「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - utopia

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kemono

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だれでも歓迎! 編集
昔、私の家は裕福だったらしい。でも、私にはそのころの記憶はなく、あるのは借金まみれの日々だけ
だ。父はバブルがどうとか言っていた。
父は言っていた。子供なんかつくるんじゃなかったと。養育費ばかりかかってしかたがないと。
あの頃はよかったと。
いつも父は辛そうだった。母に逃げられ、借金取りに追われ、子供の世話をして。
だから、私は父を幸せにしてあげた。

善い事をした後は気分がいいものだ。先程交番に届けた財布の落とし主はさぞや困っていた事だろう。
そんな事を考えながら歩いていると、知らない男が立ち塞がった。
「こーんにーちはー。望月さんですよねー?組織の命令でー、討伐に来ましたー。」
組織?討伐?この人は何を言っているのだろうか。
「何不思議そうな顔してんすかー。こないだー、東区のスーパーのー、従業員のほとんどがー、
家で餓死してんのがー、見つかったんすよー。でもー、一人だけー、生き残りがいるんすよー。
それがあんたじゃないっすかー。」
ああ、そんな事もあったっけ。
「いちよー他にもー、生き残りはいるんすけどー、めぇ覚まさないんすよー。
たまーに、起きても全然反応してくれないしー。だからー、あんたに話をききにきたんすよー。
てゆーかー、被害者んなかにー、俺のかーちゃんもいるんすよー。
……………………………………………何してくれてんだ、てめぇ!」
この男は何故怒っているのだろう。全く理解出来ない。この男は知らないのだろうか。
彼等はみんな、笑っていたじゃないか。
みんな言っていたじゃないか。辛いと、苦しいと。歳はとりたくないと、面倒臭いと。
あの頃はよかったと、遊ぶ金が欲しいと。
だから、私は皆を幸せにしてあげた。みんなは喜んでくれた。だから、帰って来ない。
こんな現実(ディストピア)にいたくないから。食べる事などどうでもいいくらい、あちらが楽しいから。
「殺してやる。俺の『人間シチュー』で、殺してやる!」
ああ、そうか。寂しいのか。母親がいなくて。この男もここが嫌なのか。辛いのか。苦しいのか。
じゃあ、幸せにしてあげよう。
突然、彼の足元に大穴が出現し、彼は落ちていった、そんな幻覚。実際には身体は、そこにあるのだから、幻覚なのだろう。
私は、何時でも何処でもこの穴を作る事が出来る。そして、一度落ちたら二度と戻れない。いや、もしかしたらいつでも帰って来れるのかもしれない。でも、私は一度も帰ってきた人を見た事がない。
父も、母も、レジのおばさんも、品だしのお兄さんも、店長も、借金取りのおじさんも。そして、きっとこの男も。
だってこの穴の向こうは、誰もが幸せになれる国「理想郷」。私の大切な、人を幸せにする都市伝説。私だけが入れない、幸せの国。
善い事をした後は気分がいい。そんな事を考えながら、私は家路についた。






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