ゲーム王国編 第三話
【千闘開始】
【千闘開始】
……どうしてこうなったのかわからない。
どうしてこんな所にいる羽目になったのかもわからない。
いや、わかってはいるんだけども。
どうしてこんな所にいる羽目になったのかもわからない。
いや、わかってはいるんだけども。
「ほらほら、走れ走れー!」
「なんでだああああああああああああああああああああ!」
「なんでだああああああああああああああああああああ!」
至村賢さんと知り合った後、至村賢さんの指導の下で対都市伝説戦について学ぶことになった。
経緯は簡単、『人面犬』が言い出した一言。
経緯は簡単、『人面犬』が言い出した一言。
――こいつに戦い方を仕込んでやってくれないか?
――OK!
――OK!
サッパリわからない。
どこがどうなったらこんなメチャクチャな話しが通るのかわからない。
そもそも本人の意向を無視して成り立つ会話というのが有り得ない。まずは本人に許可を取って、いやその前に本人が会話に加わった上で話しをするのが筋というものだ。
そこから数多くの議論をした上で本人を説得し、納得し――
どこがどうなったらこんなメチャクチャな話しが通るのかわからない。
そもそも本人の意向を無視して成り立つ会話というのが有り得ない。まずは本人に許可を取って、いやその前に本人が会話に加わった上で話しをするのが筋というものだ。
そこから数多くの議論をした上で本人を説得し、納得し――
「余計なこと考えるヒマあるなら走れアホ」
「痛ぇ!」
「痛ぇ!」
とまあ、そんなこんなでマラソンをする羽目になっているというわけだ。
もう十時間ぐらいぶっ続けで走らされてヘトヘトだ。これだけ走らされる高校生はいないんじゃないか。
もう十時間ぐらいぶっ続けで走らされてヘトヘトだ。これだけ走らされる高校生はいないんじゃないか。
「ほらほら、まだ十分も経ってないぞー」
……体感時間で十時間ってことで。
「てかさ、あのさ」
「何だ?」
「走って強くなれるの?」
「マラソンしゅーりょー」
「何だ?」
「走って強くなれるの?」
「マラソンしゅーりょー」
ええー、何だよそれー。
あれだけ走らされてそんなこと言われたって納得できるかよー。
あれだけ走らされてそんなこと言われたって納得できるかよー。
「じゃあまだ走っててもいいぞ」
「滅相もございません」
「滅相もございません」
……そんなヘタレを見るような眼で見られるとへこむ。
走るのが苦手であって、それ以外はそこそこいけるんだって、きっと。
走るのが苦手であって、それ以外はそこそこいけるんだって、きっと。
「お前さん、どこまで都市伝説について把握してる?」
「ある程度はコイツから聞いたけど基礎的なものくらいかな」
「ある程度はコイツから聞いたけど基礎的なものくらいかな」
都市伝説とは情報生命体のようなものであり、人々から忘れられるとその存在も消える。
だから都市伝説は自分の存在確定のために人間と契約し、自身の存在の希薄化及び消滅を防ぐ。
契約することにより都市伝説は元々の能力が強化されたり、新たな力を得ることもあり、それらは拡大解釈と呼ばれる。
契約した人間は契約者と呼ばれ、契約した都市伝説と同じ能力が付与される場合もあるが、どのような条件下でどのような能力が契約者に付与されるのかは不明。
だから都市伝説は自分の存在確定のために人間と契約し、自身の存在の希薄化及び消滅を防ぐ。
契約することにより都市伝説は元々の能力が強化されたり、新たな力を得ることもあり、それらは拡大解釈と呼ばれる。
契約した人間は契約者と呼ばれ、契約した都市伝説と同じ能力が付与される場合もあるが、どのような条件下でどのような能力が契約者に付与されるのかは不明。
また、都市伝説と契約する上で大きく関わってくるのが容量。
コスト、心の器とも呼ばれるそれは、都市伝説側の容量と契約者側に受け入れる容量とが合えば問題は無い。契約者の容量が小さい場合、都市伝説の容量が大きい場合、どちらも契約はできなくなり、最低でも精神崩壊、最悪では都市伝説に飲み込まれる。
都市伝説に飲み込まれるとは、その都市伝説と同化や同種の都市伝説化等、様々ありこちらも不明。
神と呼ばれる都市伝説、古くから在る都市伝説ほど容量が大きいことが確認されている。
稀に契約者側が都市伝説を飲み込むこともあり、人間でありながら都市伝説以上の存在と化す場合もある。その場合は契約者側の容量も関係あることはあるが、心の強さ、精神の強靭さが強いほどその傾向は顕著。
コスト、心の器とも呼ばれるそれは、都市伝説側の容量と契約者側に受け入れる容量とが合えば問題は無い。契約者の容量が小さい場合、都市伝説の容量が大きい場合、どちらも契約はできなくなり、最低でも精神崩壊、最悪では都市伝説に飲み込まれる。
都市伝説に飲み込まれるとは、その都市伝説と同化や同種の都市伝説化等、様々ありこちらも不明。
神と呼ばれる都市伝説、古くから在る都市伝説ほど容量が大きいことが確認されている。
稀に契約者側が都市伝説を飲み込むこともあり、人間でありながら都市伝説以上の存在と化す場合もある。その場合は契約者側の容量も関係あることはあるが、心の強さ、精神の強靭さが強いほどその傾向は顕著。
「――大体、こんなところかな」
「そんだけわかってりゃ合格点だな。満点じゃねえけど」
「他にも何かあるのか?」
「そんだけわかってりゃ合格点だな。満点じゃねえけど」
「他にも何かあるのか?」
『人面犬』の問いににやりと笑う至村さん。
「幾つかのタイプについては説明受けてないのか?」
「タイプ?」
「そうだな。大きく分けると自律型と概念型、とかな」
「タイプ?」
「そうだな。大きく分けると自律型と概念型、とかな」
自律型とは『人面犬』や『口裂け女』のように自分の意思を持ち、自らで行動するタイプ。
概念型とは『カメラで真ん中に写った人は早死にする』や『ブルーベリーは眼にいい』などの意思を持たず自ら行動できないタイプ。
そこから細かく分けると物質系、生物系、空間系となり、『雷切』は物質系、『注射男』は生物系、『夢の国』は空間系となる。
中には例外もあるが大まかには自律型物品系、概念型空間系など全六種に分別が可能となる。
概念型とは『カメラで真ん中に写った人は早死にする』や『ブルーベリーは眼にいい』などの意思を持たず自ら行動できないタイプ。
そこから細かく分けると物質系、生物系、空間系となり、『雷切』は物質系、『注射男』は生物系、『夢の国』は空間系となる。
中には例外もあるが大まかには自律型物品系、概念型空間系など全六種に分別が可能となる。
「例えばお前さんの契約している『人面犬』は自律型生物系だな。俺の都市伝説なんかは概念型物質系となる」
「……何の都市伝説だ?」
「企業秘密」
「……何の都市伝説だ?」
「企業秘密」
ポロッと言ってくれてもいいのだが残念。
いつか教えてくれたりするんだろうか。
いつか教えてくれたりするんだろうか。
「それとは別に各能力で各系統に分かれたりするんだよ」
「うう、頭痛くなってきた……」
「うう、頭痛くなってきた……」
強化系、放射系、操作系、変化系、創造系の五つに加え、そのどれにも属さない特異系。
強化系は肉体、筋力、視力、反射神経、回復力、道具の強化。
放射系は炎、礫、弾丸、武器、紫外線、マイクロ波、イオン等の自然物非自然物問わず放射。
操作系は動植物の操作、人間の操作、自分自身の操作、異空間の操作。
変化系は水を武器に、炎を柱に、赤を青に。事象の変化。
創造系は生物の創造、無機物の創造、無から有の創造。
特異系は強化変化操作放射創造、そのどれにも属さない異端。
強化系は肉体、筋力、視力、反射神経、回復力、道具の強化。
放射系は炎、礫、弾丸、武器、紫外線、マイクロ波、イオン等の自然物非自然物問わず放射。
操作系は動植物の操作、人間の操作、自分自身の操作、異空間の操作。
変化系は水を武器に、炎を柱に、赤を青に。事象の変化。
創造系は生物の創造、無機物の創造、無から有の創造。
特異系は強化変化操作放射創造、そのどれにも属さない異端。
「人によっては例外、特質、異質、奇異、特例……色んな呼び方してるがな」
「もうわけがわからない」
「まあそう言うな。都市伝説の系統と契約者の系統がピタリと一致すればかなり強いんだぞ」
「俺は自律型生物系の属性は強化系ってところか。――こいつは?」
「もうわけがわからない」
「まあそう言うな。都市伝説の系統と契約者の系統がピタリと一致すればかなり強いんだぞ」
「俺は自律型生物系の属性は強化系ってところか。――こいつは?」
こっちを見て困ったように考え込む至村さん。
そんなに考え込むようなこと?
そんなに考え込むようなこと?
「そいつがわっかんねえんだよなあ」
◆ □ ◆ □ ◆
「言ってることはわかるんだけど、理解が追いつかない。――江良井くんを閉じ込めたってどういうことだい?」
公園で黒服と江良井が閉じ込められてからすぐ、高城は錨野に連絡を取っていた。
連絡を受けた錨野とたまたま近くにいた嘉藤が高城の元を訪れたのは連絡から十五分後のことである。
連絡を受けた錨野とたまたま近くにいた嘉藤が高城の元を訪れたのは連絡から十五分後のことである。
「どうやって……いくら君の『アメリカ村』でもそう簡単に幽閉される人ではないと思うけど」
「〈組織〉の黒服が現れてその隙を突いた」
「詳しく話してくれるかな」
「〈組織〉の黒服が現れてその隙を突いた」
「詳しく話してくれるかな」
敵対するなとの命令に反して江良井に接触したことも隠さず、高城は全てをふたりに話した。
江良井に殺されかけたこと、黒服が登場したこと、〈組織〉が自分達を監視対象にしていること。
江良井に対面した時の心情すら聞き終えると、錨野はこの男にしては珍しく長い溜息を吐き出した。
江良井に殺されかけたこと、黒服が登場したこと、〈組織〉が自分達を監視対象にしていること。
江良井に対面した時の心情すら聞き終えると、錨野はこの男にしては珍しく長い溜息を吐き出した。
「おっかない真似だ。ぼくには到底真似できやしない」
「すまない。早計だった」
「いや、責めてはいないよ。遅かれ早かれ君には江良井くんの幽閉を頼んでいたんだからね。それが多少早まっただけのことさ」
「江良井はどうでもいい。一緒に閉じ込めた〈組織〉の黒服の言葉は本当なのか?」
「ああ。そう言っていた」
「すまない。早計だった」
「いや、責めてはいないよ。遅かれ早かれ君には江良井くんの幽閉を頼んでいたんだからね。それが多少早まっただけのことさ」
「江良井はどうでもいい。一緒に閉じ込めた〈組織〉の黒服の言葉は本当なのか?」
「ああ。そう言っていた」
――高城楓さん、貴方達〈ゲーム王国〉の情報収集を担当しています
「僕達〈ゲーム王国〉が最早漏れている……ね。この前黒服殺したからだろうね」
「江良井に接触したのもバレているしな」
「そういやそうか」
「そんなことはどうでもいい。江良井はいつまで閉じ込められてる?」
「江良井に接触したのもバレているしな」
「そういやそうか」
「そんなことはどうでもいい。江良井はいつまで閉じ込められてる?」
嘉藤の問いに首を振る高城。
彼の契約している都市伝説『アメリカ村』は至村の言葉を借りるなら概念型空間系に属される。
一九九六年に発売されたゲームの発売後に子供達の間で噂されたデマ。
そこに行けばレアなポケモンが手に入るということも手伝い、子供達の間で瞬く間に広がったガセネタ。
『アジア村』とも呼ばれるそれは今でこそガセネタであることが判明しているが、当時の子供達の間では多くが信じ、中には実際に行ったことがあると口にする子供すら現れた。
彼の契約している都市伝説『アメリカ村』は至村の言葉を借りるなら概念型空間系に属される。
一九九六年に発売されたゲームの発売後に子供達の間で噂されたデマ。
そこに行けばレアなポケモンが手に入るということも手伝い、子供達の間で瞬く間に広がったガセネタ。
『アジア村』とも呼ばれるそれは今でこそガセネタであることが判明しているが、当時の子供達の間では多くが信じ、中には実際に行ったことがあると口にする子供すら現れた。
「わからない。今の設定は都市伝説使用不可、時間は一日三年設定にしてあるから出られることない」
「都市伝説の使えない精神と時の部屋か。ついでに黒服も殺しておいてくれると助かるんだけど」
「三日で四十路近く、十日経てば江良井は七十過ぎ。流石に出て来れるはずないだろうが……」
「都市伝説の使えない精神と時の部屋か。ついでに黒服も殺しておいてくれると助かるんだけど」
「三日で四十路近く、十日経てば江良井は七十過ぎ。流石に出て来れるはずないだろうが……」
それでも一抹の不安を拭えないのは相手が他でもない江良井卓だからだ。
高城の制約で都市伝説の使役は封じた。
だが、それでも――そう思わせる何かが江良井にはある。
かつて敵対したことがあると言う錨野は勿論だが、間近で対面した高城は身に染みて感じている。
ふたりの不安が伝染したかのように嘉藤すら体を震わせる。
高城の制約で都市伝説の使役は封じた。
だが、それでも――そう思わせる何かが江良井にはある。
かつて敵対したことがあると言う錨野は勿論だが、間近で対面した高城は身に染みて感じている。
ふたりの不安が伝染したかのように嘉藤すら体を震わせる。
「彼の容量から考えると空間を破る能力を持つ都市伝説とは契約できるはずない。心の器と表現するならもっと容量があっても良さそうなものだけどね。また、彼の仲間という線も可能性はないではないがまずありえない。こと戦闘において彼が頼りにするのは〈地獄の帝王〉のみだ」
ふう、と一息吐いてから錨野は次の言葉を口にする。
「当面の敵は〈組織〉だ。これから先は遠慮も容赦もなしでいこう」
◆ □ ◆ □ ◆
「わからないってどういうこと?」
もしかして自分でも知らない血筋を引いてるとか、隠された潜在能力があるとか、一億人にひとりの資質を持ってたりするとか。
いやいや、本当はすでに契約者としての最高峰にいるとか?
いやいや、本当はすでに契約者としての最高峰にいるとか?
「こいつ、ヘタレな上に体力もゼロ、おまけに頭もあまりよろしくないだろ? しかも話しを聞くに最近契約したばっかりらしいじゃないか」
最近っつーか、一昨日の話ですが。
「判断材料が無い、ってことか」
「そ。見たとこ〈異常〉持ちでも無さそうだしな」
「そんな……って〈異常〉って?」
「読んで字の如く〈異常〉さ。都市伝説は一切関係ない能力者――でいいのかな? そういうのがたまーにいるんだよ」
「そ。見たとこ〈異常〉持ちでも無さそうだしな」
「そんな……って〈異常〉って?」
「読んで字の如く〈異常〉さ。都市伝説は一切関係ない能力者――でいいのかな? そういうのがたまーにいるんだよ」
例えば記憶力、洞察力、言語能力、収納力、認識力、共感覚。
人間が普段意識せず当たり前のように使っている能力とも呼べぬ能力、それらが異常なまでに発達した、都市伝説とは全く異質の異能。
詳細は一切不明。
人間が生身で怪異と対するために身についた新人類とも呼べる能力だと口にする学者もいれば、古い時代に人と妖しが交じり合った結果だと告げる識者もいる。
人間が普段意識せず当たり前のように使っている能力とも呼べぬ能力、それらが異常なまでに発達した、都市伝説とは全く異質の異能。
詳細は一切不明。
人間が生身で怪異と対するために身についた新人類とも呼べる能力だと口にする学者もいれば、古い時代に人と妖しが交じり合った結果だと告げる識者もいる。
「ま、俺も会ったことは無いんだけどな」
「ないのかよ!」
「だからお前、ツッコミ所おかしいって」
「要するにこのガキにはその〈異常〉とやらの素質も無いってことだな」
「そういうこった」
「もしかしてダメダメ?」
「ダメだな」
「ダメだ」
「ないのかよ!」
「だからお前、ツッコミ所おかしいって」
「要するにこのガキにはその〈異常〉とやらの素質も無いってことだな」
「そういうこった」
「もしかしてダメダメ?」
「ダメだな」
「ダメだ」
ヤバい、泣きそう。
何もふたりで言うこと無いじゃないか……本気でへこむ。
でも、〈異常〉持ちにあったらどうすればいいんだ?
何もふたりで言うこと無いじゃないか……本気でへこむ。
でも、〈異常〉持ちにあったらどうすればいいんだ?
「都市伝説相手にしてる時と同じさ。戦うか、逃げるか」
「でもさ、相手の能力っていうのかな、それがわからないと逃げようにも逃げれないってことあるんじゃない?」
「お前はたまに核心つくんだな。――そうだな、その辺りは明日にでも教えてやるか」
「でもさ、相手の能力っていうのかな、それがわからないと逃げようにも逃げれないってことあるんじゃない?」
「お前はたまに核心つくんだな。――そうだな、その辺りは明日にでも教えてやるか」
◆ □ ◆ □ ◆
そのやり取りの三日後。
江良井卓が『アメリカ村』に閉じ込められてから四日が過ぎていた。
江良井卓が『アメリカ村』に閉じ込められてから四日が過ぎていた。
「彼はまだ?」
「破られてはいない」
「そうか……入口を開くことはできるんだよね?」
「可能だ。だが、江良井が出てくる可能性もある」
「破られてはいない」
「そうか……入口を開くことはできるんだよね?」
「可能だ。だが、江良井が出てくる可能性もある」
高城の言葉にやや悩み、錨野は思い直すように首を振った。
「やめておこう。ここで江良井くんが出てきては今日の行動に支障が出そうだ。高城くんは当初の予定通り待機で」
「了解した」
「他のふたりは僕と一緒に予定通りってことで」
「応」
「わかりました」
「了解した」
「他のふたりは僕と一緒に予定通りってことで」
「応」
「わかりました」
嘉藤と中元のふたりが頷く。
ふたりから視線を彼らの後方へと向ける。
そこには四人の黒服が立っていた。
ふたりから視線を彼らの後方へと向ける。
そこには四人の黒服が立っていた。
「や、お待たせして申し訳ない」
「作戦会議は終わったか?」
「お蔭様で」
「作戦会議は終わったか?」
「お蔭様で」
A-№102。
A-№103。
A-№104。
A-№109。
〈組織〉陣営は四人。
A-№103。
A-№104。
A-№109。
〈組織〉陣営は四人。
錨野蝶助。
嘉藤千也。
中元浩志。
高城楓。
〈ゲーム王国〉陣営からも四人。
嘉藤千也。
中元浩志。
高城楓。
〈ゲーム王国〉陣営からも四人。
どちらも数を揃えたつもりはない。ただの偶然だ。
四対四。
奇しくも同人数。
四対四。
奇しくも同人数。
「何か言うことはあるか?」
「別に何も」
「別に何も」
この場での全権を与えられているA-№102が問い、同じく〈ゲーム王国〉の面々をまとめている錨野が応える。
「では始めようか」
「いざ尋常に勝負――なんてね」
「いざ尋常に勝負――なんてね」
〈組織〉と〈ゲーム王国〉の戦いの幕が切って落とされた。
続