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連載 - 我が願いに踊れ贄共・咎負い人-05

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 学校街にやってきた「13使徒」達
 ひとまず、拠点とする建物に荷物を置いた後、それぞれ、自由行動が許されたのだが…

「…さて、どうしましょうか」

 「13使徒」が一人、カイザー・ライゼンシュタインは、眼鏡のズレを直しながら、小さくため息をついた
 リュリュとマドレーヌに同行しようかと思っていたのだが……あの無邪気な双子は、自分達に割り当てられた部屋に荷物を放り投げると、とっとと遊びに出かけてしまったらしい
 …迷子にならないと良いのだが
 探しに出かけるべきだろうか?
 いや、二人共、もう12歳なのだ
 そろそろ、子供扱いは……いや、慣れぬ土地であるし…

 悩みながら、街に出たカイザー

 学校帰りと思われる子供達
 幼子を連れて買い物に向かっている主婦
 友達同士でふざけあいながら歩く学生達
 ……平和な、日常の光景
 そんな光景を眺め、居たたまれない気持ちになる

 …自分達が、ここに来ても良かったのだろうか
 いや、来るべきでは、なかったはずだ
 自分達は、このままでは……この、どこまでも平和な日常の風景を、「破壊し尽くして」しまう事に、なるだろうから

 俯いたカイザーの肩に、ぽん、と誰かの手が触れた
 その手を振り払うように、振り返る

「……っと、何だ。驚かせるな」
「…メルセデスでしたか。何かご用ですか?」

 何時の間にか背後にいたのは、同じ「13使徒」の一人、メルセデス
 正直、性格的に相性がいいわけでもなく、あまり関わりあいたくない
 ……町中で棺桶背負って歩く男と、一緒に行動したいとも思わない

「いや、レティ見なかったか?」
「…見ていませんが、はぐれたのですか?」
「一緒に行動しようと思ったんだが、先に出て行っちまったみたいでな」

 …こちらと、同じような状況だったようだ
 一応、メルセデスはレティの面倒をよく見ているから
 ……本心で、どう思っているのかは…カイザーには、わからないが

「なあ、カイザー。一緒にレティ探すの手伝ってくれよ」
「…あなたと行動しろと?私は、リュリュとマドレーヌを探したいのですが」
「あぁ。お前も置いてかれてるのか。いいじゃん。リュリュとマドレーヌも探そうぜ」
「……探すのならば、別行動の方がいいでしょう」

 馴れ馴れしく触れてこようとするメルセデスの手から逃れながら、歩くカイザー
 その後を、メルセデスは追いかけてくる

「いいだろ?一緒に行動しても。慣れない街だし、こっちがリュリュとマドレーヌ見つけた時、お前が傍にいないと面倒だし…あちこち探すなら、お前の「私兵」を使えば」
「……そんな目立つ事、できる訳ないでしょう。エイブラハム様も、目立つ行動はさけるように、と仰っていたはずですが?」

 メルセデスから、距離をとろうとする
 だが、相手の歩くスピードから、逃れられない
 …走ろうか、とでも思った、その時

「………へぇ?一応、エイブラハム様に、忠誠を誓っているようだな?」

 いつの、間にか
 自分が……人気の余りない路地に追い込まれていた事に、気付いた
 気付かぬうちに、誘導されていたらしい

「…一応も、何も……私は、エイブラハム様に、したがって………っ!?」

 どんっ!!と
 壁際に、体を打ち付けられた
 痛みに顔を顰めると………メルセデスが、残酷な表情を浮かべ、カイザーの顔を覗き込んできた
 伊達眼鏡の奥の、アメジストのような瞳に、メルセデスの姿が映りこむ

「………俺が気付かないとでも思っていたか?本心から、あの方に従ってなどいないくせに」
「……そんな、事は」
「願いをかなえてもらう為。ただ、その為だけだろう?願いをかなえて欲しい、だから、したがっている。お前はそれだけだ」

 びくり、と
 カイザーは、小さく体を跳ねらせる

 ばん!と、カイザーの顔の真横に、メルセデスが乱暴に手を叩きつける

「……逃げられると思うなよ?なぁ、「デストロイヤー」。リュリュやマドレーヌの頭を撫でてやっているお前の手は、血塗れなんだからな?」
「………っ」
「願いをかなえてもらう。その為に。お前は、どれだけの命を葬り去ったかな?……お前は、とっくにこっち側の人間だ。いや、もう半分、人間ではなかったな」

 にやにやと笑っているメルセデス
 普段、表に出していない邪悪な本性を、隠すことなく表に出している

「お前は、俺達から逃げられない。血で染め上げられたその手で、以前のように子供の世話ができると思うなよ?」
「…私、は……」
「大丈夫、エイブラハム様は、ちゃぁんと、お前の願いをかなえてくれるさ……お前が、エイブラハム様を裏切らなければ、な」

 …ゆっくりと、メルセデスはカイザーから離れる
 ………邪悪な本性を隠し、どこか人の良い笑顔を浮かべてきた

「ま、いいや。俺ぁレティを探してくる。お前も、リュリュとマドレーヌ、見つかるといいな?」

 と、そう言って
 ひらひらと手を振って……棺桶を背負ったまま、立ち去っていく

 ……ずるずると
 メルセデスの姿が消えてから……カイザーは、その場に座り込んだ
 己の手を、じっと見つめる


 ……メルセデスの、言う通りだ
 自分はずいぶんと罪に塗れてしまった
 もう……あの時のような生活に戻ることなど、許されるはずがない


「………それでも」

 それでも
 自分は、願いをかなえてもらいたい

 もう一度、もう一度


 あの子供達の笑顔を見るまで……………いや、見る事が、できても
 もはや自分は、死ぬまで、エイブラハムの支配からは、逃れらないのだろう
 ……もう既に自分は………あの男の呪縛から、逃れられはしないのだ







to be … ?




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