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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 鬼ごっこ-06

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鬼ごっこ 第六話「こおりおに」】

 待ちに待った新学期。
 朝からたちばなさんと勇さんはお仕事だそうで車に乗って何処かに行ってしまった。
 私は、といえば当然のごとく学校に向かい、友達と普通におしゃべりをしていた。
 ああ久しぶり日常。
 ああおかえり平和。
 私は貴方を待っていた。

「そういえば茉莉聞いた?」
「なに?」
「私たちの新しい担任の話。」
「聞いてないけど……。」
「どうも噂によると飯島先生らしいのよねー。」

 さようなら日常、こんにちわ非日常。

「え!?あの先生なのー?」
「あの人絶対変人だよねー。」
「担任とか無理だわーほんと無理だわー。」
「男子は喜んでいるけどね。」
「ついでにうちの母親も喜んでいたわ。」
「なんで?」
「あの先生が担任してたクラスだけテストの平均点が十点くらい高いのよ。」
「無駄にハイスペックね。」
「やれやれだわ……。」

 飯島下弦。
 日本史の教師である。
 地味な黒いスーツを着ていつも小さな竹刀をぶら下げている女性。
 某超有名国立大学を卒業し、エリートコースまっしぐらだった筈なのにそれを蹴って母校であるこの中学校に教師として戻ってきた才女。
 超をいくら並べても足りない右寄り思想の(しかも過激な)方で、
 授業の時間が余ると

「などと教科書では言われているが!」

 の前置きと共にやれ大東亜共栄圏は正しかっただの日本がアジアの尊厳を守っていただの
 大韓●国の奴らは●●●●だのロシ●人は●●●●だの
 教師とは思えない過激なことを言い出して彼女の美貌に洗脳された男子学生を洗脳しているのだ。
 しかもホームルームでは

「健全な精神から健全な肉体は生まれるのだ!」

 などといい、クラスの全員にハーフマラソンを強制。
 おかげで彼女の率いるクラスの人間が学校のマラソン大会で上位の多くを占めている。
 ああ、私の大好きな日常とは程遠い!
 奇人で!変人で!異常な!そういうタイプの人間だ!

「しかしまあこのメンバーでまた同じクラスで良かったわ。」
「そうね、そこらへんはラッキーだったと思うわ。」

 まあ愚痴を言える友人が居るということが幸いか。
 そこらへんは未だにそこそこ日常だ。
 私はこの春休みの間に色々あったが、学校ではこの三人で集まって普通に……

「あ、チャイム。」
「席戻るね。」
「あいよー。」

 チャイムと同時に勢い良く教室のドアが開く。
 女性が背筋を伸ばして教台の上にあがる。

「諸君おはよう!これから一年君たちの担任をすることになった……」

 そこで息を吸い込み……

「飯島下弦だ!」

 うわ、窓ガラス揺れた。

「よろしく!」

 そんないい笑顔されても困ります。

「……どうした?返事が聞こえないぞ!」

 怖くて返事できません。

「おはようございます!」

 クラスのお調子者が返事をする。

「返事が誠によろしい!名前は!」
「住之江進です!」
「真っ先に覚えたぞ!」
「ありがとうございます!」

 皆笑っている。
 まあとりあえず合わせておこう。

「さて、他のものは?」

 空気も温まったところで自然な流れで挨拶が行われる。

「うむ、声がまだ小さいが最初はそんなものか。
 君たちも住之江くんを見習うように!
 さて、今日は皆さんに転校生を紹介したい!
 入って来なさい!」

 教室がざわめく。
 そりゃあそうだ、だって私しか知らないし。
 見慣れた顔の少女が教室に入ってくる。

「自己紹介をしてくれたまえ!」

 先生、声のトーン落としてください。
 彼女――沖矢一美――はカツカツとチョークを鳴らして自らの名前を黒板に書く。

「沖矢一美と言います、よろしくお願いします。」

 上品そうな仕草で一礼する。
 いや、実際上品な家の方であらせられるのだが。

「沖矢さんはご両親の都合でこちらに引っ越してきたがその前は京都に住んでいたそうだ。
 まだこの土地には不慣れだろうから色々と世話してやってくれ。
 返事は?」

 今度は何人かの生徒が同時に返事する。
 こうやって地道に返事する人が増えていくのだろうか。

「沖矢さん、何か貴方から自己紹介などがあればお願いするけど……。」
「はい、京都に居た頃は弓道をやっていました。
 なのでこちらでも弓道部があれば嬉しいなあと思うんですけど……
 あとは手先が器用なので裁縫なんかも得意なので裁縫部も良いかなーなんて思ってます。
 よろしくお願いします。」
「だそうだ、沖矢さんは住之江の右、越後の後ろに座ってくれ。
 そうそう、あそこ。」

 周囲の人ににこやかにお辞儀しながら座る一美。
 基本的には良い人なんだろうけどなあ。
 どうも私は嫌われている。
 なんでも「覚悟が足りない」だそうである。
 私は巻き込まれただけで覚悟も何も無いと思うんだがどうなのだろう。

「さて、転校生の紹介も終わった所で始業式だ。
 廊下に出て一列に並べ。」

 ゆるゆると動き出す人の群れ。

「キビキビ動く!」

 いそいそ動き始める人の群れ。

「整列、気をつけ!自分の前後に居る筈なのに行方がしれない人間が居たら報告せよ!
 …………全員揃っているな、それでは背筋を伸ばしてついてこい。」

 謎のリーダーシップによって整然と動く私達。
 一美だけが怪訝そうな表情をしている。
 二年生の教室は体育館の近くなので割合すぐに着いた。

「腰をおろしなさい。」

 全員が座る。
 すごい、まるで魔法みたいだ。
 しばらく待っていると始業式が始まった。
 退屈な挨拶、退屈な校長先生の話。
 それが終わって体育館の扉を体育の先生が開けようとした。

「扉が開かない!凍っているぞ!」

 え?どういうこと?
 ざわつく私達。

「ねえ、なんか寒くない?」
「寒い寒い、絶対気温下がってるよ。」
「まだ春先だからじゃない?」
「いやこれ絶対おかしい……。」

 周りからしゃべり声が聞こえる。
 2つ隣の別のクラスの男子も近くの男子としゃべっているし、
 すぐ隣りの別のクラスの女子もしゃべっている。
 でも、私のクラスの人間は誰も喋ってない。
 突然、体育館の照明が落ちて真っ暗になる。
 目が慣れてしばらくすると校長の立っていた高いステージに和服の女性が立っている。

「こんにちわ、皆さん。
 とはいってももう意識が無い人々が殆んどだとは思いますが……」

 体育館の床が凍り付いている。
 隣の人の身体に触れると冷たい。
 私は何故かそれほど寒いと感じていない。
 一美が陰陽術で私を守ってくれているらしい。

「私は何処にでも居る只の雪女。
 皆さんの中に居る一人の少女が目的でやって参りました。
 この中に心ある人が居たならば蘆薬茉莉を差し出してください。
 さもないと此処に居る生徒、無力で、無害な、あなた達契約者とは違う弱い弱い存在を……」

 女性はため息混じりに、でもハッキリと言った。

「凍死させなくてはいけません。」



「うるさいぞバカオロカめ!」




 雪女の声を遮るようにして鐘のような声が響く。

「え?」
「これでも喰らえ!」

 突然竹刀が雪女に向けて飛来する。
 それは雪女の額に直撃して彼女はその場で派手に倒れた。
 竹刀の主は無論……

「曲者め!何処の誰であろうとこの飯島下弦の生徒を狙う輩は皆叩き切ってくれるわ!」

 すげえ、本物の日本刀だ。
 いつの間に、しかもどこから出しやがった……。
 下弦先生は凍った床を無視してヒラリとステージにあがると一刀の元に雪女を切り捨てる。
 そして動けなくなった雪女にたちばなさんが持っていた物と同じような札を投げつけてあっという間に封印してしまった。

「さて、どうしたものかなこれ……。
 組織のやつらでも呼ぶか。」

 困った顔で下弦先生が辺りを見回す。
 私も困ったのでとりあえず気絶したふりをしておこう。


【鬼ごっこ 第六話「こおりおに」 to be continued 】





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