日も落ちきった、学校町
その、都市伝説と遭遇しやすい危険な時間帯を、一人、歩いている青年
その、都市伝説と遭遇しやすい危険な時間帯を、一人、歩いている青年
…西洋人的な顔立ちに、翡翠色の瞳
西洋系にしては、やや身長が低い
肩には、小さな小鳥がちょこん、と大人しくとまっている
西洋系にしては、やや身長が低い
肩には、小さな小鳥がちょこん、と大人しくとまっている
やや足早に、歩いていた青年
街は、しぃん、と静まり返って…
街は、しぃん、と静まり返って…
…静まり返っていたの、だが
どぉん!!と
響いた、爆音にも似た音
響いた、爆音にも似た音
「…っ!?」
爆音に驚いたのか、肩に止まっていた小鳥が飛び立つ
青年は音が響いた方向に、慌てて視線を向けた
青年は音が響いた方向に、慌てて視線を向けた
そう遠くない位置で、誰かが戦っているような、気配
明らかに……関わらない方が良いであろう、気配
明らかに……関わらない方が良いであろう、気配
しかし、青年は、音が響いた方向へと、駆け出した
ごぉう!と
二つの「気」が、ぶつかり合い
次の瞬間には、拳がぶつかり合う
二つの「気」が、ぶつかり合い
次の瞬間には、拳がぶつかり合う
超人級に鍛えられた、無差別格闘技・禰門流の継承者、禰門 樹
その樹の二人目の弟子であり、樹から技の大半を盗み覚えた存在である、清川 誠
その樹の二人目の弟子であり、樹から技の大半を盗み覚えた存在である、清川 誠
……この二人が、本気で師弟喧嘩をした時
それも、周囲の被害など、一切合財気にせず師弟喧嘩した、その時
………その被害は、都市伝説同士や、契約者同士のバトルに、勝るとも劣らない
それも、周囲の被害など、一切合財気にせず師弟喧嘩した、その時
………その被害は、都市伝説同士や、契約者同士のバトルに、勝るとも劣らない
(……っち)
技をぶつけ合いながら…誠は、小さく舌打ちした
互いに、全力で技をぶつけ合う戦い
どちらの方が、消耗が激しいか?
…それは、誠だ
どちらの方が、消耗が激しいか?
…それは、誠だ
確かに、誠は今まで、決して怠る事なく鍛錬し続けた
しかし、それでもなお……樹は、遠い
さらにさらに、高みに存在し続けている
自分の親ほどの年齢のはずのその相手に、まだ、追いつけていない事実
それを、はっきりと感じ取る
しかし、それでもなお……樹は、遠い
さらにさらに、高みに存在し続けている
自分の親ほどの年齢のはずのその相手に、まだ、追いつけていない事実
それを、はっきりと感じ取る
このまま戦い続ければ、確実に自分が敗北する
それだけは、避けたい
それだけは、避けたい
ならば、どうするか?
………大技で、一気に決める!!
防御に回る誠
樹の拳を避け続ける
踏むは、螺旋のステップ
中心へ、中心へと
樹を、誘い込もうとする
樹の拳を避け続ける
踏むは、螺旋のステップ
中心へ、中心へと
樹を、誘い込もうとする
かつて、某組織の某マッスル禿相手に、大きなダメージを与えた技
それをくらえば、いかに樹と言えど…!
それをくらえば、いかに樹と言えど…!
それを繰り出すことによる、周囲の被害など、誠は考えもせずに
ただ、それに集中し、誘い込み……
ただ、それに集中し、誘い込み……
「………イツキ?」
聞き覚えのない声に、ふと、動きが鈍った
隙を作ってしまった、と後悔したが……その声に反応したのは、樹も同じだった
隙を作ってしまった、と後悔したが……その声に反応したのは、樹も同じだった
「へ?」
その声の方向に、視線を向けている樹
誠も、つられたようにそちらに視線を向けた
戦場が、一瞬、止まる
誠も、つられたようにそちらに視線を向けた
戦場が、一瞬、止まる
…そこにいたのは、翡翠色の瞳をした、西洋人と思わしき青年だった
樹と同じ、翡翠色の、瞳
それが、驚きで見開かれている
樹と同じ、翡翠色の、瞳
それが、驚きで見開かれている
「イツキ…やっぱり、イツキか?」
「その、目………それに、成長してもちっこい体、カインかごがふっ!!??」
「その、目………それに、成長してもちっこい体、カインかごがふっ!!??」
どごっ!
…わりと容赦なく繰り出された、とび膝蹴りで
樹の体が、あっけなく蹴り飛ばされた
…わりと容赦なく繰り出された、とび膝蹴りで
樹の体が、あっけなく蹴り飛ばされた
「………誰が、小さい、と?」
「っぐ………いい蹴りしていやがる。性格的な問題さえなければ、もっと色々と教えてやったのに……っ」
「っぐ………いい蹴りしていやがる。性格的な問題さえなければ、もっと色々と教えてやったのに……っ」
めし、と
先ほどまで、自分が苦戦していた相手が、結構容赦なく踏みにじられている様子に
先ほどまで、自分が苦戦していた相手が、結構容赦なく踏みにじられている様子に
「…何だかなぁ」
はぁ、と誠は小さくため息をついた
…何もかもが、馬鹿らしくなってくる
…何もかもが、馬鹿らしくなってくる
とりあえず、さっさと帰ろう
そう考え、踏みにじられている樹に、背を向けようとしたが
そう考え、踏みにじられている樹に、背を向けようとしたが
「待て、誠。まだ話は終わっちゃいねぇぞ」
ぐ、と
踏みにじってきていたカインの足をどけさせ、樹は立ち上がった
とび膝蹴りがまともにヒットしていたように見えたが、ダメージはあまりないようだ
…化け物め、と誠はこっそりと考える
踏みにじってきていたカインの足をどけさせ、樹は立ち上がった
とび膝蹴りがまともにヒットしていたように見えたが、ダメージはあまりないようだ
…化け物め、と誠はこっそりと考える
「もう充分だろ、さっさと帰らせろ」
「馬鹿野郎。まだ、俺は一発もまともにお前を殴れていねぇ……その性根、何がなんでも叩きなおさないと駄目だからな」
「っは………そろそろ、棺桶に片脚突っ込む歳なんだから、無理しない方がいいんじゃないのか?」
「馬鹿野郎。まだ、俺は一発もまともにお前を殴れていねぇ……その性根、何がなんでも叩きなおさないと駄目だからな」
「っは………そろそろ、棺桶に片脚突っ込む歳なんだから、無理しない方がいいんじゃないのか?」
いや、まぁ、それよりはちょっと若いのかもしれないが
…樹は、どう若作りしているのか知らないが、見た目通りの年齢ではないのだ
正直、百歳越していると言われても、誠は驚かない
……これで、都市伝説と契約したり、都市伝説の影響を受けたり…と言った事がないと言うのだから、そちらの法が驚きだ
関わったことなら、あるらしいが
…樹は、どう若作りしているのか知らないが、見た目通りの年齢ではないのだ
正直、百歳越していると言われても、誠は驚かない
……これで、都市伝説と契約したり、都市伝説の影響を受けたり…と言った事がないと言うのだから、そちらの法が驚きだ
関わったことなら、あるらしいが
「俺はあと半世紀は生きるっつっただろ。まだまだ、お前みたいな若ぇもんには負けねぇよ」
---ゆらり
互いに、殺意をまとう
まったく、仕方ない
それならば、こちらも、意地でも叩きのめすだけで……
互いに、殺意をまとう
まったく、仕方ない
それならば、こちらも、意地でも叩きのめすだけで……
「………いい加減に、しろっ!!」
カインの怒声が、響き渡った
ビリビリと、空気が振動するような錯覚
同時に、押しつぶされそうな息苦しさを感じた
どこかで、似たようなものを味わった事があるような錯覚を、誠は覚える
ビリビリと、空気が振動するような錯覚
同時に、押しつぶされそうな息苦しさを感じた
どこかで、似たようなものを味わった事があるような錯覚を、誠は覚える
「イツキも、そっちの男も……っ!この辺りの破損は全部お前らの仕業だろう!?」
怒鳴られ
改めて、誠と樹は、周囲を見回した
改めて、誠と樹は、周囲を見回した
…えー…
移動しながら戦っていた記憶はあるのだが
こんなに壊したっけ?
道とか塀とか電信柱とか……
移動しながら戦っていた記憶はあるのだが
こんなに壊したっけ?
道とか塀とか電信柱とか……
………
「御免なさい」
「謝るべきは俺相手じゃないだろ!」
「謝るべきは俺相手じゃないだろ!」
即効で、カインに土下座している樹の姿に
誠は改めて、これ以上、樹と喧嘩し続ける気力が失せたのだった
誠は改めて、これ以上、樹と喧嘩し続ける気力が失せたのだった
困った事だが、まだ続く