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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

死神少女は修行中-10.兄と妹、心は未だ遠くに-0b

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だれでも歓迎! 編集
―4歳の或る雨の朝、何時もの様に目を覚ますと、独りぼっちになっていた

 親切な男の人が現れて、お父さまとお母さまは車の事故で亡くなったと知らされた
 彼を親代わりとして契約したその日から、外へは出られなくなった
 それなりに広い家と、与えられる本とテレビ。それが世界の全てだった
 8歳のある日知った運命は易しくなかったけど、支えてくれる人が増えた
 都市伝説の呪いを受けたとき、都市伝説の集う町に兄が居ると知らされた
 はじめて会った兄は無愛想だったけれど、自分の家に招いてくれた
 嬉しかった。誰かがただいまと言ってくれる事が。誰かにお帰りと言える事が

 そして世界の破滅が迫った或る日、兄の運命は自分のそれより易しくなかったと知った―

「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
―マタタビオフ第一会場、東区中学校。
 ジャガー人間の大群にもなお参加者達は怯むことはない。
「総員、第一種戦闘配置ぃぃ!」
「非戦闘員と回復要員を囲んで防御しろ!」
「オールレンジ攻撃開始ぃ!接近戦は今暫く待て!」
「もう少し引きつけてからだ!」

 オフの参加者はもとより、屋台のテキ屋達や校内の教職員、生徒達も腕に覚えのある者が応戦に集まり
 そこここで戦いの火花を散らせていた。
「テキ屋のおじさんまで契約者なんだ・・・つくづくすごい所だね、学校町は」
「まったく、戦争ごっこをしているのではないんだが」
 感心しきりの柳と、呆れたように溜め息をつくムーンストラック。
 その彼はといえば、先程から姿の見えないノイを探して気遣わしげに周囲を見渡している。
「ノイちゃんなら大丈夫じゃない?極くんも居てくれてるし」
 極くんは歳のわりにしっかりしてるし。ちょっとくらい怪我をしても「ルルドの泉」があるから。
 この時はまだ、柳はのんびり構えていた。

「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
「ちっ!」
 赤毛が幾筋か切り飛ばされるのと同時に、ジャガー人間とムーンストラック、
 互いの手が相手に伸び触れると同時に、ジャガー人間の瞳から本能の光が消え去った。
「moonstruck」狂気は月がもたらすもの。月光に打たれた者は既に彼に支配された者。
―何時の頃からだろうか。気がふれた事を「月に打たれた」と呼ぶようになったのは。
「精々同士討ちでもするがいい」
 彼が低く呟くと同時に、ジャガー人間の幾頭かは咆哮を上げ、かつての同胞に躍りかかった。

 学校に乱入してきたジャガー人間達があらかた片づいた頃、リジーが油断なく斧を構えたまま息せききって駆けつけた。
「お前達!・・・イタル様が何処にいるか知っているか!?先程からお姿が・・・」
「何!?ノイ・リリスも見当たらんのだが」
 飛縁魔も駆けつけ、四人で顔を見合わせたが、誰がふたりの居場所を知っているわけでもなく
 とにかく手分けをして捜すという運びになった。
 柳はさっきまでの楽観論が吹っ飛んで、不安そうな面持ちを隠そうとしない。
「二人で居てくれればいいんだけど・・・」

 それより少し早い時間のこと。
「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
 ジャガー人間達が幾重にも取り囲み追いつめた獲物は、少年と少女のふたり。
 背の高い、色素の薄い少年を背に庇うように、小柄な黒髪の少女が立っている。
 今のところふたりに目立った怪我がないのは、ジャガー人間達の側に数に物を言わせた余裕があるせい。
 大勢でかかればいつでもしとめられる。獲物が疲れて動けなくなるまでは精々遊ぶつもりなのは、ふたりにもわかっていた。

「う・・・」
 どうしよう。
 敵はたくさん。
 ムーンストラックも、飛縁魔も、リジーも・・・柳も。誰も今、ここにはいない。
 極は「ルルドの泉」の水で傷を癒すことが出来る代わりに、自身で戦う力がない。
(あたしが、イタルを守らなきゃ)
 けれどこんなに多勢に無勢で戦ったことなんてない。
 たぶん逃げても逃げきれない。戦うにしても、もし取りこぼせばその時はふたりともやられてしまうに違いない。
―それを防ぐには。
 “彼ら”に反撃の隙を与えずに、すべて残らず倒す手段が、自分には、ある。

(外の世界を知りたいだろう!?)
(友達が欲しいだろう!?)
(だったら、今、頑張るんだ!)

 昔自分に勇気をくれた言葉を心の中で反芻して。
 何度も何度も深呼吸を繰り返す間にも、ジャガー人間達はじりじりと包囲の輪を狭めてくる。

―だいじょうぶ
―だいじょうぶ
―あたしは頑張れる
 そう自分に言い聞かせてからくるっと振り返り、極に小さな袋を手渡した。
「金魚、持ってて。落としちゃヤだよ?」

「おいっ・・・?」
 戸惑う極を背にジャガー人間達に向き直り、小さな手をぎゅっと組み合わせて自分の内に眠る都市伝説に語りかける。

(・・・現金な事よな。我が力を厭うているというのに、頼みの綱はその我か)
 都合がよくても何でもいい。今はただ
―あたしを助けて。イタルを守って

「『死神』―あいつらを―やっつけて!」

 ふわりと空気が死の気配を纏い
 現れしは髑髏。朽ちた生命の徴。
 携えしは銀の鎌。「彼」こそは最高神に仕えし農夫。そが刈り取りしは生きとし生けるもの総て。

「「ババリ・・・」」
「「・・・・・・」」」
「「「・・・・・・・・・」」」」
 忌まわしくも神聖なる神が音すらも奪ったような静寂が満ちる。
 鎌が振り上げられる様をノイ以外のあらゆる生命がただ茫然と見守っていた。ただ一人を除いては。
 公園のすぐ外。学校の塀の陰にその黒服は身を隠し、通信機を手に取った。
「中学校近辺で、子供の契約者を発見。鎌を持った都市伝説を召喚した模様。
―恐らく間違いない。大至急No.99に知らせてくれ」

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