものともしていなかった、朝比奈の竜の鱗が
……今まで、その刃をものともしていなかった、朝比奈の竜の鱗が
「……!?」
初めて、切り裂かれた
朝比奈の左肩に裂傷が生まれ、ぱっ、と、真っ赤な血があたりに飛び散る
朝比奈の左肩に裂傷が生まれ、ぱっ、と、真っ赤な血があたりに飛び散る
ハンニバルの持つ剣の刀身が、光を放つ
……王権を象徴する剣とも言われる聖剣、エクスカリバー
それが………真の姿を、現したのだろう
もはやその剣は、朝比奈の竜の鱗すらも、紙切れのように切り裂いてしまう
……王権を象徴する剣とも言われる聖剣、エクスカリバー
それが………真の姿を、現したのだろう
もはやその剣は、朝比奈の竜の鱗すらも、紙切れのように切り裂いてしまう
「貴様ら如きに、私の邪魔はさせぬ!!」
「…そう言うんなら、ここから逃げ出してみな……まぁ、この状況じゃ無理だろうがな」
「…そう言うんなら、ここから逃げ出してみな……まぁ、この状況じゃ無理だろうがな」
白髪の男が、ハンニバルを睨みつけながら、接近していく
元は白かったであろう、真っ赤に染まったスーツを纏ったその体が……闇へと、変貌していった
全てを飲み込む、闇そのもの
まるで、ブラックホールのような状態となったそこに、ハンニバルを吸い込もうとするが、素早く距離をとられ、床の一部を消滅させるだけに終わる
元は白かったであろう、真っ赤に染まったスーツを纏ったその体が……闇へと、変貌していった
全てを飲み込む、闇そのもの
まるで、ブラックホールのような状態となったそこに、ハンニバルを吸い込もうとするが、素早く距離をとられ、床の一部を消滅させるだけに終わる
「…マリー・セレスト号の神隠し説の応用といったところか……お前には、あまり接近すべきではないようだな」
「くそ……っ、早いな」
「くそ……っ、早いな」
舌打ちする白髪の男
…ハンニバルのスピードが、早すぎる
この白髪の男、身体能力はさほど高い訳ではない
彼の身体能力では、たとえハンニバルを闇に飲み込もうとしても、間に合わないのだ
せめて、鞘だけでも消滅させたいところだが、ハンニバルはそれを許さない
…ハンニバルのスピードが、早すぎる
この白髪の男、身体能力はさほど高い訳ではない
彼の身体能力では、たとえハンニバルを闇に飲み込もうとしても、間に合わないのだ
せめて、鞘だけでも消滅させたいところだが、ハンニバルはそれを許さない
振るわれる聖剣
生まれる斬撃が、無数の衝撃波となって辺りに散らされる
退路を見つけんとするが如くの無差別攻撃
しかし、宏也の髪がそれらを受け止め、白髪の男が不死の体を生かすように、その身で受け止め
Tさんの白い壁が、直希の呼び出した鎧を纏った天使が、そして、恵が放り投げた携帯電話の爆発が、それらを全て受け止め、ハンニバルに退路を与えない
生まれる斬撃が、無数の衝撃波となって辺りに散らされる
退路を見つけんとするが如くの無差別攻撃
しかし、宏也の髪がそれらを受け止め、白髪の男が不死の体を生かすように、その身で受け止め
Tさんの白い壁が、直希の呼び出した鎧を纏った天使が、そして、恵が放り投げた携帯電話の爆発が、それらを全て受け止め、ハンニバルに退路を与えない
そして、ハンニバルへの攻撃は……彼が、その左手に握ったままの鞘へと、集中する
それさえ破壊してしまえば、もはや、その身が再生する事はないのだから
それさえ破壊してしまえば、もはや、その身が再生する事はないのだから
隙を
何か、致命的な隙でも、生まれなければ
鞘を、破壊する事も、奪う事も…できそうにない
何か、致命的な隙でも、生まれなければ
鞘を、破壊する事も、奪う事も…できそうにない
(あぁ、くそ……お嬢さん達の方は、まだかよ)
最強の目の本体へと向かったはずのヘンリエッタ達
…何か、トラブルでもあったのか
それとも、目の本体がまだ見つかっていないのか
いまだ、ハンニバルの片目は、「最強の目」と呼ばれる力を保ったままだ
こちらの攻撃をことごとく先読みし、最小限の動きでそれを避けてきて、こちらに致命的な攻撃を繰り出してくる
…何か、トラブルでもあったのか
それとも、目の本体がまだ見つかっていないのか
いまだ、ハンニバルの片目は、「最強の目」と呼ばれる力を保ったままだ
こちらの攻撃をことごとく先読みし、最小限の動きでそれを避けてきて、こちらに致命的な攻撃を繰り出してくる
宏也の髪の攻撃をかいくぐって届いた残撃が……宏也のわき腹を、えぐった
「っぐ……」
大量の血を吐き出し、膝をつく宏也
……あと、1回
それで、賢者の石の力を、使い切ってしまう
……あと、1回
それで、賢者の石の力を、使い切ってしまう
あぁ、まったく
死ぬ訳にはいかないというのに
生きて帰らなければ、ならないというのに
死ぬ訳にはいかないというのに
生きて帰らなければ、ならないというのに
……かつては、この命捨ててでも、と考えていたが
今はこんなにも、命が惜しい
今はこんなにも、命が惜しい
「……まぁ、やるしかないんだがな」
賢者の石が、わき腹の傷を再生させる
弱弱しくなった赤い光を見下ろして…宏也は小さく、苦笑した
弱弱しくなった赤い光を見下ろして…宏也は小さく、苦笑した
……この状況において、自分がするべき事を、辰也は考える
恵ですら、戦っている
だというのに…自分はいまだ、体がまともに動かない
「13階段」を発動させる事すら、ままならない
………何も、できないとでも言うのか
ぎり、と、血がにじみ出るほど拳を握り締め、辰也はハンニバルを睨みつける
恵ですら、戦っている
だというのに…自分はいまだ、体がまともに動かない
「13階段」を発動させる事すら、ままならない
………何も、できないとでも言うのか
ぎり、と、血がにじみ出るほど拳を握り締め、辰也はハンニバルを睨みつける
「…辰也」
ぎゅう、と
辰也を庇うように、護るように、抱きしめてくる恵
傍らに立つジャッカロープも、毛を逆立たせ、いざとなれば額の角で攻撃せんと言う体勢だ
辰也を庇うように、護るように、抱きしめてくる恵
傍らに立つジャッカロープも、毛を逆立たせ、いざとなれば額の角で攻撃せんと言う体勢だ
…このまま、自分は何もできないのか?
じ、とハンニバルを睨み、戦況を見極めながら、辰也は必死に考える
そして
じ、とハンニバルを睨み、戦況を見極めながら、辰也は必死に考える
そして
「………」
…っとん、と
指先が動く事を、確認すると
モールス信号でも送るかのように……とととん、と
軽く、床を叩き始めた
指先が動く事を、確認すると
モールス信号でも送るかのように……とととん、と
軽く、床を叩き始めた
鞘へと伸ばされる髪
即座に切り落とされる
白髪の男が召喚した巨大な海月の触手が、無数に鞘に伸びる
すべて、切り落とされた
鞘毎燃やし尽くそうと吐き出された炎のブレスは、直前で避けられる
即座に切り落とされる
白髪の男が召喚した巨大な海月の触手が、無数に鞘に伸びる
すべて、切り落とされた
鞘毎燃やし尽くそうと吐き出された炎のブレスは、直前で避けられる
集中攻撃を前に、ハンニバルは息一つ乱すことなく、鞘を護り続けている
時間差で攻撃を繰り出しても、同じ
片目が全ての攻撃をとらえ、的確な反応を見せてくる
時間差で攻撃を繰り出しても、同じ
片目が全ての攻撃をとらえ、的確な反応を見せてくる
……さて、どうする
肩で息をしながら、宏也はハンニバルの隙をうかがい
肩で息をしながら、宏也はハンニバルの隙をうかがい
(……ん?)
…耳が、拾ったそれに、小さく笑う
あぁ、そうか
それじゃあ……任せようか
あぁ、そうか
それじゃあ……任せようか
「いい加減に……退かせてもらおうか」
ハンニバルが、剣を振るう
だが、逃がさない
髪を伸ばし、駆け出そうとした脚に絡みつかせようとする
一瞬で、切り裂かれる髪
その隙に、朝比奈が接近し爪を振るうも、鞘を狙った左半身への攻撃に、ハンニバルが剣を盾にして防いだ
聖剣の刀身に、大きくヒビが入る
ヒビの入った刀身で無理矢理に朝比奈を切りつけ軽い裂傷を負わせ、ハンニバルは一度剣を鞘に収めようとして…
だが、逃がさない
髪を伸ばし、駆け出そうとした脚に絡みつかせようとする
一瞬で、切り裂かれる髪
その隙に、朝比奈が接近し爪を振るうも、鞘を狙った左半身への攻撃に、ハンニバルが剣を盾にして防いだ
聖剣の刀身に、大きくヒビが入る
ヒビの入った刀身で無理矢理に朝比奈を切りつけ軽い裂傷を負わせ、ハンニバルは一度剣を鞘に収めようとして…
「破ぁっ!!!」
白い光が、ハンニバルに襲い掛かる
刀身によって、光は受け止められ……ヒビが入っていた剣の刀身は、粉々に砕け散った
ハンニバルは舌打ちし、根元がわずかに残った剣を鞘に収めた直後
刀身によって、光は受け止められ……ヒビが入っていた剣の刀身は、粉々に砕け散った
ハンニバルは舌打ちし、根元がわずかに残った剣を鞘に収めた直後
「----ッ這い出ろ、「13階段」!!!」
辰也の叫び声に、一瞬、動きが止まる
辰也の「13階段」の隠し玉である、かつて引きずり込んだ亡者達を操る能力は、H-No.2との戦闘を観察していて確認した
ただでさえ、数で押されている状況、これ以上手数を増やされては、敵わない
ハンニバルは、警戒心をにじませて剣を鞘から引き抜き、階段方向を睨みつけ…
辰也の「13階段」の隠し玉である、かつて引きずり込んだ亡者達を操る能力は、H-No.2との戦闘を観察していて確認した
ただでさえ、数で押されている状況、これ以上手数を増やされては、敵わない
ハンニバルは、警戒心をにじませて剣を鞘から引き抜き、階段方向を睨みつけ…
そこから
亡者が現れる気配は、ない
亡者が現れる気配は、ない
「……な」
「悪いな」
「悪いな」
気づけば
ハンニバルの目の前に、宏也が接近してきて
ハンニバルの目の前に、宏也が接近してきて
「あいつは、てめぇの息子である以上に…………俺の、弟分なんだよ」
せんみつと呼ばれた男、H-No.360、広瀬 宏也
プロジェクト 「Intentionally Piece」の唯一の成功例にして、最大の失敗作である大嘘つきの、弟分の、嘘に……ハンニバルは、引っかかってしまったのだ
それによって生まれた致命的な隙を、宏也が見逃すはずもなく
プロジェクト 「Intentionally Piece」の唯一の成功例にして、最大の失敗作である大嘘つきの、弟分の、嘘に……ハンニバルは、引っかかってしまったのだ
それによって生まれた致命的な隙を、宏也が見逃すはずもなく
左腕が、鞘ごと髪で絡め取られた
直後、左腕が骨ごと切り裂かれ
エクスカリバーの鞘が…ハンニバルの手から、離れた
エクスカリバーの鞘が…ハンニバルの手から、離れた
「貴様ぁっ!!」
「っ!」
「っ!」
すぱぁんっ、と
宏也の左肩から右わき腹に、かけて
大きな裂傷が生まれた
致命的なダメージに……鞘を破壊しきる事が敵わぬまま、全身の力が抜ける
宏也の左肩から右わき腹に、かけて
大きな裂傷が生まれた
致命的なダメージに……鞘を破壊しきる事が敵わぬまま、全身の力が抜ける
ばしゃん!!と
白髪の男の能力で撒き散らされたままだった海水の上に、鞘が落下した
白髪の男の能力で撒き散らされたままだった海水の上に、鞘が落下した
ハンニバルが、残った右腕で、激痛に耐えながら、鞘に手を伸ばす
宏也が、朝比奈が、鞘を破壊せんと動くのだが…………ハンニバルの方が、早い
宏也が、朝比奈が、鞘を破壊せんと動くのだが…………ハンニバルの方が、早い
その手が、鞘に届こうとした、その時
白い手が
エクスカリバーの鞘を、掴んだ
エクスカリバーの鞘を、掴んだ
「……な」
そのすぐ下は、床のはずだと言うのに
海面から……手が
白い、女性の手が、現れたのだ
それは、鞘をしっかりと掴み……海面へと、ゆっくり、沈んでいく
海面から……手が
白い、女性の手が、現れたのだ
それは、鞘をしっかりと掴み……海面へと、ゆっくり、沈んでいく
…それは、妖精の手
かつて、アーサー王に剣を与え、そしてその死の直後、彼の部下によって湖に放り投げられた剣を回収したと言われる妖精の手
かつて、アーサー王に剣を与え、そしてその死の直後、彼の部下によって湖に放り投げられた剣を回収したと言われる妖精の手
それは、かつてと同じように……エクスカリバーの鞘を回収していく
まるで
もはや、ハンニバルに
その剣を扱う資格は、ないとでも言うように
もはや、ハンニバルに
その剣を扱う資格は、ないとでも言うように
「……っ湖の乙女ぇ……!私に一方的に力を与えておきながら…………私を裏切るのかぁ!!!」
ハンニバルの、叫びに
白い手は、一瞬、悲しげに震えて
白い手は、一瞬、悲しげに震えて
しかし、ちゃぷんっ、と
……鞘を掴んだまま……水の中に、消えた
……鞘を掴んだまま……水の中に、消えた
「ぐ、ぁ………」
失った左腕
出血が止まらない
その命が、見る見る失われていく
出血が止まらない
その命が、見る見る失われていく
だが、それでも、ハンニバルは足掻く
最期の抵抗とでも言うように、賢者の石で傷口を再生させていく宏也に……狙いを、絞った
まるで、その身を道連れにしようとでも言うように、剣を構える
最期の抵抗とでも言うように、賢者の石で傷口を再生させていく宏也に……狙いを、絞った
まるで、その身を道連れにしようとでも言うように、剣を構える
「---ただでは、死なぬ……………貴様も、死ねぇっ!!!」
「ッ冗談……男と心中する気なんざねぇよ!!」
「ッ冗談……男と心中する気なんざねぇよ!!」
傷口を再生させ、体こそ動かないが
ざわり、能力で伸ばした髪で、ハンニバルを迎撃しようとする宏也
ハンニバルは、その動きを片目で見極めようとして
ざわり、能力で伸ばした髪で、ハンニバルを迎撃しようとする宏也
ハンニバルは、その動きを片目で見極めようとして
「………な、に?」
…見えない
目に関する、複数の都市伝説の力を有していたはずの、他者から奪った、その片目は
その効力を……いつのまにか、完全に、失っていた
ただの目となったそれは、先読みの力も失っている
目に関する、複数の都市伝説の力を有していたはずの、他者から奪った、その片目は
その効力を……いつのまにか、完全に、失っていた
ただの目となったそれは、先読みの力も失っている
「何故だ……何故、視えぬっ!?」
「…お嬢さん達が、うまくやってくれたらしいなぁ?」
「…お嬢さん達が、うまくやってくれたらしいなぁ?」
くっく、と宏也は笑って
その髪が………ハンニバルの全身を、覆った
その髪が………ハンニバルの全身を、覆った
「-----あばよ、狂人。二度と蘇ってくるんじゃねぇ」
その全身が、ズタズタに引き裂かれていく
肉片と化したそれが、大量の血と共に、辺りに散らされていく
からん、と、右手に握られていたエクスカリバーが、床に落下した
肉片と化したそれが、大量の血と共に、辺りに散らされていく
からん、と、右手に握られていたエクスカリバーが、床に落下した
…首だけが
無傷のまま、宙へと放り投げられて
無傷のまま、宙へと放り投げられて
……呆然とした表情の、それに
憎悪のこめられた炎のブレスが、吐きつけられた
避ける事などできるはずもなく、ハンニバルの首は、一瞬で焼き尽くされる
憎悪のこめられた炎のブレスが、吐きつけられた
避ける事などできるはずもなく、ハンニバルの首は、一瞬で焼き尽くされる
…炭と化したそれらは……白髪の男が生み出した闇へと、飲み込まれた
どこまでも自分勝手に、全てを犠牲にし続けた狂人
それに与えられたのは…もはや、どんな手段を使っても、復活することが許されぬ、完膚無きまでの死
それに与えられたのは…もはや、どんな手段を使っても、復活することが許されぬ、完膚無きまでの死
それは、無慈悲な死か、それとも、慈悲深き死だったのか
……それを判断できる者は、いない
……それを判断できる者は、いない
to be … ?