「やっ・・・いや・・・助けて・・・!!」
逃げる、逃げる、少女は逃げる
西に沈みかけた陽を背にして、己に害をなすであろう“何か”から
西に沈みかけた陽を背にして、己に害をなすであろう“何か”から
「おいおい逃げてくれんなよぉ、こっちはただ注射してやりたいだけだぜぇ?」
へらへらと笑いながら彼女を余裕そうに歩いて追うのは、
注射器を片手にこの真夏に白衣を纏った、全身包帯だらけの男だった
「注射男」
主に幼い子供を狙って名の通り毒薬を注射する現代妖怪―――“都市伝説”である
白衣の死神に見初められた憐れな少女は、危険から逃れる為に、必死に走った
だが所詮は子供、体力はもう限界だった
注射器を片手にこの真夏に白衣を纏った、全身包帯だらけの男だった
「注射男」
主に幼い子供を狙って名の通り毒薬を注射する現代妖怪―――“都市伝説”である
白衣の死神に見初められた憐れな少女は、危険から逃れる為に、必死に走った
だが所詮は子供、体力はもう限界だった
「――――――――っきゃ!?」
がくんっ、と足が縺れ、前のめりに転んでしまった
立ち上がろうにも、足が棒になって思うように動かない
何とか腕で這って進み始めようとしたが時既に遅し
注射針の先端から毒液を漏らす「注射男」が、背後から彼女を見下ろしていた
立ち上がろうにも、足が棒になって思うように動かない
何とか腕で這って進み始めようとしたが時既に遅し
注射針の先端から毒液を漏らす「注射男」が、背後から彼女を見下ろしていた
「やっと諦めてくれたかぁ? んじゃ遠慮なく打たせて貰うぜぇ」
「いや、やめっ・・・だ、れか・・・」
「いや、やめっ・・・だ、れか・・・」
助けを呼ぼうとするが、喉が掠れて声が出ない
伸ばされた「注射男」の手によって腕を掴まれた瞬間に、少女の目から涙が零れ落ちた
伸ばされた「注射男」の手によって腕を掴まれた瞬間に、少女の目から涙が零れ落ちた
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
突如響いた騒音
余りの音の大きさ、そして騒がしさに、少女も「注射男」も耳を塞いだ
余りの音の大きさ、そして騒がしさに、少女も「注射男」も耳を塞いだ
「・・・っつぅ・・・な、何だ?」
耳を抑えながら、「注射男」はきょろきょろと辺りを見回す
彼が音源を発見したのは、背後を見た時だった
彼が音源を発見したのは、背後を見た時だった
「どう? 良い音でしょ、これ」
それは中学生ほどの少女だった
青みがかった長髪を腰まで伸ばし、頭にオレンジのリボンを結んだ活発そうな少女
音源だと思われるのは、彼女が手に持っていたエレキギターと腰につけた小型アンプだ
ヘッドとボディが角ばった幾何学的な形をしており、赤い炎のような模様がデザインされたこのエレキギター、
B.C.RichのKerryKingモデル『Wartribe』という代物である
詳しい内容は筆者がにわかな為に書けないので検索エンジンを利用して各自で調べて欲しい
青みがかった長髪を腰まで伸ばし、頭にオレンジのリボンを結んだ活発そうな少女
音源だと思われるのは、彼女が手に持っていたエレキギターと腰につけた小型アンプだ
ヘッドとボディが角ばった幾何学的な形をしており、赤い炎のような模様がデザインされたこのエレキギター、
B.C.RichのKerryKingモデル『Wartribe』という代物である
詳しい内容は筆者がにわかな為に書けないので検索エンジンを利用して各自で調べて欲しい
「ちっ、ガキか・・・お前も打たれたいのかぁ?」
「『も』って、その子は打たれたい訳じゃないでしょ?
勿論私だって嫌よ、私はその子を助けに来たの、あんたをぶっ飛ばしてね!」
「はぁ? おいおい、俺の事を舐めてんのかぁ?」
「『も』って、その子は打たれたい訳じゃないでしょ?
勿論私だって嫌よ、私はその子を助けに来たの、あんたをぶっ飛ばしてね!」
「はぁ? おいおい、俺の事を舐めてんのかぁ?」
くるりと身体全体をギターの少女に向け、注射器を軽く放り投げると、
注射器は巨大化して、アニメで見るような極太の針の注射器になった
注射器は巨大化して、アニメで見るような極太の針の注射器になった
「痛い目見ても知らねぇぞ小娘ぇ!!」
巨大注射器を両手で構え、「注射男」は少女に迫る
「小娘じゃない・・・私は、信時 愛恋(ノブトキ エレン)よ!!」
愛恋と名乗った少女は、アンプと繋いでいたケーブルを外し、
ギターのヘッド寄りのネックを掴み、その場で一回転したかと思えば、
注射針を避けると同時に、遠心力を利用して彼の腹部にWartribeのボディを叩きつけた
ギターのヘッド寄りのネックを掴み、その場で一回転したかと思えば、
注射針を避けると同時に、遠心力を利用して彼の腹部にWartribeのボディを叩きつけた
「っかはぁ!?」
角ばったエレキギターの重い一撃をもろに受け、呻き声をあげる「注射男」
だが、それだけではなかった
だが、それだけではなかった
「――――――――――――ッ!?」
第2の衝撃
一瞬にして身体全体に広がった、痺れるような感覚
まるで、雷に撃たれたかの如きその痛みは、紛れもなくギターからのものだった
一瞬にして身体全体に広がった、痺れるような感覚
まるで、雷に撃たれたかの如きその痛みは、紛れもなくギターからのものだった
「・・お、まえ・・・なに、しやがった?」
身体が麻痺しつつもようやく言葉を紡ぐと、愛恋はにっ、と笑ってその問いに答えた
「簡単な事よ。私がただの人間じゃないって事」
「なっ・・・契約者、か!?」
「そ。私が契約したのは「エレキギターで感電死」
私が持ったエレキギターは電気を纏い、触れた相手を痺れさせる!」
「なっ・・・契約者、か!?」
「そ。私が契約したのは「エレキギターで感電死」
私が持ったエレキギターは電気を纏い、触れた相手を痺れさせる!」
愛恋は痺れて動けない「注射男」を蹴飛ばし、エレキギターから離す
反撃しようと注射器を構えるが、やはり身体が言う事を聞かない
反撃しようと注射器を構えるが、やはり身体が言う事を聞かない
「く、そ、うごけ、うごけ―――――――」
彼が最後に見た物は、激しく放電するエレキギターだった
頭上からギターを振り落とされ、彼の頭部はアスファルトに雷鳴と共に叩きつけられた
すぐさま愛恋はギターを構え、ジャアアアン!!と弦を弾いた
頭上からギターを振り落とされ、彼の頭部はアスファルトに雷鳴と共に叩きつけられた
すぐさま愛恋はギターを構え、ジャアアアン!!と弦を弾いた
「心のビートはもう、止められないわ」
彼女が呟いた直後、「注射男」は光となって消えた
ふぅ、と溜息を吐くと、愛恋は視線を横に遣った
「注射男」に追われていた少女が、疲れたのだろうか、ぐっすりと眠っていた
ふぅ、と溜息を吐くと、愛恋は視線を横に遣った
「注射男」に追われていた少女が、疲れたのだろうか、ぐっすりと眠っていた
「こんなところで・・・うーん、放っておく訳にもいかないし・・・
癪だけど、姉貴に頼んでカメラの人に来てもらおっかなー」
癪だけど、姉貴に頼んでカメラの人に来てもらおっかなー」
ぶつぶつと独り言を零し、彼女は携帯電話を開いた
...END