それは、いつも唐突な事なので
彼女にとっては、慣れた事
彼女にとっては、慣れた事
「アンジェリカ」
名前を呼ばれる
呼ばれたならば、参上せねばなるまい
即座に、座り込んでいる少年の背後に具現化して見せる
呼ばれたならば、参上せねばなるまい
即座に、座り込んでいる少年の背後に具現化して見せる
「OK,呼んだか?ハッピー・ジャッ」
-------ぐしゃり
言葉の途中で、彼女、反魂と復讐の魔女アンジェリカの体は、崩れた
内臓と屑肉の山に成り果て、辺りに血をまき散らした
内臓と屑肉の山に成り果て、辺りに血をまき散らした
いきなり呼び出されて、この仕打ち
だが、これすらも、いつもの事であり
彼女にとっては、日常に等しい事であった為、特に驚きも怒りも感じないのだ
だが、これすらも、いつもの事であり
彼女にとっては、日常に等しい事であった為、特に驚きも怒りも感じないのだ
「で、どうかしたか?」
当たり前のように、元の姿に戻ったアンジェリカ
少年が、小さく舌打ちする
少年が、小さく舌打ちする
「わかっているだろ?何だよ。この茶番は」
「うん、まぁ、お前なら気づくわな。ハッピー・ジャック。お前はここですべてを見下ろせるんだからな」
「わかってるなら、どうにかしてくれる?………いい加減、飽き飽きなんだけど」
「うん、まぁ、お前なら気づくわな。ハッピー・ジャック。お前はここですべてを見下ろせるんだからな」
「わかってるなら、どうにかしてくれる?………いい加減、飽き飽きなんだけど」
冷たい声
とても、10にも満たない少年が発するような声じゃない
そして、アンジェリカはそれを異常とも思わず、ごく普通に接して見せる
とても、10にも満たない少年が発するような声じゃない
そして、アンジェリカはそれを異常とも思わず、ごく普通に接して見せる
「わかっていても、どうにもできないと言ったら?」
「……………」
「……………」
じろり
アンジェリカの答えに、ハッピー・ジャックと呼ばれたその少年は、彼女を睨み付けた
アンジェリカの答えに、ハッピー・ジャックと呼ばれたその少年は、彼女を睨み付けた
真っ黒な瞳
平均的な日本人の瞳
苛立ちと殺意の混じった眼差しを、アンジェリカは真正面から受け止めて
平均的な日本人の瞳
苛立ちと殺意の混じった眼差しを、アンジェリカは真正面から受け止めて
------ざくぅ!!
どこからか飛んできた銀の杭に、額を貫かれた
どこからか飛んできた銀の杭に、額を貫かれた
悲鳴を上げる間もなく、今度は胸を
次に、腹を
次に、膝を、足を
容赦なく、貫かれ、抉られていく
次に、腹を
次に、膝を、足を
容赦なく、貫かれ、抉られていく
「か、は…………………くひひひひひひひひっ!お前も相変わらず過激だよなぁ?カラミティ卿よぉ」
「うるせぇ。いいから、とっと何とかしろ。今すぐ何とかしろ」
「うるせぇ。いいから、とっと何とかしろ。今すぐ何とかしろ」
ひらり
漆黒の蝶と共に姿を現した、カラミティ
ハッピー・ジャックの傍らに立ち、その長い杖をアンジェリカに向けてくる
漆黒の蝶と共に姿を現した、カラミティ
ハッピー・ジャックの傍らに立ち、その長い杖をアンジェリカに向けてくる
「いい加減、この繰り返しを何とかしやがれ……まさか、これが千年続くとか言わねぇよな?」
「さすがに、そこまでは続かないよ。そこまで続く前に俺達の気が狂うだろうしな」
「さすがに、そこまでは続かないよ。そこまで続く前に俺達の気が狂うだろうしな」
ぼとり
アンジェリカの体を貫いた杭は、あっけなく抜け落ちた
傷痕が、まるで、最初からなかったかのように消えている
アンジェリカの体を貫いた杭は、あっけなく抜け落ちた
傷痕が、まるで、最初からなかったかのように消えている
彼女は、魔女
彼女の創造主がこの世界に干渉し続ける限り、永遠に生き続けることを決定づけられた存在
彼らでは、彼女を殺しきれない
彼らの刃は、直接は、自分達を生み出した存在に届くことはないのだから
彼女の創造主がこの世界に干渉し続ける限り、永遠に生き続けることを決定づけられた存在
彼らでは、彼女を殺しきれない
彼らの刃は、直接は、自分達を生み出した存在に届くことはないのだから
「ま、あれだ。俺がどうにもできないのは、今回の件が我が主の脚本ではないからだ」
「だから、どうにもできないと?」
「そういう事だ。介入する隙があるように作られた脚本ならばともかく、初めから終わりまできっちり決定づけられている。我が主にゃどうにもできないさ」
「だから、どうにもできないと?」
「そういう事だ。介入する隙があるように作られた脚本ならばともかく、初めから終わりまできっちり決定づけられている。我が主にゃどうにもできないさ」
肩をすくめて見せるアンジェリカ
そして、小さく笑ってくる
そして、小さく笑ってくる
「……安心しろ。そろそろ、このエンドレスな日々も終わりだ。誰かの永遠かもしれなかった平穏も、誰かの永遠かもしれなかった拷問の日もおしまい。繰り返しの日に平穏を過ごした連中の天国も、繰り返しの日に苦痛を味わった者の、死を味わった者の、永遠に続く地獄の拷問も……そろそろ、終わりだ」
脚本のページがめくれる
物語が動き出す
彼女が、彼女自身を生み出した主に接触する
物語が動き出す
彼女が、彼女自身を生み出した主に接触する
かくて
ウロボロスの輪は、破壊されよう
ウロボロスの輪は、破壊されよう
「…………そう、なら、いいんだけど?」
「カインが可愛いのはいいけど、同じことの繰り返しなんて飽きるんだよ」
「だろうな…………日常は平穏の繰り返し。されど、そこにはささやかに違いあり。完全なる繰り返しに非ず………だからこそ、その平穏は愛おしい」
「カインが可愛いのはいいけど、同じことの繰り返しなんて飽きるんだよ」
「だろうな…………日常は平穏の繰り返し。されど、そこにはささやかに違いあり。完全なる繰り返しに非ず………だからこそ、その平穏は愛おしい」
アンジェリカは、笑う
つられたように、ハッピー・ジャックは笑って
つられたように、ハッピー・ジャックは笑って
ぐしゃり
また、アンジェリカの体が、屑肉と内臓に変わった
血が、どろどろと辺りを汚していく
血が、どろどろと辺りを汚していく
「…そうやって、いい話で終わらせれば許されるとでも思ってた?………許される訳ないだろ。自分達がやってきた事、自覚してる?」
「なぁに、許されるとは思ってないさ」
「なぁに、許されるとは思ってないさ」
むくり
中途半端に蘇生し、頭から血を流しながら起き上がるアンジェリカ
ゴキゴキ、首や肩の関節を鳴らす
中途半端に蘇生し、頭から血を流しながら起き上がるアンジェリカ
ゴキゴキ、首や肩の関節を鳴らす
「いつまでも、俺達を憎むがいいよ。そして、復讐したくなったら、俺に言うがいい。俺は、反魂と復讐の魔女。復讐物語を演出するが俺の役目だ」
「……っは。お前の手を借りる気は、今のところないよ、アンジェリカ……もっと長く、くたばっていればいいのに」
「……っは。お前の手を借りる気は、今のところないよ、アンジェリカ……もっと長く、くたばっていればいいのに」
吐き捨てるように言って、ハッピー・ジャックは姿を消した
彼は、ここに現れる時も、退場する時も、余計なエフェクトを発生させない
いつの間にかそこにいて、いつの間にか消えている
今回も、目の前で消えたと言うのに、消えていく様を感じさせやしなかった
彼は、ここに現れる時も、退場する時も、余計なエフェクトを発生させない
いつの間にかそこにいて、いつの間にか消えている
今回も、目の前で消えたと言うのに、消えていく様を感じさせやしなかった
「…お前はどうだ?カラミティ卿。お前の愛しい愛しい大切な者に過酷な運命を背負わせた我が主を。お前達姉弟の間に悲劇をもたらした我が主、憎くはないか?」
「俺様は万能の大魔法使いだぞ。お前みたいな半端な魔女の力なんざ借りる気はねぇよ」
「俺様は万能の大魔法使いだぞ。お前みたいな半端な魔女の力なんざ借りる気はねぇよ」
カラミティの周囲に、漆黒の蝶が現れる
現実での状況と同じ
カラミティは漆黒の蝶と共に現れ、漆黒の蝶と共に姿を消す
その体を漆黒の蝶の群れが包み込み………群れが散った瞬間には、姿を消す
現実での状況と同じ
カラミティは漆黒の蝶と共に現れ、漆黒の蝶と共に姿を消す
その体を漆黒の蝶の群れが包み込み………群れが散った瞬間には、姿を消す
こうして
アンジェリカは、一人ぼっち
暗闇の世界に、彼女と、彼女がまき散らした血の跡だけが残される
アンジェリカは、一人ぼっち
暗闇の世界に、彼女と、彼女がまき散らした血の跡だけが残される
「…………やれやれ」
ふぅ、と小さくため息をつき
アンジェリカは、虚空を見上げる
アンジェリカは、虚空を見上げる
「本当、厄介な役目を押し付けてくれたよな?我が主?」
アンジェリカの言葉に、答える者はない
だが、彼女はその答えを、確かに自分を生み出した者から
かつて、自分の大元であったそれから、受け取って
だが、彼女はその答えを、確かに自分を生み出した者から
かつて、自分の大元であったそれから、受け取って
…………諦めたようにため息をついて、暗い世界の中、姿を消していった
fin