「カラミティ卿ー」
「あーん?何だよ」
「あーん?何だよ」
しゃんしゃんしゃん
夜空を駆けるアムドゥシアスと、その背中に乗っている
いつの間にやら、アムドゥシアスは、首にトナカイがつけていそうな鈴までつけられている
夜空を駆けるアムドゥシアスと、その背中に乗っている
いつの間にやら、アムドゥシアスは、首にトナカイがつけていそうな鈴までつけられている
「確か、この街にはカラミティ卿のご友人がいたっすよねー?そっちと一緒にクリスマス過ごすんじゃないんすかー?」
「カインは、この街の教会のクリスマス礼拝手伝うとかで、もっと遅い時間にならないと一緒にいられないんだよ」
「カインは、この街の教会のクリスマス礼拝手伝うとかで、もっと遅い時間にならないと一緒にいられないんだよ」
やや、むすっとした表情のカラミティ
八つ当たりするように、ぺちぺち、杖の先端でアムドゥシアスの頭を叩く
八つ当たりするように、ぺちぺち、杖の先端でアムドゥシアスの頭を叩く
「痛い痛いっ!?い、いや、ほら、美緒とか言う女とも友達になったんじゃ!?」
「美緒は、影守と一緒に居ると思うから。影守と一緒の方が、美緒も幸せだろうからな」
「美緒は、影守と一緒に居ると思うから。影守と一緒の方が、美緒も幸せだろうからな」
むすー、と
子供っぽく、むくれるカラミティ
ぱふん、とアムドゥシアスの頭に顎を置く
子供っぽく、むくれるカラミティ
ぱふん、とアムドゥシアスの頭に顎を置く
……まぁ、つまるところ、カラミティは寂しいのだ
深夜になればカインと一緒に居られるとはいえ、それまでは一人
それが、無性に寂しいだけなのだ
深夜になればカインと一緒に居られるとはいえ、それまでは一人
それが、無性に寂しいだけなのだ
ある意味では、その寂しさが今の行動に繋がる
派手な事をすれば、誰かに注目される
自分は、一人ではない
それを、実感しようとしているだけなのだ
……周りの迷惑をさっぱり考えない辺りが、カラテミィである
この男、「罪悪感」が欠落しているのだ
派手な事をすれば、誰かに注目される
自分は、一人ではない
それを、実感しようとしているだけなのだ
……周りの迷惑をさっぱり考えない辺りが、カラテミィである
この男、「罪悪感」が欠落しているのだ
「カインの仕事が終わるまでには、星を降らせないとな。おら、アムドゥシアス、とっととベストポジション見つけろよ」
「うわーーーん!?助けてカイン司祭ーーーーっ!!??」
「うわーーーん!?助けてカイン司祭ーーーーっ!!??」
半泣き状態で、夜空を駆け続けるアムドゥシアス
……と、その時
……と、その時
彼らの視界に、銀色の蝶が入り込んできた
「げ、この蝶は…」
「……っち、来やがったか」
「……っち、来やがったか」
銀の蝶は群れをなし、一箇所に固まっていく
そして
そして
「----カラミティイイイイイイイイ!!!!!」
そこから姿を現した、一人の女性
漆黒のスーツに身を包んだ、一人の北欧系美女が姿を現した
その美しい顔に、烈火の如き怒りを浮かべている
漆黒のスーツに身を包んだ、一人の北欧系美女が姿を現した
その美しい顔に、烈火の如き怒りを浮かべている
「ひぃいいいいいいいい、セシリア卿!?」
「来やがったな、糞ババア」
「来やがったな、糞ババア」
恐れおののくアムドゥシアスと、嫌そうな表情のカラミティ
宙に浮かんだ状態で、セシリアは鋭くカラミティを睨みつける
宙に浮かんだ状態で、セシリアは鋭くカラミティを睨みつける
「お前は、また……何をやらかすつもりだ!?」
「別に。お前には関係ねぇだろ」
「別に。お前には関係ねぇだろ」
セシリアの問いに、ぷい、と子供っぽくそっぽを向いたカラミティ
カラミティのその仕種に、セシリアはますます視線を鋭くする
カラミティのその仕種に、セシリアはますます視線を鋭くする
「お前という奴は……!強大な力には、責任が生じるというのに、いつもいつも、無責任に!!!少しは節度と言うものを覚えろ!!」
「うっせぇな。お前にゃ関係ねぇだろ、セシリア。いつもいつも、俺様のやる事に口出してくんなよ。俺様、今夜はこの町に星を降らせてやるんだ。邪魔すんな」
「うっせぇな。お前にゃ関係ねぇだろ、セシリア。いつもいつも、俺様のやる事に口出してくんなよ。俺様、今夜はこの町に星を降らせてやるんだ。邪魔すんな」
つい、と
セシリアに杖を向けるカラミティ
どこか好戦的に、笑って見せる
セシリアに杖を向けるカラミティ
どこか好戦的に、笑って見せる
「っそんな事はさせんぞ!お前を止める!」
「止める?どうやって?力付くで、か?」
「止める?どうやって?力付くで、か?」
くっく、と
笑いながら言ってみせるカラミティに、う、とセシリアは押し黙った
笑いながら言ってみせるカラミティに、う、とセシリアは押し黙った
力付く、で?
……この学校街の、真上で?
……この学校街の、真上で?
「……出来ねぇよなぁああああ?セシリアぁ!!!俺達の下に広がる街にゃあ、なぁんにも知らねぇ人間共がわんさといるんだからなぁあ!!!俺様達がここで戦ったら、確実に下の連中も巻き混む事になる。良い子ちゃんのお前にゃあ、そんな事、できねぇよなぁ!!!」
けらけらと、セシリアを嘲笑うカラミティ
そう、セシリアには、できない
かつて、カラミティとの魔法合戦で、土地の形を変えてしまった事もあるだ
そんな事を……この学校街の頭上でするなんて、できない
そう、セシリアには、できない
かつて、カラミティとの魔法合戦で、土地の形を変えてしまった事もあるだ
そんな事を……この学校街の頭上でするなんて、できない
「…それでも」
それでも
セシリアは、黙ってカラミティを見過ごす訳にはいかない
カラミティが、何かしでかそうとしたならば…止めなければ
セシリアは、黙ってカラミティを見過ごす訳にはいかない
カラミティが、何かしでかそうとしたならば…止めなければ
「………天より来たれ、白き者。神に仕えし下僕の一人よ!酔うは悪魔に取り憑かれり、されど、汝、人を酔わさず……」
己の使い魔である、酒の天使ハマオを呼び出そうとするセシリア
その能力で、カラミティを酔わせて行動不能にしようとしているのだ
だが
その能力で、カラミティを酔わせて行動不能にしようとしているのだ
だが
「さぁさ、降りて来い神の槍!!狙いたがわぬ神の至宝よ!!!我が手に降りて来るがいい!!」
だが
カラミティの呪文が完成する方が、早かった
カラミティの呪文が完成する方が、早かった
高く掲げたカラミティの左手に……光の槍が発生する
それは、神の至宝
狙いたがわぬ、必殺武器
それは、神の至宝
狙いたがわぬ、必殺武器
「縫い付けろ、ブリューナク!!」
「しま……っ!?」
「しま……っ!?」
慌てて、蝶になって避けようとしたセシリア
だが、遅い
だが、遅い
カラミティが放った光の槍は、光速でセシリアに向かって投擲されて
「-----が、は」
幾重にも、別れて
その心臓を、腹を、手を、足を、次々と串刺しにして
セシリアの細い体は、その勢いで地面に落下していく
その心臓を、腹を、手を、足を、次々と串刺しにして
セシリアの細い体は、その勢いで地面に落下していく
「あっははははははははははは!!!だから、お前は駄目なんだよ、セシリア!!そうやって、躊躇するから駄目なんだ!!!だから、何百年立っても、俺様を殺せないんだよ!!」
けらけら、けらけらと
落ちていったセシリアを見て、笑うカラミティ
アムドゥシアスが、恐る恐る、声をかける
落ちていったセシリアを見て、笑うカラミティ
アムドゥシアスが、恐る恐る、声をかける
「…い、いいんすか?あれ」
「手加減してるし、死にゃあしねぇよ。あいつは魔法の才能はないけれど、俺様と同じで魔法に飲まれた魔法使いだ。あの程度で死ぬはずがねぇ」
「手加減してるし、死にゃあしねぇよ。あいつは魔法の才能はないけれど、俺様と同じで魔法に飲まれた魔法使いだ。あの程度で死ぬはずがねぇ」
あっさりと、答えるカラミティ
セシリアの事を、カケラも心配していない
セシリアの事を、カケラも心配していない
……ただ
あれだけ楽しそうに笑っていた、癖に
その表情は、まるで、大人に理解されずふてくされているような、子供の表情だった
あれだけ楽しそうに笑っていた、癖に
その表情は、まるで、大人に理解されずふてくされているような、子供の表情だった
「おら、邪魔者は消えたし、とっとと進めよ」
「あぁぁ……セシリア卿、なんもできないで申し訳ないっす…」
「あぁぁ……セシリア卿、なんもできないで申し訳ないっす…」
めそめそ泣きながら飛び続けるアムドゥシアスは、カラミティのそんな表情に気づく事もなく
カラミティが内に秘める感情になど、気付くはずもなかった
カラミティが内に秘める感情になど、気付くはずもなかった
to be … ?