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連載 - プレダトリー・カウアード-15

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uranaishi

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プレダトリー・カウアード 日常編 15


「弟、昼だ」

 お昼休み、姉ちゃんが高らかに宣言する。

「分かってるよ、姉ちゃん」
「ああ。今日は姉ちゃん、弟のためにお弁当を作ってきたぞ」
「……………………え?」

 ――固まった。
 姉ちゃんが……弁当?
 あの超絶不器用な姉ちゃんが……?

「ごめん姉ちゃん、僕もうテンプレ的な流れしか想像できないや」
「それを打破してこその私だろう」

 言って、姉ちゃんはずんと巨大な黒い何かを僕の机の上に置いた。
 黒いソレは、漆的なもので塗られた四段重ねの塔。
 分かりやすく言えば、重箱だった。

「姉ちゃん、これどう見てもお弁当初挑戦の人が挑んでいいものじゃないよね」
「私をそんな型にはめるな。器量がしれるぞ、弟よ」

 お弁当の内容も型にはまってないといいんだけど、と呟いて、試しに最上段の蓋を開けて見る。

「………………………………」

 ――――閉めた。
 うん……そうだよね、やっぱりテンプレって大事だよね……。

「どうしたー? 姉ちゃんの愛情がたっぷりのお弁当だぞー?」

 愛情だけで料理は出来ないんだよ、姉ちゃん。

「あのさ姉ちゃん、ちゃんと味見はした?」
「ああ」

 したんだ。
 してこれだったんだ…………。

「学校・美人の姉・手作り弁当」
「後はあーんで完成だな」
「これなんてエロゲ」

 三エロが羨ましそうな目でこちらを見ている。
 ついでに五十嵐君も日直さんもアリスちゃんも見ていた。
 ――――ただし遠巻きに。
 みんなの裏切りものめ…………。

「さぁ弟、姉ちゃんが食べさせてやろう」

 いつの間にか重箱が四つに分離し、姉ちゃんの手にはお箸が握られている。
 完全にグーで握り締められたお箸。作法にうるさい人がみたら卒倒しそうだ。
 そのお箸の先には、黒い物体Xが摘まれていた。

 Q.人は炭を食べられますか?
 A.根性で頑張りましょう。

「ほうら弟、あーん」

 迫りくるお箸。迫り来る炭。
 ……僕はその日、ちょっとだけ根性を出した。


【Continued...】




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