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死神少女は修行中-03.俺の彼女を紹介します-0b

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「おかしいな・・・」
 ノイちゃんが飛び出して、すぐに追いかけたはずなのに。
 しばらく歩き回っても、彼女の姿が見あたりません。
  焦って周囲を見回すと、視界の端をひらりと見慣れた水色のワンピースが過ぎりました。
「ノイちゃん!」
 後ろ姿が見えた公園に駆け込み、小さな肩に手をかけると、彼女がぱっと振り向きます。
「あ、柳!」
 まだ目は赤いけど笑顔だし、声はいつも通りの元気なノイちゃんで安心した、その矢先。
「はろろーん」
 間延びした声の方を振り向くと、なんともまあ派手な身形の少女が缶ジュースを手にして立っていました。
 ツインテールに結わえられた長いピンク色の頭髪は、
赤い薔薇の花が付けられたヘッドドレスと呼ばれるアクセサリーで飾られていて。
 裾にぐるりと、薔薇と十字架の意匠が施された黒いドレス。
 その裾はまるで子供の描くお姫様のドレスのようにふんわりと広がり、
 そこかしこにいかにも繊細そうな黒いレースがあしらわれていました。
 所謂ゴスロリ、ゴシックロリータと呼ばれる服装だという事は、女の子の服には疎い俺でも判ります。
 年の頃なら13、4歳ほどでしょうか。色白で華奢な、なかなか可愛らしい少女です。
 勿論ノイちゃん程ではないですが。
 彼女がこんなドレスを着たら、爆発的にプリティになるに違いありません。
 よし、今度「LORIQLO」に行って是非一揃い整えておこう。
「にやにや気持ち悪いですよ浅倉柳」
 気が付くとゴスロリ少女のたいそう生暖かい視線が俺に注がれていました。
 少女は缶ジュースを一本ノイちゃんに手渡し
「どうぞ、ノイ。お近づきのしるしですよ」
 ノイちゃんににっこり笑いかけると、すぐ側のベンチに座り、自分も缶ジュースを開けました。
 つられるように俺たちもベンチに腰を下ろします。

「・・・・・・?」

 なんなんでしょう、この子。
 そういえば、ノイちゃんを追いかけてこの公園に入った時には、彼女以外の人の気配は無かったはず。
 ・・・じゃ、この子はいつここに現れたとかなんで俺たちの名前を知っているとか
 考えれば考えるほど、頭の芯が冷えていきます。
 この子には関わらない方がいいという訳の分からない予感に駆られて、
 もう帰ろうとノイちゃんに手を伸ばそうとした、その時。
 ふと、俺のシャツの裾が軽く引っ張られました。
「大丈夫だよ、柳。この子、悪い子じゃないよ」
「そーですよ。ボクは悪い子ではありません。」
 しれっと言い放った少女はノイちゃんに向き直りました。
 「ボクと友達になりませんか?」
 ・・・これはまた唐突な。
 ますます胡散臭いものを感じた俺は、さっさと帰るが吉と判断し、ベンチから立ち上がりました。
 ところが。
「あたしと・・・?」
 なんだかノイちゃんが、頬を染めていますが。
「いいのかな?あたしで?」
 それOKなの!?こんな怪しい人でもいい程友達が欲しいの!?
 俺という生涯の伴侶の立場は何処!?
 待ってノイちゃん、笑顔で握手なんか交わさないで!?お願い俺を捨てないでえぇぇぇ!!
「ボクは新宮 幻です。不束者ですがよろしくですよ」
 俺はよろしくされたくないですよ。
「うん!よろしくお願いします」
 ノイちゃんはぺこっと実に可愛らしくお辞儀をしました。
 「ね、なんであたし達のこと知ってるのかな?」
 ひたと見つめるノイちゃんに、少女はにっ、といたずらっ子のような笑みを浮かべて一言
「秘密です」
 えぇ~!?と納得の行かなそうなノイちゃんの不満顔をさらっとスルーしてジュースを呷ると、
空になった缶をゴミ箱へ放り、立ち上がりました。
「じゃ、ボクは今日はこれで」
 それだけ言うと、現れたのと同じくらいの唐突さで、
 「にいみや まほろ」と名乗った少女は何処へと去ってしまいました。

お近づきのしるし、飲んじゃって良かったのかなあと、
 無邪気に首を傾げるノイちゃんに、俺はいつものように笑いかけることが出来ません。
「ね、柳。幻って、なんだか不思議な子だね」
「そう・・・かな」
 ただ挙動不審なだけだ。
 でも、初めて友達が出来たとはしゃいでいるノイちゃんに、そんな事言えやしない。
 こんな事ならいやな予感がした時、さっさと公園を出てしまえば良かったのに。
 やっぱりあの子は危険だった。
 俺しか知らない、知らなかったノイちゃんの世界に侵入した『友達』という異分子。
 嫌だ。嫌だ。嫌だ。
 心が痛い。息が少しずつ詰まっていく。
「柳?」
 ノイちゃんの声すら茫洋と聞き逃す程、どす黒い感情に飲み込まれていた俺を
 すぐ近くで上がった叫び声が現実に引き戻したのです。

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