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連載 - 我が願いに踊れ贄共・拷問狂と鳥使い-05

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だれでも歓迎! 編集
 あの日は、雨が降っていた
 朝から、土砂降りの雨が

 土砂降りの雨の中、彼女は逃げ切れただろうか
 ただ、それだけを、祈る




                  Uriel







 そっと、牢獄のカギを開ける
 中にいるのは、一人の少女
 ……残るは、彼女だけだ
 彼女を逃がせば、全て終わる

「……出なさい。時間です」
「…あら、どこに連れて行かれるのかしら」

 困ったように、苦笑する少女
 己がどのような目にあうのか
 …今まで、ここから連れ出された者が一人も戻ってきていない事から……恐らく、悪い想像しか、できていないはずだ

 それでも、かまわない
 普通なら、そう考えるはずだ
 彼女は正しい

「行くべき場所を、決めるのは君だ」
「…どういう事かしら?」

 傷だらけの体
 恐らくは、自分が見ていない間に、拷問でも受けたか
 ……やはり、連中は、暴走を始めている
 早く、止めなければ

「…マントと、フードを。靴も、用意している………さぁ、逃げなさい」
「逃げる…?」

 裏口まで少女を連れて行き、用意していた装束を着せる
 この天気だ、視界は悪い
 これを纏っていけば、何とか逃げ延びれるかもしれない

「…私は、魔女として捕えられたのに。逃がしても良いの?」
「……「教会」の魔女狩りは、間違っている。罪もない人間が、言いがかりで告発され、虐殺される。しかも、その財産は教会が没収…………こんな事を、神がお許しになるはずがない」

 少女に、深くフードをかぶせてやる
 ほんの少しではあるが食料も持たせ、少女を出口へといざなう

「………行きなさい。そして、生きなさい。君は、どうやら私達のように契約者であるようだ……だからこそ、「生きなさい」。君のその力は、誰かを救う為にも使えるはず。どうか………これ以上、魔女狩りの被害者が出ないよう……力ある者達に、逃げるように、隠れるように伝えてほしい。君達のような力ある者が、優先的に狙われるだろうからね」
「…心には止めておくわ」

 小さく、苦笑した少女
 雨の中、外へと歩きだし…


「おや、どこへ行こうというのです」


 向けられた、殺意
 とっさに、少女の姿を隠すように、出口に立ちはだかる

 …少女が、一瞬、立ち止まったのを気配で感じた

「………走りなさい!立ち止まってはいけない、振り返ってはいけない…………生き延びなさい!」
「………っ!!」

 少女が、駆けだす
 …あの男の視界に、少女を入れさせる訳にはいかない
 せめて、その程度の時間稼ぎは、してみせる

「何を考えているのです?ネッセルローデ。魔女を逃がすとは……神に背くおつもりですか?」
「…神に背いているのは、お前達だ。ヴィシャス。こんなことは間違っている…!」

 エイブラハム・ヴィシャス
 今回の魔女狩りの指導者が、そこにいた

 奇跡を起こしたという男
 救世主候補の一人
 ……だが
 この男は、救世主などでは、ない
 今、エイブラハムが浮かべているその邪悪な表情から、それを確信する

「お前の魔眼は、私には効かない。いくら使っても無駄だ」
「……やれやれ。あなたはウリエルの契約者でしたね。本当、厄介だ」

 手の内に、炎を生み出す
 それは剣の形となって、その手に納まった

 ウリエルの名が示すのは「神の火」「神は我が光」
 己が司るは、神の炎
 邪悪なるものを燃やす、神なる力

「…正体を現すがいい、「Anti - Christ」!!」
「っちぃ!?」

 炎をまとった剣で、切りかかる
 ざくり、エイブラハムの肩が大きく裂けた

 サリエルとイロウル……そして、救世主の生まれ変わりであるはずのエイブラハム
 邪悪なる者だけを切り裂く剣で傷つくはずが、ない
 …やはり、こいつは……救世主ではなく、アンチ・クライストと多重契約を行ったのか

「…ヴィシャス!貴様、神の使徒でありながら………っ恥を知れ!」
「恥?……私は、神そのもの。私の意思こそが、神なのですよ?」

 切り裂かれた肩が、治癒されていく
 アンチ・クライストの、神の奇跡を模倣する力
 信者達を騙す為の力が、目の前で披露される

「さようなら、ネッセルローデ。あなたはもう、用済みだ」

 エイブラハムの手に、漆黒の大鎌が姿を現す
 死を司る天使 サリエルの能力によるものだろう
 振り下ろされる鎌を、剣で受け止めようとして

「----っ、な」

 その、鎌は
 受け止められることなく………己の体を、切断してきた
 ぼとり、剣を持っていた腕を、切り落とされる

「何、を……」

 まるで
 「剣で鎌を受け止める」と言う結果を、ちぐはぐにされたような
 そんな、感覚

「地獄に落ちなさい。神である私に逆らったあなたの魂は、天国になど導かれない」

 邪悪な、エイブラハムの見下した笑顔を、最後に
 ………私の意識は、途絶えた




















 彼女は
 あの少女は、逃げ延びる事ができただろうか

 どうか、どうか、生き延びていてほしい
 彼は、あの少女に希望を託したのだから

 彼が、殺されてしまった、今
 彼の死の間際契約を解除され、死にぞこなってしまった、私は

 ただ、それだけを祈り、願い
 誰にも気づかれぬまま、ただ、世界を彷徨い続ける




                            Uriel









to be … ?






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