---げほげほと、咳き込んでいる声がした
慌てて視線をやれば、ディランが大量に血を吐き出している
骨が、内臓に刺さっているのかもしれない
いかに都市伝説とはいえ、早く治療すべきだろう
慌てて視線をやれば、ディランが大量に血を吐き出している
骨が、内臓に刺さっているのかもしれない
いかに都市伝説とはいえ、早く治療すべきだろう
苦しむディランのその姿に……ニーナは一瞬、己の記憶に違和感を覚えた
気のせいだ、と切り捨てようとするが…しかし、一度生まれた違和感は、そう簡単には消えてくれない
気のせいだ、と切り捨てようとするが…しかし、一度生まれた違和感は、そう簡単には消えてくれない
『またね、ニーナちゃん』
「………っ」
脳裏に、記憶が蘇る
己の記憶とは、矛盾した、記憶が
己の記憶とは、矛盾した、記憶が
『うん、僕は大丈夫だけど………気をつけてね、バーナード。そのお仕事が終わったら、ニーナちゃんと、ゆっくり暮らすんでしょう?』
…何故
何故、この淫魔が、親しげに、祖父と話していた?
何故、この淫魔が、親しげに、祖父と話していた?
『あぁ、わかってる、気をつけるさ……お前が、辛いの我慢して話してくれた事、無駄にしたかぁねぇからな』
何故、祖父は
淫魔と、親しげに話しているのだ?
淫魔と、親しげに話しているのだ?
覚えのある記憶が、フラッシュバックする
血塗れで倒れている祖父
虫の息の祖父を、誰かが踏みつけている
血塗れで倒れている祖父
虫の息の祖父を、誰かが踏みつけている
…違う
自分が覚えている記憶と、違う
自分が覚えている記憶と、違う
血塗れの祖父
それは、同じ
だけれども
それは、同じ
だけれども
祖父を
踏みつけているのは
誰??
踏みつけているのは
誰??
「-----------っ!!」
痛い
痛い、痛い、痛い
記憶の矛盾
何かがおかしい
痛い、痛い、痛い
記憶の矛盾
何かがおかしい
しかし、それに気付けない
気付きかけているけれど、思い出せない
気付きかけているけれど、思い出せない
思い出したら
自分が、壊れてしまうような……
自分が、壊れてしまうような……
いや
もう、思い出しかけている
祖父を踏みつけ、自分を見下してきていたの、は
もう、思い出しかけている
祖父を踏みつけ、自分を見下してきていたの、は
「……う」
「ニーナ?」
「ニーナ?」
カタカタと、震え出したニーナ
ウッドドック伝説が、小さな木の十字架へと戻る……ニーナの精神が、不安定になったせいだ
ウッドドック伝説が、小さな木の十字架へと戻る……ニーナの精神が、不安定になったせいだ
カタカタ、カタカタと
ニーナは己の頭を抱えて、震え続けている
ニーナは己の頭を抱えて、震え続けている
思い出しかけている、記憶を否定するように
こんなものが真実であるはずがない、と否定するように
こんなものが真実であるはずがない、と否定するように
「…う、違うっ!違う、違う、違うっ!!そんな訳、ない、エイブラハム司祭様が………あんなこと、するはずないっ!!」
「………っ!!」
「………っ!!」
エイブラハム
その、名前に……吐血が一旦収まり、呼吸を整えていたディランが…びくり、と体を跳ねらせて、反応した
だが、その反応は、ニーナの激しい変化の前に隠されてしまって
その、名前に……吐血が一旦収まり、呼吸を整えていたディランが…びくり、と体を跳ねらせて、反応した
だが、その反応は、ニーナの激しい変化の前に隠されてしまって
「いや、違う……嘘、嘘、嘘!!!そんな訳ないっ!!」
「……ニーナ!?」
「……ニーナ!?」
蘇りかけた記憶を、否定するように
蘇りかけた記憶から、逃げ出すように
蘇りかけた記憶から、逃げ出すように
ニーナは叫び、路地裏を飛び出した
「……っと!?」
突然、路地裏から飛び出してきた、小さな人影
それにぶつかりそうになって、慌ててヘンリーは数歩、後ろに引いた
続けて飛び出してきた黒い影が、小さな人影を追いかけていったのが、見えた
それにぶつかりそうになって、慌ててヘンリーは数歩、後ろに引いた
続けて飛び出してきた黒い影が、小さな人影を追いかけていったのが、見えた
「…ニーナ?どうして、学校街に…?」
その、小さな人影が
自分が知っている少女であった事実に、首をかしげながら
ヘンリーは、ニーナが飛び出してきた路地裏に、何気なく視線をやって…
自分が知っている少女であった事実に、首をかしげながら
ヘンリーは、ニーナが飛び出してきた路地裏に、何気なく視線をやって…
感じた、血の匂いに
倒れている、その人に
青ざめながら、慌てて駆け寄る
倒れている、その人に
青ざめながら、慌てて駆け寄る
「ディランさん!?」
「先生!?……先生、どうしたの、先生っ!!」
「先生!?……先生、どうしたの、先生っ!!」
倒れているディランの傍らで、少女(ヘンリーの直感的に、100%乙女)が必死にディランに声をかけている
……だが、その声は、ディランに届いていないようで
……だが、その声は、ディランに届いていないようで
「………い」
青ざめた、表情で
小さく、血をはきながら……ディランは、何か、小さな声で呟いている
小さく、血をはきながら……ディランは、何か、小さな声で呟いている
「……ごめんな、さい……」
それは
過去の傷を、抉られたような
そんな、震えた。声
過去の傷を、抉られたような
そんな、震えた。声
「御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい………」
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
まるで、壊れた人形のように
ディランは、誰かに、何かに向かって
謝罪の言葉を、繰り返し続けていた
まるで、壊れた人形のように
ディランは、誰かに、何かに向かって
謝罪の言葉を、繰り返し続けていた
to be … ?