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死神少女は修行中-番外.バレンタインに胃が痛い黒服は甘い物がお好き?

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匿名ユーザー

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 2月14日。晴れ。
 平凡な冬の一日になるはずだったその日は、煮干しのチョコ掛けなどという、あまり食べたくないお茶請けと共にぶち壊された。
「ゆ・・・紫ちゃん、なにこれ」
 いちおう「組織」のо(オウ)-No.99として働いている通称「ウラシマ」と呼ばれている僕。
 年齢不詳独身男の僕としては、なるべく女性の出してくれるものはありがたく食べ、
 ポジティブな感想のひとつも述べたいけれど、果たしてこれはどんな感想を言えばいいんだろう。
「えっと、あの、すみません。今日は・・・」
 普段からおどおどしている紫ちゃんが、いつにも増して言い辛そうにしている。
「今日はバレンタインでしょーが」
 なにやらひらひらとピンク色の布切れを振り回しながら現れたのは、紫ちゃんと双子の緋色ちゃん。
 紫ちゃんに勝るとも劣らないヘタr・・・いやいや、繊細な子なんだけれど、日頃はずうz・・・
 勝ち気な風を装っているのは、自分は紫ちゃんを守るお姉さんだと思っているから。
「バレンタインで、おまけに、『にぼしの日』なんだそうです・・・」
 それでチョコ掛けの煮干しか。納得…できない。
「これ、美味しいと思う?」
 その時の僕の表情は、きっとすごーく困った眉毛犬のような顔だったに違いない。
「あの…正直、微妙、でした」
「死ぬほどマズいというインパクトもなし、かといって美味しいとはとてもね」
 なるほど、まさに微妙。でも食べられないというわけでもないのか。
「あの、これ・・・о(オウ)-No.3のご命令で、消費ノルマがあるんです。手作り、なんだとかで」
 ああ、またあの人か。
 甘党なのは良いけど、極々たまに何処で見たのか、おかしな食べ物を欲しがるから困りものだ。
 おまけに周りにまで食べさせたがる。自分の奇しょ・・・お菓子ブログにうpするだけにしてくれよ。そうしたらよくやるよプププ程度で生温かく見守れるのに。
 ああ、仕事はそれなりに出来る人なのになあ。
 緋色ちゃんと紫ちゃんしかいないのをいいことに、心の声を駄々漏らしにしながら
 甘ったるくぱりぱりとした、磯の香り豊かなまさに味のカオスと言うべきそれをせっせとコーヒーで流し込む。
「食べ終わったらこれだってー」
 よく見ると、緋色ちゃんが振り回している布切れは・・・
「…今日は『ふんどしの日』でも、あるって」
「今日は一日、皆、これをアンダーウェアにして、仕事を、って」 そこまで言うと、紫ちゃんは顔を真っ赤にして半泣きでへたりこんでしまった。
「もしかして・・・緋色ちゃんも?」
「全員ってお達しだから」
 不機嫌そうに頷く緋色ちゃん。
 あんの似非ロリがあああ!うちの部隊を女性露出狂の集団にするつもりか!
 僕は足音高く部屋を出ると、元凶であるところの上司の私室のドアをノックした。

「うーん。どうぞー」
 ちょっと気怠そうなところを見ると、昼寝でもしていたのだろう。この人は働いていない時は、寝るか食べるか、
 私室で無駄にひとりファッションショーに勤しむ以外のことをしているのを見たことがない。
「…ああ、2月14日の記念日コンプリート企画について?何か文句でもあるのぉ?」
 大ありだ。男性ならともかく、古来から女性がふんどしを付ける習慣はない。
「男性のみふんどしが不公平だという輩がいるのよねぇ」
 なら公平を期すために女性は古来着物の下は何も付けないのだからノーパnあばばばば、こんな事を考えるのは僕じゃなくて悪魔の囁きに違いない! いやそうではなくてスカートスタイルの女性に対して酷いセクハラ行為であると、部隊のモラルのために熱心この上ない弁論を展開する僕。
 口先の魔術師よ、僕に固有結界を!
「ウラシマ、ちょっとちょっと」
 僕の訴えを中断させると、彼女は着ている部屋着っぽい黒い薄物のドレスを遠慮なしにめくりあげ、白いお腹が露わになる。
「わあぁぁぁ!」
 あいにくロリコンではないのでこの人のスカートの中なんか興味ない
 てか酷い逆セクハラどころかこんな光景見られたら僕のо(オウ)-No.内での評判とか世間体とか
「よく見なさいよ、このおバカさんが!」
 ・・・おそるおそる彼女を見ると、ふんどしの替わりにあれだ、いわゆる提灯ブルマの可愛いやつ。白くてレースたっぷりの。
「同じ女として、そこに考えが及ばないわけがないでしょーが」
 ふんどしと一緒に、女性メンバー全員にアンダースコートとして配りましたーと相変わらずかったるそうに言いやがりました。
「ご、ごめんなさい、ウラシマさん、誤解、させちゃって」
「やっぱりその・・・ブルマで見えないってわかってても何となく恥ずかしいし、スースーすんのよね」
 追っかけてきたらしく、背後から声を掛けてきたのは緋色ちゃんと紫ちゃん。
 恥ずかしそうだったり、なんか居心地悪そうだったのはそのせいか。
「・・・で?他に言いたいことは?」
「・・・いえ、特に」
 どうしてふんどしにそんなに拘ったのかはともかく、煮干しチョコはもう食べたくないと言うことと、
 そんな予算と暇があるなら備品のグレードアップと仕事の効率化に使ってくれと破れた八つ橋に包んで言ってみた。
 似非ロリ上司答えて曰く
「今日のイベントの予算は、レクリエーション費から出てますが何か?」

 取りあえず、後は平穏無事に今日という日が終わるのを待つだけには、一応なった。
「ウラシマさん・・・これ」
 デスクワークの合間に置かれた、ホットチョコレートの入ったマグカップ。
「それ飲んだら、おやつはチョコフォンデュだから」
 煮干しは無しでねー、と緋色ちゃん。
 今日はどっと疲れたから、甘いもの尽くしはいいかもなあ、と書類にサインを書き込みながら、ホットチョコレートをもう一口すすった。


END

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