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連載 - 我が願いに踊れ贄共・救世主候補-04

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「あら、ヴァナタは出かけないの?」

 他の「13使徒」メンバー達が、自由行動をし始めた中
 一人、拠点とするその建物に残っていたゲルトラウデに、ヴァレンタインは声をかけた

 …ゲルトラウデは、美しい女性である
 歩いていれば、すれ違った10人の内、8人は確実に振り返るだろう美女
 エイブラハムの片腕でもあるその女性相手に、ヴァレンタインはかすかに嫉妬を覚える
 自分が、どれだけ血のにじむような努力をしようとも、この女の美貌に自分が届く事はあるまい
 ……そもそも、生まれた性別の違いという最大すぎる壁があると言う事実はひとまずおいておいたとしても、だ

 そんなヴァレンタインの、羨望にも似た嫉妬に気付いているのかいないのか
 ゲルトラウデは小さく微笑んでみせる

「エイブラハム様が、外に出られるというから。一人くらいは留守番がいるべきでしょう?」
「あら。ヴァナタの事だから、むしろ、エイブラハム様のお傍にいようとすると思ったのだけれども」
「あの方にも、自由な時間は必要ですもの」

 少しからかうようなヴァレンタインの言葉に、微笑みながら答えるゲルトラウデ
 どこまでも、優美で、完璧で
 ……故に、どこか、冷たさというか………まるで、仮面でも被っているような、そんな錯覚を、他者に与える事がある
 いや、錯覚ではない、とヴァレンタインは気付いている
 この女が本性を現すとしたら、それはよほどの事なのだから

「ねぇ、ゲルトラウデ」
「なぁに?」
「エイブラハム様が回収したがっているって言う淫魔……あれは、そんなに大層な存在なの?」

 ……その話題を、ヴァレンタインが口に出した、その瞬間
 ゲルトラウデの表情が、酷く醜く歪んだのだが…それに、ヴァレンタインは気づく事はなかった
 ゲルトラウデはすぐにいつもの笑みを浮かべ、ヴァレンタインの疑問に答える

「あの「裏切りの淫魔」は、100を超える人間と、100を越えるそれ以外の者を色狂いの廃人へと変えたわ。一国の主を操り人形にしたこともある。こちらの手駒に加えれば、色々と便利なのよ」
「なるほどぉ?でも、それくらいはヴァナタの力でもできそうじゃない?」

 ゲルトラウデを飲み込んでいる存在
 その正体をヴァレンタインは知らないが、似たような事ができる事は知っていた
 ゲルトラウデは、小さく肩をすくめる

「私は、男相手にしかできないわ。でも、あれは性別を問わないから」
「…なるほど、ヴァナタ以上に重宝されそうねぇ?」

 かすかに、棘を含んだ言葉
 ……その淫魔が手に入れば、お前など用済みだろう
 そうとでも言うような声

 小さな嫌味を投げかけてきたヴァレンタインに、ゲルトラウデは笑いかけて答える

「そうでしょうね。でも、幸い私は、男を篭絡する以外の事もできるから」

 力任せに戦う事しかできない脳筋のあなたとは違う
 そうとでも言うように、ゲルトラウデは余裕を見せた表情で告げた

 女とオカマの、嫌味合戦
 その場にちみっこがいたら泣き出しそうな迫力が、そこにはあった
 お互い笑っているようで、どちらも目が笑っていない

 ……先に引いたのは、ヴァレンタインの方だった

「ま、いいわ。ヴァタシも、外に出てるわね。その淫魔や、ニーナを探さなくちゃ」
「えぇ、いってらっしゃい」

 ヴァレンタインを見おくったゲルトラウデ
 …その美しい唇が、邪悪な笑みを形作る

「……「石なる番人」如きが。「13使徒」内でも、一番の小物が……どうせ、貴様など、使い捨ての駒にすぎん。あの餓鬼よりも、価値がない」

 そして
 今度はその笑みを、醜悪にゆがめた
 憎々しい
 憎悪を、隠そうとしない

「…裏切りの淫魔。さぁ、姿を現すがいい。妾達が、この街に来てやったぞ、お前を捕えに……お前が姿を現さないならば、また、誰かが傷つくぞ?命を落とすぞ??」

 その為に
 お前を苦しめるために、自分達は来たのだ
 さぁ、姿を現せ
 そうすれば、たっぷりたっぷり、苦しめて

「エイブラハム様の元へ行く前に、妾が壊してやろう………あの方に求められるのは、妾一人で良いのだ」

 殺すのだけは、同族同士、許してやろう
 だが、その心は壊し尽くして

 再び、あの人形に、いや
 使い物にならないガラクタに、堕としてやろうではないか



to be … ?




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