アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 少女と古の生物

最終更新:

Retsuya

- view
だれでも歓迎! 編集
「・・・・ハァ」

ただ、静かに広がる湖のほとりで、小さく溜息を吐く少女
長い髪をさらさらと、右上にゴムで縛った髪をちょろちょろと風に揺らしながら、
白いワンピースを着たその少女は、三角座りで水面に映る月を眺めていた
そして、彼女はぽつりと

「・・・おにぃのバカ」

呟いた
『おにぃ』とは、兄のことだろう
どうやら、彼女は自分の兄と喧嘩をしたらしい

「そりゃ、おにぃの方が私よりも先に生まれたかも知れないけど・・・
  だからって、なんでもかんでも私に指図することないじゃない!
  折角おにぃの部屋の掃除してあげたのに『俺のカードに触るな』、
  おにぃの買い物についていってあげようと思ったのに『来るな』、
  おにぃの背中流してあげようと思ったのに『入るな』・・・もうイヤ!」

砂埃を撒き散らし、その場に寝転ぶ
 ・・・聊か、歪んでいる気もしなくはないが、兄に対して腹を立てているのは確かなようだ

「もう、イヤ・・・おにぃなんて、おにぃなんて・・・」

唇を、ふるふると震わせながら言葉を紡ごうとした時だった

「あれ?」

先程まで月明かりに照らされていた自分の周りが、やけに暗い
何かに、光を遮られているような
彼女は飛び起きて、正面の湖を見た

小さな頭
長く、細い首
そんな頭部とは対照的な、ずんぐりとした胴体
そこから前後に2つずつ生えた、平べったいヒレ
水に濡れたそのつやのある皮膚は、月光を反射してきらきらと輝いていた

目の前にいるのは、明らかに、怪物
しかし、彼女は
怯えることも、泣き出すことも、逃げ出すこともなく
ただ

「・・・貴方は・・・誰?」

怪物に、話し掛けた
質問に答える為か否か、グルルル、と低く唸る怪物
その声は何処か、優しさを感じさせるようなものだった

「グルル? グルル、って言うの?」

激しく、誤解している気もするが、彼女は無邪気に笑い、

「私は京子(ケイコ)。宜しくね、グルル」

京子も、グルルと名づけられた怪物に自分の名前を教える
すると、グルルは彼女の元にその小さな頭を下ろした
小さいとはいっても、人間からすれば軽自動車ほどの大きさはある

「うふふ、結構可愛いじゃない」

眉間の辺りを、優しく摩る京子
気持ちが良いのか、うっとりと目を瞑るグルル
その表情は、兄との喧嘩で苛立っていた彼女の心を癒すのには十分だった

「ねぇグルル?・・・私の、友達になってくれない?」

顔を、赤く染めながら
しかしどこか、不安な表情を浮かべて、彼女は問う
と、グルルは先程のように、グルルルル、と優しく喉の奥で鳴いた
それを、OKサインだと判断したのだろう、
京子はまた、にっこりと笑みを零した

そこで、軽快なメロディが響く
彼女の携帯電話のようだ

「あ、パパだ・・・ごめんねグルル、折角お友達になったのに・・・私、帰らなきゃ
  明日もまた、ここに来るから。 だから、明日は一緒に遊ぼ、ね?」

頭を撫でながら、彼女は名残惜しそうに囁くように言う
グルルも、それに呼応するように寂しげに頭を上げた

「じゃあ、また明日!」

別れ際ぐらい、明るくしめたい
どうせ、また会えるんだから
そう思った彼女は笑顔で手を振り、湖を立ち去ろうとした

目の前に、黒い犬が現れ、京子は足を止める
闇に溶け込むその身体に、ぽつ、ぽつと血のような赤が2つ輝いているのが印象的だ

「犬・・・? 赤い目の犬なんて、初めて見た」

パパは、『犬は悪魔の使いで滅ぶべき生き物だから近づいちゃダメ』、っていつも言ってるけど
そんなことを考えながら、その犬に触れようとした

グギュグバァァァァァァァァァァァ!!!

静寂を破る、轟音にも似た咆哮
それは、湖にいたグルルの声だった
振り返ろうとした時、黒い犬の口から炎が噴き出される
とその直後に、彼女の背後から水流が飛んできて、炎を掻き消し、黒い犬を草むらへ押し流した

「・・・・・・え?」

何が何だか分からない
口から火を噴く犬
水を吐き出す怪物
よくよく考えれば、両者共にこの世に存在し得る生き物なのだろうか?

思案している内に、草むらから先程の黒い犬が飛び出してきた
今度は、1匹ではなく、2、3・・・10匹ほどの軍隊を率いて
そして、狙いは京子ではなく、今湖から岸に上がってきた、グルルである

「グルルぅ!!」

彼女は叫ぶが、黒い犬は容赦なくグルルに襲い掛かる
首や胴体に爪を立て、牙を刺し、火で焦がす
グルルも必死で抵抗するが、黒犬達はいくら流しても平気で立ち上がり、攻撃を再開する
グルルの水の勢いも、少しずつ弱まっていく
彼女には耐えられなかった
目の前で、友達が虐められていることが
目の前で、友達が苦しそうな顔をしているのが
しかし、今彼女には、目の前の友達を助けられるような力は、ない

「やめてよ・・・お願いだから、グルルを虐めないで!!!」

涙を流し、心の底から叫んだ瞬間
ふと、何処からか聞こえた、謎の声、謎の言葉

「――――――けい、やく?」

その声を、グルルの声だと判断した彼女は、
涙を拭い、心を決めたように強く、言い放った

「何のことだか、分からないけど・・・グルル、私と契約して!!」

グギュグバァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

再び轟く、グルルの咆哮
一番近くにいた黒犬達は、その声に驚き、竦んでしまっていた
その隙に、グルルは身体を震わせ、噛みついていた黒犬を振り払い、
首をぐるりと捻りながら、己の周囲に水流ブレスを放つ
岸辺を大きく抉るほどの力で放たれたそれは、黒犬達を、その形を残すことなく葬った

その一連を見て、思わず腰を抜かしてへたり込む京子

「わぁ・・・す、すごい・・・あ、グ、グルル! 貴方は、大丈夫!?」

グルルの身を心配し、大声で尋ねる
グルルは、にっこりと笑うかのような仕草で答えた
きっと、私の真似をしているのだろう
そう思うと、京子は嬉しくて溜まらなかった

「『ネッシー』、か・・・えらいモンと契約したなぁ」

突然、聞こえた声
京子は身を起こし、グルルは水流を放つ準備をする

「あぁいいよいいよ、警戒すんなって
  しっかし派手にやったねぇ、『ネッシー』って契約者持ったらこんなに強いのか・・・
  懐かしいな~、俺もここであいつと契約したんだよな
  それより・・・これでお前も晴れて都市伝説の戦いに巻き込まれた、っつぅわけだ
  特にアドバイスとかはねぇけど・・・生き残れよ、京子。ウヒヒヒヒ・・・」

その笑い声を聞いて、そして草むらから出た時に、月明かりのお陰で分かった

「・・・パパ!? 何でここに!?」
「もち、迎えに来たんだよ。母さんも未来(ミクル)も心配してんぞ?」
「おにぃが?」
「あぁ、なんか、謝りたいとか言ってたけど、なんかあったの?」
「・・・ううん、何でもない」
「そっか。んじゃ帰るz」
「待ってパパ!」
「ん?」
「そ、その・・・こんなこと、ダメだって言うかも知れないけど・・・
  この子も・・・グルルも一緒に連れていっちゃダメ?
  私、グルルと友達になったの、でも、ここから家は遠いし、ここだとさっきみたいに・・・」

俯く京子の頭を、彼はぽんと優しく手を置き、わしゃわしゃと撫でた

「まずは、どうやってこいつの住処を作るかだな。うちにプールでも作るか?」

彼はにっこりと、彼女に笑顔を向けた

「・・・ありがとぉ、パパ・・・」

ぎゅっと、父親にすがりつく京子
お前は母さんそっくりだな、と呟き、にやにやしながらまた頭を撫でる父親
そして、何故かそれを見て尚も父親に警戒心を絶やさないグルルであった

(・・・しかし)

父親は、グルルを見上げて思う

(どうしよっかなぁ、ホント・・・ローゼちゃんにまた頼むか?)

   ...END





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー