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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

死神少女は修行中-番外.冬の夜空に警笛が響くとき、ゴスロリ少女は皮算用をする

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匿名ユーザー

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 月のない深夜に、ただ汽笛だけが響く・・・と、思いきや。
「もうそろそろか?」
「いい時間だ」
 学校町の外れのとある線路脇。町内だけではなく、近隣中のいわゆる「鉄ヲタ」が集結し、
 手に手に一眼レフやら天体望遠鏡と見紛うような巨大なレンズを取り付けたカメラを構えている。
「『偽汽車』が今晩確かに通るっての、マジなんだろうな」
「俺に聞くな。ソース不明の情報なんだ」
「その出所不明の情報だけでよくもまあこんなに・・・」
 人垣はそろそろ近隣の皆さんにご迷惑になろうかという程に膨れ上がっていた。
 冬の寒空にも耐えうる重装備にカメラを隙なく構えた、ちょっぴり暑苦しい男達の中から少し離れて、
 その身形だけで彼らに勝るとも劣らないほど異彩を放つ少女が一人。
 黒いベルベットの膝丈ドレスからは白いパニエの裾のレースがあくまで清楚に見え隠れし、
 彼女なりの寒さ対策なのか、やはりベルベットのボンネットと呼ばれるつば広の帽子を被っている。
「・・・やっぱり情報に間違いはねーですね」
 彼女の名は新宮幻。鉄道にはもちろん興味はない。
 しかし彼女は待機とばかりにあんまんとチョコまんとカスタードまんが入った紙袋を抱えて座り込む。
 それははっきり言って、線路脇の鉄ヲタ共よりよほど妙ちきりんな光景、ではあった。
「ねーママ、お外でお姫さまみたいなカッコしたお姉ちゃんが、地面にすわってあんまん食べてるよ」
「しっ!見ちゃいけません」

「・・・来たぞ!」
 はじめはかすかなどよめき。次いで歓声とフラッシュの光。
 あらかじめ彼らの代表者が手土産片手にご近所に根回しを済ませておいたからいいようなものの、
 そうでなければ線路の所有者、つまり電鉄会社か、下手をすれば警察のペナルティがあったかもしれない。
 そうしている間にも汽車は近づき、彼らのファインダー越しの汽車の姿は、どんどん迫力を増してゆく。
 はじめは真正面。だんだん近づくにつれ、正面をやや斜めの角度から側面へ、最後には去りゆく後ろ姿をすべて、彼らは撮り切った。
「でもあれだろ、『偽汽車』って、大抵ホンモノに撥ねられるってオチがついてんだろ?」
 いくら見た目が汽車でも彼らの正体は大抵ムジナ。そりゃあリアル電車にかなう訳がない。タメが張れたらそれはそれでもう別の都市伝説だ。
「心配ない心配ない。確か今日はもう、これから線路の点検があるから・・・げっ」
 なんの気なしに手元の資料らしい紙を繰った男が呻いた。
「線路の点検前に・・・貨物が・・・」
「・・・マジ?」

 鉄ヲタ達の危惧はまさに知らぬが仏。偽汽車は意気揚々と汽笛を鳴らして走り去る・・・が。
 正面から、こちらは本物の貨物列車が疾走して来た!
「ぅええええっ!!!!」
 運転士は驚いて当たり前だ。他に電車などいるはずのない線路でいるはずのない「汽車」が、しかも逆走してくるのだ。
 神経が細いと言うなかれ。電車は学校町以外の町からも来る。都市伝説なにそれおいしいのという者も偶にはいるのだ。
「ぶつかるー!!!!」
 ブレーキももはや間に合わず、運転士は自らのあまりにも理不尽な死を覚悟した・・・しかし。
「あ・・・あれ!?」
 気が付くと汽車は消え失せ、貨物列車は何事もなく疾走し、いつも通りのホームに入線していた。
「な・・・なんだったんだ、あれ」
 まさにキツネにつままれたような心持ちで、それでも彼は何時も通りの安全確認に入った。

「やー、危なかったのですよ」
 先ほどの線路脇で蝶を象ったコンパクトを手にしたゴスロリ少女、幻。
 彼女の手にしたそれは「魂を盗む鏡」
 もっとも、彼女自身が様々な鏡の都市伝説と既に一体化しているので、
 鏡でありさえすればそれは全て彼女の力の依り代たり得る。
 コンパクトの鏡には衝突寸前で封じられた「偽汽車」の姿が映し出されていた。
「うんうん、ばっちりですよ」
 少女はほくそ笑んでその場を後にする。もう目的は達せられたのだ。

「『偽汽車』を封じ込めた鏡!取り出し可能、状態良好・・・」 某ネットオークションの出品手続きに勤しむ幻のパソコンの画面を、彼女の同居人がのぞき込んだ。
「新宮さん、例の鏡、出品するの」
「そりゃーそうですよ。きっとマニアが高値で買うのですよ」
 既に大金が転がり込んだ気分で満面に笑みを浮かべた幻とは対照的に、貴也は冷めた表情で鏡を摘みあげる。
「入札が入る前に、よく確認したら」
「それどーゆー意味ですか」
 貴也は黙ってコンパクトを開いて手渡した。
「な・・・なんなんですかコレ!!」
 そこに映っていたのは古めかしい汽車ではなく、一匹のムジナ。
「だって、封じたときは確かに」
「ムジナだって一生化け続けるわけにはいかないんだろ」
 呆然と鏡を眺める幻。貴也はごく当然と言わんばかりだ。
「ま、人間の都合のいいようには、大自然の一部たる動物は動いてくれないって事」
「所詮は畜生ですか・・・」

 「偽汽車」の出品を諦めた幻は、小学校の門のそばに鏡をそっと置いていった。
 その小学校ではムジナが子供たちのアイドルとなり、ムジナがマスコットの学校として
 地元のケーブルTVなどが取材に来たりしたのだが、それはまた別の話。




END

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