「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 神力秘詞-04

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
日光が差し始める時間
ハートの模様が施された机、箪笥、ベッド、カーテン、etc...
そして至るところに置かれた、ウサギやクマなどの可愛らしいぬいぐるみ
それを抱きしめて寝ている、これまたハート柄のパジャマを着た、セミショートの小柄な少女
こうして見ると、何とも可愛らしい寝姿なのだが

「んんぅ・・・・にぃにぃ・・・・v」

少し表現を変えれば、見方はガラリと変わるだろう
兄が買った箪笥
兄が選んだパジャマ
兄が作ったぬいぐるみ
兄が触れたカーテン
全て、愛する兄に関係したもの
目に見えるものに留まらず、押入れの中は兄から盗んだもので溢れかえっている
兄の脱ぎたてパンツ、兄の使った歯ブラシ、兄の入った風呂の残り湯、エトセトラ、エトセトラ。
そして、起床時刻を知らせるアラームは、兄の声を録音したもの

《ねぇ麻夜、朝だよ?起きて?》
《ねぇ麻夜、朝だよ?起きて?》
「あぁんにぃにぃvv 私、にぃにぃに囲まれてるよぉvv
  にぃにぃがいっぱい・・・にぃにぃがいっぱいぃ・・・しあわせvvv」
《ねぇ麻夜、朝だよ?起きて?》
《ねぇ麻夜、朝だよ?起きて?》
「ねぇ麻夜、朝だよ?起きて?」
「にぃにぃvv大好きぃvvv・・・・・・あれ?」

コンコン

「どうしたの麻夜、朝だよ?起きて?」

咄嗟に飛び起き、携帯電話のアラームを止める

「に、ににににぃにぃありがとぉ! い、今起きたところ!」
「そっか、御飯覚めちゃうから、早くおいで」
「は、はぁい・・・」

ベッドから降り、フラつきながら濡れたパジャマを脱ぎ、
ピンクの半袖シャツと青いミニスカートに着替えると、
少女―――神崎 麻夜は、兄の待つ食卓へと向かった








              【 神 力 秘 詞 】
            四之巻 ~妹 之 底 力~







(麻夜>いっただっきまーす♪

手を合わせて元気良く言うと、箸を取って最初に味噌汁を啜る

(麻夜>~♪ にぃにぃの味噌汁サイコー♪
(漢>あはは、でもいつもと同じだよ?
(麻夜>そんなことないよ、今日の味噌汁はおいしいよ!
    こんなにおいしい味噌汁が飲めるなんて、にぃにぃの妹で良かった♪
(漢>そ、そんな・・・ぐすん
(麻夜>えぇ!? な、泣かないでよにぃにぃ・・・
(漢>ご、ごめん、嬉しくてつい・・・ぼ、僕も、麻夜が妹で良かったよ
(麻夜>もぉ、にぃにぃってばぁv

とても微笑ましい光景
しかし脳内を覗けば

(麻夜>(ひゃうぅ・・・にぃにぃ可愛すぎるぅ・・・下着変えなくて正解だったかも・・・)
(漢>? 麻夜、どうかした?
(麻夜>え? ううん、なんでもないw あ、このお漬物もグー!
(漢>そ、それは市販のお漬物だよ・・・?




    †    †    †    †    †    †




(漢>い、いい、麻夜? し、知らない人が来たら、ドアを開けちゃダメ、だよ?
(麻夜>もぉ、私はこの春中学生なんだからね?
    心配しないで、行ってらっしゃーい♪
(漢>・・・そ、それも、そうだね・・・じゃあ、行ってきます

買い物バックを持って、ドアを閉める漢
食材と少しの日用品を買いに、早々と歩み始めた
学校町が物騒な町だと分かった今、妹を長時間1人にしておく訳にはいかない
とはいっても、2人暮らしなので家を空っぽにする訳にもいかない
1秒でも早く家に帰らなければ
そう自分に言い聞かせながら、彼は目的地へと向かったのだった









数時間後
ショッピングを終え、家路についた漢
ポケットをまさぐり、何かを探している

(漢>あ、あれ・・・携帯、忘れちゃったのかな・・・?
   麻夜に連絡、したいのに・・・

ごそごそと尚もポケットを漁る
予想以上に遅くなってしまったので、麻夜の安否が気になる漢
何も無ければいいのだが・・・
願いつつ、彼は歩を進める

(漢>・・・ん?

この間のように電柱にぶつかる事の無いよう、ふと前を見ると、1人の女性が立っていた
3月も終わる頃だというのに、赤いコートを着た女性
半分はマスクで覆われているが、その顔はとても美しいように見える
女性は、漢に向けて問い掛けた

(女性>・・・ねぇ、私って、綺麗?
(漢>え? えっと、はい、綺麗だと思います――――あっ!?

答え終えた瞬間は既に遅かった

(女性>これでもぉ?

マスクを取った女性は、耳まで口の裂けた醜い顔―――「口裂け女」だった

(漢>とっ、都市、伝説・・・!
(口裂け女>キャキャキャキャキャ・・・あんたもおんなじ顔にしてあげるわぁ!!

不気味な笑い声をあげ、右手に鎌を持ち、目にも止まらぬ速さで襲いかかる「口裂け女」
本能でその一振りを避けると、漢は背中を塀にぶつけ、顔を歪める

(口裂け女>逃げないでよ、すぐに終わるから・・・ねぇ!
(漢>うわっ!

塀に触れた左手を突き出すと、『壁』という字が彼の掌で輝き、
薄く平らな、しかし丈夫で堅い、文字通り“壁”を作り、「口裂け女」の一撃を受け止めた

(口裂け女>ちぃっ、契約者だったのね・・・でも守るだけじゃあ!

尚も鎌を振るい続ける「口裂け女」
漢は壁の存在を維持し、盾のようにして斬撃を防ぐ
そして、敵の手が止まった隙をついて、右手で文字を書く
たった二画のその文字は、

(漢>・・・できた・・・『刀』!

白く輝き、すらりと伸びた刃が現れる
それを右手に持ち、「口裂け女」に向けて振りかぶった
刀と鎌がぶつかり、火花を散らす

(口裂け女>へぇ、面白い能力持ってるじゃない・・・!
(漢>ひ、人を、襲うのは・・・もう、やめて、ください!
(口裂け女>は? 何言ってるの? 止められる訳ないじゃない
      そういう噂から生まれてるんだから、ねぇっ!

鎌で弾き飛ばされたが、体勢を崩さないようにし、

(漢>そう、ですか・・・なら・・・ご、ごめんなさい!

足に力を込め、「口裂け女」に斬りかかった
スパッ!!―――――と、風を斬る音が響く

(漢>え・・・?
(口裂け女>キャキャキャキャ! 何で謝ってたのかしらぁ!?

100m3秒という驚異的な速さで漢の背後に周った「口裂け女」は、
ギラリ、と血の混じった銀色が光る鎌を、彼に向けて切り裂こうとした

―――――ごめんね、麻夜

強く、目を瞑った時だった


「ポマァァァァァァァァァァァド!!」


甲高い、大きな声に驚いて目を開く
目の前には何も無かったので振り返ると、遥か向こうには倒れた「口裂け女」が
そして手前には、ミニスカートとセミショートヘアの見知った少女の後姿

(漢>・・・麻、夜・・・?

自宅で留守番をしている筈の妹――神崎 麻夜がそこにいた

(口裂け女>くっ、今度は何なのよ!?
(麻夜>うるさい、おばさん!!
(口裂け女>おばっ・・・
(麻夜>私のたった1人のにぃにぃを殺そうとするなんて・・・絶対許さないから!!
(口裂け女>だ・・・誰がおばさんよぉ!?

得物を構え、恐るべきスピードで麻夜に迫る「口裂け女」
あまりの速さ故、彼女は逃げる暇も無かった

(漢>ま、麻夜! 逃げt――――――

―――否
そもそも逃げる気などなかったのだ
迫りくる「口裂け女」の顔面に、小さな拳がめり込む
「口裂け女」はさっき立っていた場所へと殴り飛ばされた

(口裂け女>カハッ・・・な、一体何が・・・ッ!?

太陽光が見えなくなった瞬間に身の危険を感じ、地面を蹴ってその場を離れる
彼女が見たものは、轟音を立てながら道路を破壊した少女の姿
裂けた口が、自然と開きっぱなしになってしまう

(口裂け女>け・・・契約者、でも何でもない、のに・・・!?
(麻夜>ねぇ、どぉして逃げるの? 私は早く・・・あんたを踏み潰したいんだけど?

可愛らしい容姿からは見当もつかないような、恐ろしい形相で睨む
思わず「口裂け女」は、ひっ、と声を上げ、また自慢の脚力で視界から消えた

(麻夜>待ちなさいよ!!
(口裂け女>あ゙がぁっ!?

少女の回し蹴りが、鈍い音を響かせながら「口裂け女」の頸部を捉えた
塀に打ちつけられ、血を流しながら座り込むそれは、
僅かにピクピクと痙攣し、口から泡を噴き出している
その口に突っ込むように、麻夜は彼女の顔面に蹴りを入れた
何度も、何度、何度も何度も何度も

(麻夜>私のっ! 私の大事な、にぃにぃを! 傷つけようとした変態さんは!
    皆、皆、みぃんな! 潰れちゃえ!! 潰れちゃえぇ!!!

既に形の残っていないそれに、トドメの一撃を刺す
瞬間、塀がガラガラと「口裂け女」を埋めるように崩れ、
その下から、光の粒がぱぁっ、と湧きあがったかと思うと、それらはすぐに虚空へと消えていった

(麻夜>・・・へぇ、死に際だけは綺麗なんだ・・・

少女は、にたりと笑って呟いた

(漢>・・・麻夜?

恐る恐る、自分の妹に声をかける漢
そんな麻夜は、兄の声を聞いた瞬間に我に返り、

(麻夜>え、あ、あの、にぃにぃ、これはね、その・・・

慌てふためき始めた
化物を殺したり、道や塀を壊したり、残酷な事を言ったり・・・
自分は、兄に嫌われてしまうんじゃないだろうか
それが、彼女は怖かった
でも

(漢>・・・怪我は、ない?
(麻夜>う、うん、平気、だよ?
(漢>そっか・・・よかった

彼は、麻夜をきゅっ、と優しく抱きしめた

(麻夜>ふあ・・・に、にぃにぃ・・・?
(漢>ごめん、ね・・・僕の所為で、僕が弱い所為で、怖い思いをさせて・・・
   ホントは僕が、麻夜を守ってあげなきゃ、ダメなのに・・・

ほろり
零れた涙が、麻夜の背に落ちてゆく
弱々しく謝り続ける兄の声を聞いて、彼女の心も、込み上げる感情を抑えられずに

(麻夜>わ・・・私、こそ・・・にぃにぃに、嫌なもの、見せてぇ・・・ごめんなさぃ・・・
(漢>麻夜は、悪く、ないよ・・・僕を、助けてくれた、んだから・・・
(麻夜>でも・・・でもぉ・・・
「あのぉ・・・お取り込み中すみませーん」

声を聞き、その方向を見ると、そこにはいつもの黒尽くめの少年

(漢+麻>「「あ、裂兄ぃ」」
(裂邪>申し上げ難いんだけど、もうすぐ人来るから、帰った方がいいと思うぜ?
(漢>あ、そ、そうなの?
(麻夜>なんでそんなこと分かるの?
(裂邪>それよりそっちのことを詳しく教えてくださいorz




    †    †    †    †    †    †




帰宅後―――

(漢>ほ、ホントに、ごめんね・・・僕が、携帯忘れたばっかりに・・・
(麻夜>もぉ、いいからいいから。にぃにぃが困ってたら、いつでも助けてあげるから♪
(漢>ありがとう・・・僕も、麻夜のこと、守ってあげるから
   もう、怖い思いはさせたくないから・・・
   あ、夕飯の仕度、するけど・・・食べられそう?
(麻夜>にぃにぃの料理が食べられない訳ないじゃない!
    たっくさん作っても、残さず全部食べちゃうから♪
(漢>食べすぎは、身体に毒だよ?
(麻夜>だーかーらぁ、にぃにぃの料理は毒なんかじゃないって!

言い合って、互いに笑い出す

―――この笑顔を、守って生きたい

兄妹は、心の中でそう誓った

(麻夜>あ、えっと、一度部屋に戻ってていい?
(漢>うん、その間に準備しておくから
(麻夜>ありがとー♪

彼女は、自分の部屋へと比較的早足で向かう
ぱたんとドアを閉め、ぼふっとベッドに倒れこむ

(麻夜>っはぁ・・・・・はぁ・・・・・ぁはぁあっ・・・・・んっ・・・

呼吸が絶え絶えになっており、苦しそうだ・・・が、何処か色っぽい

(麻夜>んふぅ・・・にぃにぃ、反則だよぉ・・・いきなり、抱きしめるなんてぇ・・・vv
    もぉ、パンツびちゃびちゃぁ・・・重くてずり落ちそう・・・v

下着を脱ぎ、替えの下着を取り出そうとするが、

(麻夜>・・・お風呂まで、ノーパンでもいいよね・・・v

止め、今度はシャツを脱いでそれを抱きしめて再び寝転がる

(麻夜>あはぁ、にぃにぃに抱かれたシャツぅ・・・にぃにぃの涙ぁ・・・v
    これ一生の宝物にしよっとvvv

丸めたシャツに顔を埋め、思いっきり息を吸った後、顔を上げて

(麻夜>・・・・・・私ぃ・・・・・・変態さんかもぉ・・・v

小さく、新発見したかのように驚いて呟いた




    †    †    †    †    †    †




(裂邪>――――――って次第なんだけど、どう?
(蓮華>《どう、と聞かれましても・・・》

漢達と別れた裂邪は、蓮華に電話をかけていた。何やら、深刻そうな表情である

(蓮華>《私としては、“幼気”であると断定したいのですが》
(裂邪>やっぱりk―――『したい』、って?
(蓮華>《一般人、つまり都市伝説と契約していない人間にしては、威力が強すぎるように思えます
    そもそも我々のような飲まれていない純粋な人間が、
    幼気を使いこなしているという事実も信じられません》
(裂邪>そんな繊細なもんなのか?
(蓮華>《ここまで使いこなすのに数十年かけましたからね》
(裂邪>・・・蓮華ちゃん、年幾つ?
(蓮華>《女性に年齢は聞かないものです。少なくともR-No.0よりは若いです》
(ローゼ>《蓮華ちゃん!?》
(裂邪>・・・まぁ、とりあえず分かったわ。ありがと

ピッ、と通話を切る

(裂邪>・・・ハァ、どんどん歪む俺ワールド・・・

不安そうな様子を装い、内心楽しみにしながら、裂邪は家路を辿tt

(シェイド>悪人ッポイ
(裂邪>黙れよ!?

     ...物語猶続

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