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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 獣の王様-11

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“獣の王様 エピローグ「夢見ること」”

 青い空、白い雲、寄せては消えるさざ波の音色がどこか遠くに吸い込まれていく。
 上田明也は何処か遠い国の砂浜に寝転んでいた。

「……もう、あれから十年か。」

 水族館での事件から十年後。
 上田明也は考古学者になってインディ・ジョーンズよろしく世界を回っていた。
 旅から旅の生活、束縛を嫌う彼にはぴったりの仕事である。

「あ、エリーだ!」
「遺跡に行かなくて良いのかよー。」
「料理作ってー!」
「エリー、なにやってるのー?」

 勉強を教えている地元の子供達に話しかけられる。
 彼等の方を見て微笑みながら上田明也は答える。

「空を見ていたんだ。」
「なんか面白い物あるの?」
「いーや、何も無いよ。」
「じゃあ何で見るんだよ。」
「空はねえ、世界のどこでも同じ色なんだぜ。」
「ふーん。」
「おーい、エリ。」

 その時、遠くから買い物籠をぶら下げた人影が走ってくる。





「どうしたレン。」
「いやあ、買い物帰りでさ。研究の方は進んでいるのかい?」
「まあな、明日からまた遺跡に潜るよ。」
「ふぅん。」
「あー、レンおばちゃんだ。」
「おばちゃんだー。」
「おばちゃん!?」
「そういえばもう三十路じゃね?」
「エリ、これ以上妙なこというとパンチするよ。
 まだだから、まだ違うから。」
「ごめんなさい、やめてください。」
「ミソジってなに?」
「あーそれはなあ、おばちゃんとおねえちゃんの境目……」
「パーンチ!」

 上田明也は盛大に海の彼方へ吹き飛んでいく。
 子供達はキャッキャと笑いながら逃げ出す。
 ずぶ濡れになりながら上田は海から上がってきた。




「日本に残した霙とかレモンとか彼方とか吉静ちゃんから手紙が来てるよ。」
「ほう、元気にしているか?」
「なんかねえ、学校町で大事件が起きているんだって。」
「マジで?」
「うん、帰る?」
「いや良いよ、あいつらなら適当に解決するだろ。」
「わー冷たい。親とは思えないね。」
「だって月美姉さんだっているし。
 霙は俺たちより伯母さんの方に懐いてるんじゃねえの?」
「そっか。」

 上田は砂浜にもう一度腰掛ける。
 華恋はその隣に座る。

「ずっと、旅してるね。」
「好きだから、旅するの。」
「初めて会ったのも旅の間だったしね……。」
「今もまだこうしているのが奇跡みたいだよ。」
「奇跡ねえ、私はエリがまともな人間になったのが奇跡だと思うな。」
「だって、そうしてた方がレンは幸せだろうよ。」
「……まあね。」

 手と手を重ねて、見つめ合う。
 辺りは不思議と静かで、カモメの声と波の音色だけが二人を包む。




「今、二人でこうしていられるなら。」
「ん?」
「今、二人でこうしていられるならさ。
 そもそも私が死ぬことから逃げたことも、病気のせいで両親が離婚しちゃったことも、
 妹まで契約者にしちゃったことも、辛かったけど意味があったのかな。」
「カオリちゃんなら、喜んでたじゃん。」
「でもやっぱ申し訳ないよ。」
「そっか。」
「辛くても、苦しくても、ヒカリを探して旅していたって思えるよ。」
「俺の都市伝説が光そのものだしな。」
「名前もね。」
「君が俺の夢になって、俺が君の未来になれるなら、それはきっと幸せなことなんだよな。」
「うん。」

 上田が華恋を抱き寄せる。
 二人の唇と唇が近づく。
 波の音の中に静かな息づかいが混じる。
 その時だった。





「あー!二人ともチューしようとしてる!」
「チュー!チュー!」
「お前らいつの間に隠れてたの!?」
「もう!邪魔しないでよぉ!」

 近くに隠れていた子供達が騒ぎ始める。
 子供を捕まえようとして走り出した上田を見て華恋は微笑む。

「これが……あるべき姿なのかもね。」

 そんな上田と華恋の姿を見て呟く影。

「あれが歪んだのが……。」

 影の主は首を振る。

「いいや、あれもまたあるべき姿か。」

 それだけ言うと、上田明也に“賢者の石”と“グローリー”を与えた彼女は、
 またどこかに歩き去って行ってしまった。

「どんなに幸せであれ、あれもまた同じように欲望の結果だ。」

“獣の王様 エピローグ「夢見ること」 おしまい”

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