百を超える異形の化け物が、少年に襲い掛かる
されど、少年は恐れない
恐れている暇などない
されど、少年は恐れない
恐れている暇などない
大切な人の為に
護りたい存在の為に
救いたい存在の為に
護りたい存在の為に
救いたい存在の為に
……そして、正義の味方として
少年…明日 真は、ここで引くことなど、できない
少年…明日 真は、ここで引くことなど、できない
化け物達が、雄たけびを上げる
片腕が極端に肥大化した化け物が、真を殴り飛ばそうとして
片腕が極端に肥大化した化け物が、真を殴り飛ばそうとして
飛び散る鮮血
巨大な拳は、真に届かなかった
肘のあたりから切り飛ばされた巨大な腕は、他の子供の姿をした化け物に直撃し、その小さな体を押しつぶす
肘のあたりから切り飛ばされた巨大な腕は、他の子供の姿をした化け物に直撃し、その小さな体を押しつぶす
真が、反撃した訳ではない
…ひら、と
真の視界に、黒い羽が舞い落ちてきた
…ひら、と
真の視界に、黒い羽が舞い落ちてきた
「何だぁ!?」
「新手かっ!?」
「新手かっ!?」
化け物達が騒ぎ出す
…真の背後を護るように、それは舞い降りた
…真の背後を護るように、それは舞い降りた
「加勢は、必要か?」
「あんたは……」
「あんたは……」
今日、この日、顔を合わせたばかりの青年
…イザーク・シーフェルデッカー
その手に、真の前でも一度出して見せた剣を持ち、化け物達を睨み付け……その背中から、漆黒の翼が生えていた
…イザーク・シーフェルデッカー
その手に、真の前でも一度出して見せた剣を持ち、化け物達を睨み付け……その背中から、漆黒の翼が生えていた
「なぜ、ここに?」
「酷く急いでいるお前を見かけた。ジョルディが、嫌な予感がする、と言ったのでな」
「酷く急いでいるお前を見かけた。ジョルディが、嫌な予感がする、と言ったのでな」
あまり厄介事には関わりたくなかったが、と
イザークは、小さく苦笑する
イザークは、小さく苦笑する
突然の乱入者に、化け物達が適応してきた
腹から腸をはみ出させた化け物が、それをまるで鞭のように振るって攻撃してくる
イザークの剣がそれを切り飛ばし、真は己に接近してきたほかの化け物を殴り飛ばす
腹から腸をはみ出させた化け物が、それをまるで鞭のように振るって攻撃してくる
イザークの剣がそれを切り飛ばし、真は己に接近してきたほかの化け物を殴り飛ばす
「フランケン・シュタインの怪物の集団といったところか。製作者がいるな?」
「あぁ…そして、俺は、助けなければいけない存在がいるんだ」
「…なるほど。では、お前は先に行くといい。ここは任せろ」
「あぁ…そして、俺は、助けなければいけない存在がいるんだ」
「…なるほど。では、お前は先に行くといい。ここは任せろ」
飛び掛かってきた化けものを真っ二つに切断しながら、そう告げてくるイザーク
イザークの言葉に、真は髑髏の仮面の下で、かすかに眉をしかめた
剣を振るい、戦っているイザーク
化け物を両断しているその力から、戦闘力は低くはないだろう
だが
イザークの言葉に、真は髑髏の仮面の下で、かすかに眉をしかめた
剣を振るい、戦っているイザーク
化け物を両断しているその力から、戦闘力は低くはないだろう
だが
「バカめっ!!この数を前に、一人で止めることなどできるものかっ!!」
「どうやら、集団戦闘に向いている能力にも見えんしなぁっ!!」
「どうやら、集団戦闘に向いている能力にも見えんしなぁっ!!」
化け物が、二体同時に、イザークに飛び掛かる
…いかにイザークが強いとは言え、相手は百を超える化け物、数が多すぎる(もっとも、真はそれらをすべて、一人で相手をしようとしていたのだが)
そして、化け物達が指摘した通りに…イザークが、対集団先頭に向いているようには、見えなかった
そして、化け物達が指摘した通りに…イザークが、対集団先頭に向いているようには、見えなかった
「…一人ではない」
飛び掛かってくる化け物を見据えながら、イザークが呟く
その、直後……どこからか、二本の槍が、物凄いスピードで飛んできて
ドスドスッ!!と、それぞれ二体の化け物を突き刺し、地面に串刺しにした
ドスドスッ!!と、それぞれ二体の化け物を突き刺し、地面に串刺しにした
「……二人だ」
真が開けた、門の外側
そこに…人影が、見えた
暗い闇の中、目立つ白髪…ジョルディだ
昼間、真が見た時は纏っていなかった鎧を身に纏っていて……その周囲に、無数の武器が浮かんでいた
剣、槍、斧…他にも、名称がよくわからない物も、多数
いくつもの武器が、ジョルディの周囲をくるくる回りながら漂っている
どうやら、あれが、ジョルディの契約都市伝説による能力のようだ
そこに…人影が、見えた
暗い闇の中、目立つ白髪…ジョルディだ
昼間、真が見た時は纏っていなかった鎧を身に纏っていて……その周囲に、無数の武器が浮かんでいた
剣、槍、斧…他にも、名称がよくわからない物も、多数
いくつもの武器が、ジョルディの周囲をくるくる回りながら漂っている
どうやら、あれが、ジョルディの契約都市伝説による能力のようだ
「あいつにはあまり戦わせたくはなかったのだが。昼間助けられたのだから、助けたいと言って聞かなかったのでな」
くるくる、くるくる、武器が回る
ふわり、ジョルディの体が浮かび上がり…門の内側へと、入ってきた
…能力が、完全に発動する前なのだろうか
ジョルディは、目を閉じているように見えた
ふわり、ジョルディの体が浮かび上がり…門の内側へと、入ってきた
…能力が、完全に発動する前なのだろうか
ジョルディは、目を閉じているように見えた
「お前は、行け。ここは俺達に任せろ」
「だが…」
「だが…」
真が、躊躇した、その時
ジョルディの瞼が…ゆっくりと、開かれた
赤い、ルビーのような瞳が………爛々と、光っている
ジョルディの瞼が…ゆっくりと、開かれた
赤い、ルビーのような瞳が………爛々と、光っている
「…………う」
何事か、小さく呟くジョルディ
化け物達は、本能から、ジョルディを「危険である」と判断したのだろうか
集団で、一斉に襲い掛かった
化け物達は、本能から、ジョルディを「危険である」と判断したのだろうか
集団で、一斉に襲い掛かった
「………戦う」
くるり
ジョルディの周囲を漂っていた武器が…回るのを止めて、ぴたり、その切っ先を、外側へと向けた
ジョルディの周囲を漂っていた武器が…回るのを止めて、ぴたり、その切っ先を、外側へと向けた
「……戦う!」
ひゅん、と
風を切るような音がして
外側に切っ先を向けた武器達は、ジョルディに襲い掛かった化け物達へと、一斉に降り注いだ
血飛沫が、辺りに飛び散る
武器は次から次へと生み出され、次々と化け物達へ向かって飛び掛かっていく
風を切るような音がして
外側に切っ先を向けた武器達は、ジョルディに襲い掛かった化け物達へと、一斉に降り注いだ
血飛沫が、辺りに飛び散る
武器は次から次へと生み出され、次々と化け物達へ向かって飛び掛かっていく
「戦う、戦う、戦う、戦う、戦うっ!!!」
そして、ジョルディも、また、その無数の武器の中から、二本の大剣を選び、手に取った
周囲に武器を生み出し続けながら、化け物の群れへと切りかかっていく
絶叫と血飛沫が、無数に生まれ始め、化け物共が屍に変えられていく
周囲に武器を生み出し続けながら、化け物の群れへと切りかかっていく
絶叫と血飛沫が、無数に生まれ始め、化け物共が屍に変えられていく
「…この通りなので、こちらは任せてもらって問題ない」
「あれ、暴走しているように見えるんだが?」
「あれ、暴走しているように見えるんだが?」
真の指摘も、もっともだ
今のジョルディの様子、そして、あの戦い方は、正直、都市伝説能力の暴走にしか見えないだろう
今のジョルディの様子、そして、あの戦い方は、正直、都市伝説能力の暴走にしか見えないだろう
……だが、あれがジョルディ・ムダーラという青年の、普段の戦闘スタイルなのだ
彼の契約都市伝説は、「力天使(ヴァーチューズ、もしくはデュナミス)、その名前は「武勇」を意味すると言われている
人間に力を与えることで、真の敵…すなわち、悪魔…と戦う勇気を湧き上がらせるという説、そのままの能力だ
無数に武器を生成し続け、それを射撃武器として扱いつつ、自らもまた武器を持って、強化された身体能力で戦う
……普段のジョルディの様子からは、想像しにくい戦い方だろう
もっとも、能力発動中のジョルディは、「敵と戦う勇気を湧き上がらせる」というそれにより、狂戦士…バーサーカーの如きになっているのだが
彼の契約都市伝説は、「力天使(ヴァーチューズ、もしくはデュナミス)、その名前は「武勇」を意味すると言われている
人間に力を与えることで、真の敵…すなわち、悪魔…と戦う勇気を湧き上がらせるという説、そのままの能力だ
無数に武器を生成し続け、それを射撃武器として扱いつつ、自らもまた武器を持って、強化された身体能力で戦う
……普段のジョルディの様子からは、想像しにくい戦い方だろう
もっとも、能力発動中のジョルディは、「敵と戦う勇気を湧き上がらせる」というそれにより、狂戦士…バーサーカーの如きになっているのだが
「何、あれは暴走ではない………万が一、本当に暴走するようだったら、何があろうとも俺が止めるから問題ない」
イザークにとって、ジョルディは護るべき幼馴染である
もし、暴走することがあったならば、自分がとめてみせる
……この命に、かけてでも
もし、暴走することがあったならば、自分がとめてみせる
……この命に、かけてでも
「さぁ、行け。お前は、お前がなすべきことをしろ……あぁ、ジョルディが召喚している武器だが、使えそうなものがあったら、持って行け。あいつ以外でも自由に使えるからな」
化け物共を薙ぎ払っているジョルディのサポートをすべく、そちらへと向かおうとしながら
イザークはそう、改めて真に告げたのだった
イザークはそう、改めて真に告げたのだった
to be … ?