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連載 - 我が願いに踊れ贄共・とある格闘家の邂逅-07

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 ……さて
 無事、樹と誠の師弟喧嘩は、終了した
 街の損壊具合的にさっぱり無事じゃないし、強制終了させられたのだ、と言う事実はさておき

「ま、とりあえず。うっかり街を壊したのはさておき」
「さておいていい問題じゃない」

 うん、さておき、だ
 弟子の突込みを、樹は華麗にスルーする

「大きくなったな、カイン」

 わしゃわしゃと、やや乱暴に、その一番弟子…カインの頭をなでる
 18年ぶりの再会
 しかし、それでもはっきりとカインだとわかるほどに、面影がはっきりとしていた

「イツキ、俺はもう、今年で22歳だぞ」

 子供のような扱いに、カインはやや、ふてくされたような表情を浮かべる
 こんな様子も、昔と変わらない
 あの頃のまま、純粋なままに育ったのだろう
 それを、樹ははっきりと感じ取った

「まぁ、気にするなっての。俺から見りゃあ、お前くらいの歳なんて、まだまだお子様よ」
「……俺と、同じくらいの外見の癖に……と、言うか、どうして樹は18年前から、外見がまったく変わっていないんだ」
「ほら、お前ら西洋人から見て、日本人って若く見えるんだろ?そのせいだよ」
「…いや、多分、そう言う問題じゃないと思うんだが…」

 納得いっていない様子のカインに、樹はくっくと笑ってみせる
 …あぁ、どこまでも、昔と変わらない
 あの子供の頃のまま、ただ大きくなったようにも見える

「しっかし、お前、まさか日本に来てたとはな」
「あぁ、少し、仕事で」
「……仕事、ねぇ」

 ちらり、カインの胸元に視線をやる樹
 …カインの胸元では、銀のロザリオが揺れていた

 どこかで、見た事があるようなデザインのロザリオだ
 ……かすかに、不吉な予感を覚える

「…なぁ、マリアちゃん、元気か?」


 その
 樹の、問いかけに
 カインの体が………小さく、跳ねた


 視線をそらされ、樹はいぶかしげな表情を浮かべる
 …まさか

「おい、カイン、まさかだが…」
「……姉さん、は……………死んだ。もう、この世には……いない」
「………っ」

 まさか
 彼女が?

 樹の記憶の中で、いつも笑っていた、可愛らしい少女
 彼女が……死んだ?

「おい、どう言う事だっ!?」
「…姉さんは……10年前に、俺よりも先に孤児院を出て………何が起こったのかは、知らない。だが、俺がそれを知った時には……もう、埋葬されていた」

 俯くカインの表情は、声は……暗い

 ……当たり前だろう
 マリア・ディーフェンベーカーは、カインのたった一人の家族だった
 それを失って……しかし、カインはその理由すらも、知らされていないのだ

 悲しみが、カインを支配している
 それを、樹ははっきりと理解した

「…悪ぃ。辛い事、思い出させたな」
「……イツキが謝る必要は、ない。イツキは、姉さんの事も、心配してくれたんだろう?」

 樹を見上げてくるカイン
 …かすかに、笑顔を浮かべてくれてはいる
 だが、無理をしているのが、はっきりと伝わってきてしまう

「姉さんも、イツキの事を心配していた。どこかで行き倒れてはいないか、とか、のたれ死んではいないか、とか」
「…そうか……優しい子だったからな、マリアちゃん」

 やや美化された想い出を振り返る樹
 今度、ヨーロッパに行った時にでも…墓参り、させてもらおう

「カイン」
「…?」
「俺ぁ、しばらく、この学校町に居る。何かあったら、力になってやるから……ちゃんと、誰かに頼れよ?」

 樹の、その言葉に
 かすかに笑みを浮かべたまま、頷いたカイン

 しかし、その笑顔は、やはり、無理をしているもので
 ……そして、ふと目を離せば、その瞬間消えてしまいそうなほどに、儚いものだった



 帰っていくカインの、後姿を見送る
 …ぱたぱたと小鳥が飛んで来て、カインの肩に止まっているのが、見えた

「…鳥ってのは、鳥目なんじゃなかったか?」

 普通の小鳥じゃないのだろうか?
 ……まったく、厄介な事になっている

「……丁の奴に、マリアちゃんの死因を調査…………いや、そこまでやらせる訳にはいかねぇか……嫌な予感がする」

 思い出せ
 カインが下げていた、銀のロザリオの事を
 あれは、どこかで見た事がある
 そう、確か、ヨーロッパに古くからある、都市伝説組織の…

「………「教会」?」

 己の弟子が、あそこの一員になっているのか?
 推定できるその事実に……樹はただ、不吉な予感だけを覚えるのだった




to be … ?



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