獄門寺や紗江達と別れ、徹とユキはアパートまでの道のりを歩いていた。
ユキにケーキを食べさせてやれたし、年は離れているが、契約者の知り合いも出来た。
ただ…カオスとトラウマの混合物のような出来事のインパクトが強すぎて、素晴らしい制服の記憶は消し飛んでいた。
ただ…カオスとトラウマの混合物のような出来事のインパクトが強すぎて、素晴らしい制服の記憶は消し飛んでいた。
女装していた青年を助けに来た二人のうち、大魔王…もとい、父親らしき壮年の男性を思い出す。
(………父親、か)
かつて、父と呼んでいた男を思い出す。
―あの男は、愛人を作って家を出て行った。
母と自分を置いて。
家にいる事もなく、構ってもらった記憶も無いので、個人的には特に思う事は無いのだが…あの男が母を捨てたことだけは許せなかった。
あの男が出て行ったせいで、母は――
母と自分を置いて。
家にいる事もなく、構ってもらった記憶も無いので、個人的には特に思う事は無いのだが…あの男が母を捨てたことだけは許せなかった。
あの男が出て行ったせいで、母は――
『あんたの…あんたのせいであの人が出て行ったのよ!』
『馬鹿なこと言わないで。あんなのを可愛いと思った事なんて一度もないわ!』
『あんたなんて、産むんじゃなかった…!』
記憶の断片が、現在の彼の精神を徐々に侵食していって―
そっと、温かな手が拳に触れた。
「…ぬ、主様…?どうかなさったのですか?」
ユキが、心配そうにこちらを見ていた。
無意識のうちに白くなるまで握りしめていた拳を、ゆるゆると開く。
「――いや、なんでもない。気にするな」
「……そう、ですか…」
それでもユキは、徹を心配そうに見つめていた。
「…ぬ、主様…?どうかなさったのですか?」
ユキが、心配そうにこちらを見ていた。
無意識のうちに白くなるまで握りしめていた拳を、ゆるゆると開く。
「――いや、なんでもない。気にするな」
「……そう、ですか…」
それでもユキは、徹を心配そうに見つめていた。
続く…?