「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・万能の魔法使い-06e

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「……っくく」

 悠司がだした、その答えに
 カラミティが、小さく笑う

『何がおかしいのです?』
「いや、おかしくなんかないさ……いいだろう。その願い、カラミティ・ルーンが聞き届けた」

 そういって、カラミティがつい、と杖を振る
 すると、宙に光で描かれた魔法陣が出現した

 それは、くるくるまわりながら悠司に近づき

「っ!?」

 ---すぅ、と
 悠司の体に吸い込まれるように、消えた

『何をしたのです?』
「警戒する必要はないぞ。言ったろ?悪魔を「貸す」って」

 確かに、カラミティはそう言っていた
 つまり、その約束を果たそうとしているのか

「今の、……えぇと、魔法陣、でしょうか?それが、僕に吸い込まれていったのが……「悪魔を貸す」事になるんですか?」
「あぁ、そうだぞ。普通、お前達人間が悪魔を呼び出すには、面倒くさい制限があったり、儀式に時間がかかったりするからな。それだと、急いで呼び出したい時不便だろ?」

 それもそうである
 切迫している時に、生贄捧げつつ魔法陣書きつつ長ったらしい呪文を唱えている暇などない

「だから、俺様の素敵な魔法で、簡単に呼び出せるようにしてやったんだ。その状態なら、その悪魔の名前を口にすれば呼び出せるぞ」
『…悪魔の召喚には代償がつきものだと聞きますが。その点は問題はないのですか?』

 悠司の身を気遣ってだろう、タマモがそう問いかけた
 問題ないぞ、とカラミティは返す

「俺様が貸せる悪魔は、俺様の知り合いに限られるからな。代償は何とかなるから大丈夫だぞ。それに………まぁ、実践してみりゃ早いか」
「え?」
「ためしに、今、俺様が貸した悪魔を呼び出してみろよ。「フラウロス」そう呼べば、そいつは出てくるぜ」

 そうは、言われても
 突然、貸し与えられた力である
 …悪魔、すなわち、都市伝説を「貸す」
 それは、都市伝説の契約に似たようなものだ
 仮契約、とでも言うべきだろうか
 突然得た力を、突然使いこなすなど…………出来る人間がざらにいるのが現実だったりはするが、自分にはできるものか
 悠司は躊躇し、それを実行できない

「うー?……躊躇する事なんてないぞ。その悪魔は、俺様が貸し与えたんだから。暴走する事なんてないからな」
「…で、でも」
「大魔法使い カラミティ・ルーンの名において。フラウロスがお前に危害を与える事は絶対にない。そう断言してやるぞ」

 ……そこまで呼ばれると、躊躇するわけにもいかない
 悠司は、その「フラウロス」と言う悪魔を呼び出そうとする

 カラミティは「名前を呼べば出てくる」と言うように言っていたが………だが、自分がそれを呼び出せることを自覚した方が、より確実だろう
 悠司は、そう考えた

 自分が、タマモ達の存在が自分の内にある事を自覚し、彼女らの力を借りるように
 その「フラウロス」と言う悪魔の存在を自覚し、呼び出せることを自覚する
 カラミティから与えられた魔法陣、その存在を自覚し……その名前を、口にする

「……「フラウロス」!」

 ぼぅっ、と
 悠司の前に……光り輝く魔法陣が、姿を現した
 そこから、何かが……姿を、現す!!

「にゃーーー!我様を呼び出したのはお前かにゃ?カラミティ卿に前もって言われているから力を貸してやらんでもないにゃー!」

 ………
 …………
 ……………

「……にゃ?」

 いや、その
 愛らしく首を傾げられても、困る

『…………猫?』

 ミズキの疑問ももっともである
 魔法陣の中央に現れた存在
 それは、どこからどう見ても、ラブリーな豹柄模様の猫にしか見えなかった

「ふしゃーーーー!!我様は猫じゃないにゃ!猫はお前の方にゃ!!我様はフラウロス!ソロモン王の悪魔 序列六十四位のフラウロスにゃ!!……と、言うか、さっきからこの語尾はどうなってるにゃーーーっ!?」

 猫が、悠司に向かって毛を逆立てて威嚇してきている
 …恐らくは、悠司の中のミズキに対して威嚇しているんだろう
 えぇと、その
 御免、あまり怖くない
 むしろ、愛らしい

『どっからどう見ても猫じゃない』
「えぇと……フラウロスさん、ですよね?すみません、僕にも猫に見えます。百歩譲って豹の子供には見えますけど」

 遠慮がちにそう告げる悠司
 うん、百歩ほど譲れば豹の子供に見えるが、普通に見れば豹模様の愛らしい猫だ
 ………まぁ、学校町ではライオンの子供が2匹程平気で駆け回っているので、余計にそう見えるのかもしれないが

「ほらほら、フラウロス。鏡」
「………にゃにゃーーーっ!?どうして我様がこんな姿になってるにゃーーー!?カラミティ卿、何をしやがったのにゃ、ちゃっちゃと吐くにゃーーーっ!!」

 カラミティが…多分、魔法で出したのだろう鏡で、フラウロスに姿を見せてやっている
 ようやく、己の姿を自覚したフラウロス
 抗議するように、ぺちぺち、カラミティに猫パンチを繰り出しだした
 ………何、このラブリーな生き物

「何って、悠司に貸した魔法陣の術式に、制限加えただけだぞ?具体的に言うと、お前が好き勝手できないように能力セーブしてんのと、お前が悠司に嘘つけないようにしただけだぞ」
「だけじゃないにゃーーーー!!召喚者に嘘をつくのは我様のアイデンディティーだにゃ!能力制限はまだよしとして、この姿はあんまりにゃーーーー!!」

 ぺっちぺっちぺっちぺっち!!
 連続ぬこパンチを繰り出し続けているフラウロス

 ……どう言葉をかけるべきか、悠司は悩む

「こうやって、簡単に呼び出せるからな。それと、フラウロスみたいな性格に問題あるやつは……なるべく貸さないようにするけど、ちゃんと制限かけてやるぞ」
「性格に問題あるとか、カラミティ卿にだけは言われたくなかったにゃ」

 ようやく、ぬこパンチを終了させたフラウロス
 不満そうに、尻尾をしぱたんしぱたんしている
 ……どこまでラブリー生物に成り下がるつもりなのか、この悪魔

「え、えぇと……ありがとうございます、カラミティさん」
『って言うか、この猫、奴に立つの?』
「ミ、ミズキ…」
「猫って言うにゃー!フラウロス様と呼べにゃ!我様の目は燃える瞳!炎を自由自在に操って見せるにゃ!!他にも、誘惑から召喚者を護ったり、召喚者に禁断の知識を与えて発狂させるのも楽勝にゃ!!」

 最後に、物凄く物騒な単語が聞こえたように見えたのだが
 ……とにかく、力になってくれる、と言うことか

「他にも、こうやって何体か貸してやるな。あ、呼び出した奴は帰れって言えばちゃんと帰るぞ」
『…問題は、主がこのような存在の力を借りている事が、「組織」に知られた場合ですが…』
「大丈夫だよ。俺様の魔法の力が働くから、その目をごまかすくらいは簡単だ。ここでの会話だって、絶対に悟られたりしないさ」

 自信満々に言い切るカラミティ
 その表情は、どこか子供っぽくも見える

「………だから。カインの事、頼むぞ?」
「はい……カラミティさんも、どうか、気を付けて」
「あぁ………街を焼き尽くすのを止めるだけなら、カイザーを殺せばすむだろうけど。それは、カインが哀しむからやる訳にはいかねぇしな。大元を断つしか……」

 ………

 --------え

「え……カイザーさんを殺せば、って」
「ん?あぁ、そうか、お前、まだ知らないのか………学校町を焼き尽くす。その命令を受けているのは、カイザーだぞ」
「………っ」

 あっさりと、告げられる言葉
 カラミティが、嘘をついているようには見えない

 ……すなわち
 それは、事実であり、真実

「ど、どうして、カイザーさんが…」
「あいつには、それだけの力があるってことだよ。一応「セラフィム」だからな、しかも、飲まれかけ」
「でも……でも、あの人が、その命令を承諾するなんて…」
「脅迫されてるからじゃないか?その命令を絶対に断れない状況に追い詰められてるんだろ。今までは細々命令無視してきたみてぇだけど、ちみっこ共の命とかたてにとられて、断りきれないんだろうしな」

 すらすらと、カラミティはそれを告げてくる
 どこまでも、あっさりと
 ただ、事実をそのまま告げている、と言った様子
 悠司が衝撃を受けている事実に、気づいている様子はない

「………知りすぎている、と言うのは、時として知らぬ者への配慮が欠けるにゃ。カラミティ卿は、そのあたりが時々無自覚だから困るにゃ」

 フラウロスは、半ば他人事のように呟いて
 己の召喚主である悠司の足元で、ころん、と丸くなったのだった





to be … ?





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