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連載 - 花子さんと契約した男の話-56a

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「…東京湾に沈められるとかならなくて、本当に良かったと思います」
「……東京湾に沈めるには、ドラム缶にでも入れてコンクリ詰めにする必要があるから、手間がかかるだろうが。ただ簀巻きにした場合は、家の裏に捨てるだけだ」
「先輩の冗談は珍しいけど、聞いてて怖いです」
「えー、若って優しいよね。東京湾に沈める場合は、バラバラにしてからコンクリ詰めでしょ?」
「小学生の冗談の方が怖かった!?」

 …とりあえず
 雨村は、英語の宿題を聞きに来たのと、セクハラから逃れたいだかで、家に泊まりたいようで
 家の敷地内で「顎砕き飴」の能力を使わないことを条件に、許可しておいた
 親父達は、勘違いして騒ぎ出す前に物理的に黙らせておいたので問題ない

「…ここ、文法が間違ってる」
「あ、はい」

 どうやら、雨村は英語が苦手らしい
 俺でも間違いを指摘できる範囲で、時々間違っている

「それと、これ綴り違うよ」
「さすがに、小学生相手に間違いを指摘されたくないで…」
「……間違っている」

 辞典を開いて、間違いを指摘する
 …雨村は、無言でその間違いを修正しはじめた
 海造が、やや得意げだ
 まぁ、海造はエスカレータ式の学校に通ってて、小学生の段階から英語もやってるからな…
 ただ、さすがに海造相手に間違いを指摘されたのはショックだったのか、雨村がややいじけているようにも見える

 …花子さんも、そろそろ退屈になってきてるな

「海造、お前の宿題は一段落ついたんだし、悪いが、花子さんの相手をしてやっていてくれないか?」
「あ、いいよ。他の人には見られないように、だよね?」
「…頼む」
「み??遊んでくれるの?」

 かっくん、首をかしげた花子さんに、うん、と頷いた海造
 みー♪と嬉しそうな花子さんの手を引いて、海造は部屋から出て行く
 同じくらいの年齢…花子さんは外見年齢だが…だから、微笑ましく見えた
 その感想は、雨村も同じだったのだろうか
 小さく笑ったように見えた

 ……カリカリと
 しばし、シャープペンが紙の上を走る音だけが部屋に響く

「……先輩」

 …と
 沈黙に耐えられなくなったかのように、雨村が口を開く

「何だ?」
「…先輩は、こう言うお家の人だから…許婚とか、いたりするんですか?」

 ………
 突然、何を言い出すんだ、こいつは

「…今のところは、いない」
「……今のところは、ですか」

 そう
 今はまだ、いない
 ただ、そのうち見合いの話とかがくる可能性はない訳ではない

「先輩に、恋人が先に出来れば。そう言う話は、来ないんでしょうか」
「…かもしれないが。出来ることはないだろうからな」

 俺なんかと付き合いたいと思う女がいるとは思えないし
 …軽々しく、誰かと付き合うなど、考えるべきではない

「……そんな事、ないですよ」

 かたん、と
 雨村が、シャープペンを置いた
 そっと、手を伸ばしてくる

「…何でしたら、私が、それに立候補しt」


 どすっ!!!!


 ………
 …雨村の手を、包囲するかのように
 天井から降ってきた棒手裏剣が、ちゃぶ台に突き刺さった

 雨村が、硬直しているのがわかる

「…蛇城さん、いつからそこに?」
「はじめからです」

 天井に問い掛ければ、天井裏から答えが返ってくる
 …相変わらず、蛇城さんは気配を消すのがうまい
 俺には、とてもじゃないが真似できないレベルだ
 俺の知っている範囲では、ぬらの次に気配を消すのがうまい気がする

「とりあえず、カタギの人間相手なんだから、棒手裏剣じゃなくて、普通の手裏剣にしてやってくれ」
「…考えておきます」

 帰ってきた返事に、俺は小さく苦笑して
 硬直して、だらだら冷や汗を流しているいる雨村の手の周りの棒手裏剣を、ちゃぶ台から抜いていくのだった





多分続く








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