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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-42

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【電磁人の韻律詩42~ラプラスの悪魔~】

原因があるから事象がある。
事象はすべからく原因と化す。
この物語の最初に述べた通り、それは自明のことなのだ。
不完全ながら私との契約を可能にした少女もそんな世の中の法則で動いているし、
この物語の主人公もそんな法則の中で動いている。

だが、世の中にはそんな法則を越えた理不尽が少なからずいる。

たとえば世界を征服したアレキサンダー
たとえば日の沈まぬ国を陥落させたドレイク
不確定性原理を提唱したハイゼンベルク
全て私の能力を超えて力を発揮してきた人間だ。
ここで挙げてきた人間は歴史に名を残した人々ばかりだが、
当然歴史に名を残さなくても因果を越えた人間存在は居る。
それこそがこの物語の最後の敵。







前回の話より遡ること三日前、明日真は笛吹探偵事務所の前に立っていた。
自らを鍛えた上田明久に焚きつけられて、彼は上田明也に勝負を挑むことにしたのだ。
本来であれば明日を止めるはずの恋路が明日真との痴話喧嘩で居ないことも彼の無茶を支えていたことは否定できない。

「……よし、行ってみるか。」

上田明久は自ら笛吹探偵事務所に電話して明日が来る旨を告げていた。
同時に
「正面から真面目に戦わないとお父さん遊びに行っちゃうぞー」
と宣って明也を戦慄させていたので明日に上田からの不意打ちの心配は無くなっていた。
明日真は迷うことなく探偵事務所につながるエレベーターのボタンを押した。

「来たか、明日真。」

エレベーターの扉が開くと少女が待っていた。
赤毛の少女、橙レイモン。
ラプラスの悪魔の契約者。

「ってレモンか。所長は居るのか?」
「橙レイモンだ、今回の私は笛吹探偵事務所警備担当。つまりお前の相手だよ。
 私を倒さなければ上田とは戦えないと思ってくれ。」
「いや、俺はあいつと戦いに……。」
「冷静に考えてみろ明日真、上田明久が出た時点で我らが所長は絶対に勝負に来ない。
 彼の無茶苦茶さは君自身が最も知っているはずだ。」
「でもだからってお前が俺と戦うっていうのか?」
「ああ、それが上田明也が上田明久と会わないでお前との戦いを終わらせる方法だからな。」

そう言ってレモンは明日の背後に向けて指でコインを撃ち出した。





「あ痛ッ!」
「予測通り、息子が妙な真似をしようとしないか監視する為に来ていたか。」
「あ、明久さん!?何処に隠れていたんです?」
「私の能力の管理下から逃れうる人間は居ないぞ!」
「くっそ……、明也の奴良い仲間持ってるんじゃねえか。
 隠れるのは別にちょっと昔戦った忍者の技を真似ただけだ。」

額に当たったコインの痕をなでさするサムライポニーテールの大男。
上田明久である。
彼は息子が自らの弟子に対して卑怯な手を使わないように見張りに来ていたのだ。

「ところで念のために聞いておこう上田明久。
 私が上田明也と戦う前に彼と戦っても問題無いよな?
 なんせ私はこの事務所の警備担当な訳だから不審者を排除する義務がある。」
「だが俺のお膳立てした俺の息子と俺の弟子の勝負を邪魔する権利はないな。」
「ああ、だが始まらなければ勝負じゃないだろう?」
「お嬢ちゃん、何か勘違いしているようだが……。
 それはお嬢ちゃんが俺より強くなければ成り立たない話じゃねえか?」
「何を言っているんだ上田明久。私とお前では役者が違う。」
「はっ、ガキのくせにこの俺に対して大口叩くじゃあ……」
「―――――ウォーリーを探さないで。」

そう言った瞬間、上田明久は明日真の前から姿を消した。





「やれやれ、何時までも若い気で居る老人というのは迷惑な物だよ。」
「…………嘘だろ?」
「これが現実だ、受け入れろ。」

明日真はレイモンと面識がある。
だが明日はレイモンが戦闘能力を持っているなどと思いもしていなかった。
だからあの圧倒的な強さを持つ上田明久を一瞬で消し去った彼女の能力に明日真はただただ驚いた。

「さて、次はお前の番だ。
 抵抗しても良いぞ?
 どこかの探偵と違って私は容赦しないし優しくないからな。
 侵入者が来たらすぐ排除、シンプルで良いだろう?」
「まて……!」

レイモンが指を鳴らす。
次の瞬間、明日真の姿はビルの中から消えた。





「……ここは?」
「私の能力で作った空間だよ。まあウォーリーを探せの一ページだが。」

ブリキの兵隊
黒髭危機一髪
五体バラバラになった兎のぬいぐるみ
目玉のとれたリカちゃん人形
マジンガーゼット
そのどれもが巨大
何時の間にか明日真は巨大なおもちゃ箱の中に立っていた。


「私を一歩でも歩かせたら上田に会わせてやる。」

レモンはそこら辺に転がっていた人間と同じ大きさのBB弾を蹴飛ばす。
それが玩具の携帯電話にぶつかって携帯電話の上に置いてあった箱が倒れる。
その中に入っていた沢山のビーズが明日とレイモンに降り注ぐ。

「うぉ!?危ない!」
「安心しろ、当たっても死にはしない。」

ビーズと言っても当然巨大。
当たればそれなりに痛いし、打ち所が悪ければ怪我もするだろう。
だから明日真は必死でそれから逃げ回る。




「くっそ……!」

一瞬マイクロ波を撃とうとする明日。
だが彼女がまだ子供であるという意識が彼にそれを躊躇わせる。
次の瞬間、降り注ぐビーズの一つが明日の頭を直撃した。
明日は吹き飛ばされて熊のぬいぐるみにぶつかる。

「おいおい頼むぞ明日真。
 仮にもうちの所長を倒そうという男がそんな事では困る。
 私を倒さなくては所長も倒せないんだからな。」
「言われなくてもやってやる!」

マイクロ波の射出能力の応用。
明日はマイクロ波に変換する前の体内を巡る電流を使い、肉体を活性化させる。
強化された肉体で明日真は転がってくるビーズを飛び越えてレイモンに迫る。

「だがそれも想定済みだ。」

降り注ぐ大量のビーズのうちの一つをレイモンは懐から取り出したエアガンで撃つ。





カツン
それはわずかに軌道を変えて熊のぬいぐるみに引っかかっていたビーズにぶつかる。
カツン
そのビーズは転がって穴が空いた大きなビーズにぶつかる。
カツン
そして大きなビーズは三角の積み木の上に乗ったスプーンにおちる。
すかさずレモンがブリキの兵隊が何故か持っていた子供銀行の巨大な十円玉を撃ち抜く。
それはブリキの兵隊の掌から落ちて下にある積み木の上に置いてあったスプーンの柄の部分にぶつかる。

シーソーのようにしてスプーンの上のビーズが空中を飛ぶ。
―――――――直感
それが間違いなく自分に向いていると明日真は直感だけで気付いた。
彼は横っ飛びに飛ぶ。

「うわっ、危ないじゃねえか!」
「いやいや、危ないのはお前だよ明日真。
 私にはなんでお前がそれを避けたのか理解出来ない。」

カツン
降り注いだビーズが穴あきビーズにぶつかってその軌道を空中で変えた。

「うわあああああああああああ!!!」

予想できない攻撃に、明日真は押しつぶされると思って目をつぶった。





「……あれ?」

明日真は辺りを見回す。
視界はピンク一色で染められていた。
彼は穴あきビーズの穴の中に嵌ってしまっていたのだ。

「まったく、これでチェックメイトか明日真?
 まあここで止めておけば無傷で帰れるぞ。」
「そんな訳無いだろ!」
「オーケー、じゃあ怪我して帰れ。」

そう言った瞬間、レイモンの近くに巨大ロボが倒れ込んでくる。
巨大なマジンガーゼットの超合金玩具だ。

「やっと来たか。」

それは丁度良くレモンの手の届くところにロケットパンチのスイッチがついていた。
そしてロケットパンチは丁度良く明日真の方を向いていた。
バネの勢いよく跳ねる音。

「うなーれー、鉄拳ロケットパンチ~。」

ロケットパンチが明日真の入っているビーズを撃ち抜いた。



「うぉわああああああああ!!!」

ロケットパンチのサイズが成人男性の拳骨くらいだとすると
明日真のサイズは現在成人男性の小指くらいである。
明日真はビーズごと簡単に吹き飛ばされた。

彼は既におもちゃ箱の底に全身を打ち付けてボロボロである。
しかしレイモンは戦闘が始まってから一歩も動いていない。
すでに勝負は付いていた。

「おや、もう駄目かな?生きてるか明日真?」
「………………。」

返事はない。

「うぉおおおおおおおおおお!」

突然、レイモンの後ろから明日真が現れる。
明日真はロケットパンチがあたって吹き飛んだビーズの中からこっそり逃げ出していたのだ。
そして明日真はそこら辺に落ちていた巨大なビーズを投げつけようとする。

「だがそれも予想済みだったけどね。」





レモンがエアガンで明日の手を撃ち抜く。
そしてビーズが明日の手から落ちた。

「これで潰されて……!?」

その時、レイモンの予知が外れた。
レモンの予知では明日がそのビーズに押しつぶされてその勝負は終わるはずだったのだ。

「ビーズはフェイント、本命は直接お前を捕まえることだよッ!」

レイモンには反応できない早さで明日が近づいてくる。
レイモンはエアガンで明日を撃とうとしたがそれも全て躱される。

「おっしゃあ、捕まえた―――――ゼッ!」

レモンは近くに有った剣の刺さった黒髭危機一髪の剣にエアガンを撃ち込む。
黒髭危機一髪が明日に直撃した。

「……思ったより危なかったかな。」
「く、そ……。」

明日真はそれ以上動けなくなってその場で気絶した。






次に明日が眼を覚ますと明日は家の前に投げ捨てられていた。
普段なら恋路が回収してくれるのだが今は諸事情の為彼女は家に居ないのだ。

「俺、あの子供にも負けたのかよ……。
 俺の修行ってなんだったんだ……。」

明日真は大いに落ち込んで家のドアを開ける。
ドアをあけると何故か玄関にはスケ番風の金髪カチューシャお姉さんが立っていた。

「よう少年、大分落ち込んでるみたいじゃねえか。
 そういえば磁力を使えばピッキングなんて楽勝だよね。」
「笹木さんじゃないですか。なにやってんですか。」
「家に上がれよ、お姉さんがお片付けくらいはしておいてやったぞ。
 しかし少年がこんなエロ本読んでいたなんて……。」
「そこ俺の家です!
 ていうか何勝手に上がり込んでるんですか!」
「ジャンプでも良くいるだろう、押しかけ女房。」
「誰のせいで恋路が出て行ったと思ってるんです!」
「私は恋敵を追い出しただけだ、私は何も悪くない。」

笹木は明日より背が高い為に話そうとするとどうしても見下ろす形になる。
笹木の艶やかな唇が喋る度に揺れる。
だが明日はどうしても胸に視線が釘付けになっている。
とりあえず家に入らないとどうしようもないので明日は家の中に入ることにした。




ちなみにその頃の上田明久は

「ウォオオオオオオオオオオリィィィィイイイイイイイイイイイ!
 もっと戦えええええええええええええ!」
「うわ、こっちくんな!」
「あれがジャパニーズサムライ……。」
「お前ら逃げるぞ!」
「俺に構うな先に行け!」
「数の力で押しつぶせば勝てるって!」
「いや無理だから!」
「何あれ、無双乱舞つかってるよ絶対!」
「ていうか常に無総ゲージマックスなんじゃねえの!?」
「りょ、りょ、呂布だああああああああ!」
「おらおらお前ら奇跡の一つくらい起こしてみやがれ!」
「命だけは助けてえええええ!」
「駄目だああああああああああ!
 これでも手加減してやってるんだからもっと頑張りやがれええええええ!」

ウォーリーをさがせの世界の内部にいる偽ウォーリー達のほとんどを切り倒していた。
彼がウォーリーをさがせの世界を自力で破壊して出てくるのはこの十分後のことである。

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