何が起こったのか
漢にはさっぱり分からなかったが、
まずは、己に出来る事からやろうと、動き出した
漢にはさっぱり分からなかったが、
まずは、己に出来る事からやろうと、動き出した
「―――っ、お、お爺さん、大丈夫ですか!?」
倒れた老人に駆け寄り、声をかける漢
それに麻夜も続き、暫く身体を揺すったが、起きる様子が無いので拳を作り―――
それに麻夜も続き、暫く身体を揺すったが、起きる様子が無いので拳を作り―――
「まままま麻夜、そ、それはダメだよ!?」
「・・・あ、そっか。てへっ☆」
「・・・あ、そっか。てへっ☆」
【 神 力 秘 詞 】
九之巻~戦イハ 彼ニ 受ケ継ガレル~
九之巻~戦イハ 彼ニ 受ケ継ガレル~
(漢>それに、しても・・・さっきのは、一体・・・?
先程まで、自分が戦っていた相手の事を思い出す
人間に憑依する、何やら意思の篭った剣に見えたが・・・
契約者としての自覚を持ってから時が浅い漢には、どんな都市伝説なのかなど想像もつかなかった
それに、あの都市伝説が、麻夜にとり憑こうとした時、
剣は彼女に憑くことができずに、逆に弾かれてしまった
お陰で老人を救い出すことができたが、非契約者である筈の麻夜の身に、一体何が・・・
人間に憑依する、何やら意思の篭った剣に見えたが・・・
契約者としての自覚を持ってから時が浅い漢には、どんな都市伝説なのかなど想像もつかなかった
それに、あの都市伝説が、麻夜にとり憑こうとした時、
剣は彼女に憑くことができずに、逆に弾かれてしまった
お陰で老人を救い出すことができたが、非契約者である筈の麻夜の身に、一体何が・・・
(麻夜>にぃにぃ、どうかしたの?
(漢>・・・え? あ、ううん、何でもないよ
そ、そうだ、このお爺さんを送ってあげないと・・・あ
(漢>・・・え? あ、ううん、何でもないよ
そ、そうだ、このお爺さんを送ってあげないと・・・あ
ふと、彼は思い出し、振り返る
疲労しているのか、へたり込んでいる少年の姿がそこにあった
疲労しているのか、へたり込んでいる少年の姿がそこにあった
(漢>あの、えっと、その・・・
(麻夜>ねぇ、そこの坊やー
(麻夜>ねぇ、そこの坊やー
どう声をかけようか迷っている漢より先に、麻夜が少年を呼んだ
こちらに気づいた少年は、不満げな表情を浮かべている
こちらに気づいた少年は、不満げな表情を浮かべている
(少年>・・・どうでもいいけど、俺は坊やじゃなくt
(漢>えっと、君は、お家は近いの? お母さんとか、心配してない・・・?
(少年>―――あ!!
(漢>えっと、君は、お家は近いの? お母さんとか、心配してない・・・?
(少年>―――あ!!
どうやら、忘れていたらしい
だが、あの都市伝説がこの周辺を徘徊している可能性が無いとは言い切れない為、
且つ小学生一人をこのまま帰す訳にも行かない為、
漢はでき得る最善の手を導き出した
だが、あの都市伝説がこの周辺を徘徊している可能性が無いとは言い切れない為、
且つ小学生一人をこのまま帰す訳にも行かない為、
漢はでき得る最善の手を導き出した
(漢>そ、それじゃあ麻夜、この子を家まで送ってあげて?
(麻夜>え?
(漢>僕は、このお爺さんの家族を探してから帰るから・・・
(麻夜>そんな、にぃにぃ1人置いてくなんて!
(漢>大丈夫、すぐに帰るから・・・ね?
(麻夜>え?
(漢>僕は、このお爺さんの家族を探してから帰るから・・・
(麻夜>そんな、にぃにぃ1人置いてくなんて!
(漢>大丈夫、すぐに帰るから・・・ね?
安心させるように優しく言うと、
麻夜は頬を膨らませながらも少年の手を引き、振り向かずに公園を出た
ほっ、と胸を撫で下ろす漢
麻夜は頬を膨らませながらも少年の手を引き、振り向かずに公園を出た
ほっ、と胸を撫で下ろす漢
(漢>・・・えっと、まずはご近所さんに、この人が何処に住んでるか聞かなきゃ・・・・・・あ
と、聞き込み調査を始めようとしたのだが、
彼は肝心なことを忘れており、そして思い出してしまった・・・
彼は肝心なことを忘れており、そして思い出してしまった・・・
(漢>ど、どうしよう・・・
彼は、人見知りだった
その上、知っての通り漢は小心者である
陽が落ち、星が見え始めたこの時刻、都市伝説やその契約者は勿論、
運が悪ければ、恐らくそれらよりもタチの悪い変質者に出会う可能性もある
麻夜が居れば何とかなるものの、彼女には契約者らしい少年を任せてしまい、傍らには気を失った老人のみ
彼は自分で自分に不利な状況を作ってしまったのだ
その上、知っての通り漢は小心者である
陽が落ち、星が見え始めたこの時刻、都市伝説やその契約者は勿論、
運が悪ければ、恐らくそれらよりもタチの悪い変質者に出会う可能性もある
麻夜が居れば何とかなるものの、彼女には契約者らしい少年を任せてしまい、傍らには気を失った老人のみ
彼は自分で自分に不利な状況を作ってしまったのだ
(漢>えっと・・・えっと・・・
プチパニック状態に陥ってしまっている漢
しかしそんな時、暗闇の中から彼のピンチを救う英雄が現れた
しかしそんな時、暗闇の中から彼のピンチを救う英雄が現れた
「・・・もしかして、漢か?」
びくっ、と身体を跳び上がらせ、声のした方を見る
夜闇に紛れる黒に身を包んだ少年が、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきていた
漢には、その少年が誰なのかすぐに分かった
夜闇に紛れる黒に身を包んだ少年が、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきていた
漢には、その少年が誰なのかすぐに分かった
(漢>・・・裂、兄ぃ?
(裂邪>やっぱりか。何だ、まだ帰ってなかったのか―――
(裂邪>やっぱりか。何だ、まだ帰ってなかったのか―――
と、普通に会話を始めようとした少年――黄昏 裂邪だったが、
周囲の状況を見た瞬間に、言葉が詰まった
激しい戦闘があった形跡のある公園と、倒れた老人
それに、よく考えれば、傍に麻夜がいないのも、彼にとっては不自然だった
彼はがしっ、と漢の肩を掴んだ
周囲の状況を見た瞬間に、言葉が詰まった
激しい戦闘があった形跡のある公園と、倒れた老人
それに、よく考えれば、傍に麻夜がいないのも、彼にとっては不自然だった
彼はがしっ、と漢の肩を掴んだ
(漢>ふえっ!?
(裂邪>ここで何があった? 麻夜ちゃんはどうした!?
(漢>ぁ・・・麻夜は、大丈夫・・・一緒にいた子供を、家まで送ってくれてるだけだから
(裂邪>そうか、ならいい・・・で、
(漢>そ、そうだ、裂兄ぃ・・・裂兄ぃに、伝えなきゃいけないことがあるんだ
(裂邪>ん?
(漢>すごく、強い都市伝説と、戦ったんだ・・・でも、逃げられちゃって・・・
裂兄ぃも、気をつけた方がいいと思う
(裂邪>・・・詳しく、聞かせろ
(裂邪>ここで何があった? 麻夜ちゃんはどうした!?
(漢>ぁ・・・麻夜は、大丈夫・・・一緒にいた子供を、家まで送ってくれてるだけだから
(裂邪>そうか、ならいい・・・で、
(漢>そ、そうだ、裂兄ぃ・・・裂兄ぃに、伝えなきゃいけないことがあるんだ
(裂邪>ん?
(漢>すごく、強い都市伝説と、戦ったんだ・・・でも、逃げられちゃって・・・
裂兄ぃも、気をつけた方がいいと思う
(裂邪>・・・詳しく、聞かせろ
† † † † † †
漢は裂邪に自分が見た事全てを話した
その都市伝説は老人に取り憑いていた事
その都市伝説は普段は剣に憑依しているらしい事
その都市伝説は炎を操り、それを「ヴァルプルギスの夜」と呼んでいた事
そして、その都市伝説が麻夜を宿主としようとした時―――憑依に失敗したらしかった事
その都市伝説は老人に取り憑いていた事
その都市伝説は普段は剣に憑依しているらしい事
その都市伝説は炎を操り、それを「ヴァルプルギスの夜」と呼んでいた事
そして、その都市伝説が麻夜を宿主としようとした時―――憑依に失敗したらしかった事
(裂邪>「ヴァルプルギスの夜」・・・そうか、あの能力はそれだったのか
(漢>・・・え? 裂兄ぃ、あの都市伝説のこと知ってるの?
(裂邪>まぁな・・・それより、お前は大丈夫か? 怪我とか、してないか?
(漢>う、うん、何ともないよ
(漢>・・・え? 裂兄ぃ、あの都市伝説のこと知ってるの?
(裂邪>まぁな・・・それより、お前は大丈夫か? 怪我とか、してないか?
(漢>う、うん、何ともないよ
漢の言葉を聞いて、そうか、とゆっくり頷くと、
(裂邪>・・・良かった
裂邪は、またゆっくりと漢の身体をその腕で包み込んだ
(漢>ひゃっ、ち、ちょっと、裂兄ぃ・・・
(裂邪>怖かっただろ・・・? ごめんな、俺があいつを取り逃がした所為で・・・俺の責任だ
(漢>・・・そ、そんなこと、ないよ? 僕だって、逃がしちゃったから・・・
(裂邪>いや、お前はちゃんと、あの爺さんを助け出したんだろ?
俺は違う。誰一人として、助けられなかった・・・あの女の子も、あの兄ちゃんも・・・
もう、誰にも怖い思いなんてさせやしない。今度こそ、俺があいつを仕留めてやる
(裂邪>怖かっただろ・・・? ごめんな、俺があいつを取り逃がした所為で・・・俺の責任だ
(漢>・・・そ、そんなこと、ないよ? 僕だって、逃がしちゃったから・・・
(裂邪>いや、お前はちゃんと、あの爺さんを助け出したんだろ?
俺は違う。誰一人として、助けられなかった・・・あの女の子も、あの兄ちゃんも・・・
もう、誰にも怖い思いなんてさせやしない。今度こそ、俺があいつを仕留めてやる
ぽん、と漢の頭を撫でた後、そっと身体を離し、
倒れている老人の腕を引いて、その肩で担いだ
倒れている老人の腕を引いて、その肩で担いだ
(裂邪>さ、この爺さんを家族の元に届けないとな
お前確か人見知りだったな、手伝ってやるよ
(漢>え、で、でも、裂兄ぃは良いの?
(裂邪>俺は散歩の途中だっただけだし、気にすんな
それに、お前を一人にしておくのは不安だし
お前確か人見知りだったな、手伝ってやるよ
(漢>え、で、でも、裂兄ぃは良いの?
(裂邪>俺は散歩の途中だっただけだし、気にすんな
それに、お前を一人にしておくのは不安だし
ヒヒヒ、と笑い、彼は歩き始める
少し遅れて、漢も小走りで裂邪の後についてゆく
少し遅れて、漢も小走りで裂邪の後についてゆく
(漢>・・・ありがとう、裂兄ぃ
(裂邪>っか、勘違いすんなよ、お前に何かあったら麻夜ちゃんが可哀想だっつぅだけだからな!
(裂邪>っか、勘違いすんなよ、お前に何かあったら麻夜ちゃんが可哀想だっつぅだけだからな!
...物語猶続