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連載 - 我が願いに踊れ贄共・万能の魔法使い-05a

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「カラミティ卿ー」
「あーん?何だよ」

 しゃんしゃんしゃん
 夜空を駆けるアムドゥシアスと、その背中に乗っている
 いつの間にやら、アムドゥシアスは、首にトナカイがつけていそうな鈴までつけられている

「確か、この街にはカラミティ卿のご友人がいたっすよねー?そっちと一緒にクリスマス過ごすんじゃないんすかー?」
「カインは、この街の教会のクリスマス礼拝手伝うとかで、もっと遅い時間にならないと一緒にいられないんだよ」

 やや、むすっとした表情のカラミティ
 八つ当たりするように、ぺちぺち、杖の先端でアムドゥシアスの頭を叩く

「痛い痛いっ!?い、いや、ほら、美緒とか言う女とも友達になったんじゃ!?」
「美緒は、影守と一緒に居ると思うから。影守と一緒の方が、美緒も幸せだろうからな」

 むすー、と
 子供っぽく、むくれるカラミティ
 ぱふん、とアムドゥシアスの頭に顎を置く

 ……まぁ、つまるところ、カラミティは寂しいのだ
 深夜になればカインと一緒に居られるとはいえ、それまでは一人
 それが、無性に寂しいだけなのだ

 ある意味では、その寂しさが今の行動に繋がる
 派手な事をすれば、誰かに注目される
 自分は、一人ではない
 それを、実感しようとしているだけなのだ
 ……周りの迷惑をさっぱり考えない辺りが、カラテミィである
 この男、「罪悪感」が欠落しているのだ

「カインの仕事が終わるまでには、星を降らせないとな。おら、アムドゥシアス、とっととベストポジション見つけろよ」
「うわーーーん!?助けてカイン司祭ーーーーっ!!??」

 半泣き状態で、夜空を駆け続けるアムドゥシアス
 ……と、その時

 彼らの視界に、銀色の蝶が入り込んできた

「げ、この蝶は…」
「……っち、来やがったか」

 銀の蝶は群れをなし、一箇所に固まっていく
 そして

「----カラミティイイイイイイイイ!!!!!」

 そこから姿を現した、一人の女性
 漆黒のスーツに身を包んだ、一人の北欧系美女が姿を現した
 その美しい顔に、烈火の如き怒りを浮かべている

「ひぃいいいいいいいい、セシリア卿!?」
「来やがったな、糞ババア」

 恐れおののくアムドゥシアスと、嫌そうな表情のカラミティ
 宙に浮かんだ状態で、セシリアは鋭くカラミティを睨みつける

「お前は、また……何をやらかすつもりだ!?」
「別に。お前には関係ねぇだろ」

 セシリアの問いに、ぷい、と子供っぽくそっぽを向いたカラミティ
 カラミティのその仕種に、セシリアはますます視線を鋭くする

「お前という奴は……!強大な力には、責任が生じるというのに、いつもいつも、無責任に!!!少しは節度と言うものを覚えろ!!」
「うっせぇな。お前にゃ関係ねぇだろ、セシリア。いつもいつも、俺様のやる事に口出してくんなよ。俺様、今夜はこの町に星を降らせてやるんだ。邪魔すんな」

 つい、と
 セシリアに杖を向けるカラミティ
 どこか好戦的に、笑って見せる

「っそんな事はさせんぞ!お前を止める!」
「止める?どうやって?力付くで、か?」

 くっく、と
 笑いながら言ってみせるカラミティに、う、とセシリアは押し黙った

 力付く、で?
 ……この学校街の、真上で?

「……出来ねぇよなぁああああ?セシリアぁ!!!俺達の下に広がる街にゃあ、なぁんにも知らねぇ人間共がわんさといるんだからなぁあ!!!俺様達がここで戦ったら、確実に下の連中も巻き混む事になる。良い子ちゃんのお前にゃあ、そんな事、できねぇよなぁ!!!」

 けらけらと、セシリアを嘲笑うカラミティ
 そう、セシリアには、できない
 かつて、カラミティとの魔法合戦で、土地の形を変えてしまった事もあるだ
 そんな事を……この学校街の頭上でするなんて、できない

「…それでも」

 それでも
 セシリアは、黙ってカラミティを見過ごす訳にはいかない
 カラミティが、何かしでかそうとしたならば…止めなければ

「………天より来たれ、白き者。神に仕えし下僕の一人よ!酔うは悪魔に取り憑かれり、されど、汝、人を酔わさず……」

 己の使い魔である、酒の天使ハマオを呼び出そうとするセシリア
 その能力で、カラミティを酔わせて行動不能にしようとしているのだ
 だが

「さぁさ、降りて来い神の槍!!狙いたがわぬ神の至宝よ!!!我が手に降りて来るがいい!!」

 だが
 カラミティの呪文が完成する方が、早かった

 高く掲げたカラミティの左手に……光の槍が発生する
 それは、神の至宝
 狙いたがわぬ、必殺武器

「縫い付けろ、ブリューナク!!」
「しま……っ!?」

 慌てて、蝶になって避けようとしたセシリア
 だが、遅い

 カラミティが放った光の槍は、光速でセシリアに向かって投擲されて

「-----が、は」

 幾重にも、別れて
 その心臓を、腹を、手を、足を、次々と串刺しにして
 セシリアの細い体は、その勢いで地面に落下していく

「あっははははははははははは!!!だから、お前は駄目なんだよ、セシリア!!そうやって、躊躇するから駄目なんだ!!!だから、何百年立っても、俺様を殺せないんだよ!!」

 けらけら、けらけらと
 落ちていったセシリアを見て、笑うカラミティ
 アムドゥシアスが、恐る恐る、声をかける

「…い、いいんすか?あれ」
「手加減してるし、死にゃあしねぇよ。あいつは魔法の才能はないけれど、俺様と同じで魔法に飲まれた魔法使いだ。あの程度で死ぬはずがねぇ」

 あっさりと、答えるカラミティ
 セシリアの事を、カケラも心配していない


 ……ただ
 あれだけ楽しそうに笑っていた、癖に
 その表情は、まるで、大人に理解されずふてくされているような、子供の表情だった


「おら、邪魔者は消えたし、とっとと進めよ」
「あぁぁ……セシリア卿、なんもできないで申し訳ないっす…」

 めそめそ泣きながら飛び続けるアムドゥシアスは、カラミティのそんな表情に気づく事もなく
 カラミティが内に秘める感情になど、気付くはずもなかった








to be … ?




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