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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ※ただしイケメンに限る-12

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【平唯の人間観察 第十三話前編「捜索」】

「本当にこんな山の中に居るんですか?」
「正直、私も解らないよ。ハーメルンの笛吹きというのは本来町の辺りに出現する筈だ。
 その上此処まで標高が高いところなら鼠だって……。
 ん、待てよ?
 ああ……そういうことか。」
「どうしたんです?」

ヘリで降りた先は雪の積もった山のど真ん中だった。
かなりの標高らしくとてつもなく寒かったのだが、サンジェルマンがくれたコートや靴のお陰でいつもと変わらないレベルで運動が出来る。
現在時刻は午後二時三十分、私たちが山を登り始めて三十分ほど経っていた。

「ハーメルンの笛吹き男の都市伝説には色々有ってね。
 どれも共通点は子供達が失踪したって所なんだが……
 そのうちの一つに子供達は土砂崩れで失踪したって物がある。
 もしかしたらメルとか言う奴は本来そういう存在だったのかも解らないね。」
「ということは此処で能力使われたら……。」
「うん、雪崩が起きる可能性も有る。」
「……………。」
「おいおい、ブルー入ってるな妹よ。
 もうちょっと緩く行こうぜ緩く。
 雪崩くらいは私がどうとでもしてやるさ。
 それよりお前はちゃあんと説得頼むぜ。」
「へ、は、はい……。」

一応自分はサバイバル訓練とかも組織で受けているが……。
雪崩に巻き込まれてはそれも意味がない。
この人ならなんとかできるらしいが、それでも少しばかり背筋に冷たい物が走る。





「なんだ、まだ固いなあ。じゃあちょっと楽しいトークでもしながら山に登ろうぜ。
 それとも歌うか?
 あっる~日、森のー中ー♪」

先ほどのカラオケの時から思っていたが……。
この人、滅茶苦茶音痴だ。
しかも気付いていない。
これは私が言ってあげるべきなのだろうか?
でも姉とはいえそもそもさっき会ったばかりの人に私が言うべきことなんだろうか?
いきなり会った腹違いの妹に
「歌、意外と下手ですよね。」
とか言われたら流石に彼女だって傷つくに決まって……?
なんでそんな悲しそうな顔でこっちを見つめているのだ。

「……下手、かな。」

やべえ、既に口に出していたのか!?
思ってたことを口からポロッと出してしまってたのか?
やばい、この空気やばい。
寒いなんてもんじゃない。
全てが停止する絶対零度。

「い、いやほら!あれですよ!」
「良いんだよ、歌が下手なのは別にさ……。迷惑だったよね。
 すぐに馴染んで貰えるようにハイテンションキャラで行こうかと思ったんだけどウザカッたかな?
 そうだよね、ほんとゴメンネ……。」

もうやだこの人扱いづらい。





「あれですよ、まずお互いのことをもっと知るところから初めて見ませんか?」
「ふむ、というと?」
「だって考えても見てください。
 私はついこの間まで貴方の存在を知らなかったんですよ?
 貴方がどんな人かも解らない。
 姉だと言うこともまだ信じきれない。
 話のしようがないじゃないですか。」
「むぅ、それもそうか。
 っていうかお前はあれか、生まれてすぐに預けられたんだっけ?」
「ええ、今の両親の所に。最近聞いたばかりですよ。」
「私は母親が私の小さい時に死んでしまってな。
 一応は病気だったと聞いている。
 それ以降は組織のFナンバーの作った組織所属契約者のための託児所の前身になった施設で育てられた。
 お前の師匠の鵲崎のねーちゃんが普段働いているアレな。」
「ああ……あそこですか。」
「親父はその頃にはもう別の女と結婚しててな、お前らの母親らしいけど。
 なんか私の母親とは結婚できない事情が有ったらしいが私はそれもハッキリ教えられてない。
 鵲崎のねーちゃんとしては親父に腹が立ったらしいが、
 『この子に罪はない』とか男前なこと言い出して私を育て始めて、
 そのままあの託児所も作ったらしい。
 予算はサンジェルマンを締め上げて出させたそうだ。」
「よわっ!サンジェルマンよわっ!?」
「F-№はトップがちゃらんぽらーんだからな。」
「確かに……。」
「で、生まれた時から何故か契約していた都市伝説の力が注目されて、
 F-№の秘密兵器として運用されることになり、戦いの人生の中で今に至ると。」

……意外と重たい過去をお持ちだった。
さっき酷いことを言ってしまってごめんなさい。





「お前はどうなのだ妹よ。
 今まで養子に出されていて苦労とかしてなかったのか?」
「いえ、私は……。」

ぬくぬくと。
何も無く平和に恙なく普通の人として。
ああ、そうだ。
あの日、人を殺してしまうまではまともに生きていた。
肩に積もっていた雪の結晶みたく汚れることも知らずにただ漫然と日々を過ごしていた。
それを引け目に感じる必要は無いはずなのに。
むしろ胸を張って誇って良いはずなのに。
お父さんお母さん、守ってくれてありがとうと言えば良いだけなのに。
その間、私の姉を名乗る彼女は闘い続けていたと言っていた。
私の兄だという彼と同じように。
戦う対象が主に他者だったか自己だったかの違いこそあれ、闘い続ける人生が苦痛なのは間違いない。
二人が辛い思いをしていた間、私は一体何を……。

「私は、普通に幸せに生きてました。」
「そっか、それなら良かった。」

月見さんは嬉しそうに笑った。
その笑顔がめーちゃんにそっくりだった。
普段の好戦的な、ひねくれた、シニカルな笑いではない。
子供みたいな透き通って優しい微笑み。





「……ん、少し屈んでいろ。」
「どうしたんです?」
「良いから早くしろ。」

月見さんが私の肩に手をかけてそのまましゃがみ込む。
月見さんは結構背が高いのだが私たちは問題無く木立の隙間に隠れることができた。

「居たか?」
「いや、こっちには居なかったぞ。」
「しかし妨害電波が酷いな……。」
「妨害電波って言うか磁場嵐が発生してて計器類が全部いかれてるらしいぜ。
 おかげでハーメルンの笛吹きも見失っちまった。」
「学校町の事件以降増えているからな。
 一体でも確保できれば我々としても楽なのだが……。」
「ああ、そうだな。」

遠くから人の声が聞こえる。
私たち以外にもメルちゃんを探しに来ている人が居るのか?

「……やばいな。ありゃ組織の人間じゃねえ。」
「『組織』以外にも都市伝説に関わる集団が居るんですか?」
「おうよ、でかいのだと『アメリカ政府の陰謀論』とか。
 この国の都市伝説関係機関、№6を実験体に使っていた所だな、そことかもだ。
 一応『組織』とは不可侵ないし同盟関係らしいんだが……。
 お互いの利権がぶつかることが多いからな、実のところあまり、な。
 私の可愛い弟、そしてお前の愛する兄は、身元不明のフリー契約者ってことになってるから、
 結構その国家機関相手に工作活動を依頼されてたみたいだな。」

私のお兄ちゃんは私の知らないところで大冒険してたようです。





「今回の相手は……、解らないな。
 そもそも日本語使ってる相手って時点で大分絞られるんだがね。
 少なくとも組織じゃないみたいだ。」
「こっちに近づいてくる。……戦っても大丈夫なんですか?」
「ああ、ただし今回戦うのはお前じゃない。
 お前の仕事はハーメルンの笛吹きの説得だ。
 私が戦う。お前は少しそこで待っていろ。動くなよ?」
「解りました。」

私は小さくなってその場で蹲る。
月見さんがその場で腰を落として何やら掌にエネルギーを溜めている。

「覇ァッ!」

黒い光が遠くにいた謎の集団に直撃する。
大爆発。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

月美さんは途轍もない熱量を持った黒い光をその爆発した場所めがけて撃ちまくる。
一撃であれ程の爆発が起きていたんだからきっとこの攻撃の後にはペンペン草も生えてないに違いない。
辺りが焼け野原に変わってから、彼女はやっと攻撃をやめた。

「さて、ざっとこんなもんだろう。」
「なんですか今のカメハメ波?」
「私の能力でダークマターの光を照射しただけだよ。
 科学的な理屈は滅茶苦茶面倒くさいからサンジェルマンにしか説明できないんだ。
 そもそもダークマターって表現も便宜上のものでな。
 普通存在しないはずの太陽の属性を持つレアな都市伝説らしい。」





「そんな珍しいならホイホイ使うのは不味いんじゃないですか?」
「逆だな、一度使ったらFナンバー以外全ての目撃者をぶち殺す必要があるんだよ。」
「成る程……。」
「さ、生存者捜すぞ。
 お前の能力で情報引きずり出してから始末する。」
「……了解です。」

当然、生存者どころか死体さえ見つからなかった。
これでもしメルちゃん巻き込んで殺してたらどうする気だったんだろう。
いや、そっちの方が彼女としては好都合なのか。
彼女は面倒だから殺したがっているみたいだし。
月美さんの胸ポケットの無線から声が聞こえる。
笹木さんの起こしている磁気嵐が一時的に解除されてるらしい。

「おうどうした笹木?
 ていうか私たち以外にハーメルンの笛吹きを探しに来ている奴らが居るぞ?」
「ああ、ビックリだな。偶然にせよ何にせよ全員殺すしか無くなったぞ?」
「望むところだ。弟によって強くなった今のメルが他の組織に渡る方が大変なことになる。
 大量虐殺も理想国家も思うままに作り出せるんだからな。」
「まったくだ、ちなみに今の派手な爆発のお陰で他の潜入部隊も燻り出せた。
 このヘリに積んである近代兵器を試しても良いが……。
 お前……やる?」
「良いや、笹木に任せる。」
「解った。お前の能力はあんまり簡単に使うなよ?」
「了解。」

通話が切れる。
月美さんがポケットに無線をしまった。
【平唯の人間観察 第十三話前編「捜索」fin】



【平唯の人間観察 第十三話後編「発見」fin】

山の中は真っ白な雪景色。
先ほどの爆発でほとんどの生命体が死滅した死の世界。
死者に捧げる色は白と黒だが炭化した木々と降りしきる白は成る程、誂えたようである。

「あっ。」
「ん?」
「はわわわ!」
「居ました月美さん。あそこです。」
「ん……、本当だ。イケメンって目が良いんだな。」

それは気のせいです。
と、言おうとしたのだがその前に月美さんはメルちゃんを捕まえるために走り始めた。
飛ぶように速い、ていうか空飛んでる。
足から何かジェットのような物が出てる、まるで鉄腕アトムだ。

「キャアアアアアアア!助けてえええええええ!」
「げへへへ、お嬢ちゃん、泣き叫んでも無駄だぜ?
 なんせここには俺たち以外誰も居ないんだからなあ!」

あ、メルちゃん捕まった。
月美さんは彼女を小脇に抱えたまま戻ってきた。

「あ、唯さん!唯さんじゃないですかぁ!助けてくださいよぅ!」
「へっへっへ、邪魔する気か妹よ?
 言っておくが私は小さい女の子が大好きだぞ?」

面倒くさいがどうやら私が突っ込みに回るしかないらしい。諦めるとしよう。






「ほらほらメルちゃんこっちおいで。」
「うわーん!」
「妹よ、それは私の獲物だぞ!」
「唯さん、この人誰なんですかぁ?」

月美さんの腕から必死で転がり出てきたメルちゃんを庇うように私が前に立つ。
メルちゃんは手を滅茶苦茶卑猥にワキワキさせながらにじり寄ってくる月美さんを見て脅えている。
彼女は私が前会った時と同じように気弱で可愛らしい少女のままだった。

「この人は影山月美さん、私の姉だそうです。」
「姉?」
「そうだそうだ、ちなみにお前の前の契約者の姉でもあるそうだ。
 事情は複雑だから聞くな。」
「むっ、そう言われてみればさっきの手つきと言いその目つきといいそっくりな……。
 それよりも助けてください唯さん!
 上田さんの所を離れてからと言う物酷い目に遭いっぱなしでもう散々なんですよ!
 だから何処か適当に身を寄せる場所は無いでしょうか?
 でも上田さんの所には帰りませんからね!」
「ああ、それなら……。」

私はメルちゃんに今回何故私たちがメルちゃんを探しに来たのかを説明した。
とりあえず安全な生活が待っているならば喜んでついて行くとメルちゃんは頷いた。

「……すんなり話がまとまったな。流石イケメン。」

期待していたらしい戦闘が無くなって月見さんはちょっぴり残念そうだった。





「じゃあこの後は笹木さんが来るまで待機ですか?」
「ああ、そうなるな。」
「笹木さんって誰ですかぁ?」
「私の担当黒服の人だよ、信用できる人だから安心してね。」
「そうですか、まあさっきまで知らない人に追いかけられてたんで助けてくれるならもう誰でも良いです。」
「遠くからヘリの音が聞こえる……、笹木の奴もうそろそろ来るぞ。」
「あっ、本当……ってあれなんですか!?」
「でかっ!滅茶苦茶でかいぞ!」
「ああ……、この山の主ですね。さっきの爆撃で起きちゃったんじゃないですか?」

無線が再び起動する。
笹木さんからの連絡だ。

「なんか野生のすごい都市伝説見つけちゃったんだけど。
 なにこれ、何このでかいの。
 ていうかお前ら助けろ、助けなさい、助けてください。」
「笹木お前、磁力バリアーとか使えないのかよ。」
「この山全体にさっきまで使ってたから無理、これ以上使ったらマジでエネルギー切れになる。」
「限界まで頑張れってこの前、師匠自身が言ってたじゃないですか!
 ほんとこっち連れてくるなよ!一人で何とかしろよ!」
「唯ちゃんがいつもの口調じゃない!?」
「助けに来たんじゃないんですか?信用できる人じゃないんですか?」
「笹木マジ使えないわー。」
「娘のように育てた後輩に使えない呼ばわりされるだと!?
 ふぇええええええん!」

無線では笹木さんが泣きそうな声出しているが、正直こちらの方が泣きたい。
こちらに向けて全身に真っ白い毛を生やした全長20mくらいの巨大な猿が歩いてきているのだ。
ビッグフットとか雪男ってレベルじゃないぞこれ。





「解った、解ったからとりあえず私たちを乗せろ!」
「グスン、どうせ俺なんて駄目なんだよ、駄目駄目なんだよ。」
「師匠がいじけた!誰のせいだ!」
「……間違いなくこいつらのせいだ。」
「あ、ヘリから縄梯子的なあれが!」
「なんだかんだいって仕事はするからな、あいつ。
 とりあえずあの巨大な雪男を倒す作戦を考えないと……」
「棚上げか、都合悪いことは棚上げかお前ら。
 ホントそっくりだなおい。」
「ほらメルちゃん!私の背中に捕まってて!」
「完全にスルーだよこれ!完全になかったことにしちゃったよ!」
「イケメンだし何を言ってもやっても許されるよね。」
「さらっと最悪の決め台詞出しやがった!」

メルちゃんを抱えると私はすばやく縄梯子を掴む。少しひんやりとする、金属で出来ているようだ。
そのまま月美さんにメルちゃんを預けると私はヘリの中に転がり込んだ。

「どーせ俺は使えない女ですよー。駄目な女ですよ―。
 初恋の人の娘の養育とか修行だけ押しつけられてる都合のいい女ですー。
 最近ちょっと気になる男の人が居たけどまだ高校生だし彼女居るしどうみても犯罪者ですよーだ。
 皆くたばっちまえば良いのにー。」
「うわっ、予想以上のネガモード!一体誰がこんな事を!」
「師匠、元気出してください!私たち貴方が居なきゃ駄目なんです!」
「どの口が……。」
「「なんか言った?」」
「イエナニモ」

月見さんと声の調子がシンクロしてしまった。
笹木さんがシクシク泣いてる。





「おい妹よ、流石に虐めすぎたんじゃないのか?」
「そんな気はしてました、私なんて帰ったら多分修行十倍ですよ。」
「そいつぁ愉快だな、とりあえず帰れることは規定事項か。」
「ええ、この程度、問題有りません。」
「ハハッ、問題無い、ね。明也の決め台詞じゃないか。」
「めーちゃんと会ったことがあるんですか?」
「“私は”ないよ。」

後ろから響く雪男の咆哮が窓ガラスを揺らす。
このままだとどう考えても追いつかれる。

「とりあえずまあここは私に任せてくださいよ。」

雪男の拳がヘリに向かってくる。


私がそう叫んでヘリの後部に向けて手をかざすと巨大な光の壁が現れた。
拳は光の壁に直撃して辺りの空気全体を震わせる。
静かな雪山はその轟音さえ瞬く間に吸い込んでしまう。

「おいメル、局地的に土砂崩れを起こせるか?
 具体的に言うと……、あのデカブツの足下。」
「ふぇっ!?あんな遠距離無理ですよぅ!」
「やれ、やらんと貴様を私の奴隷にしてやる。
 逃げられると思うなよ、地の果てまで追いかけ回して口で言えないことするからな。」
「そ、そんなああああ!?」

おお、月美さんがメルちゃんに調教の準備をしてる。






「合図と同時にいけよ!」

ヘリのドアを開けて身体を半分外に出したまま月美さんが叫ぶ。

「三、二、一、今だ!」
「こうなったら、……そりゃあ!」

地鳴りのような物が真下から聞こえてくる。

「ちっ、少しずれたか。」
「本格的に雪崩が起きるまで五秒です。」
「それだけありゃ充分だ。笹木さん、調子にのって申し訳なかったと反省しているのでどうか力をお貸しください。」
「…………解った。まあ残ってる力を集めれば一回くらいはなんとかなるぜ。」

今の会話で残り四秒。
月美さんが外に飛び出して雪男に向けて飛んでいく。
おや、何か持ってる?
さっきまで私たちが使ってた縄梯子だ。

「力比べだ雪男!」

月見さんが思い切りよくそれを雪男に投げつける。
雪男はそれをキャッチして月美さんを振り回そうとする。
鎖で雪崩の場所に引きずるつもりなのか?
いくら何でも力比べじゃあの巨体に勝てる訳ない。
残り三秒。




次の瞬間、まるで鎖に引きずられるようにガクンと雪男の体勢が崩れる。

「これで、良いんだろ?」

操縦席から立ち上がってこちらを振り返り、ドヤ顔でジョジョ立ちを決める笹木さん。
成る程、笹木さんの磁力操作で真下に鎖を引っ張ったのか。

「皆、オラに元気を分けてくれ!」

体勢が崩れた雪男に対して月美さんが天に掲げた腕の中から巨大な黒い光弾を放つ。
それが直撃したことによる爆発で雪男は倒れて、そのまま雪崩によって雪の中に埋められた。

「よし、このまま逃げるぞ!」
「ヘリ加速ー、ヘリ加速しまーす。」
「うわ、私置いてくんじゃねえよ!」
「あー、ヘリの爆音で何も聞こえないなー。
 唯、そこのドアしめてくれ。寒くて敵わん。」
「あいあいさー。」
「裏切ったな妹よ!」
「お前これから一週間修行十倍な。」
「裏切ったのにアンマリだ!」
「私はこの人達について行って良かったのだろうか……。」

メルちゃんは深くため息を吐くばかりなのであった。
【平唯の人間観察 第十三話後編「発見」fin】

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