西方が朱色に染まり、子供達も自らの家へ帰り始める時刻
空っぽになった公園のベンチで、老人が独り座っていた
何やら、様子がおかしい
だが誰もいないが故、誰もその異変に気づけない
と、思われたが
空っぽになった公園のベンチで、老人が独り座っていた
何やら、様子がおかしい
だが誰もいないが故、誰もその異変に気づけない
と、思われたが
「爺さん、どうかした?」
届いた声に老人が顔を上げると、そこにはやや長髪の少年が立っていた
まだ下校途中なのだろうか、背には青みがかった黒いランドセルを背負い、
胸に提げられたきらりと輝いてる
老人は少年を見ると、ゆっくりと口を開いた
まだ下校途中なのだろうか、背には青みがかった黒いランドセルを背負い、
胸に提げられたきらりと輝いてる
老人は少年を見ると、ゆっくりと口を開いた
「何、大した事じゃない・・・少し、腰が悪くてな」
「それも十分大した事だと思うけど・・・待ってて、近くに大人の人いないか探してくるから」
「それも十分大した事だと思うけど・・・待ってて、近くに大人の人いないか探してくるから」
そういうと、少年はランドセルを揺らしながら、
近辺にいる大人を呼ぶ為にとことこと歩き出した――――
近辺にいる大人を呼ぶ為にとことこと歩き出した――――
「―――――――――――なんてね!」
さっと振り返り、正面に手を差し出す少年
と同時に、その手で何かを掴み取った
それは、不気味な程に美しく輝く切っ先であり、
と同時に、その手で何かを掴み取った
それは、不気味な程に美しく輝く切っ先であり、
「・・・ほぅ、ただの小僧ではなさそうだな?」
その持ち主は、腰が悪いと言っていたあの老人だった
さらに老人は見た目に反した身のこなしで、早々に後ろへ下がった
少年も、警戒を緩めることはない
さらに老人は見た目に反した身のこなしで、早々に後ろへ下がった
少年も、警戒を緩めることはない
「だって爺さん、“邪気”しか感じられなかったから」
ぴし、と少年の手が見る見る内に透き通った水晶へと変わっていく
それも、地面にゆらりと冷気が降りていっている
それも、地面にゆらりと冷気が降りていっている
「“邪気”、か・・・なるほど、なかなか楽しめそうだ」
老人が少年を見据え、剣を構えた―――――かと思いきや、
剣の反射した陽光が一瞬、ぎらりと強くなり、
剣の反射した陽光が一瞬、ぎらりと強くなり、
「――――――ッ、『イーヴィル・ブレイカー』!!」
咄嗟に水晶になった右手で防ぐ少年
光が熱線となり、その煌く手に容赦なく放たれる
しかし、すぐに横に跳び、光から逃れるように、老人を中心にして駆ける
光が熱線となり、その煌く手に容赦なく放たれる
しかし、すぐに横に跳び、光から逃れるように、老人を中心にして駆ける
「不思議な能力だ、傷一つつかないか?」
「俺にとったら、爺さんも随分不思議だけどな・・・でも、」
「俺にとったら、爺さんも随分不思議だけどな・・・でも、」
老人の背後に回ったところで、一気に距離を詰め、
「その能力で悪さされる前に・・・俺がその邪気をぶっ殺す!!」
少年の―――水無月 清太の拳が、老人を捉えた
西日の橙の光を七色に変換しながら向かう水晶の拳
だが、それは老人の持つ剣によって受け止められてしまう
続いて清太は足を水晶にして蹴りを入れようとした
老人は拳を押し返すと、その反動でひらりと蹴りを避け、距離を置いた
その老人とは思えない身軽さに、清太は強い違和感を抱き始める
西日の橙の光を七色に変換しながら向かう水晶の拳
だが、それは老人の持つ剣によって受け止められてしまう
続いて清太は足を水晶にして蹴りを入れようとした
老人は拳を押し返すと、その反動でひらりと蹴りを避け、距離を置いた
その老人とは思えない身軽さに、清太は強い違和感を抱き始める
「何だ、この爺さん・・・“爺さんじゃない”みたいだ」
「む?・・・っくく、読みも鋭そうだな」
「む?・・・っくく、読みも鋭そうだな」
呟き、老人は再び剣を構え、清太に迫る
振り下ろされた刃を抑えて拳を入れようとするが、やはり避けられる
防いでは殴りかかり
避けては斬りかかり
そんな攻防が、一瞬だがとても長く感じられた
振り下ろされた刃を抑えて拳を入れようとするが、やはり避けられる
防いでは殴りかかり
避けては斬りかかり
そんな攻防が、一瞬だがとても長く感じられた
「ぜぇ、っぜぇ・・・く、くそっ、攻撃が全然通らない・・・!?」
清太はまだ子供、しかも小学生である
老いているとはいえ、相手は大人
体力では、こちらが少々劣っている
老いているとはいえ、相手は大人
体力では、こちらが少々劣っている
「青いな・・・その程度の力で抑えられると思ったのか?」
ぎらっ、と刃がまた鋭く輝いた
――――――まずい!!
咄嗟に水晶になった右手を構えた直後、掌に熱線が注いだ
じゅうっ!!と水分が蒸発するような音が響いた
じゅうっ!!と水分が蒸発するような音が響いた
「や、っべ・・・限界、か・・・!」
清太の都市伝説――「水晶は邪気を吸収する」は、邪気の篭った攻撃を全て無力化する事ができる
しかしそれも決して万能ではなく、邪気が溜まり過ぎると吸収できなくなり、能力が発動しなくなってしまう
今そうなってしまっては、彼は―――――
しかしそれも決して万能ではなく、邪気が溜まり過ぎると吸収できなくなり、能力が発動しなくなってしまう
今そうなってしまっては、彼は―――――
「っちぃ!」
先程と同じように、清太は右方へ飛び退いて閃光から逃れ、
追撃も避けることができるよう、老人の姿を捉え―――
追撃も避けることができるよう、老人の姿を捉え―――
「え?」
―――られなかった
熱線を放っていた老人の姿が、何処にもない
だが、この状況で逃げるなど、考えられない
清太は周りをきょろきょろと何度も見回して、消えた老人を探していた
が、
熱線を放っていた老人の姿が、何処にもない
だが、この状況で逃げるなど、考えられない
清太は周りをきょろきょろと何度も見回して、消えた老人を探していた
が、
「さらばだ」
背後からの声に反応した時、既にそれは真後ろに立っていた
自分に向かって真っ直ぐに振り下ろされる黄金の柄の剣
反射的に、清太はそれを水晶の右手で抑えようとした
自分に向かって真っ直ぐに振り下ろされる黄金の柄の剣
反射的に、清太はそれを水晶の右手で抑えようとした
――――――――ざんっ!!!
飛んでいく水晶の腕
にやり、笑う老人
苦悶の表情を浮かべる清太
にやり、笑う老人
苦悶の表情を浮かべる清太
「――――――――ッ!?」
失った右腕を押さえ、老人から距離を取る
まだ水晶状態を継続している為、何とか血は流れていないが、
走る激痛に歪む彼の顔を眺めて、老人は笑った
まだ水晶状態を継続している為、何とか血は流れていないが、
走る激痛に歪む彼の顔を眺めて、老人は笑った
「ギハハハハハハハ・・・良い、無様な弱者にお似合いの姿だ
次は何処を切り落とす? なに、頭は最後まで取っておいてやる、安心しろ
そうだな、次は足を斬って動けなくしてやろうか―――――――――――む?」
次は何処を切り落とす? なに、頭は最後まで取っておいてやる、安心しろ
そうだな、次は足を斬って動けなくしてやろうか―――――――――――む?」
老人は言葉を止め、清太を見据えた
不意に、彼は眉を顰めた
何故なら、清太は腕を失っても尚、自信に満ちた表情をしていたのだから
不意に、彼は眉を顰めた
何故なら、清太は腕を失っても尚、自信に満ちた表情をしていたのだから
「どうした? 死期が近づき壊れたか?」
「そんなことないよ、まだ俺は死ねない・・・腕1本斬られたくらいじゃ、ね!」
「そんなことないよ、まだ俺は死ねない・・・腕1本斬られたくらいじゃ、ね!」
素早く切り落とされた水晶の腕を拾うと、清太はそれを断面にくっつき合わせた
瞬間、ぴしり、と腕が凍りつき、元の1本の腕に戻った
瞬間、ぴしり、と腕が凍りつき、元の1本の腕に戻った
「なっ・・・なるほど、そういうことか」
満ちた自信の中身を理解したのだろう、老人は呆れ気味に呟いた
「水晶は永久に凍ったままの氷」
清太はその能力によって、水晶同士、つまり氷同士を密着させる事で腕の修復に成功したのだ
「水晶は永久に凍ったままの氷」
清太はその能力によって、水晶同士、つまり氷同士を密着させる事で腕の修復に成功したのだ
(何とか腕は治ったけど・・・このあとか、問題は)
腕は戻ったが、無論体力は戻らない
それに、邪気も無力化できない状態・・・依然として、清太の劣勢である
それに、邪気も無力化できない状態・・・依然として、清太の劣勢である
(どうする・・・悔しいけど、ここは一旦・・・)
「そうだな、どうせ治ってしまうなら、もう首を貰うしかないか」
「そうだな、どうせ治ってしまうなら、もう首を貰うしかないか」
清太が思案している間に、老人が間合いを詰める
風をも切り裂くその切っ先を、清太に向けて突き立て―――
風をも切り裂くその切っ先を、清太に向けて突き立て―――
「―――――――何っ!?」
途端に、老人は動きを止め、後方に大きく退いた。首を傾げた清太だが、ほんの数秒後にその答えが分かった
2人の間を、雷鳴を轟かせながら電撃が走ったのだ。双方共に、その電撃が発射された方向を見た
2人の間を、雷鳴を轟かせながら電撃が走ったのだ。双方共に、その電撃が発射された方向を見た
「敵の新手とは、小癪な――――ぐぅっ!?」
低く呻き声をあげ、老人は砂埃を立てて地面を滑り、横転する
何が起こったんだ?・・・状況が飲み込めない清太が、見たものは、
何が起こったんだ?・・・状況が飲み込めない清太が、見たものは、
「坊や、怪我はない?」
老人を蹴飛ばした、セーラー服を着たセミショートヘアの小柄な少女と、
「え、えっと・・・じ、女性や、ここ子供に、手を出す人は・・・く、「首塚」が、許しません・・・!」
雷撃を放ったらしい、これまたセーラー服に身を包んだ、長い黒髪の気弱そうな少女―――いや、“少年”だった
「なんだ、小娘が2人来ただけか・・・」
老人は怪しい笑みを浮かべ、その切っ先を長い髪の少女のような少年――神崎 漢に向けた
びくん、と漢は小さく身震いするが、何度か首を横に振って、
己の胸に手を当て、『神』の字を取り出した
びくん、と漢は小さく身震いするが、何度か首を横に振って、
己の胸に手を当て、『神』の字を取り出した
「い、今なら、まだ間に合います・・・考えを、改めてください!」
「悪いが、そんなつもりは毛頭ない。諦めて・・・死ね」
「悪いが、そんなつもりは毛頭ない。諦めて・・・死ね」
剣を構え、狙いを定めて駆ける老人
あくまで牽制の為に、漢は腕に纏う雷を放つ、その前に、
あくまで牽制の為に、漢は腕に纏う雷を放つ、その前に、
「にぃにぃに手を出すなぁ!!!」
横から飛んできた蹴りをギリギリで避けた老人
抉れた地面には目もくれず、漢に向ける筈だった刃を、小柄な少女――神崎 麻夜に振るった
麻夜は真剣白刃取りを華麗に決め、老人を蹴り上げるべく右足に力を篭める
攻撃が来る前に、剣を振って麻夜の手から逃れ間合いを取り、態勢を整えた
抉れた地面には目もくれず、漢に向ける筈だった刃を、小柄な少女――神崎 麻夜に振るった
麻夜は真剣白刃取りを華麗に決め、老人を蹴り上げるべく右足に力を篭める
攻撃が来る前に、剣を振って麻夜の手から逃れ間合いを取り、態勢を整えた
(なんという力・・・肉弾戦が得意だと見えるが、今はそれに応えるしかなさそうだ)
先刻に清太に熱線を放ったのを最後に陽が落ち、光が反射できなくなってしまった
攻撃手段が大幅に削られ、軽く舌を打つ
攻撃手段が大幅に削られ、軽く舌を打つ
「どうせ逃げるんだったら、どっか遠くにでも行っちゃえば良いのに!!」
麻夜は強く地面を蹴り、その容姿からは想像も付かぬ速さで老人に勢い良く迫り、
強い怒りを秘めた拳を容赦なく老人にぶつけ―――
強い怒りを秘めた拳を容赦なく老人にぶつけ―――
「“ひれ伏せ”」
―――ようとした次の瞬間だった
「きゃあっ!?」
「っま、麻夜ぁ!」
「っま、麻夜ぁ!」
麻夜の身体が、びたん!と地面に叩きつけられた
いや、“張り付いた”、と言った方が分かりやすいかも知れない
立ち上がれない様子の少女を見下ろし、老人は彼女の背に切っ先を向けた
いや、“張り付いた”、と言った方が分かりやすいかも知れない
立ち上がれない様子の少女を見下ろし、老人は彼女の背に切っ先を向けた
「嬉しかろう、姉の前で死ねるのだからな・・・案ずるな、すぐに姉にも会わせてやる」
満足そうに微笑み一気に小さな身体を貫こうとするが、
何分、タイミングが悪すぎた
何分、タイミングが悪すぎた
「―――やめて、ください!!」
弱々しいが、少しだけ力の篭った声が響き、雷鳴が轟く
雷撃を刀身で受け止め弾いたが、その隙に麻夜は自由になったようで、老人から離れる
雷撃を刀身で受け止め弾いたが、その隙に麻夜は自由になったようで、老人から離れる
「っくくくく・・・しぶといな、たかが2人の小娘の相手をしている暇などないのだが」
「俺のことを忘れんなぁ!!」
「俺のことを忘れんなぁ!!」
はっとして振り返ると、見えたものは巨大な氷塊
冷たい隕石が、老人の身体を潰さんとしていた
冷たい隕石が、老人の身体を潰さんとしていた
「ハンバーグにでもなって、頭冷やしてろ!!」
「――――――っち、“消えてなくなれ”」
「――――――っち、“消えてなくなれ”」
突如、天から降ってきた筈の氷塊が忽然と消えてしまった
その光景に、清太は激しい悔咎の念を露にしていた
その光景に、清太は激しい悔咎の念を露にしていた
「くそっ、絶対うまくいく自信あったのになぁ!」
そんな彼に、驚きを隠せない漢が尋ねた
「え・・・? き、君、契約者、だったの?」
「ん? あぁ、そうだよ、でも俺としてはそっちの姉ちゃんが何も契約してないことに驚いたけど」
「契約者なのに、弱いね」
「悪かったな!?」
「ん? あぁ、そうだよ、でも俺としてはそっちの姉ちゃんが何も契約してないことに驚いたけど」
「契約者なのに、弱いね」
「悪かったな!?」
何気ない会話に、老人は耳を傾け、反応する
暫し思案し、不気味な笑みを浮かべると、
暫し思案し、不気味な笑みを浮かべると、
―――――――どさ、と老人は倒れた
「「「ッ!?」」」
思わず絶句するが、警戒を解かない3人
解ける筈もない
確かに、今彼らが戦っていた老人は、目の前で倒れた
だが、その代わりに、老人が持っていた黄金の柄の剣が、邪悪な紫の靄を伴ってふわりと浮いていたのだ
解ける筈もない
確かに、今彼らが戦っていた老人は、目の前で倒れた
だが、その代わりに、老人が持っていた黄金の柄の剣が、邪悪な紫の靄を伴ってふわりと浮いていたのだ
『驚いたかい? これが――の真の姿・・・といったところかな?』
途中、言葉がよく聞き取れなかった
というより、複数の言葉が同時に話されているようだった
「僕」、「私」、「俺」―――ありとあらゆる一人称が押し寄せてくるような感覚
何とも不気味なその浮遊する剣に、ある者は冷気を纏い、ある者は雷を纏い、ある者は闘志を剥き出しにする
というより、複数の言葉が同時に話されているようだった
「僕」、「私」、「俺」―――ありとあらゆる一人称が押し寄せてくるような感覚
何とも不気味なその浮遊する剣に、ある者は冷気を纏い、ある者は雷を纏い、ある者は闘志を剥き出しにする
『あぁ、そこの2人は帰っても良いよ
――は・・・その少女に興味があってね』
――は・・・その少女に興味があってね』
まるで指を差すように剣が示した少女は――元より少女は1人だけなのだが――、麻夜だった
「・・・ゆ、幽霊さんが私に何を――――――っ!?」
彼女は目を疑った
同時に、清太も漢も、目を丸くしている
瞬き一つしていないのに、剣は麻夜の眼前へと移動していた
剣から溢れるように揺らめく紫は次第に色濃くなり、麻夜の身体を包む
同時に、清太も漢も、目を丸くしている
瞬き一つしていないのに、剣は麻夜の眼前へと移動していた
剣から溢れるように揺らめく紫は次第に色濃くなり、麻夜の身体を包む
「っや!? な、何よ!?」
「ま、麻夜を、どうする気なの!?」
『少し身体を借りるだけだよ、老体は動きが鈍いからね』
「ふざけんな! その姉ちゃんから離れろ!」
『邪魔をすると、この少女を殺すよ?』
「ま、麻夜を、どうする気なの!?」
『少し身体を借りるだけだよ、老体は動きが鈍いからね』
「ふざけんな! その姉ちゃんから離れろ!」
『邪魔をすると、この少女を殺すよ?』
清太も漢も、ぴくりとも動けなくなる
妹を、恩人を、目の前で殺させはしない
でも易々と乗っ取らせる訳にもいかない
葛藤が各々の中で生じる
妹を、恩人を、目の前で殺させはしない
でも易々と乗っ取らせる訳にもいかない
葛藤が各々の中で生じる
「あっち行ってよ変態さん! 私はまだ、貸すなんて言ってない!!」
『さぁ、そろそろ頂くよ』
『さぁ、そろそろ頂くよ』
紫の靄は一層濃くなり、少女の身体を包み込む
そして、ゆっくりと、その肉体と精神を蝕んでいった―――――――
そして、ゆっくりと、その肉体と精神を蝕んでいった―――――――
『――――があぁっ!?』
ばちっ!!!
稲妻が落ちたかの如き音が響き渡り、剣は麻夜から大きく弾かれた
即座に漢は彼女の元へ駆け寄り、清太はそれを庇うように立ちはだかる
稲妻が落ちたかの如き音が響き渡り、剣は麻夜から大きく弾かれた
即座に漢は彼女の元へ駆け寄り、清太はそれを庇うように立ちはだかる
(な、何だ、今のは・・・あの少女、途轍もなく強い“何か”に、守られている・・・?)
暫く考えるが、すぐにやめ、まずは宿主を確保すべく、
先程まで居座っていた老人の身体に直行した
ところが、
先程まで居座っていた老人の身体に直行した
ところが、
『なっ!?』
老人に、触れることができない
にっ、と漢が笑った
にっ、と漢が笑った
「『禁』の字は、誰も入ることができない、聖域・・・これで、貴方はずっとその姿のまま・・・」
「何があったのかは知らないけど、形勢逆転のようだな」
「何があったのかは知らないけど、形勢逆転のようだな」
漢の右手に水と炎、左手に雷が渦巻く
清太の両手に冷気が集まっていく
清太の両手に冷気が集まっていく
『聖域、か・・・なら、こちらも同じ手を使わせてもらうとしよう』
剣先が、天を向いた瞬間
ごぅ!!と燃え上がったのは、紫色の炎であった
自然界では決して見られないその不気味で怪しい炎の色に、一同は目を見張る
ごぅ!!と燃え上がったのは、紫色の炎であった
自然界では決して見られないその不気味で怪しい炎の色に、一同は目を見張る
「こ、これは・・・」
「こんなの脅しにもなんねぇよ! 『アヴァランチ・ブレイカー』!!」
「こんなの脅しにもなんねぇよ! 『アヴァランチ・ブレイカー』!!」
清太が、凝縮した冷気を炎に向けて放出した
永久の氷を作り出すほどの冷たい、冷たい空気の流れ
それでも、炎は消えなかった
不思議な事に、炎は揺れもせず、また、熱を一切感じなかった
永久の氷を作り出すほどの冷たい、冷たい空気の流れ
それでも、炎は消えなかった
不思議な事に、炎は揺れもせず、また、熱を一切感じなかった
「くっそ消えねぇ! 何なんだこの炎!?」
『「ヴァルプルギスの夜」・・・西洋で行われる祭でね
そこで焚かれる炎は、邪悪な霊を寄せ付けないとされる
故に、――に敵意を見せる限り、――達の攻撃は届かない』
『「ヴァルプルギスの夜」・・・西洋で行われる祭でね
そこで焚かれる炎は、邪悪な霊を寄せ付けないとされる
故に、――に敵意を見せる限り、――達の攻撃は届かない』
炎の中から聞こえる声は、尚も続ける
『なかなか楽しかったよ、本当にこの町は飽きの来ない良い町だ
次に会う時は潔く、その命を謙譲してくれたまえ』
次に会う時は潔く、その命を謙譲してくれたまえ』
声が止まったその直後に、紫の炎は消えた
邪悪なオーラを放つ剣も、既にそこにはなかった
邪悪なオーラを放つ剣も、既にそこにはなかった