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死神少女は修行中-06.死神少女はキウイフルーツの幻想に浸る

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「・・・という訳で、ジャガー男とやらに対抗する為に
 マタタビ科植物を学校町の各所で燃やすオフが開かれるそうなんです」
「へぇ、マタタビねえ」
 各々がそれぞれの興味の度合いに応じた表情で、極の携帯を回覧している。
「『マタタビ科植物』という事は、マタタビだけではないという事か?」
「キウイフルーツとかもそうらしいよ」
「えーっ!?キウイおいしいのに燃やしちゃうの?」
 ムーンストラックと柳の会話にノイが割り込んだ。
 もったいないじゃんとしきりにキウイの運命を憂いている。
「果肉は食べて皮だけ燃やせばいいじゃない」
 パンがなければケーキを食べればいいじゃないといった気楽さで、
 極の携帯をちゃかちゃかといじりながら飛縁魔が言ってのけた。
「飛縁魔さん、一体何を・・・」
 暗に勝手にいじくり回すなと非難しつつ、極が携帯に手を伸ばす。
「さあてっ、行くわよ!」
 高らかに宣言し、飛縁魔が極の携帯を座布団の上に放った。
「行くって何処へ?」
 彼女が何を考えているのか感づきつつも、一同を代表して柳が問うた。

「決まってるでしょーが、こんな面白そうなイベントにノらないテがある?」
「ちょっとちょっと!」
 今しも玄関に向かいかけた飛縁魔を慌てて柳が制止した。
「もちろんお嬢ちゃんは行くわよね?」
 キウイ食べ放題よと脳内ソースだけの情報で煽られて、ノイは一も二もなく賛成した。
「今外に出るのは危険だ。俺は反対だ」
 そうムーンストラックが異議を唱える間にも庭先に乱入した数匹のジャガー人間を、リジーが素早く斧を振るって屠る。
「うちにいても、危ないのは同じだよ」
 あいつらを退治できるならやってみようよとノイが保護者の袖を引いた。
 先日の騒動でノイが死神を発動させて以来、過保護の虫が疼いていた彼ではあるが、
「こないだの事心配してる?みんな一緒だし、あたし頑張るから!」
 止めても無駄どころか目の届かないところへ飛び出しかねないと悟ったムーンストラックは渋々立ち上がり、
 ノイちゃんが行くなら俺もと柳が上着を手に玄関へ出た。
「イベント事には興味ありませんが、マタタビの効果は気になりますから」
「私がイタル様をお護りする」
 なーんだ全員行くんじゃないのと言い出しっぺはによによ笑いながら一同を見渡した。
「早く行こうよ!どこでやるのー?」
「ちょっと待って・・・東区の中学校と墓地、西区工業高校、南区商業高校と、北区の神社ですってよ」
「飛縁魔の所にも、メール来てたの?」
 いいなああたしもケータイ欲しいなあと、ノイがさも羨ましげに彼女の携帯を眺める。
「さっきイタルの携帯から転送したのよ」
 会場入りするまでどうやってこれをバラまいてやろうかしらねと、飛縁魔は愉しげに笑った。



 東区の墓地、マタタビ作戦オフ第二会場にて。
「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
「きゃあああっ!」
 艶やかな黒髪をショートカットにしたブレザー姿の少女が、悲鳴を上げながら四体のジャガー人間を斬り伏せた。
 その間、十秒足らず。感嘆すべき腕前ではあるが…
「怖いのもうイヤぁ!緋色ちゃん助けて~」
 どうやら剣の腕に見合わない根性なしらしい少女は、自らが緋色と呼んだ、
 ウサ耳の付いた黒いパーカーに赤いミニスカート姿の少女、赤坂緋色(あかさか ひいろ)を振り返った。
「あたしも手一杯!」
 緋色は手短に怒鳴ると、しばしの間瞳を閉じて集中に入る。
 頭上が薄暗くなったのを見てとったブレザーの少女、
 赤坂紫(あかさか ゆかり)が慌てて緋色に駆け寄る。巻き添えになるのを防ぐために。
 やがて、ざああという豪雨のような音と共に、二人の周囲を除いた数十メートル四方に
 ゴルフボール程もある雹が降り出し、ジャガー人間たちを打ち倒して行った。
 緋色は「HAARPは気象兵器」と契約している。局所的に気象を操作することの出来る能力だ。
 わずか数十秒で、墓地の周辺に彼女たち以外に動くものはなくなっていた。
「緋色ちゃん」
「何よ」
「巻き添えになってる人とか、まさかいないよね。近くの家とか、車とか大丈夫だよね」
「だっ・・・だいじょーぶよ!」
 緋色の頬に一筋の汗が伝ったのを、紫は見逃さなかった。
「今なら何があっても、全てあのジャガー男のせいだから!!」
「…こんなんで、オフ会が終わるまで、会場を守りきれるのかなあ」
 イヤな予感しかしないなあ。双子の姉ほど強くも図々しくもなれない少女は、そっと溜息をついた。

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