《テケテケ》
下半身のないきみが線路の側にいたのを見付けたのはたまたまだ。
たまたま、きみが寂しそうにしていたのが目に入った。
次の日も、その次の日も、その次の次の日も。
ただ寂しそうに、きみはそこにいたから。
あまりにも寂しそうにしていたから。
ぼくは思わず声をかけてしまった。
たまたま、きみが寂しそうにしていたのが目に入った。
次の日も、その次の日も、その次の次の日も。
ただ寂しそうに、きみはそこにいたから。
あまりにも寂しそうにしていたから。
ぼくは思わず声をかけてしまった。
きみが『テケテケ』という都市伝説だとわかっていても声をかけたのはきみの横顔に見惚れたから。
いつまでも見ているだけじゃ埒が明かないから。
ぼくと、きみとの距離が縮まらないから。
だから声をかけた。
いつまでも見ているだけじゃ埒が明かないから。
ぼくと、きみとの距離が縮まらないから。
だから声をかけた。
口下手なぼくが都市伝説とはいえ女の子に声をかける日がくるなんて今でも信じられない。
今のぼくはきっと声をかけていないだろう。
今のぼくはきっと声をかけていないだろう。
声をかけた時のきみは、とても驚いた顔をしていたね。
まさか自分に声をかけてくる人間がいるなんて思いもしなかったんだろう。
まさか自分に声をかけてくる人間がいるなんて思いもしなかったんだろう。
でも、あの時のぼくは声をかけずにはいられなかった。
きみの力になりたいなんて正義感溢れる理由じゃなく、きみのことが知りたかったから。
きみの力になりたいなんて正義感溢れる理由じゃなく、きみのことが知りたかったから。
下半身がない、人間じゃない、そんなのはどうでもよかった。
きみの横で、きみの笑顔が見たかった。
ただそれだけだった。
――ぼくはきみに恋していたんだ。
きみの横で、きみの笑顔が見たかった。
ただそれだけだった。
――ぼくはきみに恋していたんだ。
声をかけられて驚いたきみの顔、顔を真っ赤にしたぼくを見て笑う顔、拗ねて頬を膨らませた顔。
どれもこれも愛しかった。
寂しそうな顔が消えたことが、ぼくのちっぽけな自尊心を満たしてくれた。
どれもこれも愛しかった。
寂しそうな顔が消えたことが、ぼくのちっぽけな自尊心を満たしてくれた。
でも――ぼくは知らなかった。
きみが女の子じゃなくて男の娘だったなんて。
下半身がないから騙された。
下半身がないから騙された。
都市伝説なんて大嫌いだ!