「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 死ねばよかったのに・約束されている未来-01

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「あー、もーーーぅ!」

 自分の後をついてくる少女が、ぷりぷりと不機嫌である事は、その声でわかる
 なんで、そんなに不機嫌なのか
 まぁ、理由は、今、この街にやってきたのだという厄介な連中絡みなのだろうな、と彼はその程度の察しはついた
 ただ、察しがついたからと言って、彼女の機嫌をどうこうできる訳でもない
 それでも何とか、この機嫌をどうにかできないだろうか、それを考えてみる

「まったくもう。CNoは甘すぎるのよ!不介入を破ってきたのはあっちなんだから!さっさと始末しちゃえばいいのに!」
「でも、その「13使徒」とやらは、とても強いらしいじゃないか。へたな奴が行っても、返り討ちにあうだけなんだろう?」

 一応は、彼女が所属しているそのCNoをフォローしてみる
 穏健派よりのCNoにおいて、彼女は珍しく、喧嘩っ早いと言うか血の気が多いと言うか猪突猛進と言うか考えなしというか
 とにかく、さっさと暴力で解決しようとしてしまう節がある
 どうせなら過激派や強硬派に所属したかった、と愚痴っていた事すらあるのだ
 ……もっとも、彼が「そんな危険なところに所属していたら、いつ、お前が殺されるかわからないから嫌だ」と告げたところ、真っ赤になって、それ以降そんな事を口にしなくなったが

 彼の言葉に、彼女……C-No.893は、納得いかない表情を浮かべる

「ヘタな奴がいけば、でしょ。下っ端じゃなくて、実力ある上層部の連中が行けばいいのよ。仕事しろっての」
「全面戦争を避けたいんじゃないのか?」
「そういう甘い事言ってるから、付け込まれるのよ。さっきも言ったけど、不介入の立場をとる、って言ってた癖にそれを破ったのはあっち。こっちは悪くないわよ」

 ぷっくー、と頬を膨らませているC-No.893
 こういう様子は、外見通りと言うか少女らしい
 その口から出る言葉は、8割が物騒な単語なのだが

「相手はたかが20人未満。「組織」のトップクラス連中を引っ張り出せばどうにかなるわよ」
「その隙に、他の組織につけこまれたら?」

 彼の言葉に、う、とC-No.893は押し黙った
 ……やっぱり、そこまでは考えてなかったな

「相手の戦力も、はっきりわかってないらしいし。まずは相手の戦力と狙いの見極め。そういう事なんだろ?」
「………そういう事、らしいわね」

 はぁ、とため息をつくC-No.893
 わかってはいるのだろう
 それでも、喧嘩っ早い彼女は、納得できないのだろう

「なぁ」
「何よ」
「間違っても、先走って「13使徒」とやらに攻撃を仕掛けないでくれよ?確かに、お前の能力は戦闘向きだし、お前は強いけど。それでも、相性ってものがあるしな。お前に何かあったら嫌だし」

 ……彼の、その言葉に
 C-No.893は、瞬時に真っ赤になった
 耳まで、赤く赤く染まりあがっている
 ……これは、今日という日の寒さのせいではないだろう

「う、煩いわねっ!!わ、私の力をもってすれば、あんな連中、とっくに殺せるんだからっ!!」
「そうだな、どんな能力か察知されない限り、防ぎようがないし」

 C-No.893を飲みこんだ都市伝説
 その能力ならば、ほとんど不意打ちで相手を攻撃できる
 ダメージの与え方によっては、さっさと殺せるだろう

 だが、その能力で殺しきれなかったら?
 能力の詳細を知られ、対抗策を取られたら、C-No.893は無力な少女でしかなくなってしまう
 そうなったら、C-No.893は………簡単に、殺されてしまうだろう
 彼としては、そのような状況にはなってほしくないのだ
 だから、彼女が突っ走ってしまわないよう、釘をさす

「でも、念のため、って言うしな?」
「……し、仕方ないわね。そこまで言うんだったら、仕方ないから、我慢してあげるわよ。う、上の命令に逆らっても後が厄介だと思うだけなんだから。あんたの言うことに従う訳じゃないんだからねっ!!」

 明らかに矛盾した言葉
 その矛盾には突っ込まず、わかった、と彼は頷いた
 これで、彼女の安全がある程度保障されるなら、それでいい

「…………それで、さ。「13使徒」のうち二人と思われる、棺桶背負った変人と、生意気そうな餓鬼が目撃された店ってのは、まだなの?」
「もう少しだな」

 あぁ、そうだ
 今日、この糞寒い中、彼女と一緒に歩いている理由を忘れるところだった
 自分達は、デートをしている訳じゃない

 今、自分たちが歩いているのは、「13使徒」の目撃者から、その情報を聞き出す為だ
 別に戦闘を行っている現場を見た訳ではないので、重要証言というわけでもないのだが
 だが、相手の人格などを推定する材料程度にはなるだろう

 あと少しで、そこに到達する
 ……の、だが

「…あと少しなのよね?」
「あぁ」
「でも、その前に。寄り道の必要があるわ」
「そうだな」

 そう
 その前に、ちょっと寄り道
 やるべき事が、できたようだ
 二人は、辺りを見回し………人気がほとんどない路地裏へと、足を向けた

 さぁ、おいで、と誘うように
 殺気の隠し方も知らないお馬鹿さんを、誘い込む

 路地裏に入りこんだ、その直後

「っ伏せなさい!」
「っと…!?」

 殺気がそのまま攻撃となって二人に襲い掛かってくる
 C-No.893の言葉で、素早く彼は伏せ、その攻撃を免れた
 ……赤い物が、彼に降り注ぐ

「っ大丈夫か!?」
「平気よ、これくらい」

 が、C-No.893は、彼に警告の声をかける事を優先したせいだろうか
 右肩に、ざっくりと傷を負ってしまっている
 黒いスーツが破れ、肌が露出していた
 あまり傷は深くなさそうだが、思った以上に出血している

 …路地に入り込んだ彼らを追って、入ってきた人物
 明らかに、西洋人だ
 そして、首元に、銀のロザリオ

「…「教会」の、子飼いね」
「っぽいな」

 相手は、何やらぶつぶつと呟き続けている
 握りしめられている、銀のロザリオ
 …そして、その背後に、甲冑をまとい剣を手にした、半透明の天使の姿

「能天使(パワー)ね、たいした相手じゃないわ」
「いけるか?」
「えぇ」

 わかった、と彼は頷き…ぽん、とC-No.893の肩を、軽く叩いた
 その瞬間、彼女の肩に刻まれた傷も、切り裂かれたスーツも、瞬時に再生していく
 「叩けば直る」…契約により、本当に叩くことで、電化製品どころか何もかもを再生させる力となった、それ
 強く叩けば叩く程に、より深い傷も再生させる力
 この程度なら、軽く叩けばそれで問題ない

 そして、C-No.893の傷とスーツを再生させた彼は、そっと下がる
 ここからは、彼女の役目
 自分は邪魔者だ

『さて…攻撃したからには、覚悟はできてるわね?』

 英語で男に語りかける、C-No.893
 その言葉に、男は顔を上げ………カッ!!と目を見開いた

『「組織」の狗よ、悪魔の使いよ。お前達を始末し続ければ、あの方も私を認めてくださるだろう!!』

 男の言葉に反応するように、能天使がC-No.893に向かい、剣を構えて突撃する
 だが

『……はぁああああ?ばぁぁああっかじゃないの?殺気も隠せない雑魚の癖に、上の奴に認められるはずないんじゃないのぉ?』

 C-No.893が、男を心底馬鹿に仕切った
 そして、その心にぐっさり突き刺さる、そんな言葉を口にした

 その、瞬間

『っ!?』

 すぱぁん、と
 男の、右肩に………先ほど、C-No.893が負ったのと同じような傷が、出来上がる
 痛みから、制御がうまくできなくなったのだろうか
 能天使の動きが鈍り、C-No.893は、相手の攻撃をあっさりと避けてみせた

『あら、その程度の怪我で集中力途切れる訳ぇ?精神力ひっくいんじゃないの?むしろ、0突っ切ってマイナス突入してんじゃない?』

 さらに続けられる、相手の心に一切配慮しない、容赦なき言葉
 「言葉の刃」とも取れる罵詈雑言に近い、と言うかほぼそのものであるそれをC-No.893は男に浴びせ続ける

『集中力0思考力0!!どころかマイナス!!ロクに都市伝説を操れもしない癖に上の奴に認められるようなんて無理に決まってんでしょ!?鍛練が足りないのよ鍛練が!!その程度でいくら能力使おうとも、暴走されて自分が死ぬってのがオチよ!!』

 ざくざくざくざくざくざくざくざくざく
 C-No.893の言葉は、そのまま刃となって男に襲い掛かる
 「言葉の刃」
 彼女を飲み込んだ都市伝説は、それ
 相手を傷つける言葉が、実体をもって相手に襲い掛かる
 だが、それは言葉でしかない
 言葉には実体がない
 だから、その刃は目に見えない
 目に見えない刃が、言葉を放つごとに高速で相手に襲い掛かるという、恐るべし能力
 それが、C-No.893の恐るべき能力なのだ

『不介入を破ってきたのはそっち。最初にこっちを殺そうとしてきたのはこっち。だから、こっちもあんたを殺す。能無しで脳無しなあんたが生きようが死のうが、あんたの上は気にしないでしょうね。だから、死になさい。ほらほら、さっさと死になさいよ。どうせ、ロクでもない人生歩んできたんでしょ。感謝しなさいよ。その人生、終わらせてあげるから。さっさと肉片になってこの世から消えちゃいなさい、このクズが!!』

 容赦ない言葉の刃は、相手に降りかかり続けて
 ……最初の一撃で、能天使を制御できなくなっていた相手は、反撃すら、許されずに
 ………そのまま、全身切り刻まれて、肉片と化した
 能天使の姿は……もう、見えない
 契約者の死で、消滅したようだ

「やりすぎじゃないか?」
「あのね、都市伝説とか契約者相手は、徹底的にやらないと駄目なの。これだけやっても死なない相手にいるんだからね?」

 肉片と化した男を前に彼はそう告げるも、C-No.893は取り合わない
 いや、彼女の言うことももっともなのだが
 ここまでやらなくともいいんじゃないかなぁ、とも思うのだ

 もっとも、それは

(甘い幻想なんだろうけどな、こんな世界じゃ)

 殺さなければ殺される
 そんな法則が成り立ってしまっているのだから
 ……自分のような甘い考えは許されないのだろう
 多分
 とりあえず、C-No.893は死ななくて良かった
 唯一その事実を、彼は世界を構成する存在に感謝する
「ほら、終わったし、とっとと行くわよ」
「あぁ、その前に。せめて血は拭け」
 肩に傷を負った時に彼女の頬にとんだ血
 それを、彼はぬぐってやった
 その指先が触れてくる感触に………ぼしゅん
 瞬時に、彼女は頬を赤らめる

「こ、こここ、これくらい自分でやるわよっ!!あんたこそ、その血、さっさと拭きなさいっ!!」

 …あぁ、そうだ
 自分も、彼女の血を浴びていたのだった
 できるだけ、拭わないと

 真っ赤になっているC-No.893を見下ろしながら、彼は小さく笑った



 そして、彼は望むのだ
 「教会」「13使徒」が関わる、危険度が高い今回の物語に
 自分達がこれ以上、巻き込まれない事を

 自分はともかく、せめて、彼女……C-No.893が、命を落とすことはありませんように、と
 彼は世界を見下ろし、世界を構成する存在に願うのだ





fin



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