学校街にやってきた「13使徒」達
ひとまず、拠点とする建物に荷物を置いた後、それぞれ、自由行動が許されたのだが…
ひとまず、拠点とする建物に荷物を置いた後、それぞれ、自由行動が許されたのだが…
「…さて、どうしましょうか」
「13使徒」が一人、カイザー・ライゼンシュタインは、眼鏡のズレを直しながら、小さくため息をついた
リュリュとマドレーヌに同行しようかと思っていたのだが……あの無邪気な双子は、自分達に割り当てられた部屋に荷物を放り投げると、とっとと遊びに出かけてしまったらしい
…迷子にならないと良いのだが
探しに出かけるべきだろうか?
いや、二人共、もう12歳なのだ
そろそろ、子供扱いは……いや、慣れぬ土地であるし…
リュリュとマドレーヌに同行しようかと思っていたのだが……あの無邪気な双子は、自分達に割り当てられた部屋に荷物を放り投げると、とっとと遊びに出かけてしまったらしい
…迷子にならないと良いのだが
探しに出かけるべきだろうか?
いや、二人共、もう12歳なのだ
そろそろ、子供扱いは……いや、慣れぬ土地であるし…
悩みながら、街に出たカイザー
学校帰りと思われる子供達
幼子を連れて買い物に向かっている主婦
友達同士でふざけあいながら歩く学生達
……平和な、日常の光景
そんな光景を眺め、居たたまれない気持ちになる
幼子を連れて買い物に向かっている主婦
友達同士でふざけあいながら歩く学生達
……平和な、日常の光景
そんな光景を眺め、居たたまれない気持ちになる
…自分達が、ここに来ても良かったのだろうか
いや、来るべきでは、なかったはずだ
自分達は、このままでは……この、どこまでも平和な日常の風景を、「破壊し尽くして」しまう事に、なるだろうから
いや、来るべきでは、なかったはずだ
自分達は、このままでは……この、どこまでも平和な日常の風景を、「破壊し尽くして」しまう事に、なるだろうから
俯いたカイザーの肩に、ぽん、と誰かの手が触れた
その手を振り払うように、振り返る
その手を振り払うように、振り返る
「……っと、何だ。驚かせるな」
「…メルセデスでしたか。何かご用ですか?」
「…メルセデスでしたか。何かご用ですか?」
何時の間にか背後にいたのは、同じ「13使徒」の一人、メルセデス
正直、性格的に相性がいいわけでもなく、あまり関わりあいたくない
……町中で棺桶背負って歩く男と、一緒に行動したいとも思わない
正直、性格的に相性がいいわけでもなく、あまり関わりあいたくない
……町中で棺桶背負って歩く男と、一緒に行動したいとも思わない
「いや、レティ見なかったか?」
「…見ていませんが、はぐれたのですか?」
「一緒に行動しようと思ったんだが、先に出て行っちまったみたいでな」
「…見ていませんが、はぐれたのですか?」
「一緒に行動しようと思ったんだが、先に出て行っちまったみたいでな」
…こちらと、同じような状況だったようだ
一応、メルセデスはレティの面倒をよく見ているから
……本心で、どう思っているのかは…カイザーには、わからないが
一応、メルセデスはレティの面倒をよく見ているから
……本心で、どう思っているのかは…カイザーには、わからないが
「なあ、カイザー。一緒にレティ探すの手伝ってくれよ」
「…あなたと行動しろと?私は、リュリュとマドレーヌを探したいのですが」
「あぁ。お前も置いてかれてるのか。いいじゃん。リュリュとマドレーヌも探そうぜ」
「……探すのならば、別行動の方がいいでしょう」
「…あなたと行動しろと?私は、リュリュとマドレーヌを探したいのですが」
「あぁ。お前も置いてかれてるのか。いいじゃん。リュリュとマドレーヌも探そうぜ」
「……探すのならば、別行動の方がいいでしょう」
馴れ馴れしく触れてこようとするメルセデスの手から逃れながら、歩くカイザー
その後を、メルセデスは追いかけてくる
その後を、メルセデスは追いかけてくる
「いいだろ?一緒に行動しても。慣れない街だし、こっちがリュリュとマドレーヌ見つけた時、お前が傍にいないと面倒だし…あちこち探すなら、お前の「私兵」を使えば」
「……そんな目立つ事、できる訳ないでしょう。エイブラハム様も、目立つ行動はさけるように、と仰っていたはずですが?」
「……そんな目立つ事、できる訳ないでしょう。エイブラハム様も、目立つ行動はさけるように、と仰っていたはずですが?」
メルセデスから、距離をとろうとする
だが、相手の歩くスピードから、逃れられない
…走ろうか、とでも思った、その時
だが、相手の歩くスピードから、逃れられない
…走ろうか、とでも思った、その時
「………へぇ?一応、エイブラハム様に、忠誠を誓っているようだな?」
いつの、間にか
自分が……人気の余りない路地に追い込まれていた事に、気付いた
気付かぬうちに、誘導されていたらしい
自分が……人気の余りない路地に追い込まれていた事に、気付いた
気付かぬうちに、誘導されていたらしい
「…一応も、何も……私は、エイブラハム様に、したがって………っ!?」
どんっ!!と
壁際に、体を打ち付けられた
痛みに顔を顰めると………メルセデスが、残酷な表情を浮かべ、カイザーの顔を覗き込んできた
伊達眼鏡の奥の、アメジストのような瞳に、メルセデスの姿が映りこむ
壁際に、体を打ち付けられた
痛みに顔を顰めると………メルセデスが、残酷な表情を浮かべ、カイザーの顔を覗き込んできた
伊達眼鏡の奥の、アメジストのような瞳に、メルセデスの姿が映りこむ
「………俺が気付かないとでも思っていたか?本心から、あの方に従ってなどいないくせに」
「……そんな、事は」
「願いをかなえてもらう為。ただ、その為だけだろう?願いをかなえて欲しい、だから、したがっている。お前はそれだけだ」
「……そんな、事は」
「願いをかなえてもらう為。ただ、その為だけだろう?願いをかなえて欲しい、だから、したがっている。お前はそれだけだ」
びくり、と
カイザーは、小さく体を跳ねらせる
カイザーは、小さく体を跳ねらせる
ばん!と、カイザーの顔の真横に、メルセデスが乱暴に手を叩きつける
「……逃げられると思うなよ?なぁ、「デストロイヤー」。リュリュやマドレーヌの頭を撫でてやっているお前の手は、血塗れなんだからな?」
「………っ」
「願いをかなえてもらう。その為に。お前は、どれだけの命を葬り去ったかな?……お前は、とっくにこっち側の人間だ。いや、もう半分、人間ではなかったな」
「………っ」
「願いをかなえてもらう。その為に。お前は、どれだけの命を葬り去ったかな?……お前は、とっくにこっち側の人間だ。いや、もう半分、人間ではなかったな」
にやにやと笑っているメルセデス
普段、表に出していない邪悪な本性を、隠すことなく表に出している
普段、表に出していない邪悪な本性を、隠すことなく表に出している
「お前は、俺達から逃げられない。血で染め上げられたその手で、以前のように子供の世話ができると思うなよ?」
「…私、は……」
「大丈夫、エイブラハム様は、ちゃぁんと、お前の願いをかなえてくれるさ……お前が、エイブラハム様を裏切らなければ、な」
「…私、は……」
「大丈夫、エイブラハム様は、ちゃぁんと、お前の願いをかなえてくれるさ……お前が、エイブラハム様を裏切らなければ、な」
…ゆっくりと、メルセデスはカイザーから離れる
………邪悪な本性を隠し、どこか人の良い笑顔を浮かべてきた
………邪悪な本性を隠し、どこか人の良い笑顔を浮かべてきた
「ま、いいや。俺ぁレティを探してくる。お前も、リュリュとマドレーヌ、見つかるといいな?」
と、そう言って
ひらひらと手を振って……棺桶を背負ったまま、立ち去っていく
ひらひらと手を振って……棺桶を背負ったまま、立ち去っていく
……ずるずると
メルセデスの姿が消えてから……カイザーは、その場に座り込んだ
己の手を、じっと見つめる
メルセデスの姿が消えてから……カイザーは、その場に座り込んだ
己の手を、じっと見つめる
……メルセデスの、言う通りだ
自分はずいぶんと罪に塗れてしまった
もう……あの時のような生活に戻ることなど、許されるはずがない
自分はずいぶんと罪に塗れてしまった
もう……あの時のような生活に戻ることなど、許されるはずがない
「………それでも」
それでも
自分は、願いをかなえてもらいたい
自分は、願いをかなえてもらいたい
もう一度、もう一度
あの子供達の笑顔を見るまで……………いや、見る事が、できても
もはや自分は、死ぬまで、エイブラハムの支配からは、逃れらないのだろう
……もう既に自分は………あの男の呪縛から、逃れられはしないのだ
もはや自分は、死ぬまで、エイブラハムの支配からは、逃れらないのだろう
……もう既に自分は………あの男の呪縛から、逃れられはしないのだ
to be … ?